通常、トップレバーは右方向にのみ動かして解放しますが、左利き用では左側へ動かすものもあります。
>これは調整、加工で位置を変えることは簡単でしょうか?
ご指摘の通りモデルによって構造が異なるため一概に言えません。
ですが右寄りで停止しているトップレバーでは使用するうちにロッキングラグの摩耗によって停止位置が次第に中央へ動くものもあり、そういったモデルでは加工によって中央に位置させるとロッキングラグの寿命を縮める可能性があります。
名無しですみません。ゲスト
こんにちは。
実銃のメンテナンス方法についての質問です。
現代では便利なメンテナンスキットやステンレスなどの銃が増えてメンテナンスが比較的楽になっていると思いますが、昔と今でメンテの方法はどれくらい様変わりしたのでしょう?
例えば西部開拓時代あたりの人たちは、土煙だらけの劣悪な環境の中どのように銃を扱っていましたか?
それともきちんとした整備が行き届かないせいで銃の寿命が短かったのでしょうか?
また、現代でも兵士が戦場で孤立した場合など銃のメンテナンス方法などはマニュアルに記載されていたり、手入れ用の個人装備を持っていたりするのですか?
高圧な弾薬を使用することは、車で例えると急発進と急ブレーキを繰り返しているようなもので、タイヤやブレーキパッドの交換時期が早くなるように、銃もパーツの消耗が激しくなり寿命が短くなります。
銃の摩耗具合を知るには摩耗痕(ウェアマーク)の状態や、ひび割れの有無を見て判断可能ですが、いつ割れるかといった予測を立てることは難しい場合もあるため、発射数や全体の状態から判断して予めパーツを交換するのも手です。しかし日常的に確認して小さなひび割れを発見してから交換しても遅くはありません。
通常、肉眼で見えないマイクロクラックが発生し、徐々に溝が広がって「割れ」が視認できる状態になります。
摩耗痕はパーツ同士が接触する部分で薄い痕が残り、接触が繰り返されることで徐々に表面にザラザラと凹凸が見られたり、凹みなどの変形が見られることで交換を判断することが可能です。
ベレッタ92FSを例にすると、ロッキングブロックは通常弾の使用で15000発に耐えるところ、高圧な弾薬を使用することで数千発や1万発以下で割れることがあります。
この場合、ロッキングブロックの接触面や角の凹み部分を見てある程度の交換時期を予測し判断することが可能です。
スポーツ用として使用する場合、ロッキングブロックが割れても銃が破裂するような危険はないため、割れたあとで交換しても問題ありませんが、ホームディフェンスやコンシールドキャリーなどで使用する場合は早めの交換が推奨されます。
1911ピストルの場合では、バレルリンク、スライドストップ、フレームレール、スライドなどが割れますが、割れやすい箇所には傾向があるため、そういった知識があればクリーニング時の確認で発見することは難しくありません。
.mamorunゲスト
申し訳ありません。説明がヘタクソ過ぎました。。。
一般的な弾薬と強力な弾薬とでは銃本体への負担が同じ一発でも当然違うと思います。
一般的には銃のトータルの発射弾数に応じて、摩耗したパーツの交換などを行うと思うのですが、その際に同じ発射弾数でも使用していた弾薬により銃の傷み具合も同等では無いと考えました。
(耐久性寿命)
例として…
通常弾999発+高圧弾1発
通常弾1発+高圧弾999発
極端で非現実的かもしれませんが、同じ1000発でも後者の方がより傷んでいると思います。
一つの銃で通常弾と高圧弾を使用して、銃本体の寿命が曖昧になるのであれば、通常弾用の銃と高圧弾用の銃と用途別に分けることにより、銃の摩耗が把握しやすいという側面もあるのかとな?と思った次第です。
シンプルに一般的な通常弾と高圧弾を併用している方は何を目安にして銃の摩耗具合を把握されているのでしょうか?
拙い素人考えなので色々と前提がおかしい可能性が大ですが、よろしくお願いいたします。
>定期的に交換しなければいけない消耗部品はどれくらいあるのでしょうか?
