ハンドガンなのにストックを取り付けることでバーストショットが可能になるというユニークなシステムを持ったハンドガン、VP70についてですが、あのバーストシステムの構造はお分かりですか?
M93Rはシステムそのものを銃本体に内蔵していますが、VP70があえてストック内にシステムを入れた理由も共にお教え頂けませんでしょうか?
世界初のポリマー・フレームを持つオート・ピストル「VP70」は、ストック内にバースト・メカニズムを備えています。その構造は本体に含まれるべきバースト・メカニズムをフレーム内とストック内に分けて収められています。
トリガーと繋がるトリガー・バーがシアーと連動し、ダブルアクションによってストライカー(内蔵されたハンマー)を押し下げ、シアーから解放されたストライカーにより撃発されるという、銃本体の基本的なオート・ピストルの構造は珍しくありません。
ところが、VP70ではこのトリガー・バーとシアーより後方へと延びるバーが存在し、これはストック結合部に飛び出したパーツと接合されます。
ストック内部には3つの突起を持つ歯車のようなパーツと、それに掛かるシアーがあり、これらは銃本体から繋がるバーに繋がります。
スライドの後退と連動したこれらのバーは3回前進と後退を繰り返すとストック内の歯車も回転運動し、3回の前後運動を終えると自動停止する構造となっています。
これにより1トリガーに3発ずつ発射する3点バーストが成り立っています。
ストック内にバースト・メカを置いた理由については、VP70を一般向けと警察や軍など公用機関に売り出そうとした理由にあると思われます。
VP70はフォルクス・ピストル70(国民ピストル70)の意味があり、1970年に登場しました。
その翌年には軍用として売り出され改名し、VP70Mが登場。同時に、バースト機能を持たせられない民間用のVP70Z(Zivil)も一般市場に登場しました。
バースト射撃が可能なモデルと、そうでないセミオート・モデルの両方に同じパーツを使用できることから、銃本体のコストは抑えられます。この価格を下げる努力があえてバースト・システムを本体とストックとに分けた大きな理由だと思われます。
また、当時HK社は公用機関にサブマシンガンの代用としてVP70を売り出す目的があり、このようなシステムを取り入れることとなりました。
しかし、結果は多くの機関が同社のMP5を選択し、ドイツ警察の一部に支給されたVP70の評判も悪いものでした。
そして、南アフリカのいくつかの国々へ、発展支援目的に際して販売されましたが、1984年には生産終了しています。
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