
この記事の要約:
- スラッグ弾はショットガンから発射される単体弾で、ライフル弾に近い高威力を持つ。
- 銃身の種類(スムースボア / ライフル銃身 / ハーフライフル)によって適合するスラッグ弾が異なる。
- 12ゲージを中心に高いマズルエナジーとストッピングパワーを発揮し、狩猟や防衛に用いられる。
ショットガンはその多様な弾薬で知られていますが、中でも単一の重い弾丸を発射する「スラッグ弾」は、圧倒的な威力で注目されています。
この記事では、スラッグ弾がなぜこれほどまでに強力なのか、そしてその種類、銃身との相性まで、具体的なデータと事例を交えながら深く掘り下げていきます。
また、日本の特殊な「ハーフライフル」銃身についても解説します。
スラッグ弾とは?

スラッグ弾(slug)とは、ショットガン(散弾銃)から発射される単体の弾丸を指します。 通常の散弾が複数の粒状弾を放射状に広げて発射するのに対し、スラッグ弾は単一の弾丸のみを発射する点が大きな特徴です。
スラッグ弾は、単体の弾丸を用いて遠距離の単一目標を狙うという性質から、ライフル弾に近い用途で使用されます。
大型の獲物を対象とする狩猟など、通常の散弾よりも高いストッピングパワー(対象を即時無力化する力)が求められる場面で選択されることが一般的です。
また、スラッグ弾は鉛や銅などの素材で作られた質量の大きい弾丸であるため、高い運動エネルギーを持ち、強い衝撃力を発揮します。
ショットガンの銃身の種類とスラッグ弾の適合性

ショットガン(散弾銃)は、「散弾」や「スラッグ弾」を発射可能です。
ショットガンには、以下の2種類があります。
- ライフリングが施されていないスムースボア(滑腔銃身)を採用したモデル
- ライフリングが刻まれたライフル銃身を備えたモデル

スムースボアは、銃身内部が滑らかで、溝や回転を与える構造がありません。
- 主にショットガンで使用されます。
- 散弾やスラッグ弾を発射し、弾は基本的に回転しません。
- 近距離で広い範囲をカバーできる点が特徴です。

ライフル銃身は、内部にライフリングと呼ばれる溝があります。
- 弾丸に回転を与え、飛翔中の安定性を高めます。
- 主にライフルや拳銃で使用されますが、一部のショットガンでも利用されます。
- 高い命中精度と長い有効射程が特徴です。
スムースボアにはライフルドスラッグが適しています。
一方、ライフル銃身にはサボットスラッグが最適です。
次の項目では、「ライフルドスラッグ」と「サボットスラッグ」について解説します。
こちらの記事で銃身の内部構造を解説しています。

スラッグ弾の種類と構造

ショットガン用のスラッグ弾には、主に次の2種類があります。
- ライフルドスラッグ:スムースボア(滑腔銃身)向けに設計されています。
- サボットスラッグ:ライフリング付き銃身(ライフル銃身)を備えたショットガン向けに設計されています。
ライフルドスラッグ

ライフルドスラッグには様々な種類があり、固形や中空の構造を持ちます。
ライフリングの無いスムースボア(滑腔銃身)で使用することを前提に設計されており、ライフリングが備わった銃身で使用すると銃身内を傷つける恐れがあります。
ライフルドスラッグの外見的特徴は、外側を囲む一連の溝です。
溝が存在する理由は、チョークと関係しています。

ショットガンのチョークとは、銃身先端部分に設けられた絞り(絞り込み構造)のことです。
これにより、発射される散弾の広がり(散弾パターン/ショットパターン)を調整できます。

チョークが強いほど散弾の拡散が抑えられ、より遠距離でも弾がまとまるため、有効射程と命中率が向上します。
逆にチョークが弱い(開放型)と散弾は広く拡散し、近距離での命中範囲が広がります。
ライフルドスラッグの溝によってチョーク通過時にスラッグが圧縮されることで、チョーク付きの銃でも安全に発射できるという、安全上の理由から溝が存在します。
もし溝が無ければ、銃身内を通過する際に抵抗が大きくなり、異常腔圧によって銃身が破裂するリスクがあります。
この溝はライフリングのように見えますが、弾に回転を与えて精度を向上させる効果はほとんどなく、むしろチョーク通過時の安全を確保するためのものです。
そのため、「ライフルドスラッグ」という名称は誤解を招きやすい点に注意が必要です。