ベレッタ92FSの場合、リコイルスプリングは3000発毎に交換すると良いです。
ロッキングブロックの交換は1万~1万5千発が目安になりますが、古い92Fで旧型のロッキングブロックは5千~1万発です。
もし中古で使い古された銃を購入した場合は、リコイルスプリングを含め全てのスプリングを交換するのがおすすめですが、全ての機能が正常に動作し実射してジャムが無ければ使用を継続しても問題ありません。
マガジンも消耗品のためマガジンスプリングの交換が必要になりますが、使い古せばマガジンリップも変形するため、マガジンを丸ごと交換することをお勧めします。
マガジンは使い方や使用頻度によって寿命が異なるため何発毎に交換とは一概に言えませんが、ジャムの頻度が増えたと思ったら買い替え時です。
>メンテだけで半永久的に使える
条件次第のため、一緒くたに断定的に語られる情報は鵜呑みにしない方が良いと思います。
ハードに使用すればトリガーメカやフレームに影響しますが、普通に使用していてもトリガーが戻らなくなったり、シリンダーが回らなくなるといったトラブルは生じます。
これはクリーニングだけで解決しない場合もあり、パーツ交換が必要になることも多いですが、どのパーツに問題が起こりやすいかはモデルによっても異なるため一概に言えません。
日常的に、トリガーの動き、ハンマーの打撃力、シリンダーギャップ、シリンダーのストップ位置、エジェクターロッドの緩み、フォーシングコーンの状態・・・などをチェックするのがお勧めです。
>やはりリボルバーといえど、定期的な部品交換は必須なのでしょうか?
パーツの動きが悪いなどの症状があれば交換が必要な場合もありますが、定期的な交換が必要であるかはモデルや使用弾薬によって負荷の掛かり方も異なるため一概に言えません。
モデルや使用状況によっては長期間の使用でも交換を必要としない場合もあります。
みがもゲスト
アルミ合金フレームで500発というのが何となく既視感があったので、自室に積んであるGunPro誌のバックナンバーから探してみました…2016年5月号(スタームルガー・アメリカンが表紙の号ですね)にてSHINさんが「Jフレームをマスターする」という特集記事を載せてらっしゃいまして、私はこっちの記事で見つけました。内容は題の通りなのですが、その中で『アルミフレームを持つS&W Jフレームリボルバーは、.38スペシャルの+Pを発射した場合の耐久性は500発程度と言われている。そのため、筆者はステンレス製のM649で練習し、M442を携帯している。』という文章がありました。
いずれの文章でも『と言われている』となっているのがポイントなのではないでしょうか。おそらくSHINさん自身は実際にJフレーム500発耐久テストのような事はやっていないと思われ、あくまでそういう説もある、と紹介した形にしていると推察されます。そして、これはやむを得ない事情とも思えます。実験記事もしばしば登場するGun誌とはいえ、本当にバレルが破裂してフレームがまっぷたつになるようなところまで寿命を調べるというのは間違いなく危険でしょう。youtubeでは過激なテストも見られますが、商業出版物であるGun誌でそれをやってしまうのは物議を醸す危険もあります。私も以前、.40オートの寿命についてGun誌の記事で言われているよりも実際の寿命は長い事をここで教えていただきましたが、Gun誌の方針としてはあまりギリギリに迫るような数値は言いたくないのかもしれませんし、銃器の安全管理上もそれで問題はないと思います。本当に壊れるぎりぎりまで使い続けるのは消費弾数の管理を間違えると大変なことになりますし…
また、仮にたった500発で新品に買い替えたとして、それでも現実的には問題にならないとは思います。上述の記事でも『記事の為にM442から38スペシャル+P、20発を連射したが正直しばらくはやりたくない。1日経った今でも右手親指付け根に違和感が残っている。』とありまして、よっぽどの鉄人でなければ一度に何百とは撃てないでしょうし、SHINさんのように練習用M649と携行用M442で別に用意しているなら、M442の方はほとんど消耗しないでしょう。となれば500発もの弾数を消化するのは何年かかるのか…と考えると十分に元は取れるんじゃないかと思います。定番のJフレームならば流通も安定していて買い替えも苦ではないでしょうし、無理して使い込んだおんぼろJフレームに命を託すより余裕をもって買い替えたほうが安心ですから…だいたい500発程度で新しいものに買い替えておけばいいという買い替え寿命のセオリーという可能性があるのではないかと推察しています。ちょうど5連発シリンダーで100回分というキリのいい数字でもありますしね。あくまで私見ですが…長々と失礼しました。
名無しのシューターゲスト
以前「連射レートが高い程近距離での命中率が高くなる」という話をされていましたが、
高発射レートは人体が制御出来る反動を超えてお
、その分命中させるのが難しくなる事からMP40の600発/毎分の発射レートが理想的であるという定説をアサルトライフルスレッド等でも良く聞かれます。
発射レートがある程度早い方が銃の寿命が縮み難いという話もありますし、SIG MCXは900RPMでありながらサブマシンガンやレーザーもかくやの低反動を実現していますが(後発の銃で同様の仕様が取り入られる事が少ないのを見るに欠点もあるのかもしれませんが)、
発射レートの低い銃やラピッドファイアもこなせる銃の方が扱い易い、とも限らないのでしょうか?
