ハイドラショックとはどんな弾でしょうか?
今回はフェデラル社のホローポイント弾、「ハイドラショック」について解説します。
ハイドラショックとは?
ハイドラショック(HYDRA-SHOK)は、トップクラスのストッピングパワーを持つ代表的なホローポイント弾のひとつです。
FBIの要請によりフェデラル社が開発し、1989年から販売されています。
警察など法執行機関の他、民間でもセルフディフェンス用途で使用されています。
一般的にホローポイント弾は弾頭の先端に穴を設けることで着弾時に弾頭が拡張し、弾の直径が大きくなることで大きな銃創(永久空洞)が形成され、体内で運動エネルギーが消費されて大きなダメージを与えます。
しかし、1980年代のホローポイント弾は現代のものと比較すると性能が低く、弾頭の拡張が不確実な傾向がありました。
弾頭が拡張するためには一定の弾速が必要とされ、ターゲットが着用する衣服や距離の影響によって弾速が低下し、弾頭が十分に拡張しないことがあります。
そこでハイドラショックでは穴の中央に芯(センターポスト)を設けることで人体(流体)着弾時に弾頭が拡張しやすくなっています。
しかし弾頭が拡張することは効果的な一方、着弾後の拡張が早すぎると抵抗が大きくなるため貫通力が低下する問題があります。
高いストッピングパワー(目標を無力化する力)を得るには弾頭の拡張と貫通力の両方が必要になりますが、ハイドラショックではセンターポストの影響で衣服貫通時に拡張のタイミングが遅れるため、衣服貫通後に拡張することで一定の貫通力が得られています。
ハイドラショックの名前の由来は、ギリシャ語の水を意味する「ハイドロ」から来ており、流体によって先端が裂ける設計であることを意味しています。
よくギリシャ神話のヒドラと混同されますが、これは正確ではありません。
ハイドラショックの弾道データ
弾薬 | 弾頭重量 | 初速 | マズルエナジー | 弾頭直径 (着弾前) インチ | 弾頭直径 (着弾後) インチ |
---|---|---|---|---|---|
.380ACP | 90 gr | 1000 fps | 200 ft-lbf | 0.38 | 0.50 |
.38SPL | 110 gr | 838 fps | 171 ft-lbf | 0.38 | 0.63 |
9x19mm | 135 gr | 975 fps | 285 ft-lbf | 0.38 | 0.60 |
.40S&W | 135 gr | 1095 fps | 360 ft-lbf | 0.40 | 0.64 |
.45ACP | 165 gr | 985 fps | 356 ft-lbf | 0.45 | 0.72 |
ハイドラショック・ディープ
現在ではハイドラショックを改良したハイドラショック・ディープが販売されています。
「ディープ」の名の通り貫通力を向上させたモデルです。
センターポストの形状が円錐形になり、衣服貫通後でも一定の貫通力を維持しながら150%拡張する構造となっています。
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