銃に関するあらゆる疑問に答えるQ&Aです。
皆さんからいただいた質問と回答をまとめました。
- MP5のコッキングレバーの材質
- アイリリーフ(Eye Relief)とは?
- Hornady Interlock の弾頭構造とは?
- S&W M10の改良点とは?
- M16A1のハンドガードは何種類?
- Mec-Garというマガジンとは?
- MP-40の鉄のチューブとは?
- コルトSAAの第二世代が高評価な理由
- S&W M500の先端の色の違いとは?
- S&W M500のシリンダーが肉厚な理由
- ナイトサイトの大きさの違いとは?
- プレインライフルとは?
- 銃について学ぶ方法とは?
- 「弾薬を選ばない銃」とは?
- アメリカでは狙撃事件が少ない?
- 防弾ベストは自由に購入できる?
- アメリカでは今後犯罪が増加する?
- フリントロック式銃の競技会はある?
- アメリカの銃規制の現状とは?
- アングルマウントが警察で使用されない訳
- ウィルソンコンバット社製は頑丈?
- エキストラクターのラグの必要性
- オイルエレメントのサプレッサーは禁止?
- オートピストルの実用射程とは?
- XO-26は犯罪歴照会不要?
MP5のコッキングレバーの材質
- QHKスラップでお馴染みのMP5のコッキングレバーの材質は何でしょうか?
金属なのかなと思っているのですが、樹脂のような気もして気になっています。 - A
サードパーティー製にはポリマーが多いですが、H&K社純正でも最新のモデルはポリマーハンドルになっています。(軸はスチールです)
アイリリーフ(Eye Relief)とは?
- Qアイレリーフとはなんでしょうか?
- A
アイリリーフ(Eye Relief)とは、スコープや双眼鏡などの接眼レンズから目までの距離(接眼距離)のことです。
レンズに対して、目が近すぎても遠すぎても適切な視野が得られないため、スコープの搭載位置が重要になります。
また、反動の強い弾薬を使用する際に短いアイリリーフのスコープを使用すると、スコープが目に衝突するため、弾薬に合う適切なスコープが必要です。
平均的なスコープは約3.5インチ(約9cm)ほどのアイリリーフがあります。
レシーバー上にスコープを設置できない場合や、反動の強いライフルの場合、またはハンドガンに使用する場合などではアイリリーフの長いLERスコープ(ロング・アイリリーフ・スコープ)が使用されます。
Hornady Interlock の弾頭構造とは?
- QHornady Interlock の構造の動画を見たのですが、イマイチでした。
この弾頭について解説できますでしょうか? - A
狩猟の際、着弾した弾頭が獲物の体内でコアとジャケットに分離すると貫通力が低下し、致命傷となる臓器や中枢神経に到達しないことがあります。
そのため、各弾薬メーカーは何らかの方法で「コアとジャケットの分離を防ぐ設計」を採用しています。
ホーナディー社では、ひとつの方法としてコアの外周とジャケット内周が組み合う構造を採用し、これをInterLock(Ring)と呼称しています。
S&W M10の改良点とは?
- QM10リボルバーのwikiを読んだ所、戦後版の項目の最後に1948年に撃発機構が改良され現在に至るまで踏襲されてるとありますが、具体的にどのような改良がなされたのでしょうか。
- A
1948年にショートスローハンマーが導入されました。
これによりロックタイムが短縮されました。
要するに、ハンマーの移動距離が短くなったことでトリガーを引いてから撃発するまでの時間が短縮され、ブレを軽減し命中精度が向上しました。
M16A1のハンドガードは何種類?
- QM16A1のハンドガードは、2種類あるのでしょうか?
- A
私が知る限り6種類存在します。
外見はほとんど同じで、ハンドガードの内側にあるヒートシールドの形状などが少し異なります。
Mec-Garというマガジンとは?
- QMEC-GERというマガジンやそれに関するアクセサリーなんかを作っているメーカーがあるのですが、このメーカーのマガジンの信頼性は高いのでしょうか?
