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Cz52オートマチックピストル【後編】

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 この記事はCz52オートマチックピストル【前編】の続きです。

 

 

Cz52に影響を与えたピストル

画像出典:gunauction.com

CZ 50 画像出典:gunauction.com

旧チェコスロバキア内務省の要請により開発されたCz50は、ワルサーPPの影響を受けたストレート・ブローバックのダブルアクション・オート・ピストルです。7.65x17S(.32ACP)というストッピングパワーの弱い弾薬を使用し、主に警察用として運用されました。Cz50はトリガーメカの信頼性が低く、その問題を解決できないまま1969年に製造を終え、後にCz70と交代しています。パワー不足で軍用ピストルの要件を満たさないピストルでしたが、軍用ピストルのCz52とはいくつかの共通点が見られます。

マニュアルセイフティの位置はワルサーPPがスライド上に配置しているのに対し、Cz50ではフレーム左側面に配置され、Cz52ではフレーム左側面の後ろ寄りへ移動しました。また、ローディング・インディケーターはワルサーPPがスライド後方に配置されているのに対し、Cz50ではスライド側面に配置させ、Cz52では機能そのものを廃止しています。

Cz52は軍採用を目指して1947年9月から開発が始まり、強力な弾薬を使用することが条件として求められたピストルです。当初、ブローニングGP-35をベースに開発が進められましたが、当時のチェコは戦後始まった東西冷戦でソ連の影響を受け共産化されていた時代であったため、使用弾薬は9mmではなく7.62x25mmトカレフが採用されます。ソ連側からはトカレフピストルを提供されましたが、チェコ政府は現状で十分だとそれを拒否し、あくまで独自開発を目指しました。この様な社会情勢の中、Cz52開発の裏には政治的影響も反映されています。

採用するロッキングシステムはGP-35のブローニング方式よりローラーロッキング方式を採用したCz482(Cz52のプロトタイプ)の方が良いとCZで判断されました。しかし、判断に至った理由は定かではありません。その後、Cz482を元に開発が進められ、さらに進化したダブルアクションのCz491及びシングルアクションのCz513が開発されました。

 

ZKP 524 画像出典:magnum-x.pl

ZKP 524 画像出典:magnum-x.pl

Cz50とCz52の両モデルは、フレームにサイドプレートを持つことで製造と組み立ての工程を簡略化しているのが特徴的です。これにより低コストで大量生産が可能となりました。しかし、ローラーロック構造はブローニング方式より構造が複雑で製造コストが高くなる傾向があるため、ベストの選択であったとはいえないでしょう。最終的にチェコ版コルトM1911であるZKP524と軍用ピストルの座を争いましたが、ローラーロッキング方式のCz52が採用に至りました。

ZKP524は米国のコルトガバメントを参考にCZで開発されたピストルで、製造数は少数だといわれています。グリップセイフティは存在せず、使用弾薬は.45ACPの代わりに7.62x25mmトカレフ弾を使用します。装弾数は8+1発で、シングルスタック・マガジンが装備されました。Cz52が採用されたためZKP524は以後発展することがありませんでしたが、その存在は西側諸国から「世界最高のコンバットオート」と称されたCZ75の開発に影響を与えたといわれています。

 

 

Cz52の弱点 其の一「ローラーロッキング」

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Cz52が閉鎖方式にローラー・ロッキングを採用しているということで、ショートリコイルしないと考えられがちですが、Cz52はローラーロッキングでありながらショートリコイル式を採用しています。

 

画像出典:harringtonproducts.com

画像出典:harringtonproducts.com

ローラー・ロッキングといえばドイツのMG-42マシンガンから始まり、H&K G3やMP5シリーズではH&Kのお家芸とまで言われた閉鎖方式です。時代的にはCz52はH&Kよりも古くからローラー・ロッキングを採用し、ピストルの閉鎖方式にローラー・ロッキングを採用したのは当時としては珍しいものでした。しかし、前述したように、ローラーロッキング方式は高コストです。構造が複雑化するため、小さなピストルに複雑なメカを導入し採用するにはメリットが少ないといえます。

 