一般的に利用されているライフルドスラッグには、「ブレネキ」と「フォスター」というタイプが存在します。
ブレネキ・スラッグ

ブレネキは、ドイツ人銃器弾薬設計者のヴィルヘルム・ブレネキ (Wilhelm Brenneke 1865–1951) が1898年に開発しました。
日本では「ブレネキ」「ブレニキー」「ブレネッキ」などの呼称がありますが、この記事ではブレネキと呼称します。
ブレネキは弾の周囲に出っ張りの「リブ」がある鉛の塊弾です。
後部には、発射後も底部に付いたままになるプラスチック、フェルト、またはセルロース繊維ワッドが付属。
ワッドは「ガスシール」として機能し、銃身内でガスが弾を追い越さないように、無駄なくガス圧を利用することを目的としています。
周囲に設けられたリブは、あらゆるチョークを通過するように設計されており、柔らかいためチョークに接触すると潰れてチョークを守ります。
フォスター・スラッグ

フォスターは、1931年にアメリカ人のカール・M・フォスター(Karl M. Foster)が開発し、1947年に特許が取得されました。
鹿猟で使用するために個人的にスラッグ弾を自作し、近所に配っていたのが始まりといわれています。
フォスタースラッグは、後部が空洞になっており、「前方が重く、後方が軽い」という重量バランスで設計されました。
これにより空中での姿勢が安定し、高い命中精度が得られます。
また、後部が空洞になっている構造により、ガス圧によってスラッグ弾の側壁が外側に向かって押し付けられてガスシールとして機能するため、ガス圧を無駄なく利用できるメリットがあります。

サボットスラッグ

サボットスラッグは、一見すると非常に大きなライフル弾に似ています。
「サボット(Sabot)」とは、フランスで発明された弾頭を保持するためのアダプターです。
弾丸を銃身内でしっかり保持し、銃身から発射される際に弾丸を安定させるための補助部品を「サボット」と呼びます。

サボットは細い弾丸を太い銃身で発射する際に使われ、発射後は分離して弾丸だけが飛翔します。
サボットはショットガン以外にも戦車砲やライフルに使用され、次の役割があります。
サボットには、主に次のような役割があります。
- より小口径の弾丸を高速で発射できるようにすること
- ガス圧を受けて弾丸の加速を補助すること
- 飛行中の弾丸を安定させ、銃身への損傷を防ぐこと
サボットスラッグは、弾がプラスチックのカップ(サボット)に包まれているため、サボットがライフリングに食い込んで回転します。
銃口を離れると空気抵抗によってサボットが分離され、弾だけが飛翔。
ライフリングによる強い回転によって弾が回転し、ジャイロ効果を利用して空中での姿勢が安定し、直進性を高めます。
つまり、サボットスラッグは通常のスラッグ弾よりも高い命中率を実現します。
また、現代のサボットスラッグの多くは先端が尖った形状をしており、空気抵抗を抑えて遠距離射撃が可能です。
通常のスラッグ弾では50~100メートル先を狙うところ、サボットスラッグでは200メートル先の目標を狙うことも可能です。
しかし、100メートル以内の射撃において価格が高いサボットスラッグを使用するメリットはありません。
サボットスラッグは「フラットな弾道」と「遠距離における運動エネルギーの保持」に効果を発揮しますが、近距離ではこのメリットを活かせません。
Sabot の発音は言語によって異なります。一般的には、フランス語やイギリス英語では「サボー」、アメリカ英語では「セイボー」に近い発音になります。
- フランス語:サボ(「サボ」または「サボー/サボウ」に近い発音で、語末の「t」はほとんど発音しません)
- イギリス英語:サボー/サボウ(語末の「t」を発音せず、語尾が伸びる発音です)
- アメリカ英語:セイボー(英語圏では「セイボー」と発音されることが多いですが、地域差があります)
- 日本語:一般的には「サボット」または「サボ」と表記されます

銃身とスラッグ弾の相性

スムースボア銃身とライフル銃身は、それぞれ異なる特性を持ち、適したスラッグ弾の種類も異なります。
ライフル銃身はサボットスラッグ弾の使用に適しており、サボットスラッグ弾は銃身内のライフリングに沿って回転することで高い精度を発揮します。多くのサボットスラッグ弾は銅製ジャケットを備え、空気抵抗を抑えるために先端が尖った形状になっている点も特徴です。
なお、ライフル銃身は散弾の使用には適しておらず、主にサボットスラッグ弾の運用を前提として設計されています。
| 項目 | スムースボア | ライフル銃身 |
|---|---|---|
| 説明 | ライフリングがない滑らかな銃身 | ライフリング(螺旋状の溝)がある銃身 |
| 特徴 | 散弾の広範囲散布に適する。 スラッグ弾も発射可能。 | 弾丸に回転を与え、命中精度を向上させる |
| 適した組み合わせ | ライフルドスラッグ | サボットスラッグ |
| 精度 | スラッグ弾の精度は中程度。 弾の回転なし。 | スラッグ弾やサボット弾で高精度を発揮 |
ハーフライフル銃身の特性と威力

