ご質問を頂きました。
ハンマーの端やグリップの下にある穴は何の為にあるのでしょう?
何かを付ける目的であるのでしょうか。
ある人はふざけて、「ストラップを付けるんだ」とか、「落とさないように紐か何かを付ける」と私をからかいます。
ピストルのハンマーに穴がある理由について解説します。
ハンマーの穴の存在理由
穴の空いたハンマーはリングハンマーやスケルトンハンマーと呼ばれ、これには存在理由があります。
命中精度向上
ハンマーに穴を開けることで軽量化によりハンマーの動作が速くなり、ロックタイムが短縮されます。
ロックタイムとは、トリガーを引いてからファイアリングピン(撃針)がプライマー(雷管)を叩いて撃発するまでの時間を指します。
ロックタイムが短くなると銃が大きくブレる前に発射されるため、命中精度が向上します。
製造コスト削減
ハンマーを製造する際、ハンマースパー(ハンマーの突起)を切削するより丸いハンマーを切削する方が簡単に製造可能です。
指が引っ掛かりやすいようにハンマーにはある程度の大きさ(面積)が必要になり、そのままでは重いハンマーになってしまいますが、穴を開けるだけで軽量化が可能なため、安価に製造することができます。
ハンマーの形状が丸い理由
引っ掛かり防止(スナッグフリー)
丸いハンマーはホルスターから銃を抜く際に衣服などに引っ掛かり難くする目的があります。
通常のハンマースパーは引っ掛かりやすいため、丸いハンマーはコンシールドキャリー(隠匿携帯)に適しています。
しかし、近年ではハンマーそのものが存在しないハンマーレスピストルに人気があります。
ハンマーバイトの防止
発射時に起き上がったハンマーがフレームやグリップセイフティの間に親指の付け根を挟む事故(ハンマーバイト)を防ぐ目的で丸いハンマーが利用されます。
ハンマーバイトには個人差もありますが、特に手の大きな射手は注意が必要です。
後方へ突き出した形状の「ビーバーテイル」もハンマーバイトを防ぎ、銃の落下からハンマーを守る目的があります。
グリップの下にある輪の存在理由
グリップの下に用意されたリングはランヤードリング(Lanyard Ring)と呼ばれ、ランヤード(紐やワイヤー)を穴に通して銃の紛失を防ぐためのパーツです。
特に軍用ハンドガンで多く装備されています。
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