日本の実銃事情を解説|発砲事件・米国比較・合法所持から古式銃まで

猟銃と古式銃と無可動実銃のイメージ

日本では銃器を使った事件は極めて少ない一方、違法な拳銃がないわけではありません。2025年の銃器発砲事件は1件でしたが、同年に警察が押収した拳銃は573丁に上り、ネット取引、密輸、密造・改造銃など入手経路も多様化しています。

一方、日本では一定の条件を満たせば猟銃などを合法的に所持することも可能で、所持までの手続きや保管・使用にはルールが設けられています。この記事では、警察庁の最新統計をもとに日本の銃器犯罪の現状と米国との違いを確認するとともに、猟銃を所持するまでの手続き、所持後の管理制度、無可動実銃、古式銃の認定基準まで解説します。

目次

日本の銃犯罪はどのくらい発生している?

警察庁の令和7年版資料から主な数字を抜き出すと、現在の日本の銃事情は次のようになります。

項目2025年
令和7年
銃器発砲事件1件
発砲事件による死傷者1人(死者1人)
拳銃押収573丁
うち暴力団から押収27丁
インターネットを端緒とした拳銃押収156丁
拳銃・拳銃部品等に係る銃刀法違反213件、198人
拳銃・拳銃部品等の密輸入事件18件、17人
密輸入事件で押収された拳銃25丁
密造拳銃15丁
改造拳銃36丁

2025年に警察庁が「銃器発砲事件」として集計した事件は1件で、死者1人、負傷者0人でした。前年の3件からさらに減少し、平成以降では最少となっています。暴力団等による発砲事件も0件でした。

警察庁がいう「銃器発砲事件」とは、銃砲で金属製弾丸を発射し、人の死傷や物の損壊などの被害が発生したもの、またはそのおそれがあったものを指し、過失と自殺は含まれません。

公開情報を照合すると、2025年に発生した1件は、同年6月15日に神奈川県大磯町で発生した高齢夫婦の死亡事案に該当するとみられます。82歳の夫が85歳の妻を手製の拳銃のようなもので撃った後、自殺したとみられる事案で、現場では2人が死亡しました。ただし、警察庁の統計では自殺を除外するため、夫の死亡は計上されず、死者は妻1人として扱われたと考えられます。

発砲事件数は近年大きく減少しています。直近5年間では、令和3年が10件、令和4年が9件、令和5年が9件、令和6年が3件、令和7年が1件でした。さらに長期的に見ると、平成6年(1994年)には249件あったものが、平成30年(2018年)以降は年間20件を超えない状態で推移しています。

ただし、「発砲事件が1件だった」ことは、「銃に関係する犯罪が1件しかなかった」という意味ではありません。同じ令和7年には、警察が銃器使用事犯12件を検挙しており、そのうち6件には暴力団構成員等が関与していました。また、拳銃、拳銃部品、実包に係る銃刀法違反事件は213件、検挙人員は198人に上っています。

日本と米国の銃器関連事件を比較

項目日本
(2025年/令和7年)
米国
銃器発砲事件1件銃乱射事件:34件
※FBI統計アクティブシューター事件(2025)
発砲事件による死傷者1人(自殺を除く)銃乱射事件:106人(死者23、負傷83)
※アクティブシューター(2024)
銃器関連死2人44,447人(2024年)
拳銃押収573丁年平均:423,069丁(2年間:846,138丁)
※回収・トレースされた拳銃系、2年間(2022~2023)
暴力団・ギャング等から押収拳銃27丁全国統計なし
インターネットを端緒とした拳銃押収156丁オンライン市場:298件
SNS:227件(2017~2021)
拳銃・拳銃部品等に係る銃器法違反213件、198人7,245人
※連邦法§922(g)有罪者(FY2025)
拳銃・拳銃部品等の密輸入事件18件、17人全国統計なし
密輸入事件で押収された拳銃25丁全国統計なし
密造拳銃15丁27,490点
※私製銃器(PMF)の回収・トレース(2023)
改造拳銃36丁5,816点
※機関銃変換装置(MCD)の回収・トレース(2023)
※日米では統計の定義と集計方法が異なります。米国の「アクティブシューター」「回収・トレース銃」「私製銃器(PMF)」「機関銃変換装置(MCD)」は、日本側の各項目と同じ分類ではないため、数値の単純比較はできません。

米国では日本と同じ定義で集計された全国統計がほとんど存在しません。FBI統計の「銃乱射事件:アクティブシューター事件」は日本の「銃器発砲事件」より対象が狭く、ATFの銃器データも警察による単純な「押収数」ではなく、法執行機関が回収してトレースを依頼した銃器を中心に集計されています。そのため、日米の数値をそのまま倍率で比較することはできません。

それでも規模感の違いは確認できます。銃器関連死を比較し、人口10万人あたりに換算すると、日本は約0.0016人、米国は約13.1人となり、米国の銃器関連死亡率は日本の約8,000倍に達します。

米国では2025年にFBIが34件のアクティブシューター事件を認定し、2022~2023年の2年間には、ピストルとリボルバーを合わせて84万6,138丁が回収・トレースされました。また、2025会計年度には銃器の違法所持などを規制する連邦法違反で7,245人が有罪となっています。

