理想的な弾頭の回転率を知るために使用する計算機のご紹介です。
理想的な弾頭の回転率を知るために使用する計算機
銃器の多くにはライフリングが存在し、弾頭を回転させることでジャイロ効果により命中精度を高めていることはよく知られています。
ですが、それが使用する銃や弾薬によって回転数が異なる事実は一般的に知られていないかもしれません。
弾頭が10cm進むと1回転するライフリングと、20cm進むと1回転するライフリングでは、前者の方が比較的高速に回転します。
M16系の場合、AR-15のバレルには1/14、M16HBARには1/12、M4カービンには1/7と表記があります。
これは、1/7では7インチ(177.8mm)進むと1回転することを表しています。
弾頭は回転が遅すぎるとジャイロ効果を発揮できず空中で横転して着弾時にキーホールになったり、逆に速すぎてもバレル内部が高圧になり危険である他、初速低下を招いたりジャケット分離などトラブルが生じるため、銃にとっては弾頭の回転が非常に重要な問題といえます。
銃器や弾薬のメーカーは理想的な回転率を提示し製品に反映させているため、一般ユーザーが気にする必要はありませんが、長距離射撃や精度に拘るシリアスシューター(特にリローダー)には避けて通れない問題です。
Twist Rate Stability Calculator
bergerbullets.com
上の計算機に口径、弾頭重量、弾頭の長さ、バレルツイスト(ライフリングピッチ)、初速、気温、高度を入力してボタンを押すと、SG (Gyroscopic stability factor)が出ます。
1.0未満は回転が足らず「不安定」と判断され、1.0~1.4は問題無いレベル、1.5以上が理想的な状態だと判断されています。
公式
では、弾頭の回転数だけを知りたい場合はどうするか?
それは、以下の二通りの公式を使用します。(色々な公式が存在しますが、これらが一番シンプルです)
- 弾頭の回転数(回転/分) = 初速 x 720/ツイストレート(ライフリングピッチをインチ表示)
- 弾頭の回転数(回転/分) = 初速 x (12/ツイストレート(ライフリングピッチをインチ表示)) x 60
例:5.56mmNATO弾の場合
口径5.56mm / 弾頭重量190gr / 弾頭の長さ0.76インチ / バレルツイスト1/7(M4) / 初速3100fps
・・・で、気温摂氏20度で標高10フィートとすると、SG=12.34なので計算上は安定。
ライフリングピッチは1/19までが限界といったところでしょうか。
そして、回転数は3100 x (12/7) x60 = 毎分318,857回転となります。
Remington M700ボルトアクションライフルのマズル
上の画像は.308win(7.62x51mm)口径のRemington M700ボルトアクションライフルのマズルです。
ライフリングピッチは1/12
ライフリングの撮影は難しくてLEDライトをチャンバーに入れたり意外と苦労したのですが、ギュルギュルギュルっとライフリングが回転しているのがわかるでしょうか?
そしてこちらはベレッタ 92FSのバレルです。ライフリングピッチは1/9.8(だったと思う)。
上側に二本溝が見えますが、これはポーテッドバレルなので穴が二個空いているためです。
ライフルとハンドガンのライフリングピッチの見え方を示したかったのですが、雰囲気だけでもわかっていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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