日本には「ハーフライフル」と呼ばれる、日本独自の特殊な銃身構造が存在します。これは、銃身の半分にのみライフリングが施されている銃身を指します。
ライフリングは弾丸の直進性を高めるために設けられていますが、銃身の半分だけにライフリングがある場合と、銃身全体にライフリングがある場合とでは、命中精度に大きな差は生じません。弾速についても大きな変化は見られないため、ハーフライフルは性能面で特別なメリットがあるとはいえません。
また、「ハーフライフルは威力が強い」と報道されることがありますが、スムースボア銃身と比較して威力が増すという事実はありません。
では、なぜこのような特殊な銃身が存在するのでしょうか。
日本の銃刀法では、ライフル銃を所持するためには、猟銃を10年以上所持していることが要件とされています。しかし、海外で一般的なライフルドスラッグ用ショットガンは、日本の法律上「ライフル銃」とみなされてしまいます。
そのため、輸入時に銃身のライフリングを半分以下に削り、「ライフル銃」ではなく「ライフル銃及び散弾銃以外の猟銃」に分類されるよう調整した結果、ハーフライフルという形式が生まれました。
ハーフライフル銃の所持規制強化と例外措置の概要
2023年5月、長野県中野市においてハーフライフル銃を使用した事件が発生し、警察官2名を含む4名が死亡しました。
この事件を受け、2024年3月に閣議決定された銃刀法改正案では、ハーフライフル銃の所持許可を原則として猟銃所持歴10年以上の者に限定する規定が盛り込まれました。
ただし例外として、鳥獣被害対策や有害鳥獣駆除に従事する者が都道府県知事の認定(公安委員会の許可)を受けた場合には、猟銃所持歴が10年未満であってもハーフライフル銃の所持が認められる特例が設けられています。
この特例は、北海道や東北地方におけるエゾシカやヒグマの駆除活動で、若手ハンターが即戦力として継続的に活動するために必要とされています。
施行時期は2025年3月1日(公布から9カ月以内)とされています。
特例が設けられた背景には、鳥獣害対策という公益性があり、国家公安委員長も「獣類被害の防止に支障がないよう適切に運用する」と述べています。
「猟銃」とは?
日本の銃刀法における「猟銃」とは、狩猟を目的として使用される銃を指し、法令上は散弾銃、ライフル銃、空気銃の三種類が含まれます。
このうち、一般的に所持される猟銃は散弾銃と空気銃です。散弾銃は、銃身内部が滑らかなスムースボア構造を採用しており、主に鳥獣の狩猟に使用されます。
空気銃は、圧縮空気やガスの力で弾を発射する仕組みを持つ銃で、小動物の狩猟のほか、射撃競技にも広く利用されています。
一方、ライフリングを備えたライフル銃の所持には厳しい条件が設けられています。原則として、散弾銃または空気銃を10年以上にわたり、継続して適正に所持・使用してきた実績が必要です。さらに、狩猟目的としての必要性、継続的な狩猟実績、技能および適性に関する審査など、複数の要件を満たすことが求められます。
ショットガンスラッグの圧倒的な威力