ショップなどで評価を見ると5段階評価で5と最高の評価を得てたりするのですが、装弾数が増えたことによる弊害も考えられるような気がするのです。
しかし、このメーカーのマガジンを使えばベレッタ92FSやSIG P226が18連になるので、これは素晴らしいと思ってしまいます。
ポルさんは戦場に持っていく拳銃にベレッタ92系の名を挙げてらっしゃいますが、このメーカーのマガジンを使おうと思いますでしょうか?
それともおそらく間違いはないであろう純正の17連マガジンで手を打ちますか? - A
Mec-Gar社はOEMメーカーで、ベレッタ社、SIG社、ワルサー社、ケルテック社、ルガー社、コルト社、S&W社・・・等々と契約してマガジンを供給しているので、ある意味純正ファクトリーマガジン製造者です。
アメリカの銃器メーカーはマガジンを外注することが多く、銃に付属するのはMec-Gar社製マガジンという例も多いですし、信頼性は十分です。
>装弾数が増えたことによる弊害も考えられるような気がするのです。
すべてのマガジンに当てはまるとは思いませんが、あまり悪い評判は聞かないですね。
>このメーカーのマガジンを使おうと思いますでしょうか?
下手な純正マガジンより高性能なので、使いたいと思います。
私はキンバーの1911でMec-Gar社のマガジンを使っていましたが、純正マガジンの質が酷すぎたのでサードパーティー製を積極的に選択します。
MP-40の鉄のチューブとは?
- Qフルオート火器の登録がされた鉄のチューブが売られている写真を見ました。
チューブのそばにMP-40のイラストが添えられているものです。
これは、加工してMP-40サブマシンガンにするためのキットなんでしょうか?
以前、雑誌ガンでもステンガンを製作している記事を読んでいましたがMP-40のキットもあるんでしょうか? - A
画像を拝見していないので推測になりますが、恐らくMP-40のレシーバーチューブではないかと思います。
アメリカではMP-40のパーツキットが販売されており、レシーバー以外のパーツについてはバックグラウンドチェックや登録は不要で合法的に売買されています。
このキットを組み立てるにはレシーバーチューブが必要ですが、「80%レシーバーチューブ」は8割完成状態(未完成)のレシーバーなので、これを用いて組み立ててもマシンガン(フルオート火器)として完成せず、無可動実銃や加工してセミオート版MP-40として所持できます。
ただし州によって法律が異なるため、事前に州法を確認する必要があります。
もしレシーバーチューブがマシンガンとして登録されている場合は、このレシーバーとパーツキットを組み合わせてマシンガンを合法的に完成させることが可能です。
マシンガンの所持に関する法律は州によって異なりますし、セミオートをフルオート化するにはライセンスが必要です。
コルトSAAの第二世代が高評価な理由
- QエアガンでSAAの新作が出て話題になっているのですが、その製品の説明書には
「最も完成度が高く評価が高いのは、2ndジェネレーションであり、オークション等でも高値で取引されるコレクターアイテムとなっている」と書かれています。
もちろんこのエアガンは2ndGenのものになります。
素人考えでは1stGenの方が高くなりそうなものですが、どうなんでしょうか?
また、完成度も2ndGenより後の物の方が高そうな気がします。
実際のところはどうなんでしょうか? - A
一般的に市場価格が高いのは1st Genですが、品質が高いのは2nd Genです。
当然ながら中古価格は製品の状態によって異なり、1st Genは1873年から1941年まで長い期間製造されたため、どの時代に製造されたものかによっても価格が大きく異なります。
価格については2nd Genは状態が良いものでも5,000~1万ドル以下が多いですが、1st Genで状態が良く古い時代のものであれば5万ドルを超えるものもあります。
そこそこの傷みが目立つ状態のものでは、1st Genでも2,500~3,000ドル以上が相場です。
製品の質については1956年から製造された2nd Genの方が高品質な材料を使用し、公差が小さく工作精度が高い仕上がりになっており、1st Genより命中精度が向上しています。
S&W M500の先端の色の違いとは?
- QS&W M500の 8.38″モデル(SKU: 163500の方)について質問があります。
このモデル、コンペンセイターがついている先端部分だけ色が違うのですが、その理由はなんでしょうか?
