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FN F2000とケルテックRFBの排莢構造

faq_q FN F2000は前方へ排莢する機構が備わっていますが、どういう仕組みなのでしょうか?

また、その仕組みはガス圧作動方式でも用いることができますか?

faq_a排莢の際にエジェクションポート(排莢口)に繋がるパイプの中に押し込んで排莢させています。

FN F2000はガス圧作動方式です。

FN F2000の構造

Photo via fnforum.net

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FN F2000は各パーツがモジュラー化されており、簡単に分解できることからメンテナンス性の高いライフルです。

レシーバーの他、ハンマー、シアー、ハンマーグループ・アッセンブリーもプラスチック製です。

一般的なブルパップライフルと異なり、ボルトの閉鎖や解放がカバーされているため、銃声が抑えられて射手の耳にやさしいブルパップと言えるかもしれません。

 

Photo via ar15.com

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これはバレル後端のチャンバーを後ろから見た様子です。筒が2本縦に並んで見えます。

弾は下の穴(チャンバー)に装填されて撃発し、引き抜かれた薬莢は上の穴に押し込まれます。

上の穴はエジェクションチューブと呼ばれ、銃の先端にあるエジェクションポートに繋がっています。内部はただのパイプなので、薬莢は送り込まれる際の勢い(ボルト前進時の慣性)によって突き飛ばされて先端まで到達します。
(一回で到達しないこともありますが、続けて撃つと押されて最終的に排莢します)

Photo via Guns.ru

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銃の画像

発射後の薬莢は他のライフルと同様にエキストラクターによって引き抜かれ、引き抜かれた薬莢はスイッチと呼ばれるカバーにガイドされながらエジェクションチューブに進みます。

銃の画像

銃の画像

銃の画像

その後、後退したボルトが再び前進する際に、ボルトの上に備わったボルトアライメントレバーと呼ばれる板状のパーツによって薬莢がチューブ内に蹴り込まれます。

 

Photo via ar15.com

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画像は実際のボルト周辺です。白いプラスチックパーツがスイッチと呼ばれます。

スイッチの下部はレシーバーに固定され、固定された部分を軸にして回転運動する構造です。

ボルトの上に板状のボルトアライメントレバーが確認できます。

Photo via fnforum.net

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ボルトキャリアグループを横から見た様子。

ボルトアライメントレバーの後部にスプリングが備わっており、シーソーの様に上下に動きます。

 

動画で見るとボルトアライメントレバーの動きが分かりやすいでしょう。

 

Photo via TFB TV

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ボルトがチャンバーに向かって進入し、ボルトアライメントレバーがブリーチに接触します。

 

Photo via TFB TV

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ボルトが完全に閉鎖された状態になると、ボルトアライメントレバーはエジェクションチューブに収まっています。

エジェクションチューブに確認できる白いプラスチックパーツは、薬莢の逆流を防ぐためのストッパーです。

先ほどの動画と一緒に注意して見ると、ボルトキャリアからボルトに刺さっているロッキングカム(ボルトカムピン)にはスリットがあり、ボルトアライメントレバーが入り込む構造となっているのが確認できます。

ロッキングカムはボルトアライメントレバーによってボルトの回転を防ぎ、ボルトが閉鎖位置に収まるとボルトアライメントレバーが上昇してロッキングカムが解放され、ボルトが回転可能となります。

この構造は他のライフルでは見られない珍しい構造です。

これを初めて見たときは、合理的な発想に関心しました。

 

チャンバーを確認するための穴に付属するインスペクションカバーを開いて内部を見た様子です。

動画はボルトが後退した状態から始まっていますが、予めチャンバー内に空薬莢が装填されているようです。

ボルトが前進→コッキングしてボルト後退と同時に薬莢を引き抜く→再びボルトが前進してエジェクションチューブに蹴り込む、・・・という流れを映しています。

 

Kel-tec RFB

Photo via slickguns.com

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ケルテック社のブルパップライフル「ケルテックRFB」も、FN F2000と同じく銃の前方から排莢します。

しかし、排莢構造はF2000とは異なります。

 

Photo via Kel-Tec

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上図は発射後の薬莢をチャンバーから引き抜く様子を表しています。

ケルテックRFBのエキストラクター(紫で示したパーツ)は二つのパーツで構成されており、薬莢のリムを左右から挟みこむような形状になっています。

エキストラクターはスプリングによって常に上向きのテンションが掛かっており、ボルトの前後運動によって強制的に下げなければ、常に持ち上がった状態を維持します。

 

Photo via world.guns.ru

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一般的な銃器のエキストラクターは薬莢の後方から爪を衝突させて引っ掛け、チャンバーから引き抜ける状態となります。

しかし、ケルテックRFBではエキストラクターを薬莢の側面(上方)から滑らせるようにしてリムを左右から挟み込みます。

 

Photo via Kel-Tec

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引き抜かれた薬莢はエキストラクターによって上へ持ち上げられます。

この時、ボルトは完全に後退しています。

 

Photo via Kel-Tec

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薬莢を持ち上げた状態でボルトが前進し、排莢用のレールの中に押し込まれます。

そして、同時にボルトが新しい弾薬をマガジンから押し出してチャンバーに装填されます。

FN F2000ではチューブの中を薬莢が通過しますが、ケルテックRFBでは滑り台のようなコの字型のレールがエジェクションポートまで繋がっています。そのため、このレールはエジェクションシュートと呼ばれます。

 

Photo via Kel-Tec

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新しい弾薬が装填され、ボルトが閉鎖した状態です。

エキストラクターは新しい弾薬のリムに滑り込み、いつでも引き抜き可能な状態となりました。

 

FN F2000とケルテックRFB、どちらも前方から排莢するフォワードエジェクション機能を持ちながら、異なる方法で実現していて興味深いですね。

ただ残念なことに、ケルテックRFBはジャムの報告が多く、信頼性は高くないようです。

この2丁のうち1丁を選ぶなら、FN F2000の方が確実かもしれません。

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