実際にクロムメッキの銃身をポリッシュする人もいますが、合理的とは言えないので止めた方が良いと思われます。
理由は以下の通りです。
【1】クロムメッキは熱や摩擦から銃身を保護するために行われるため、表面を削ってしまうと銃身の寿命(銃身命数)が短くなり本末転倒です。
【2】クロムメッキは厚みを調整することが可能で、薄い部分はスムーズになり、厚みが増すと均一性が失われます。薬室部分は薄くなっており、ボアも同様に薄くして均一な表面にすることが可能ですが、寿命が短くなります。
【3】クロムメッキバレルでも0.5MOAの集弾を出すことが可能なため、ボアをポリッシュしても精度の差を体感するのは難しいといえます。メッキにより0.25MOAが失われるとも言われますが、多くのAR15の様な4MOAのライフルで0.25MOAの差は殆ど分かりません。
【4】クロムメッキは熱への耐性があるため、フルオート火器に使用する場合や、長い銃身命数やクリーニングの容易さを求めるユーザーにお勧めできます。精度を求めるのであれば、ナイトライドやステンレスバレルの方が良いと言えます。
ゆうたゲスト
ポルさん、何度もありがとうございます。
3万発撃てれば寿命だと諦めがつくんじゃないでしょうか。
さすがに4500発は…と思いますが、原因がはっきりしてますから仕方ありませんね。
あと納入価格の件ですが、やっぱりP226は高かったんでしょうか。
今度のM17(P320)はずいぶん安い納入価格だと噂されていますが…。
>ベレッタ92FSの説明書に+P弾を使うと寿命が縮まると書いていますが、壊れるとは書いてなかったので、当時のベレッタM9のスライドは未完成みたいなものだったんでしょうか。
どんな銃でも+Pを使用すれば寿命が縮まりますが、軍用銃としては+Pに対応して当然ですね。
スライド以外にフレームの右側が割れる問題もあったので、未完成と言えると思います。
最初にフレーム不良が発覚したのは1984年ですが、解決したのは最終的にM9に決定した1988年でした。
>トライアル期間に同じ事故が起きてたらM9の名はSIG P226に与えられていたかもしれませんね。
1984年のトライアルでM9の勝利がほぼ決定でしたが、1984年にフレームが割れ、1987年にスライドが割れ、1988年のトライアルで最終決定したという経緯ですので、まさにトライアル期間中の事故でしたが、担当部門のM9プログラムオフィスが頑張って押した印象があります。
ゆうたゲスト
ポルさん、追記ありがとうございます。
私はサブマシンガン用強装弾>拳銃用強装弾という考えでいたのですが、そもそもサブマシンガン用に特別に用意された強装弾は特にないわけなんですね。
ということは、ベレッタM9のスライドが割れたのはベレッタの責任だった…ということですか。
ベレッタ92FSの説明書に+P弾を使うと寿命が縮まると書いていますが、壊れるとは書いてなかったので、当時のベレッタM9のスライドは未完成みたいなものだったんでしょうか。
まあ改善されたのなら問題はないですけど、トライアル期間に同じ事故が起きてたらM9の名はSIG P226に与えられていたかもしれませんね。
実際に拝見しないと何とも言えませんが、ネジの溝に汚れが溜まったりチョークチューブの変形が原因だと問題なので、銃砲店やガンスミスに持ち込んでプロに判断してもらった方が良いと思います。
>銃身寿命が尽きたと考えてよろしいでしょうか?
そうでは無いとは言えませんが、一般的にスムースボアのショットガンでは正常に使用すれば数万~数十万発以上持つので、銃身命数の限界を経験する人はあまり多くありません。
>この状態でスラッグ 等を撃った場合、銃身破裂の危険は高いでしょうか?
鉛のスラグであれば問題無いと思いますが、弾速が高速な弾薬やスチールショットは避けた方が良いかもしれません。
(これも実際に拝見しないと判断できませんが)
yskゲスト
交換チョーク式の散弾銃の銃身寿命についてですが、シリンダー等の比較的内径の大きいチョークに対し、銃身側の内径が大きい場合(銃身とチョーク接合部で明らかに段差がある)、銃身寿命が尽きたと考えてよろしいでしょうか?