スラッグ弾には、「フォスター」「ブレネキ」「サボット」といった種類が存在しており、いずれのスラッグ弾も散弾より飛距離が長く(散弾の1.3~3倍以上)、高い殺傷力を有しています。
| 主な使用銃 | 弾の種類 | 初速 (フィート/秒) | マズルエナジー (フィートポンド) |
|---|---|---|---|
| ショットガン | スラッグ(フォスター) Remington RR12SRS | 1200 | 1397 |
| スラッグ(ブレネキ) Brenneke 211 55 57 | 1246 | 1511 | |
| スラッグ(サボット) Winchester XRS12 | 1350 | 1821 | |
| ピストル | 9mmPara | 1250 | 383 |
| リボルバー | .44マグナム | 1180 | 741 |
| ライフル | 5.56x45mm NATO | 3240 | 1280 |
マズルエナジーとは、弾丸が銃口を離れた瞬間に持つ運動エネルギーを指します。 弾頭の重量と初速をもとに算出され、「弾丸が目標に命中した際に、どの程度の破壊力や貫通力を発揮できるか」を示す指標として用いられます。
- 単位はフットポンド(ft-lbf)やジュール(J)で表され、数値が大きいほど威力が高いことを意味します。
- 日本語では「初活力」「銃口エネルギー」「銃口威力」などと呼ばれることもあります。
それぞれの弾薬を比較すると、スラッグ弾はライフル弾並みのマズルエナジーを持っていることが分かります。
スラッグ弾は、他の小火器と比較して弾頭の直径が大きく、重量もあるため、非常に高いストッピングパワーを持っています。また、コンクリートブロックやレンガ壁に対しても大きな破壊力を発揮することが知られています。
人体に命中した場合は、弾頭が持つエネルギーが大きいため、重大な損傷につながる可能性が高くなります。影響は命中箇所によって異なりますが、胴体に命中した場合には骨への影響や内部組織への深刻なダメージが生じることがあります。貫通する場合もあれば、体内に留まる場合もあります。
頭部や顔面に命中した場合は、生命に関わる重大な結果を招くことが多いとされています。
過去には、スラッグ弾による自傷行為で重度の損傷を負いながらも、一定期間生存した事例が報告されていますが、一般的には極めて危険であり、即死に至るケースが多いとされています。
なお、カヅキオオツカ著『銃器使用マニュアル』には、銃創に関する参考資料として遺体写真が掲載されていますが、閲覧には十分な注意が必要です。


ゲージごとのエネルギー出力比較
ショットガンスラッグの威力は、そのゲージによって大きく異なります。
ショットガンにおけるゲージとは
ショットガンで用いられるゲージとは、銃身の内径(口径)を示す単位です。
もともとは、同じ大きさの鉛球を何個作れるかによって口径を表しており、たとえば12ゲージであれば、1ポンドの鉛から12個作ることができる鉛球の直径が銃身内径に相当します。
ゲージの数値が小さいほど口径は大きくなります。
代表的なゲージと口径は次のとおりです。
| ゲージ | 口径 (インチ) | 口径 (mm) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 10 | 0.776 | 19.7 | 大型獣の狩猟に使用される |
| 12 | 0.728 | 18.5 | 最も一般的で用途が広い |
| 16 | 0.661 | 16.8 | 小動物猟やクレー射撃に使用 |
| 20 | 0.614 | 15.6 | 小動物猟やクレー射撃に使用 |
| 28 | 0.547 | 13.9 | 小動物猟やクレー射撃に使用 |
| .410 | 0.410 | 10.4 | 67.5番相当で「.410口径」とも呼ばれる |

| ゲージ | スラッグ重量 | 初速 (fps) | マズルエナジー (ft-lbf) | 100ヤード地点 マズルエナジー (ft-lbf) |
|---|---|---|---|---|
| 12ゲージ (ホーナディSST) | 1オンス (438グレイン) | 1,850 | 3,320 | 1,793 |
| 20ゲージ (フェデラルハイパフォーマンス) | 3/4オンス (328グレイン) | 1,600~1,800 | 2,500 | 1,337 |
| 16ゲージ | 7/8オンス (382グレイン) | 1,600 | 1,987 | 1,050 |
| .410ボア | 1/5オンス (87.5グレイン) | 1,815 | 640 (マグナム:781) | 300 |
12ゲージスラッグ
12ゲージスラッグは、ここで挙げたショットガン用弾薬の中で最も高いエネルギーを発揮します。
標準的な1オンス(438グレイン)のスラッグを毎秒1,850フィートで発射した場合、約3,320 ft-lbfのマズルエナジーを生成します。
高性能装弾ではさらに大きな威力を発揮し、一部の12ゲージスラッグは2,300 ft-lbfを超えるエネルギーに達します。
例えば、ホーナディSSTのような最新のサボットスラッグは2,664 ft-lbfのエネルギーを発揮し、100ヤードでも1,793 ft-lbfを維持します。
20ゲージスラッグ
20ゲージスラッグは、12ゲージよりも少ない反動で十分な威力を発揮します。
一般的な3/4オンスのスラッグで約2,500 ft-lbfのエネルギーを生成し、フェデラル・バーンズ・ティップド・エクスパンダーのような高性能装弾は100ヤードで1,337 ft-lbfを記録します。
20ゲージは概ね毎秒1,600~1,800フィートの速度を維持します。
16ゲージスラッグ
16ゲージスラッグは中間的な性能を持ち、7/8オンスのスラッグが約毎秒1,600フィートで発射されます。
12ゲージや20ゲージほど一般的ではありませんが、威力と反動のバランスに優れています。
.410ボアスラッグ
.410ボアスラッグは最も小型ですが、そのサイズに比して十分なエネルギーを発揮します。
従来の1/5オンススラッグは毎秒1,815フィートで640 ft-lbfのマズルエナジーを生成し、マグナム装弾では781 ft-lbfに達します。
絶対的なエネルギーは小さいものの、.410スラッグは.45 ACP弾のエネルギーを上回り、700 ft-lbf以上を記録します。
比較による威力分析