まさかこの部分だけ取り外せたりできるのでしょうか? - A
コンペンセイター(マズルブレーキ)は別パーツとなっており、バレルとはフィニッシュが異なりますが、素材はどちらもステンレスです。
固定方法はバレルと同じで、コンペンセイターにネジが切られ、バレル先端に締めて固定されています。
他のM500には六角レンチでコンペンセイターを外せるものがありますが、このモデルに関しては一般ユーザーが外すことを想定していないので、外すには万力のようなツールが必要です。
S&W M500のシリンダーが肉厚な理由
- QSmith&Wesson Model.500のシリンダーがあんなに肉厚なのはなぜなのでしょうか?
- A
使用弾薬の.500S&Wが発生する圧力が高圧なため、肉厚なシリンダーが必要になります。
例を挙げると、.44マグナムが発生する最大圧力は36,000 psiですが、.500S&Wでは最大60,000 psiになります。
ナイトサイトの大きさの違いとは?
- Qナイトサイトで有名なXS社ですが、ビッグドットサイトとスタンダードドットサイトの2種類を販売していますが、Jフレーム用のフロントサイトの場合両者とも値段が同じなのです。
そこで疑問に思ったのですが、サイズの小さいスタンダードドットサイトにはどのような有用性・メリットがあるのでしょうか? - A
大きなフロントサイト(ビッグドットサイト)は視認性が良いという利点がありますが、ターゲットがサイトで隠れやすくなります。
そのため、想定するターゲットまでの距離が近い場合はビッグドットを選択します。
一方、25~50ヤードといった距離が離れている場合や、小さなターゲットを狙う場合は、スタンダードドットを選択するといった使い分けができます。
つまり用途としては、ビッグドットはコンシールドキャリー用やホームディフェンス用、スタンダードドットは競技用や精密射撃用となります。
プレインライフルとは?
- Q「プレインライフル」って何でしょうか。
とある銃に関する日本語の記事に出ていた言葉です。
レミントン社にビスポーク部門があるらしいのですが、そこで製造されたM700を紹介する記事の中で「プレインライフル」という語が使われていました。
”plain rifle”で検索するとヒットがあるのですが、「簡素なライフル」もしくは「平野のライフル」という意味でしょうか。 - A
ご指摘の通り、平原で使用する大口径ハンティング・ライフルで、「プレイン・ゲーム・ライフル」とも呼ばれます。
19世紀のプレインライフルはバッファローハンティングなどで使用された大口径(多くは.40口径以上)のマズルローダーで、馬上で扱いやすいように全長が短い特徴がありました。
現在のプレインライフル(メタルカートリッジ)では、一般的に.30口径以上の大口径ライフルが多くなっています。
レミントンM700APRというモデルが存在しますが、この「APR」は「アフリカン・プレイン・ライフル」の略です。
銃について学ぶ方法とは?
- Q銃に関心がある者として言語問わず色々なサイトを飛び回って知識を得ようとしていて、私は特にThe Firearm BlogやForgotten Weapons、Gun Wikiなどを用いていますが、ポルさんおすすめのサイトなどはお教え願えるでしょうか。
- A
私にとっての特定のおすすめのサイトはありません。
ですが、よく参考にするのは主にGoogle、Youtube、書籍の3つです。
Googleは英語で見つからない情報でもドイツ語、ロシア語、中国語などで探すとみつかることが多いですし、Youtubeも昔と比較して情報量が充実してきました。
それでもわからないことは書籍を確認したりしています。
ネットで見つからない情報は書籍で見つけられることもあります。
(私の本棚は99%が銃関係の洋書です)また、良い記事をみつけるとスクリーンキャプチャしたりPDFなどをダウンロードしてフォルダに分けて整理し、自作の資料集を作って参考にしています。
お気に入りサイトを見つけても削除されたりアクセスできなくなる場合もあるため、保存作業がおすすめです。
「弾薬を選ばない銃」とは?
- Qよく銃に関する解説等で『この銃は弾薬を割と選ばない』『この銃は弾薬を多少選ぶ』というのを耳にする事がありますが、どういった傾向の銃がその特性を持つのでしょうか?
