銃に関するあらゆる疑問に答えるQ&Aです。
皆さんからいただいた質問と回答をまとめました。
護身用としての.22LRとは?
- Qアメリカで22LR弾をディフェンス用途に使用しているユーザは多いのでしょうか。
- A
統計が無いので詳細不明ですが、CCW系フォーラムを覗いてみても.22LRを携帯しているユーザーもそれなりに多いと感じます。
専用ホルスターは多種多様に販売されていますし、ポケットに入るサイズが多いので、手軽さが好評です。
ですが.22LRはホローポイント弾でもストッピングパワーが期待できませんし、リムドカートリッジはピストルでジャムが多いです。
そのため、携帯する場合はデリンジャータイプのシングルショットや、NAAのような小型リボルバーを選択し、ターゲットを無力化する目的ではなく、携帯性を重視した選択です。
どちらかといえば、驚かせて追っ払うような使い方になります。
(.22LRは撃ち合いになると不利なので、相手が銃を所持していないことを祈ることになります)
AK用弾倉の不具合の対処方法
- QAKMやAK-47の生産国ごとの規格の違いによる弾倉の不具合は、アメリカではどうやって対応していますか?
以前、雑誌アームズマガジンで民生用のサイガの弾倉を、ナイフで加工するくだりがありました。 - A
アメリカでは規格の異なるAKでも対応する規格のマガジンを入手可能ですから、規格違いを無理やり使用する場合を除いては、基本的に加工の必要はありません。
しかし、規格に関わらずマガジンによってはフィットしないことがありますから、その場合は簡単な加工で対処されます。
マガジンを挿入した際にロックが掛かり難い場合は、マガジンのロッキングラグ周辺後部を薄く削り取ると素直に入りやすくなります。
とはいえマガジンに関しては「駄目なマガジンは何をやっても駄目」ということも多いので、トライ&エラーを繰り返すAKユーザーがいるのも事実です。
SIG P226の魅力とは?
- QP226が最近注目されていますが、魅力は何ですか?
- A
人によって意見が分かれると思いますが、ルックスと性能が魅力だと思います。
高い命中率、ジャムの少ない信頼性、多弾数マガジン装備、高いメンテナンス性等々、ピストルとして優秀な性能を持ち合わせています。
しかし9mmピストルとしてはサイズが大きめで、誕生から30年以上経つこともあり、最新のピストルと比較すると設計の古さが目立ちます。
SPAS-12を採用する組織とは?
- QSPAS-12は軍・警察用に設計されたようですが、実際に使っている組織(軍・警察など)は存在しますか?
- A
以下のリストが参考になると思います。
- アルゼンチン:Brigada Especial Operativa Halcón が使用
- オーストリア:EKO Cobra が使用
- ブラジル:Grupo de Ações Táticas Especiais (GATE) が使用
- チリ:チリ憲兵隊が使用
- エジプト:軍警察が Franchi PA-3 と併用
- フランス:GIGN が使用
- インドネシア:Komando Pasukan Katak (Kopaska) 特殊部隊と Komando Pasukan Khusus (Kopassus) 特殊部隊が使用
- アイルランド:Army Ranger Wing が使用
- レバノン:警察が使用
- マレーシア:国家特殊作戦部隊が使用
- ポルトガル:ポルトガル軍が使用
- 台湾
- トルコ:トルコ憲兵隊が使用
- アメリカ合衆国:警察の SWAT チームが使用
S&Wフレームサイズの意味とは?
- QSmith&Wesson社製のリボルバーのフレームサイズの規格であるJ、K、L、N、Xフレームのアルファベット一字は、何を表すのでしょうか?
- A
S&W社独自に設定されたナンバリングシステムによるもので、アルファベット順にフレームサイズが分けられています。
一般的にはI,J,K,L,M,N,Xとありますが、S&Wの工場内ルールではステンレスフレームを細分化してE,F,Gといったフレームサイズも存在します。
カービンの定義とは?
- Qライフルとカービンの違いは長さだと思うのですが、実際に何センチのがライフル・カービンと言う定義はあるのでしょうか?
- A
カービンに具体的な長さの定義はありません。
全長が短くコンパクトなライフルをカービンと呼んでいます。
ハンドガンの作動方式は変更可能?
- Qハンドガンをカスタムする場合、ダメ元でお聞きしますが作動方式まで変更する事は可能なのでしょうか?
- A
銃によっては可能です。
例を挙げると、1911ピストルはショートリコイルの反動利用方式ですが、カスタムメーカーであるネットワークカスタムガンズ社は、1911ピストルをガスディレードブローバック方式にするカスタムバレルを販売しています。
しかし、作動方式を変更するカスタムは一般的ではなく、この様な例は珍しいものです。
フラッシュハイダー付き拳銃とは?
- Qフラッシュハイダーが備えられたハンドガンはあるのでしょうか?
- A
箱出し状態でフラッシュハイダーが付属しているモデルという意味でしょうか?