スラッグ、バックショット、ライフル弾の威力を比較するとき、重要な要素は「与えるエネルギー、貫通力、有効射程、用途」です。
それぞれの特徴は以下の通りです。
| 弾種 | マズルエナジー (概算) | 有効射程 | 貫通力 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| バックショット | 約1,500 ft-lbf (総計) | 40 m以下 | 中程度 (複数弾命中) | 近距離狩猟 ディフェンス |
| スラッグ | 約1,600 ft-lbf | 70~200 m以上 | 深い (単一大弾) | 中距離狩猟 ディフェンス |
| ライフル弾 | 1,300~3,000 ft-lbf以上 | 300~500 m以上 | 深い、制御可能 | 長距離射撃 大型獣狩猟 タクティカル |
バックショット

スラッグ

ライフル弾

| モデル | 使用弾薬 | 有効射程 (m) | マズルエナジー (ft-lbf) |
|---|---|---|---|
| M16A4 | 5.56×45mm NATO | 約500 | 1,280 |
| AK-74 | 5.45×39mm | 約500 | 1,350 |
| AK-47 | 7.62×39mm | 約300 | 1,500 |
| ドラグノフSVD | 7.62×54mmR | 約800 | 2,700 |
| M14 | 7.62×51mm NATO (.308 Win) | 約800 | 2,500 |
| FN SCAR-H | 7.62×51mm NATO (.308 Win) | 約800 | 2,500 |
| レミントン700 | .30-06 | 約800 | 2,820~3,079 |
| AI AXMC | .338ラプアマグナム | 約1,500 | 4,700 |
| CheyTac M200 | .408 CheyTac | 約2,100 | 7,400 |
| バレットM82A1 | .50 BMG | 約1,800 | 12,200 |
近距離の制圧力はバックショットとスラッグが優れますが、長距離での精度と最大運動エネルギーではライフル弾が圧倒的です。
用途(ディフェンス、狩猟、戦術)によって最適な選択が異なります。
マズルエナジーの大きさを比較
マズルエナジーの大きさを比較すると、銃のカテゴリーに関係なく、弾薬の種類の違いによって異なることがわかります。
| 種別 | 弾薬 | 弾頭重量 | 初速 (fps) | マズルエナジー (ft·lbf) |
|---|---|---|---|---|
| ハンドガン | .45 ACP | 230gr (14.9g) | 850 | 369 |
| 9mm | 115gr (7.5g) | 1,150 | 383 | |
| .40 S&W | 180gr (11.7g) | 990 | 392 | |
| ショットガン | .410ボア | 1/5oz (87.5gr, 5.7g) | 1,815 | 640 マグナムで781ft-lbf |
| ハンドガン | .357マグナム | 158gr (10.2g) | 1,525 | 816 |
| .44マグナム | 240gr (15.6g) | 1,470 | 1,000 | |
| ライフル | 5.56×45mm NATO | 62gr (4.0g) | 3,100 | 1,280 |
| 5.45×39mm | 53–54gr (3.4g) | 2,900 | 1,350 | |
| ショットガン | 12ゲージ レミントンRR12SRS フォスター | 437gr (28.3g) | 1,560 | 1,397 |
| ライフル | 7.62×39mm | 123gr (8.0g) | 2,350 | 1,500 |
| ショットガン | 12ゲージ ブレネキ 211 55 57 | 437gr (28.3g) | 1,575 | 1,511 |
| 12ゲージ ウィンチェスターXRS12 サボット | 300gr (19.4g) | 2,000 | 1,821 | |
| 12ゲージ レミントンスラッガー スラッグ | 4/5oz (350gr, 22.7g) | 1,600 | 1,989 | |
| 12ゲージ フェデラルHP スラッグ | 3/4oz (328gr, 21.3g) | 1,600–1,800 | 2,500 | |
| ライフル | 7.62×51mm NATO (.308 Win) | 147–150gr (9.5–9.7g) | 2,800 | 2,500 |
| .30-06 (150gr) | 150gr (9.7g) | 2,910 | 2,820 | |
| .30-06 (180gr) | 180gr (11.7g) | 2,700 | 3,079 | |
| ショットガン | 12ゲージスラッグ (3インチマグナム) | 1oz (438gr, 28.4g) | 1,760 | 3,105 |
| 12ゲージ サボットスラッグ ホーナディSST | 1oz (438gr, 28.4g) | 1,850 | 3,320 | |
| ライフル | .338ラプアマグナム | 250–300gr (16.2–19.4g) | 2,800–2,900 | 4,700 |
| .408 CheyTac | 305gr (19.7g) | 2,880 | 7,400 | |
| .50 BMG | 647gr (41.9g) | 2,800 | 12,200 |
終末弾道(目標命中後の挙動)とストッピングパワー