また、この状態でスラッグ 等を撃った場合、銃身破裂の危険は高いでしょうか?
なお、銃身は交換チョーク式のスラッグ 銃身で、チョークはメーカー純正となります。
人間の寿命に個人差があるように、銃の寿命も個体差があります。
モデルや口径、使用弾薬等によっては、10万発でも問題ない場合もあれば、1万発未満でフレームがひび割れることもあります。
可動部の少ないリボルバーでも、トリガーやシリンダーのタイミングに不具合が生じることもありますし、マグナムリボルバーではフレームが伸びることもあります。
対象次第で製品寿命が異なるため、ピストルとリボルバーのどちらが長寿命とは言えません。
関連記事:ピストルのサービスライフとは?
ゆうたゲスト
またよろしくお願いします。
ブラジル警察だかに納入されるグロック22が4万発の実射に耐えたということですが、一般的に拳銃はどのくらい実射に耐えてくれるのでしょうか?
もちろんリコイルスプリングなど消耗が前提の箇所は置いておいての話です。
またセミオートとリボルバー、どちらのほうが丈夫なのでしょうか?
セミオートの方が動く部分が多いのでセミオートの方が寿命が短そうに思えますが…。
いつもお世話になっております。.40S&Wオートの耐久性について教えていただきたく思います。
調べた感じでは、セミオートピストルの寿命は9mmで概ね5~6万発、同タイプの.40S&W版ならその3分の1~半分くらいかと捉えていました。
月刊GunのCHP官給S&W4006の記事ではサービスライフ2万発を想定と記述がありました。
しかし、同じ号のCZ75-TacticalSportの記事では2万発以上使いこんでまだまだ元気という個体が紹介されていました。
.40に合わせた新規設計モデルなので一般量産品よりも有利なのだろうと思いますが、競技向け故にここまで頑丈なのが普通なのでしょうか?
あるいは、ポリス・ミリタリー向けの量産モデルでも.40で4~5万発程のサービスライフを実現したモデルもあるのでしょうか?
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メーカー公称と実際のサービスライフは異なりますし、使用弾薬のプレッシャーやメンテナンスの状況など、個体差によります。
目安としては、グロックやSIGでは9mmで7~8万発、グロックの40口径で5~6万発発射可能ですし、.22LRでは20万発でも問題ないケースもあります。
40口径は9mmよりも消耗しやすく、リコイルスプリングの交換は9mmより頻繁になりますし、フレームにも負荷が掛かりやすくなります。
また、モデルによってトリガーメカやファイアリングメカに摩耗や作動に不具合が生じることもありますが、使用環境によるため一概に言えません。
銃身、砲身交換をしたやつはもう二度と使えないのでしょうか?
使えなくなってやつを整備補修して再利用できないのでしょうか?
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寿命に達した銃身はライフリングが削れ、亀裂が入ったりエロージョン(熱損傷)が見られる状態ですので、その傷やライフリングを埋め直すことはできません。(新品の銃身で表面の凸凹をスムーズにする加工は可能です)
ですが、銃身にドリルを通して穴を広げ、ライフリングを掘り直す作業(リボア/リライフリング)が可能です。
この場合、既存の銃身を大口径化するため、本来の弾薬は使用できず、サイズの大きな口径の弾薬を使用可能な状態に仕上げます。
ただし、銃身の状態や変更する弾薬のサイズなど、条件によって加工が可能な場合もあれば、不可能な場合もあります。
弾に使用期限があると聞いたことがあります、どう言う理由でどれくらいの期間ですか?
自衛隊では富士総合火力演習で使っている弾は使用期限が近いものを使っていますが、これは毎年やっているので、弾の使用期限は短いのでしょうか?