- A
どういった傾向の銃に特性があるかということですが、そもそも傾向が存在するのか議論の余地があると思われます。
主にオートマチックの銃において、弾頭重量や装薬の種類など条件が異なる弾薬で射撃した結果、作動に問題が生じた場合に銃と弾薬の相性が分かりますが、その原因はそれぞれ銃と弾薬によって異なります。
反動やガス圧を利用する銃では作動に一定の力を必要としますが、弾頭重量や装薬が異なる弾薬を使用すると、発生する反動の強さやガス圧に差が生じます。設計上必要な力を得られなければ装填不良や排莢不良となりやすいため、その銃に適した弾薬の選択が重要になります。
銃の作動に必要な力の範囲はそれぞれ条件によって異なり、スライドやボルトの重量、リコイルスプリングやメインスプリングの強さ、ロック機構の質量やデザイン、マガジン位置や角度、銃身軸の高さ、ヘッドスペース、薬室のサイズ、フィードランプの角度、エキストラクターのデザイン・・・等々、様々な要素が関係しています。
また異なる全長や弾頭形状の弾薬を想定した設計がされているかという問題もあります。
現代のピストルやサブマシンガンではホローポイント弾の使用を前提とした設計がされますが、1970~1980年代より以前はフルメタルジャケット弾のみの使用を想定して設計されていたため、ホローポイント弾との相性が悪い場合があります。
そのため、例を挙げるとワルサーP38やストレートマガジンのMP5ではホローポイント弾使用時にジャムが起こりやすいといった問題が起き、こうした場合も弾薬を選ぶことになります。
その他、薬室のサイズの違いによっても許容できる弾薬に差があります。
薬室のクリアランスを大きめにとっていると、弾頭形状やサイズにムラがある弾薬でも装填がスムーズになり、排莢もしやすい状態になりますが、命中精度に影響を及ぼしたり、発射時に膨張しにくいスチールケースはガス漏れを起こしたり排莢不良を起こしやすいなどの問題が生じる場合もあります。
また弾薬を選ばなければ危険なケースもあります。
リボルバーは手動で作動するため作動に必要な反動や圧力を考慮する必要がありませんが、例を挙げるとチタン製シリンダーに軽量な弾頭重量のマグナム弾(120グレイン未満)を使用するとシリンダーの先端がガス圧による装薬の粒によって削られるといった問題があり、リボルバーにおいても弾薬を選ぶ場合があります。
弾薬を選ぶ原因は銃や弾薬そのものによって異なり、原因がひとつの場合もあれば、複合的に原因が重なっている場合もあり、一概に言えない背景があります。
アメリカでは狙撃事件が少ない?
- Qアメリカでは人を殺害する時に狙撃を行うのはポピュラーではないのですか?
アメリカでの銃乱射事件で狙撃が行われる事は少ない気がします。
アメリカでは.308winなど狙撃に向いた弾薬が流通し、狙撃に十分な精度を持ったライフルが民間に出回っているにもかかわらず、アメリカでの銃による事件は比較的近距離で自動小銃や散弾銃を撃つケースが多い気がします。
民間人でも練習すれば狙撃することも可能だと思うのですが。
「銃乱射を行うような人間や、その時の精神状況を考えると 狙撃を行う余裕や発想がないから」とか……? - A
近年の殺人事件の統計によると、凶器はハンドガンが圧倒的に多く、次にナイフ、鈍器、素手、ライフルが使用されています。
ライフルは隠匿しづらく、持ち歩くには目立つこともあり、犯罪者にとって相対的に扱いづらいと言えます。
日本で報道されるいわゆる「銃乱射事件」も、ハンドガンが最も多く使用されています。
過去30年の統計を見るとライフルの割合が十数パーセント上昇していますが、それでもハンドガンより少ない傾向があります。
最近では2002年のワシントンDCや2016年のダラスで狙撃事件が発生しましたが、狙撃を手段として選ぶ理由はケースバイケースです。
ワシントンDCの事件ではホロサイトとバイポッドが装着されたAR15が盗難されて事件に使用されました。
また、ダラスの事件では武装した警官をターゲットとしたため、狙撃を選んだと見られています。
防弾ベストは自由に購入できる?
- Qアメリカ国内で、民間人が防弾ベストを気軽に購入することは可能なのでしょうか?
州によって対応が違うという話も聞きましたが、そうであれば厳しい州とそうでない州の違いを知りたいです。 - A
重罪で有罪判決を受けていなければ誰でも購入できます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
アメリカでは今後犯罪が増加する?