Cz52の弱点 其の二「スライド・リリース・レバー」

変わっていると感じられる点のひとつは、操作可能なスライド・リリース・レバーが存在しない点でしょう。しかし、スライドリリース・レバーは存在するので、撃ち終えるとマガジンフォロアーに押されたレバーが上昇し、自動的にホールド・オープンすることで残弾がゼロであることを教えてくれます。なぜ、CZが操作可能なスライド・リリース・レバーを装備させなかったのか分かりませんが、恐らく「ホールド・オープンしたらマガジンを抜いてスライドを引けば良い」と考えたのでしょう。少しでも製造工程を簡略化しコストカットと生産性向上を目指したのかもしれません。

現在では、サードパーティー製のカスタム・パーツでCz52のスライド・リリース・レバーが数種類米国内で流通しています。もし必要であれば、こういったカスタム・パーツを取り付けるのも面白いですね。その他、Cz52専用9x19mm口径バレルや専用コンペンセイター、ゴム弾を撃つためのキットなど、変り種も存在します。

 

 Cz52の弱点 其の三「マガジンキャッチ」

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Cz52のマガジンキャッチはグリップの底に配置されています。現役当時は問題視されませんでしたが、現在の軍や警察の常識ではマガジンを抜く作業に両手が必要となるのは合理的ではなく、優れたピストルとはいえません。自衛隊の9mm拳銃(SIG P220)や日本警察のSIG P230JPも同じ問題を抱えていますが、優秀なコンバットオートとなり得ない理由がここにあります。

ランヤードループ(ランヤードリング)とは、紛失防止用の紐(ランヤード)を引っ掛ける金属製の輪のことです。Cz52のランヤードループは自由に動き、マガジンキャッチの動作を邪魔しません。しかし、使用するランヤード側のリングなど、接続金具が大きいとマガジンキャッチの動きを阻害する恐れがあります。

 

Cz52の弱点 其の四「ファイアリング・ピン」

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ある日、私がCz52のテイクダウン・ラッチを引いてスライドを外すと、全長約3.5mmの金属片がポロリと落ちてきました。その金属片は、折れたファイアリング・ピンの先端だとすぐに分かりました。以前から「Cz52のファイアリング・ピンはキャスト・メタルであるため折れやすい」と聞いていましたが、予想以上にもろいようです。ドライ・ファイア(空撃ち)は厳禁です。なぜCZがこんな大事なところに手を抜いたのか疑問。現代の軍用ピストルではまずありえません。Cz52のファイアリングピンはプライマーに接触しなければ前進を続けてブリーチブロックに衝突し、ファイアリングピンの根元に負荷が掛かる構造となっています。

しかし、折れたとしても慌てる事はありません。需要があれば供給もあるもので、米国では簡単にスチール製のファイアリング・ピンを入手できます。ファイアリング・ピンを折ってしまうCz52オーナーは多いのでしょう。サープラスのオリジナル・ファイアリング・ピンだと十数ドル、強固なカスタム・ファイアリング・ピンだと30~50ドルぐらいが相場です。銃本体が100ドルちょっとで購入できてしまうのに、ファイアリング・ピンだけで50ドルは割が合わない気がします。(銃が安すぎるのですが・・・)

 

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ファイアリングピンの外し方は簡単です。手順は以下の通り。

  1. スライド先端を上に向けてスライド内側のファイアリングピン・リトラクターを押し込む。(ファイアリングピン・リトラクターとは、ファイアリングピン・ブロックと同じ意味ですが、Cz52のマニュアルでは「リトラクター」なのでここではそう呼称します。)
  2. ファイアリングピン・リトラクターが押し込まれると、自重でファイアリングピンが抜けます。

以上です。単純すぎて心配になりますが、ハンマーを起こして少し強めの衝撃を与えてもファイアリングピンは抜けないので、実用上問題ないと思われます。ファイアリングピン・リトラクター・スプリングはコイルスプリングなので、万が一折れても機能するでしょう。

 

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ファイアリングピンを抜くと、ファイアリングピン・リトラクターが抜き取れます。

 