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弾薬には使用期限が存在しますが、軍においてはその期限は弾薬を保管する機関によって異なるため一概に言えません。
現代ではスモークレスパウダー(無煙火薬)が使用されていますが、ライフル弾等で使用されるスモークレスパウダーではニトロセルロースを基剤とするシングルベースパウダーが使用されており、これはダブルベースなどよりも吸湿性が高いため空気中の水分により劣化が早まり、分解が進みやすい特徴があります。
この分解を抑制するためにジフェニルアミンや炭酸カルシウムなどの安定剤(スタビライザー)を使用しますが、安定剤の量によって分解が進む速度が異なります。
安定剤の量が多ければ分解がより抑制される一方、弾薬の弾道学的な性能が低下するというデメリットがあり、装薬の種類によって製品寿命が異なると言えます。
安定剤もやがて効力を失い劣化しますが、弾薬は保存条件が良ければ80年でも使用可能で、戦時中に製造された弾が現在でも使用可能という例が多くあります。
しかし一般的には製造から30~40年、または50年未満は問題なく使用可能と言われています。
自衛隊では古い弾薬の劣化具合も調査されているものの、私が知る限り内容は機密のようですので詳細不明ですが、戦車などに使用される弾薬は理論上は小火器に使用される装薬よりも長持ちとも言えます。
ただ、保管コストと製造コストを比べると早く消費した方が安い場合もありますし、軍では長期保管して物理的な期限ギリギリまで保管することはないため、理論上保存可能な期限よりもかなり早いうちに消費されるのが通常です。
関連記事:弾薬の構造
クロモリとステンレスにはそれぞれ含まれるカーボンなどの含有物質によって性質が異なるため、一概にどちらが良いとは言えません。
銃のバレルやボルトといった負荷が掛かる場所には、4140スチール、4150スチール、17-4ステンレスなどが使用されています。
これを比較するとブルネリ硬さは17-4の方が高いですし、疲労強度を見ると4140と17-1はほぼ同等、4150と17-4では製品によっては4150の方が強く、引張強度は17-4の方が強い傾向があります。
しかし、これもそれぞれ熱処理等製品によって性能が異なるため、単純にどちらとは言えない場合があります。
鉄はカーボンの含有量が多ければ硬くなりますが、硬くなれば粘り強さが失われますし、加工が難しくなることで製造コストが高くなります。
強度的にクロモリとステンレスのどちらが良いかという問題は、使う場所によりけりです。
例えば、マシンガンのバレルとボルトアクションライフルのバレルでは、使用時の温度がことなるため、それぞれに適した素材が選択されます。
個々の強度的性能さを除いた場合、ステンレスの銃の最大の利点は、錆びに強い(クリーニングしやすい)という点と、単純に見た目が美しいという点です。
ステンレスも錆びますが、錆に強いとコーティングを施さなくてもメンテナンスしやすいですし、クロモリはデリケートなのでコーティングが必要になります。
またステンレスバレルはクロモリバレルより寿命が長い傾向があり、汚れを落としやすいというメリットがあります。
私は個人的にピストルやライフルの腐食に苦労したトラウマがあるので、選べるなら出来るだけステンレス製品か、或いはハードコーティングの製品を選びたいと考えてしまいます。
>冷間鍛造の銃身は加工硬化が生じているのでブローチなどで加工した銃身より寿命が長い という説があるのですが、それは正しいのでしょうか。
加工硬化によるというよりも、冷間鍛造によって組織が微細化するため耐摩耗性が強くなります。
>加工硬化が残っているということは、やはり焼きなましはしていないのでしょうか。
加工硬化による歪を除去するために焼なましが必要になります。
硬度が高いのは高密度の組織が熱処理によって再結晶化し微細化しているためです。
>(24時間もかかるのなら量産メーカーはやりそうにないですが)
量産メーカーはピストルからハンティングライフルまでハンマーフォージングを利用しているので、所有する巨大な炉で焼なましを行っています。
>ボタン加工もボアに加工硬化が付きそうな工法ですが、焼きなましをやると無くなってしまうでしょうか。
ボタンはハンマーよりも加工量が小さいので加工硬化も小さいですが、熱処理によって硬度を調整できます。
>マッチグレード銃身にはクロムメッキはNGという説を聞いたことがあります。膜の厚さが均一にならないので精度に悪影響がある というのですが、本当でしょうか。
クロムメッキの銃身は耐熱性に優れることから銃身命数を延ばすことが可能となると同時に、クリーニングが容易になるメリットがありますが、命中精度が劣ります。
その理由は、ボアにはライフリング加工時についた微細な加工痕があり凸凹していますが、クロムメッキによって凸部が厚く強調されてしまうことと、ライフリングのエッジが緩やかになるため命中精度に悪影響があります。
ですが、クロムメッキバレルとノーマルバレルを比較したときの精度差は1/4MOA以下ですので、アサルトライフルやハンティングライフルでは実用上問題ありません。
1/4MOAの差が問題となる場合のみ考慮が必要になります。