- Qアメリカのカリフォルニア州で法的執行機関の捜査官が車上荒らの被害を受け奪われた銃が殺人に使用されたと言う痛ましいニュースを聞き心を痛めました。
直後にミリブロニュースを開いたところ、又してもカリフォルニア州でFBIの捜査官が車上荒らしに会いMP5の10mmオート仕様を奪われたと言うニュースを見ました。
こうした恐ろしい事件はこれから増えるのでしょうか? - A
アメリカで車上荒らしはよくある犯罪で、私の友人知人も被害にあっています。
パトカーから銃が盗まれるのはまだしも、カリフォルニア州では押収した銃器が大量に紛失する事件も発覚しており、量が多いことから偶然のミスではなく、警察が横流ししているという噂もあります。
それはさておき、統計を見ると銃を使用した犯罪は毎年右肩下がりで、80~90年代をピークに大幅に減少しています。
その一方で銃を使用した大量殺人は増加傾向にありますが、全体の銃による死傷者は明らかに減少しています。
アメリカは今後、今後も犯罪は減少するのではないかと思いますので、現状より心配する必要はないと思います。
恐らく、普通の犯罪より大量殺人(アクティブシューターなど)やテロを警戒した方が良いのではないでしょうか。
フリントロック式銃の競技会はある?
- Qアメリカでは黒色火薬を使用する、フリントロック式の銃の競技会や大きなお祭りはありますか?
- A
あります。
アメリカのマズルローディングライフル協会では射撃大会の日程が公開されていますが、小さな大会も含めると全米各地で毎週のように開催されています。
私が住んでいたカリフォルニアの田舎町でも月一のペースで開催されていましたし、金属カートリッジを使用するカウボーイ・アクション・シューティングの大会も人気がありました。
「黒色火薬を使用する」というご質問ですが、厳密には現在では純粋な黒色火薬は使用しておらず、代替黒色火薬を使用しています。
この火薬については過去記事「レミントン・モデル 1858 ニュー・アーミー」をご覧ください。
アメリカの銃規制の現状とは?
- Q銃を巡る犯罪や法律について、関心を持って調べております。
アメリカの銃規制については「全米の圧倒的な銃支持勢力の天下」「政治的影響や業界の利権により規制はほとんど進まない」と喧伝されていますが、調べた感じでは実情が全く違うものに思えてなりません。
私見で恐縮ですが、
1.過激な感情的意見と非現実的な規制案ばかり煽られて、有効な規制案が出てこない環境になっている
2.銃支持より、むしろ規制賛成層への配慮で実効性の乏しい規制が乱発され、政治利用もされている
3.満足な成果が無ければすべて銃と支持団体の側が悪いと結論され、議論が深まらない
という感じで現状の概要を捉えているのですが、大体は合っているでしょうか?
あるいは、よく言われる過激な銃支持活動と言うのも問題になる程度には存在しているのでしょうか?
日本在住の私には関係のない米国内事情かもしれませんが、趣味者の一人としては偏向したイメージではなく、実際はこういう現状なのだ、ということをおおまかにでも知識として持っておきたいと思い質問させていただきました。 - A
非常に複雑な問題ですので、概要を纏めるだけでも簡単ではないと思われます。
ご指摘の通り、強い銃支持勢力、政治的影響、利権、有効な規制案の欠如、政治利用、平行線な議論、過激な銃支持活動・・・等々、これらはすべて存在しています。
しかし、日本のメディアはこの複雑な問題を単純化しようとするため、問題の本質が何なのか、逆に分かりにくくしているように見えます。
メディアは「銃規制が必要」とは言うものの、それを実現するためにどのような現実的な法律が施行可能なのか、そこまで深く掘り下げた報道をしません。
これはある意味理解できるところがあり、深く背景を理解するには、アメリカの歴史、文化、社会、政治、法律の他、銃の知識や銃器市場の現状といった多くの知識を学ぶ必要があるでしょう。
しかし、一般人がそこまで関心を持って知りたいと思うかと言えば、そうでもないと思われます。
日本人から見ると、「当事者のアメリカ人はこの問題に詳しいだろう」と思われがちですが、実際にはアメリカ人でも深く理解している人は多くありません。深い部分まで関心が無ければ、認識レベルは日本の一般人と同じです。
