
この記事の要約:
- サプレッサー(サイレンサー)は映画のように「完全消音」する装置ではなく、実際は 約30〜40dB の減音にとどまり、銃声そのものは依然として明確に聞こえる。
- 超音速弾ではソニックブーム(衝撃波音)が発生するため、亜音速弾(サブソニック弾)と併用することで初めて大幅な静音効果が得られる。
- 軍事用途では「敵に位置を悟られにくくする」「仲間の声を聞き取りやすくする」「マズルフラッシュ抑制」などが主目的で、完全な消音ではなく 戦術的優位の確保 が目的となっている。
実銃ではサプレッサー(サイレンサー)の効果はどこまで期待できるのでしょうか?
本記事では、サプレッサーの効果について解説します。
サプレッサー(サイレンサー)の減音効果

銃にサプレッサーを装着し発砲すると「プシュッ!プシュッ!」と静かな銃声を発し、誰にも発砲を気づかれない・・・と思われがちです。
しかし、実際のサプレッサーは映画やゲームに登場するサプレッサーのように静かではありません。
音圧レベルで比較した場合、サプレッサー付ピストルは「自動車のクラクションより大きな音圧を発する」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
生の銃声は離陸中の旅客機を超える音圧レベルで、聴覚障害を起こすほどの大きな音です。
しかし、サプレッサーを装着すると相対的に小さくなり、爆竹の音圧レベル(110~120db)まで減音できるものもあります。
サプレッサー使用により、約30~40デシベルの減音効果があります。
| 音源 | 音圧レベル (db) | 備考 |
|---|---|---|
| 12ゲージショットガン (ショートバレル) | 171 | ショットシェル |
| .308win (7.62x51mm) | 170~173 | ライフル弾 |
| 7.62x39mm | 167 | ライフル弾 |
| 5.56x45mm | 165~171 | ライフル弾 |
| .44マグナム | 165 | 拳銃弾 |
| .357マグナム | 163 | 拳銃弾 |
| .40S&W | 163 | 拳銃弾 |
| .45 ACP | 162~167 | 拳銃弾 |
| 9x19mm | 160~167 | 拳銃弾 |
| 離陸中の旅客機 | 150 | 参考音 |
| サプレッサー付ライフル (.308win) (7.62x51mm) | 146~148 | ライフル弾 |
| 打ち上げ花火 | 145~150 | 参考音 |
| サプレッサー付ピストル (.45 ACP) | 141~146 | 拳銃弾 |
| .22LR | 140~161 | ライフル弾 |
| 25ヤード離れたAR15 (5.56x45mm) | 138 | ライフル弾 |
| サプレッサー付AR15 (5.56x45mm) | 135~145 | ライフル弾 |
| 25ヤード離れたサプレッサー付AR15 (5.56x45mm) | 133 | ライフル弾 |
| 200ヤード離れたAR15 (5.56x45mm) | 130 | ライフル弾 |
| サプレッサー付ピストル (9x19mm亜音速弾) | 129~144 | 拳銃弾 |
| 200ヤード離れたサプレッサー付AR15 (5.56x45mm) | 128 | ライフル弾 |
| ロックコンサート 近くの落雷 | 120 | 参考音 |
| サプレッサー付.22LRピストル | 116~128 | ライフル弾 |
| サプレッサー付.22LRライフル | 113 | ライフル弾 |
| 爆竹 | 110~120 | 参考音 |
| 自動車のクラクション 手持ち削岩機 | 110 | 参考音 |
| 携帯音楽プレーヤーの最大音量 | 105 | 参考音 |
| バイクのエンジン | 95 | 参考音 |
| 救急車のサイレン | 90~120 | 参考音 |
| 犬の鳴き声 | 90 | 参考音 |
| 掃除機(平均) | 65 | 参考音 |
| 人の会話 | 60 | 参考音 |
音圧レベルはサプレッサーの性能、弾速、口径などによって異なります。
音速を超える弾はソニックブーム(衝撃波による爆音)が発生するため、低速な亜音速弾(サブソニック弾)を使用することで効果的に銃声を軽減することが可能です。

軍におけるサプレッサーの目的

サプレッサーを使用しても、銃声は第三者の耳に届きます。
それでは、軍は何のためにサプレッサーを使用するのでしょうか?
サプレッサーには以下の利点があります。
特に重要なのはマズルフラッシュ軽減効果で、銃口に装着されているフラッシュハイダーより高い効果があります。
そのため夜間射撃時に敵から発見されにくく、射手にとってもマズルフラッシュが視界を妨害せずターゲットを見失いにくくなります。
サプレッサーの基本
- サプレッサーは、銃の発射時に発生する爆発音を低減させる装置です。
- 内部構造には、音を減衰させるためのバッフル(隔壁)やその他の部品が含まれています。
歴史
- サプレッサーは20世紀初頭に発明され、軍事利用や狩猟など、さまざまな目的で使用されてきました。
技術的側面
- サプレッサーは、銃口から放出されるガスの速度と圧力を制御することで、音を低減させます。
- サブソニック弾(亜音速弾)と組み合わせることで、さらに高い消音効果が得られます。
法的規制
- サプレッサーの所有と使用は、国や地域によって厳しく規制されています。
- アメリカでは、法律(NFA)で規制されています。
効果
- サプレッサーは、発射音の低減だけでなく、反動の軽減やマズルフラッシュの抑制にも役立ちます。
- 狩猟や射撃スポーツにおいて、聴覚保護や精度の向上に役立ちます。
用語について
- サプレッサー、モデレーター、サイレンサー等様々な呼称があります。
実物のサプレッサーの銃声とは?

筆者はアメリカでいくつかのサプレッサー付き銃(サブマシンガンやライフル)を実射した経験がありますが、その減音効果は想像以上で、初めて体験したときは驚かされました。サプレッサーを装着しても銃声であることは分かりますが、元々の銃声が非常に大きいため、相対的に大幅に小さくなったように感じられます。
もちろん、「銃やサプレッサーの種類」「セミオートかフルオートか」「超音速弾か亜音速弾か」などの条件によって銃声の大きさは大きく変わります。しかし、低速弾(亜音速弾)とサプレッサーの組み合わせは、減音という目的において非常に効果的です。
通常、射撃では耳を守るイヤープロテクターが必須ですが、サプレッサーを使用すれば、状況によってはプロテクターが不要なほど音が抑えられる場合もあります。
デシベル(音圧)で比較すると、減音した銃声も第三者の耳には届きますが、実際には音圧の数値以上に静かに感じられます。これは、サプレッサーによって鋭く甲高い成分が抑えられ、中〜低音域が主体となるためです。
そのため、実際に減音された銃声を聞くと、「確かに銃声ではあるが、銃声らしさが薄れた」という印象を受けることがあります(もちろん状況によります)。
動画でサプレッサーの音を比較することはできますが、マイクやスピーカーでは銃声の音圧を正確に収録できないため、厳密な比較には向きません。ただし、音の周波数の違いはある程度感じ取れるでしょう。
サプレッサーの特徴は、「音が完全に消える」のではなく、「音の聞こえ方が変わることで大きな変化を体感できる」という点にあります。
まとめ

サプレッサー(サイレンサー)の減音効果
軍におけるサプレッサーの目的
実物のサプレッサーの銃声とは?