ショットガンスラッグは、その質量と直径により大きな永久創腔を形成します。
永久創腔(永久空洞 / Permanent cavity)とは、弾丸が目標物(人体など)に命中して通過した際に、実際に破壊されて残る組織欠損部分を指す弾道学の用語です。
弾丸が体内を通過する際には、一時的に周囲の組織を押し広げる「一時的空洞 / 瞬間空洞(temporary cavity)」が形成されますが、多くの場合、この空洞は弾丸通過後に元の状態へ戻ります。
これに対して、永久創腔は物理的に破壊され、回復しない空間であり、その大きさは弾丸の直径、速度、変形、断片化などの要素によって決まります。
医学分野では、「破壊創」や「組織欠損」と表現される場合もあります。
ライフル弾が主に速度によってエネルギーを伝達するのに対し、スラッグは重い質量に依存します。
最も軽い12ゲージスラッグでも383グレインあり、これは通常の.30-06弾(150グレイン)の倍以上です。
ディフェンスシューティングの統計分析では、スラッグは即時無力化率67%を記録しており、バックショットの54%、バードショットの17%を大きく上回ります。
この高いストッピングパワーは、スラッグが貫通とエネルギー伝達によって大きな組織破壊を起こす結果です。
| 種類 | 即時無力化率 | 貫通 (バリスティックゼラチン) | FBI基準 (12インチ以上) | 対人用効果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| スラッグ | 67% | 17~20インチ | 達成 | 非常に高い | 大径・高質量による創腔拡張、破片化あり |
| バックショット (#1, 00) | 54% | 12インチ以上 | 達成 | 高い | 複数弾命中による深く広い創腔 |
| バックショット (#4) | – | 3.5~9インチ | 不足 | 中程度 | 小粒バックショットはFBI基準未達成 |
| バードショット (#4) | 17% | 6~9インチ (近距離) | 不足 | 低い | 近距離限定、衣服でさらに減衰 |
| バードショット (#7.5) | 17% | 1.5~6.75インチ | 不足 | 非常に低い | ディフェンス用途には不適 |
標準的な鉛のスラッグはバリスティックゼラチンで17~20インチ貫通し、創腔内で破片化や鉛粒の剥離を起こし、追加の組織損傷を与えます。
その大径と質量により創腔の拡張が確実となり、終末性能において壊滅的な威力を発揮します。
※参考:Shotgun Stopping Power- Buckshot vs. Slugs | Active Response Training

バリスティックゼラチンとは、弾丸の貫通力や終末性能を評価するために使用される、人体組織を模した試験用ゼラチンブロックのことです。一般的には10%濃度で作られ、弾丸が人体に与える影響を再現する目的で用いられます。
FBI基準とは、防衛用(セルフディフェンス用)弾薬の性能評価において、バリスティックゼラチンに12インチ(約30cm)以上18インチ以下貫通することを適正とする指標です。この基準は、十分なストッピングパワーを確保しつつ、過剰な貫通によるリスクを抑えるための目安として広く採用されています。

終末性能(Terminal performance)とは、弾丸が目標に命中した後に発揮する破壊力や停止力(ストッピングパワー)を指します。 具体的には、貫通後のエネルギー伝達、創傷の大きさ、弾丸の変形や断片化など、対象を確実に無力化するために関わる要素が含まれます。
また、同じ概念を扱う用語として終末弾道学(Terminal ballistics)があり、こちらは弾丸が目標に命中してからの挙動や影響を研究する分野を指します。