アメリカは民主主義国ですので、誰もが銃を不要と考えれば規制は簡単です。
しかしそうならないのは理由があり、憲法で保障された武装する権利を守りたい人、生活や利権を守りたい人、政治利用したい人、自分が考える理想社会を求める人・・・等々、様々な意見と思惑が交錯しています。
「武装の権利は守りたいが、ここまでの規制ならやむを得ない」と考える人もいれば、「ひとつでも譲れば、それが積み重なると後に大きな規制となって権利が奪われる」と、一切の譲歩も許さない人もいます。
また、少し過激な意見では、「市民には政府の暴走を止める義務があり、市民は軍と同レベルの武装が必要だ」「市民が武装していればナチスドイツの非道は存在しなかった」という主張も意外と多く見られますし、ミリシアでは本格的な銃規制に備えて内戦の準備をしているグループも存在します。
人々の意見は様々であり、それはそれとして問題といえますが、現状を見るとそれ以上に、「現実的に効果のある施行可能な法案」が出てこないという問題は、規制が進まない原因として大きいと言えます。
反論不可能な穴のない画期的な法案は存在しないため、必ず穴を指摘されます。
しかしそれは承知の上で、効果ゼロの法律でも法案を通せば政治家のポイントとなるため、政治利用されることも多々あります。
また、リベラルの政治家は勉強不足と思われる言動が多く見られますが、そういった政治家による効果のない法律が何度も施行されることで、両者の間に一致点が見出せなくなるという悪循環も存在しています。
アングルマウントが警察で使用されない訳
- Q一時期アングルマウントにバックアップのドットサイトを載せるのが流行った気がするのですが、なぜ軍や警察ではあのようなマウントはあまり使わないのでしょうか?
- A
軍や法執行機関ではオフセットサイトが流行する以前からホロサイトなど無倍率のリフレクターサイトとマグニファイアの組み合わせやACOGが使用されていたこともあり、あえてコストを掛けて交換する必要性が低いとも言えます。
特にACOGはBAC機能を利用することで近距離でも対応可能なため、オフセットサイトを用意する必要がありません。
また、25ヤード以内といった近距離ではサイト不使用でターゲットに命中可能なため、ポイント&シュートで十分という考え方がある他、オフセットサイトはストラップやスリングなどの装備に引っ掛かりやすい点が問題視されることもあります。
アフガニスタンで米軍がM4やDMRでオフセットサイトを使用している事例もあり、全く需要がないわけではありませんが、仮に制式採用となるとオフセットサイトを使いこなすためのトレーニングが必要となるため、時間とコストが掛かるという問題があります。
ウィルソンコンバット社製は頑丈?
- Qウィルソンコンバットからベレッタ92系用のロッキングブロックが出ているのですが、これは純正の物より頑丈なのでしょうか?
- A
堅牢性という意味では同等です。
ベレッタは20,000発ごと、ウィルソンコンバットは22,000発ごとの交換を推奨していますが、15,000発で割れることもあります。
メーカーが推奨する弾数はあくまで平均の目安ですし、使用する弾頭重量や装薬も様々なため、個体差で異なります。
エキストラクターのラグの必要性
- Q今回お伺いしたいのは、ロータリーロッキングボルト、特にAR15系のマイクロロッキングラグ式ボルトのエキストラクターに関してです。
この形式のエキストラクターはスペースの問題からか、ボルト外周の一部を切り欠いて収まっていますが、そのせいで失われたロッキングラグを、律儀にもエキストラクター上に造形してあります。
頑丈な素材とはいえピン止めスプリングロードで動く部品に、腔圧を負担させるとは考えにくいですし、Gun誌の記事などでもラグの個数にカウントされていケースが多かったと記憶していますが、それではさて、何の役に立っているのかなと。 - A
エキストラクターのラグは、エキストラクターに湾曲や破断がないように補強しています。
エキストラクター先端はケースリムに掛かる度に負荷がかかるため、ある程度強度が必要になります。
この突起にボルトラグのような薬室を閉鎖してロックする機能はありません。
弾薬を大量消費しないボルトアクションやピストルでは不要なレベルの補強です。
オイルエレメントのサプレッサーは禁止?