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現代のオートピストルはファイアリングピンにファイアリングピン・スプリングで後ろ向きのテンションを掛けるのが一般的ですが、Cz52のファイアリングピンにスプリングは存在しません。その代わり、ファイアリングピン・リトラクター・スプリングによってファイアリングピンを後方へ引き戻しています。ファイアリングピンの一部が斜めにカットされており、このカットされた部分をファイアリングピン・リトラクターが滑る構造です。

Cz52のオリジナルのファイアリングピンはこのような構造ですが、流通するサードパーティーのファイアリングピンにはファイアリングピン・スプリングが追加された改良型が存在します。こちらの方がオリジナルより信頼性が高いのでお勧めできます。しかし、なかにはファイアリングピン・リトラクターの機能を無効化する製品もあり、これが無効化されると、セイフティーレバーでデコックするとハンマーがファイアリングピンを叩いて撃発し、暴発事故を起こすので注意が必要です。ファイアリングピンを交換したら必ず機能をチェックしなければなりません。チェック方法は簡単で、銃口を上向きにして鉛筆など細い棒を銃口から突っ込み、デコックして棒が動かなければ問題ありません。

もうひとつ注意したいのは、折れたファイアリングピンの破片がブリーチブロック内部に残っていないか確認することです。破片が残っているとファイリングピンが内部で固定されたり、ファイアリングピンが破片を押してカートリッジのプライマーに触れ、スラムファイアの危険性があります。「スラムファイア」とは、スライドを前進させた瞬間に撃発し暴発することで、主な原因はファイアリングピンが前進したまま固定されたり、慣性でファイアリングピンが前進する不具合にあります。

 

Cz52の弱点 其の五「マズルジャンプ」

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1911ピストルと比較してもCz52のグリップの厚みはかなり良いレベルにあります。ところが、実際に撃ってみるとマズルジャンプが大きい。7.62x25mmより大口径である.45ACPの1911の方がコントロールしやすく撃ちやすいと感じます。この原因は、実際のグリップとバレル位置の関係にあると考えられます。

これは手の大きさにより個人差がありますが、私の場合では1911で高い位置で握る(ハイグリップする)と、手の最も高い位置からファイアリング・ピンの高さまでの距離は約23mmになります。ところが、Cz52で同じようにグリップして計測すると、約30mmにもなりました。支点(グリップ位置)が低く、グリップする位置がバレルの軸線から離れるほどマズルが大きく跳ね上がり、コントロールが難しくなります。Cz52のフレーム形状に設計段階でもう一工夫あればさらに撃ちやすくなったかもしれません。

 

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また、使用に関連して気になる問題があります。実射中、ハイグリップでグリップしている親指のつけ根部分がマニュアル・セイフティに当たり、リコイルによって無意識にセイフティを押し上げてしまうことが何度かありました。射撃中に次第にトリガーが重くなり、数発後にはトリガーが引けなくなりました。そのときセイフティレバーはオンとオフの中間に位置しており、内部で負荷がかかっていたために起きた現象です。マズルジャンプを抑えたいのでハイグリップしたいものの、あまりハイグリップしすぎるとセイフティレバーを押し上げてしまう心配があります。

それから、発射後にトリガーを引く指に痛みを感じることがありました。何が原因か分かりませんが、撃った瞬間にトリガーが前へと反発している感覚がありました。他の銃では経験したことがない痛みで、このCz52を撃ったときだけそう感じた珍しい現象です。トリガーが直接リコイルを受けているようにも思えますが、構造的にそうは考え難いので謎です・・・。他のCz52ユーザーも同じ体験をしている人がいるので、気のせいではないようです。

 

高い命中精度

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これは私が約23メートルの距離で射撃した結果です。タクティカルシューティングっぽく胸の位置のレディーポジションから腕を突き出して撃ったり、真面目にエイミングしたり、様々な撃ち方を試しました。慎重に狙えば23メートルで10cm以内に集弾し、スタンディングでスピード重視の射撃に対しても人間の大きさのターゲットに命中させられる実力を確認できました。同時にリボルバーで.38SPLや.357マグナムも撃ちましたが、Cz52はリボルバーに負けないレベルの高い命中精度を持っています。

