ミニガンとバルカン砲の構造を完全解説:六銃身ガトリングの仕組みと実力

バルカン砲イメージ画像

この記事の要約:

  • ミニガン(M134)とバルカン砲(M61)は、六銃身回転式のガトリング火器として共通しつつ、用途と弾薬に応じて構造が最適化されています。
  • ミニガンは外部電動モーターによるスピンアップとフィード機構で持続的な高速連射を実現します。
  • バルカン砲は航空戦闘向けに設計され、短時間で最大火力を発揮するための高剛性構造と高速供給システムを備えています。

六本の銃身を回転させることで高い連射性能を発揮するガトリング式火器は、現代の航空・車載兵装を語るうえで欠かせません。なかでも、7.62mm弾を使用するミニガン(M134)と、20mm弾を発射する航空機用バルカン砲(M61)は、広く知られています。

両者は同じガトリング方式を採用しているものの、想定される運用環境や弾薬の特性が異なるため、内部構造や作動手順には違いが見られます。

本記事では、これら二つの火器について、構造と作動原理を中心に比較しながら、その特徴を専門的な観点から図解していきます。

ミニガンとバルカン砲の違いは、こちらの記事で解説しています。

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目次

M134 ミニガンの構造

ミニガン内部構造イメージ図

ミニガンは、7.62×51mm NATO弾を毎分2,000〜6,000発で発射できる電動ガトリングガンです。六本の銃身は中央ローターを囲むように配置され、各銃身には独立したボルトアセンブリが備わっています。

外部電源(24〜28V DC)で駆動するモーターがバレルクラスターを回転させ、連続した装填・発射・排莢サイクルを生み出します。

弾薬は分離式リンクベルトから供給され、回転式フィーダーがリンクを外しながら弾を取り込みます。取り込まれた弾薬はヘリカル状のスター・ホイール(星形フィーダー)を通り、回転する銃身へ順番に送られます。

M134 ミニガンの仕組みの大枠

ミニガン内部構造イメージ図

ミニガンの特徴として、発射前に「スピンアップ」と呼ばれる準備工程があります。

外部モーターはまずクラッチを介してローターとデリンカー(フィーダー)を独立して回転させます。この段階でリンクベルトから弾薬が剥離され、スター・ホイールに送り込まれます。

十分な回転速度に達した後、操作者がクラッチを接続すると、銃身の回転と発射機構が同期します。

最後にグリップのトリガーを握ることでソレノイドが作動し、電気的に発射が開始されます。これにより、トリガー操作と同時に高い発射速度へ移行できる仕組みになっています。

それでは、図を交えて具体的に見ていきます。

M134 ミニガンの1銃身あたりのサイクル

デリンカーへの給弾

下図は、ミニガンを後ろから見た図です。

左下がデリンカー、右上が銃身、銃身の左に排莢口が備わっています。「デリンカー」とは、リンクで繋がっている弾薬をリンクと分離する装置です。

デリンカーと銃身は歯車(ギア)で連結され、連動して矢印方向に回転します。

M134ミニガン内部構造イメージ画像

弾薬はデリンカーの回転によってデリンカー内部に送られます。

M134ミニガン内部構造イメージ画像

デリンカー内部の弾薬は、スター・ホイールに供給され、内周に送られたあと回転しながら外周へ移動し、銃身側へ向かいます。

分離されたリンクは外へ排出されます。

ボルトの前進と薬室閉鎖

M134ミニガン内部構造イメージ画像
M134ミニガン内部構造イメージ画像

銃身側へ移動した弾薬が上部に向かう途中、ボルトが前進し、弾薬が銃身後端の薬室(チャンバー)へ装填されます。

M134ミニガン内部構造イメージ画像

発射(12時方向)

M134ミニガン内部構造イメージ画像

弾薬が12時方向に近づくと、薬室が閉鎖され発射準備が完了。撃針(ファイアリングピン)を作動させ、雷管を叩いて発射します。

ミニガンは打撃による発火ですが、バルカン砲では電気による通電で発火させます。

M134ミニガン内部構造イメージ画像

6本の銃身全てが同時発射するのではなく、上部に到達した1本の銃身が順番に発射される仕組みです。

銃身の回転が空冷効果を生み、連射時の過熱を抑えます。

抽筒(エキストラクション)と排莢(エジェクション)

M134ミニガン内部構造イメージ画像

発射済みの空薬莢は、薬室から引き抜かれ、左側から排莢されます。

M134ミニガン内部構造イメージ画像

このサイクルが六銃身で連続的に行われることで、極めて滑らかな連射が可能になります。ボルトにはテフロン系潤滑が施され、摩擦を抑えて高回転に耐える設計です。また、組み立て不良時には発射できない安全機構も備わっています。