そう言った意味では私は記憶がないのですが、HK USPやMK23にはオプションとして純正のフラッシュハイダーが存在します。
またアメリカではストックを排除しショートバレルで一定の条件を満たしたライフル弾を使用する銃も法的にピストルのカテゴリーに入る場合があるため、その場合はフラッシュハイダーを装備したAR15ピストルなども存在します。
ポケットホルスターのメリット
- QJフレームの場合ですが、コンシールドキャリーする場合、IWBホルスターとポケットホルスターでは、どちらが効果的だと思いますか?
また、ポケットホルスターのメリットとは何でしょうか? - A
快適性はポケットホルスターの方が腹部を圧迫しないので優位ですが、小型ハンドガンしか対応しませんし、座ったりしゃがんだ状態で銃を抜くのが困難です。
また、ポケットの口のサイズによっても抜きやすさが異なります。
IWBホルスターは腹部など体の一部を圧迫されますが、体勢を問わず抜きやすいですし、対応するハンドガンのサイズにも幅があります。
どちらが良いかは個人の好みや使用する銃のサイズによります。
メーカーは軍の依頼で製造する?
- Q銃メーカーは軍の依頼により銃を作り、それを民間用に加工してガンショップに売りだされるのか、それともメーカー側が銃を作りそれを軍が買うのでしょうか?
- A
メーカーが軍から依頼されることもありますし、メーカーが販売している銃を軍が採用することもありますが、軍用として完成したモデルを加工して民間用とすることはほとんどありません。
中古の払い下げを除き、民間用は民間用として製造されるのが通常です。
例えばM16の場合では、米陸軍がコンペを開いてFN社やアーマライト社といった各企業が参加し、アーマライト社のAR-10と使用弾薬の改良開発を進めてAR-15(M16)の採用に至りました。
良いライフルとは?
- Q実弾射撃をして良いライフルだなーと思ったライフルはありますか?
5.56×45 or 223 、5.45×39 、7.62×39 弾の中でお願いします。 - A
面白くない回答になりますが、AR15やAK47/AKMは素晴らしいと思います。
知名度が高い銃は、やはり相応の理由があります。
個々の銃はメーカーによって品質がバラバラなので評価が分かれますが、軽量でフルオートでもコントロールしやすい設計自体は評価できます。
M4はもちろんですが、三角ハンドガードのM16A1すらも、実際に撃ってみると想像より良い印象を持ちました。
その他は、重量バランスが良く扱いやすいSKSライフルも良いライフルですし、ステアーAUGも想像以上に良い印象でした。
フルオートで撃つとドコドコドコと頬骨を通じてボルトやハンマーの動きが伝わってくるブルパップの感覚は、撃っていて楽しいです。
ちなみに、逆に最悪の印象だったライフルは、ブッシュマスターM17Sです。
扱い難い、撃ちにくい、トリガープルの切れが悪い等々、良いところがありません。
散弾銃の事件とは?
- Q国外の銃撃テロや乱射事件ではライフル(ak47やAr-15シリーズ)やハンドガンがよく使われますが、散弾銃が使われることはあるのでしょうか?
- A
アメリカ国内の統計(1982~2017年)によると、104件のマスシューティング(時間を置かずに3~4人以上射殺された事件)のうち、26件でショットガンが使用されています。
旧式の放出銃は価格が安い?
- Qアメリカ政府の財産である旧式の小銃や拳銃(第一次世界大戦から第二次大戦ぐらいの時代)が放出される場合、やはりお値段はレプリカの定価より安くなっているのでしょうか?
アメリカの方はあれこれビジネスが発達しているのでこちらと違い軍事的にかなりの旧式なら直ぐに民間に流れていそうなイメージがあり質問させていただきたいのです。 - A
市場での在庫が豊富なら低価格になりますし、希少であれば高額になります。
銃は状態によって価格が異なるため同じモデルでも価格差がありますが、相場から大きく乖離することは少ないといえます。
大戦中の銃器、例えばM1ガーランドや1911ピストルは複数メーカーによって異なる数量が製造されましたが、どのメーカーがどの時期に製造したかによって希少性に差があり、価格に反映されることがあります。
2017年にはフィリピン政府から86,000丁のM1ガーランドがアメリカに返還されましたが、アメリカまでの輸送コストがかかっている割には意外とリーズナブルな価格(700~1500ドル前後)で放出されました。
放出時に状態の悪い銃はストックを新品に取り換えたり、パーツを交換するなどして改修後に放出されることがありますが、この場合、中古価格よりも新品価格かそれ以上に価格が設定されることがありますし、当時のマウントやスコープなど、アクセサリーやクリーニングキットなど付属品もセットで販売されることがあります。
いずれにしても、パーツのシリアルナンバーが揃っていたり、当時の状態を維持しているものは高価値になるのは中古銃として一般的なことで、全体を見るとほぼ相場相当が多いといえます。
銃と知的財産問題とは?