撃ち味はトカレフ弾特有のズガーン!という鋭いリコイルと銃声で、Cz52と比較するとベレッタ92FSなどは「まったり」した撃ち味に感じます。サイクルが早いので、もし、もっと高い位置でグリップが可能なデザインだったら、Cz52の評価はもっと高かったかもしれません。Cz52はグリップ形状のおかげで損をしています。

 

 ジャム

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射撃中にローディングジャム(閉鎖不良)が何度かありましたが、これはリコイルスプリングのヘタリが原因だとすぐに分かりました。通販でリコイルスプリングを注文し交換すると、その後は全く問題なく快調でした。

Cz52のリコイルスプリングの強さはファクトリー・スタンダードで14.5ポンド(6.6kg)です。9mm口径のベレッタ92FSは13ポンド(5.9kg)、.45ACPのコルト1911(フルサイズ)は16ポンド(7.3kg)なので、重すぎず軽すぎず引きやすいスライドです。

 

Cz52のローラー・ロッキング・システム

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Cz52がローラーロッキングを採用していることは前述しましたが、具体的な構造を確認したいと思います。

ローラー・ロッキングはローラーの動きによってブリーチの解放を遅らせる閉鎖方式です。どんな銃でも撃発の瞬間からボルトやブリーチが解放されると、高圧の発射ガスが噴出して危険であり、弾頭が進むために必要なガス圧が低下するためパワーを得られません。そのため、撃発の瞬間から弾頭が銃口を離れるまでの間、閉鎖状態をキープする必要があります。Cz52ではバレルと一体となったローラーがスライドに食い込むことでバレルとスライドが固定されます。

 

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この画像では撮影の都合上リコイルスプリングを除いています。リコイルスプリングはバレルの周囲に位置し、常にスライドを前進させる力が加わっています。

撃発の瞬間、閉鎖状態にあるスライドとバレルがロックされたまま同時に後退を始めます。バレルとスライドが約1cm後退する間に弾頭が銃口を離れ、バレル内の圧力が低下します。

ローラーカムはスライドに固定された状態ですが、バレルの後退が止まるとスライドだけ後退を続け、ローラーがスライドの内側へと逃げることでスライドがバレルから解放されます。ローラーの食い込みから解放されたスライドは、そのまま後退を続け排莢します。

 

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フレームにはローラー・カムを受け止める突起があり、この突起がローラーカムの後退を妨げます。ローラーカムはテイクダウンラッチとフレームの突起の間で固定されます。

 

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ローラーカムはリコイルスプリングに押され、ローラーはローラーカムに押されて外側へ(スライドへ)押さえつけられます。スライドの凹みにローラーが食い込みますが、食い込む面積はローラーの中心より外側の一部となり、ローラーの表面積の大部分はバレル側にあります。これがもしローラーの大部分がスライドに食い込むと、ローラーカムがローラーから離れてもローラーがスライドに食い込んだままとなるので解放できなくなります。ローラーの中心がスライドより内側に位置することでローラーが回転可能となり、ローラーカムがローラーから離れると自然にローラーが内側へと移動できます。

スライドが後退すると同時にハンマーを起こし、排莢します。後退後はリコイルスプリングによりスライドが前進してマガジンから弾をチャンバーへ装填し、再び次弾が発射可能な状態となります。

 

フレーム内のメカニズム

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ショートリコイルでローラーロッキングのピストルは珍しいですが、フレームに目を向けると、その構造は一般的なオートピストルと変わらない構造を持っています。トリガーを引くとシアーがコックされたハンマーを解放し撃発に至る構造です。

Cz50でも同じ構造ですが、Cz52のシアーはハンマーを解放すると同時に、スライド裏側に位置するファイアリング・ピン・リトラクター(ブロック)を押し上げる動作も行います。ファイアリング・ピン・リトラクターとは、外部からの衝撃によりファイアリング・ピンが前進して暴発を防ぐ役目をする内蔵型安全装置(インターナル・セイフティ)のひとつです。ファイアリング・ピン・ブロックが下から押し上げられると、ロック状態にあるファイアリング・ピンが自由に前進できる状態となり、ハンマーがファイアリング・ピンを叩いたときに前進を許します。つまり、トリガーを引かなければ銃を落としても暴発しない構造となっています。