ミニガンは六銃身が並列で動作するため、常にどこかの銃身が装填・発射・排莢を行っています。

M61 バルカン砲の構造

M61A2バルカン画像
M61A2バルカン 画像出典:MKFI, Public domain, via Wikimedia Commons

M61バルカン砲は、航空機搭載を前提に設計された20mm×102mm弾を使用する大型ガトリング砲です。六銃身構造はミニガンと共通ですが、より大きな弾薬と高初速を扱うため、油圧・空圧・電動など航空機システムと連動した駆動方式が採用されています。

中央ローターには独立したボルトキャリアが組み込まれ、航空機用のドラム式弾倉やチュート式供給システムと接続されます。構造全体は高い剛性と耐久性を持ち、短時間で大量の弾薬を発射する航空戦闘の要求に応える設計です。

M61 バルカン砲の作動原理

CIWS画像
CIWS 画像出典:Mass Communication Specialist 3rd Class Utah Kledzik, U.S. Navy, Public domain, via Wikimedia Commons

基本的な作動原理はミニガンと同じです。

外部動力で銃身とボルト群を回転させる方式で、各銃身が回転しながら装填・発射・排莢を並列的に行うため、毎分6,000〜7,200発という極めて高い発射速度を実現します。

ミニガンはバックパックやアモボックスからベルトリンクで弾を供給しますが、バルカン砲は「弾薬ドラム」からコンベアで弾を運び、空薬莢をまたドラムに戻すという、巨大なループ構造を持っています。

項目ミニガン (M134)バルカン砲 (M61 Vulcan)
口径7.62mm (小銃弾サイズ)20mm (機関砲サイズ)
銃身数6本6本
動力源電気モーター油圧または空気圧(F-16などは空圧)
給弾方式リンク式(ベルト給弾)基本はリンクレス(ドラム給弾)
弾薬の種類FMJ、徹甲弾(対人・軽車両用)榴弾、焼夷弾、徹甲弾(対空・対装甲用)
重量約16〜30kg(本体のみ)約112kg(本体のみ・システム全体では数百kg)
主な搭載対象ヘリコプター、車両、舟艇戦闘機、艦艇(CIWS)、対空自衛火器

航空機搭載火器としては、長時間の連射よりも「短く強烈なバースト」が重視されます。そのため、弾薬供給システムは高速かつ確実な供給を優先し、銃身の回転による空冷効果と合わせて、短時間で最大火力を発揮できるよう最適化されています。

まとめ

GAU17画像

ガトリング式火器では、六本の銃身が回転する間に装填・撃発・排莢といった一連の作動が順次進行します。弾薬はハウジング内部を1周する過程で処理され、その間、撃発機構も銃身とともに回転しながら作動位置を移動します。

このため、機関部は銃身ごとに独立して備わっており、装填中の銃身とボルト、撃発中の銃身とボルト、排莢中の銃身とボルトが、それぞれ異なる位置で同時に作動しています。結果として、六丁の銃が回転しながら連続して発射しているような構造になっています。

ミニガンの発射速度は毎分3000発以上と非常に高速ですが、六銃身で分担するため、銃身1本あたりの発射速度は約1/6の毎分500発以上となります。これにより、1本あたりの銃身が受ける熱的・機械的負荷は、一般的な単銃身マシンガンよりも小さく抑えられます。

また、「回転による遠心力で照準がずれるのではないか」という疑問に思われるかもしれません。しかし、実際には弾薬の初速が秒速1030mと非常に高く、撃発から弾が銃口を離れるまでの時間はごく短いため、その間に銃身が回転する角度は極めて小さく、照準への影響は無視できる範囲に収まります。

ミニガンとバルカン砲は、六銃身回転という共通の基本構造を持ちながら、用途に応じて最適化されたメカニズムを備えています。ミニガンは車載・地上用途を含む汎用性と持続射撃性能を重視し、バルカン砲は航空戦闘における瞬間火力を最大化するよう設計されています。

参考文献
  • M134 Minigun 技術資料
  • M61 Vulcan Cannon 航空兵装資料
  • 米空軍博物館 公開情報
  • ガトリング式火器の機構解説書
  • 回転式フィードメカニズムに関する一般技術資料
  • その他、多数の資料

よろしければ動画解説もご覧ください。

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この記事を書いた人

・1998年:実銃解説サイトを開設
・2001年~2007年:米国に居住し実弾射撃を学ぶ
・エアガンメーカー勤務経験や実銃経験を活かした情報を発信中

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