- Qアメリカのラスベガスにあるアーセナル社が代理店になっているスロベニア製REX ZERO1S 拳銃について質問させていただきます。
かなりSIG社のP226シリーズに近い外見なのでコピーかな、と言う印象を受けているのですがアームズマガジン誌の櫻井ライターによると品質が良くデコッカーがスライドストップを兼ねています。
外見が似ているが内部が違うと言うこうした製品は特許や商標などの法的な問題をどうクリアしているのでしょうか?
この他にもグロックに外見がそっくりのシュマイザーブランドのモンテネグロ製拳銃があったと記憶していまして、知的財産の問題はどうなっているのか気になりまして質問させていただきます。 - A
REX ZERO1については以前記事で触れたことがありますが、確かにP226に似た外見と異なる内部構造を持ち合わせています。
ただ、見た目が似ているというだけでは問題とはならず、特許を侵害しているかどうかに寄ります。
もし特許の保護期間が失効していたり、見た目が似ているが特許申請されていない場合は、似ていても問題ありません。
また、特許を持つメーカーから許可を得て製造(ライセンス生産)することも可能です。
アメリカの特許保護期間は17~20年で、1911ピストルのように特許が失効しているピストルはどのメーカーでも自由に製造できます。
有名な訴訟事例では、グロック社がS&W社のシグマピストルを巡る特許侵害で控訴し、グロック社が勝訴したことがありました。
しかし現在では当該特許は失効しているため、スプリングフィールドアーモリー社やH&K社も以前なら問題となりかねない箇所を含むピストルを製造しています。
一般的に銃器メーカーは製造前に特許侵害が無いか調査していますが、調査漏れがあったり認識に相違があると訴訟になる可能性があります。
DOPEとは?
- Q銃に弾道データなどを記した札を貼るのを「Dope Card」と云うようですが、サイトによっては「D.O.P.E. Card」と表記している場合もあります。
「D.O.P.E.」というのは何かの頭文字/アクロニムなのでしょうか? - A
DOPEは、「Data on Personal Equipment / 個人装備用データ」
または、
「Data Observed from Previous Engagements / 事前交戦観測データ」のアクロニムです。
どちらでも間違いではありませんが、前者の方が使用頻度が多いかもしれません。
アメリカでは両方使われています。
銃の保険とは?
- Q米国では護身のために銃を所持、携帯する事が可能ですが、銃を護身のために使用した場合、使用が適正であると認められるためには、裁判などで争わなければいけないケースもあるといくつかの文献やサイトで読みました。
そこで疑問に思ったのですが、銃を護身で使用した事で、裁判や賠償金の支払いなどの状況が発生した時のための保険などは存在するのでしょうか?
例えば、自動車保険の様に対人対物賠償保険や、弁護士特約など、民間保険大国の米国であれば存在していてもおかしくない気はするのですが。 - A
勿論、銃犯罪に関する保険は存在します。
「CCW Safe」や「USCCA」などが有名です。
アメリカの犯罪に関する保険は膨大に存在するので、これだけではありません。
正当防衛であっても警察や弁護士のお世話になるので、こうした保険に加入する人は多いようです。
私個人は加入していませんでしたし、私の周囲でも加入していたという話は聞いたことがないのですが、プライベートなことですし、会話の上で単に保険の話題にならなかっただけかもしれません。
銃の異常を確認する方法とは?
- Q射撃場とか銃を撃つ前に銃に異常がないか調べる時に、どんな確認をすれば良いですか?
- A
安全のため弾が薬室に装填されていないことを確認するために、オートマチックの銃ではマガジンを抜いてスライドやボルトを引き、リボルバーではシリンダーをスイングアウトして薬室内を後方から確認します。
スライドやボルトを引く際に不自然な抵抗を感じた場合は、フィールドストリッピング(簡易分解)して各パーツに変形や破損が無いか目視確認すると問題が発見できることがあります。
しかし、発見できなくてもそのまま組み直すと正常動作することもあります。
また、空撃ち(ドライファイア)によってトリガーやハンマーが正常に動くことを確認することができますが、実際に弾が発射されるかは銃だけでは目視確認できません。
ハンドガンでこれを確認したい場合は、弾が装填されていない状態で銃口を上に向け、銃口から鉛筆を挿しこんで空撃ちします。
このとき、鉛筆が跳ね上がればファイアリングピン(撃針)が正常に機能していると判断できます。
この確認方法は中古の銃を購入する際に有効ですが、実際に射撃する際は実弾を装填して弾が発射されなければ分かることですので、射撃場では通常は不要です。
また銃の異常と共に弾の異常を知ることも重要ですので、弾頭が薬莢内に深く沈み込んでいる弾や、薬莢の先端に凹みがある弾など、何らかの異常が確認できたらその弾は使用せずに廃棄します。
私の経験では銃の異常よりも弾の異常に遭遇する確率の方が高いので、弾の異常に注意することをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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