 

通常分解(フィールド・ストリッピング)

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まずマガジンを抜いてスライドを引き、弾が装填されていないことを確認。そして、トリガー・ガード前方の両側に位置するテイクダウン・ラッチを下方向に引っ張ります。テイクダウンラッチはフレームの両側に摘みがあるので、引きやすい。

 

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テイクダウンラッチを引っ張るとカチャッという音と共にスライドがスプリングの力によって自動的に6mmほど前進し、そのまま真上に分離できます。一般的なピストルのようにスライドを前後にスライドさせる必要もなく、スプリングの力でスライドはフレームから浮いた状態になるので簡単です。

もしあなたがCz52を所持する敵と格闘になったら、テイクダウンラッチを引っ張ると良いでしょう(笑)。

 

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スライドを裏返すと、ローラーカムが確認できます。ローラーカムにはスリットが用意されており、ここにマガジン・ボトム・プレート(マガジンの底)の先端を引っ掛けます。そして、リコイルスプリングの力に逆らってマズル方向へと強く押します。

この画像とは逆の持ち方で自分側へ引っ張るようにしてバレルを分離しても構いません。ただ、私には画像の持ち方が最も楽で簡単だと感じます。

 

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画像出典:Zbrojovka Brno, a.s.

マガジン・ボトム・プレートに高負荷が掛かるとマガジンを壊してしまうリスクがあるため、工具を使用した方が良いとも言われます。複数のマニュアルを確認したところ、使用するのはマガジンか工具かで説明が異なっていました。気になる場合はドライバー等をローラーカムの穴に差し込んで引っ張ると良いでしょう。

 

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バレルとローラー・カムが約2cm前進したら、バレルをスライドから分離できます。画像のように上へ引っ張り上げて分離。ここで気を抜いてマガジンからスリットが逃げてしまうと、スプリングの力でバレルがそのまま飛んでいってしまうので注意。圧縮力6.6kgのスプリングを縮めるのは少し力を必要とします。

 

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通常分解はこれでOK

さらにクリップで留められたグリップ・パネルを外せば、フレーム内のパーツを取り出すことができますが、通常使用では分解する必要はありません。日常的なクリーニングは上記のみで十分です。

分解に工具を一切必要としないのは、いかにも軍用ピストルらしいですね。

 

以下は私の実演です。

三脚のカメラの後ろから手を回して撮影したので無理な体勢に苦労しました。

※古い動画なので、ロゴは「HB-PLAZA」ではなく改名前の「HIROBON PLAZA」になっています。

 

 総評

Cz52は古いモデルなので、現代のオートピストルと比較すると人間工学の概念がなく、安全性や生産性に難があります。しかし、1950年代当時のレベルではかなり高水準のピストルといえるでしょう。特に命中精度は素晴らしく、クリーニングしやすいメンテナンス性も賞賛されます。この性能でありながら200~300ドルという低価格は正にお買い得商品であり、もっと評価されるべきピストルではないでしょうか。

画像出典:imfdb.org

画像出典:imfdb.org

Cz52は映画に登場する機会が少なく、知名度が低いのは残念です。映画「エネミーライン」では少しだけ登場しており、舞台がボスニアなのでCz52が現地で使用されている設定にリアリティがありました。1950年代以降を舞台にした作品でもっと観たいと思うのは私だけではないと思います。

 

CZ52 テクニカルデータ
使用弾薬 7.62x25mm Tokarev 9mm Luger
口径 7.62mm 9mm
装弾数 8+1 8+1
ライフリング 6条右 4条右
銃身長 120mm 120mm
全長 211mm 211mm
重量 1040g 1045g
装填済マガジン重量 170g 175g
有効射程距離 50m 50m
最大射程距離 1800m 1800m
閉鎖方式 ローラーロック ローラーロック

最後までお読みいただきありがとうございます。

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