- Q外国のユーチューブを見ていると、ピストルだったりAR10などに大きめのオイルエレメントをサプレッサーのように取り付けて射撃をしている光景を見ます。
これらは綿密に設計して取り付けているのでしょうか。
それとも小口径だからだいたい大きめのオイルエレメントを取り付ければ、銃身の破裂など事故はないと思い、取り付けているのでしょうか。
また、オイルエレメントを取り付けて射撃しているのは、野山でのシーンがほとんどですが、射撃場での使用は出来ないのでしょうか。 - A
>銃身の破裂など事故はないと思い、取り付けているのでしょうか。
何を考えているかは本人に聞いてみなければ分かりませんが、銃身が破裂するような事故はないので、その点は安心して良いと思います。
>射撃場での使用は出来ないのでしょうか。
州法や射撃場のルールによります。
登録された合法のサプレッサーで射撃場が許可していれば使用可能です。
過去には登録されていないオイルフィルターサプレッサーで逮捕者も出ていますが、合法的に販売されているものは一般的なサプレッサーと同様の扱いになります。
オートピストルの実用射程とは?
- Q最近はほとんどがオートピストルが使われていると思いますが、警察官または一般市民が犯罪に巻き込まれた場合のどのオートピストルの有効射程とかご存知でしょうか?
またポルさんが感じるご自身の有効射程とはどのくらいでしょうか?
またリボルバーなら変化がありかすか? - A
FBIが統計を出していますが、距離が近いほど被弾しやすくなりますし、その分死亡率も高くなる傾向があります。
犯罪の場合は、1~10メートル程度が多いですが、ハンドガンの有効射程距離はおおむね25メートル以内です。
私個人の感覚では、距離25メートルで人間大の静止目標に対して命中させることは難しくないと感じますが、同じ距離で銃を持った相手を前にするというストレス状況下での移動目標への射撃は難しく、そういった状況では10メートル以内であればヒット率も高まると思います。
実際、数メートルの撃ち合いでお互いに命中できないというケースもありますし、遮蔽物の有無や視界が悪い状況など、命中の可能性は条件にもよります。
リボルバーの場合については、リボルバーというカテゴリーに関わらず、ダブルアクショントリガーの速射は銃がブレやすくなるため、シングルアクションのピストルよりも命中させにくい傾向があります。
ただ、これは射手のスキルや経験にもよるため一概に言えません。
余談ですが、過去にサバゲーのハンドガン戦(山中)で出合い頭に1本の木を挟んで撃ち合ったことがあるのですが、お互いにパニックでなかなか命中できなかったことがありました。
XO-26は犯罪歴照会不要?
- Q以前カテゴリー不明な謎の銃 BAT-DTの記事を拝見しましたが、最近Franklin Armory XO-26なる銃を知りました。
短銃身AR15クローンでありながらSBRでもピストルでも無く、これもカテゴリー不明銃として売られているようですが、ロングガンをその場で持ち帰れる所ではバックグラウンドチェック無しにその場で持ち帰れるのですよね? - A
そうとも限りません。
FFLディーラーを通す場合はバックグラウンドチェックが必要ですが、州によってはガンショーなど個人売買やCCWホルダーはバックグラウンドチェック不要です。
これはXO-26がどのカテゴリーに入るか入らないかとは別問題です。
※C&R(製造から50年経過した銃)はバックグラウンドチェック無しで購入できる州もあります。例として全米トップクラスの銃規制の緩いアリゾナ州では、州法で購入時にバックグラウンドチェックが必要とは定めていませんが、連邦法に従ってバックグラウンドチェックを行っています。
アリゾナ州でXO-26を購入する際には(個人売買やCCWを除き)バックグラウンドチェックが必要です。
一方、銃規制地獄のカリフォルニア州では、勿論州法によりバックグラウンドチェック必須です。
また、カリフォルニア州では銃のカテゴリーを独自に定めており、XO-26はピストルのカテゴリーに入ります。
つまり、XO-26は連邦法でカテゴリー不明ですが、カリフォルニア州法ではピストルです。
このため「ハンドガンは21歳以上、ロングガンは18歳以上」という州法に従い、XO-26の購入には21歳以上が必須条件となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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