オープンボルト vs クローズドボルト|構造・精度・安全性の違いを徹底解説

オープンボルト解説画像

この記事の要約:

  • オープンボルトは“ボルト後退状態で待機→前進しながら発射”する方式で、構造が単純・冷却に強いが、初弾精度が低い。
  • クローズドボルトは“ボルト前進状態で待機→その場で発射”する方式で、精度が高く異物混入にも強いが、構造が複雑。
  • 用途の傾向として、オープンボルトは機関銃・SMG、クローズドボルトはライフル・PDW・精密射撃向けに採用される。

サブマシンガンやマシンガンで利用される「オープンボルト」と、サブマシンガンやライフルで利用される「クローズドボルト」の違いについて解説します。

目次

オープンボルト方式とクローズドボルト方式の基本概念

銃器の作動方式は、大きく「オープンボルト方式」と「クローズドボルト方式」に分類されます。

両者の最大の違いは、発射前にボルトがどの位置にあるか、そして薬室に弾薬が装填されているかどうかです。

AR15ボルトキャッチイメージ画像
AR-15系の構造

ボルトはレシーバー内部を前後に動き、前進で「装填・閉鎖」、後退で「抽筒・排莢」を担当する“往復運動ユニット”です。

ボルトキャリアと一体で動く銃も多く、作動方式(ガス圧・反動など)によって動き方が変わります。

ボルトの役割

  • 弾を薬室に押し込む(装填)
  • 撃針を保持し、発射時に雷管を叩く
  • 発射後の薬莢を引き抜き、排出する
  • 発射時の圧力を受け止め、閉鎖して安全を確保する

オープンボルト方式(Open bolt)

MAC10イメージ画像

オープンボルト方式では、待機状態でボルトが後退位置に保持され、薬室は空の状態です。トリガーを引くとボルトが前進し、弾薬を薬室に送り込み、そのまま発火します。

オープンボルトの構造

オープンボルト解説画像

マガジンを装填して手動でボルトを後退させると発射準備完了になります。

ボルトは後退した状態を維持します。

オープンボルト解説画像

トリガーを引くとボルトが前進し、マガジン内の弾薬を薬室内に装填すると同時に発射されます。

オープンボルト解説画像

弾が発射されるとボルトが後退し、排莢。

後退したボルトは後退状態を維持し、再び発射準備完了となります。

オープンボルトの利点

  • 構造が単純で製造コストが安い
  • 停止状態では薬室が開放されているため銃身を冷却しやすい(マシンガンに最適)

オープンボルトの欠点

  • トリガーを引いてから撃発までにタイムラグがあり、ボルトの移動によって命中精度が低下しやすい
  • エジェクションポート(排莢口)が開放されているため異物が混入しジャムのリスクがある
  • モデルによっては外部からの衝撃によってボルトが前進し暴発のリスクがある
  • セミオートモデルでもフルオート化が容易なため民間市場で規制されやすい

主なオープンボルトモデルの例

  • ブローニング・オートマチック・ライフル(BAR)
  • ブレン軽機関銃
  • FN MAG/M240系列
  • FN Minimi/M249
  • M60機関銃
  • MG34、MG42
  • M3 グリースガン
  • STEN短機関銃
  • MP40、MP18
  • カールグスタフ M/45(スウェディッシュK)
  • MAC-10、MAC-11系列
  • CETME Ameli
  • PKMなどのベルト給弾式汎用機関銃(一部バリエーション)

クローズドボルト方式(Closed bolt)

MP7イメージ画像

クローズドボルト方式では、待機状態でボルトが前進し、すでに弾薬が薬室に装填されています。

トリガーを引くと、ハンマーやストライカーが撃針を叩いて発火します。

クローズドボルトの構造

クローズドボルト解説画像

マガジンを装填して手動でボルトを後退させるとスプリングの力でボルトが前進し、マガジン内の弾薬を薬室に送り込んで発射準備完了になります。

ボルトは前進した状態を維持します。

クローズドボルト解説画像

トリガーを引くと発射されます。

発射後、ボルトが後退し排莢。

クローズドボルト解説画像

後退したボルトはスプリングの力で再び前進し、マガジン内の弾薬を薬室に送り込んで停止、発射準備完了となります。

オープンボルトではボルトが後退した状態で停止しますが、クローズドボルトではボルトが前進した状態で停止します。

クローズドボルトの利点

  • ボルトが前進した状態から発射されるためブレが少なく命中精度が高い
  • エジェクションポート(排莢口)が閉鎖されているため異物混入によるジャムが少ない
  • サプレッサー使用時に減音効果が高い

クローズドボルトの欠点

  • 構造が複雑になりパーツ点数が多いため製造コストが高い
  • 停止状態では薬室が閉鎖されているため銃身が冷却されず、マシンガンには適さない
  • 高温の薬室に弾薬が保持されることで自然発火による暴発(クックオフ)の危険がある
  • マガジンを抜いても弾薬が薬室内に装填されている可能性があり、誤射の危険がある

主なクローズドボルトモデルの例

  • AR-15系ライフル
  • M16ライフル
  • AKシリーズ(カラシニコフ系)
  • H&K G3、G36
  • SIG 550シリーズ
  • Steyr AUG
  • FN F2000
  • H&K MP5、UMP
  • FAMAE SAF
  • M2ブローニング重機関銃

現代の制式小銃、カービン、短機関銃、拳銃のほぼすべてが、このクローズドボルト方式を採用しています。

混合方式(セミはクローズド、フルオートはオープン)

FG42イメージ画像
FG42

一部の銃器は、セミオート射撃ではクローズドボルト、フルオート射撃ではオープンボルトで作動する設計を採用しています。これは精度と冷却性能の両立を狙ったものです。

主な混合方式の例

  • FG42
  • M1941 ジョンソン軽機関銃
  • FN SCAR HAMR
  • LWRC IAR 系列
  • CETME Model A
  • Dror 軽機関銃

まとめ

項目オープンボルト方式クローズドボルト方式
待機状態ボルト後退、薬室は空ボルト前進、弾薬装填済み
持続射撃非常に有利不利
初弾精度やや劣る優れる
主な用途軽機関銃、汎用機関銃、旧型SMG制式小銃、SMG、拳銃

オープンボルト方式は、持続火力と耐熱性を重視する軍用機関銃向きの設計です。

一方、クローズドボルト方式は、精度、安全性、取り回しを重視する現代的な小火器に適しています。

用途や戦術思想の違いが、両方式の使い分けに反映されていると言えます。

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この記事を書いた人

・1998年:実銃解説サイトを開設
・2001年~2007年:米国に居住し実弾射撃を学ぶ
・エアガンメーカー勤務経験や実銃経験を活かした情報を発信中

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