近年の特徴としては、完成品の銃器だけでなく、私製銃器や変換装置の存在も目立ちます。2023年には私製銃器(PMF)2万7,490点、機関銃変換(フルオート化)装置5,816点が犯罪との関連で回収・トレースされました。

日本で違法拳銃は573丁押収されている

日本の違法銃事情

令和7年に警察が押収した拳銃は573丁で、前年より179丁増加しました。このうち暴力団からの押収は27丁で、残る546丁は「その他・不明」に分類されています。押収数は国内に存在する違法拳銃の総数ではなく、その年に取締りで発見・押収された丁数です。

押収増加の一因として、警察庁は中国製の「玩具と称した真正拳銃」などを挙げています。玩具として販売されていても実弾を発射できる製品は真正拳銃として扱われ、国内での所持や販売は犯罪となります。また、令和7年にはオークションサイトや掲示板などを端緒として156丁が押収され、インターネット上の譲渡や製造情報への対策も強化されています。

密造・改造銃では、密造拳銃15丁、改造拳銃36丁が押収されました。政府も、従来の暴力団による銃器犯罪に加え、インターネットや3Dプリンターを利用した個人による製造・入手を新たな課題としています。

国外からの流入も続いており、拳銃・拳銃部品等の密輸入事件は18件、検挙人員17人、拳銃25丁が押収されました。日本で押収される真正拳銃の大半は外国製とされ、税関や海上保安庁による水際対策も継続されています。

現在の違法銃は、暴力団や密輸だけでなく、海外製玩具拳銃、ネット取引、密造・改造、自作など複数の経路に広がっています。なお、旧軍用拳銃も遺品であっても所持は禁止されており、発見した場合は警察への届け出が必要です。

日本で合法的に所持される銃はどう管理されている?

日本で合法的に所持される銃の管理インフォグラフィック

日本では銃砲の所持は原則として禁止されており、法律で認められた目的と条件を満たす場合に限って許可されます。民間で所持される主な銃は、狩猟、有害鳥獣捕獲、標的射撃などに使用する猟銃や空気銃で、護身や単なるコレクションを目的として自由に所有できる制度ではありません。所持許可は都道府県公安委員会が行い、銃1丁ごとに必要です。

申請時には、犯罪歴、暴力団との関係、法令で定める病気、アルコール・薬物依存、他人を害したり自殺したりするおそれなど、所持者としての適格性が審査されます。75歳以上では認知機能検査も必要となります。

猟銃を所持するまでの流れ

猟銃所持までの流れイメージ画像

初めて猟銃を所持するには、講習や射撃教習を受けるだけでなく、申請者の適格性について審査を受け、最終的に所持する銃ごとに都道府県公安委員会の許可を得る必要があります。許可証が交付されるまでは猟銃を受け取ることはできず、取得後にも警察署で実物の確認を受けます。具体的な手続きは、以下の10段階で進みます。

STEP
初心者講習を受講する

猟銃等講習会の初心者講習を受講し、考査に合格して講習修了証明書を取得します。

初めて猟銃を所持する場合の出発点となる手続きです。

STEP
教習資格認定を申請する

射撃教習を受けるため、警察署に教習資格認定を申請します。

住民票、経歴書、医師の診断書などを提出し、所持者としての適格性について審査を受けます。

STEP
実包の譲受許可を取得する

射撃教習で使用する実包を入手するため、猟銃用火薬類等譲受許可を申請します。

許可証の交付を受けてから、教習用の実包を譲り受けることができます。

STEP
射撃教習用の実包を譲り受ける

猟銃用火薬類等譲受許可証を提示し、火薬類販売店や射撃場などで射撃教習に使用する実包を譲り受けます。

実包の入手後に射撃教習へ進みます。

STEP
射撃教習を受ける

指定射撃場で実際に猟銃を使用した射撃教習を受け、考査に合格して教習修了証明書を取得します。

初めて猟銃を所持する場合の重要な実技段階です。

STEP
所持する猟銃を決める

銃砲店などで購入する猟銃を決め、所持許可申請に必要な譲渡等承諾書を取得します。

この段階ではまだ銃を受け取ることはできません。

STEP
所持許可を申請する

購入予定の猟銃について、住所地を管轄する警察署を通じて都道府県公安委員会に所持許可を申請します。

申請は銃1丁ごとに必要です。

STEP
所持許可証の交付を受ける

審査に通ると猟銃・空気銃所持許可証が交付されます。

許可を受けた後、原則として3か月以内にその猟銃を所持する必要があります。

STEP
猟銃を購入・譲受する

所持許可証の交付後、銃砲店などから許可を受けた猟銃を購入・譲受します。

所持許可証が交付される前に銃を受け取ることはできません。

STEP
14日以内に警察署で確認を受ける

猟銃を受け取った後は14日以内に警察署へ持参し、所持許可を受けた銃と実物が一致していることなどの確認を受けます。

ここまで完了して初めて、新規所持の手続きが一通り終了します。

猟銃所持に必要な費用

初めて猟銃を所持するまでの手数料や射撃教習費は、警察庁の目安で約58,700円です。これとは別に、猟銃本体、ガンロッカー、装弾ロッカー、診断書などの費用が必要です。さらに実際に狩猟を行う場合は、第一種銃猟免許、狩猟者登録、狩猟税、保険などの費用も加わり、環境省では猟具代を除いて約144,800円以上を目安としています。

項目費用の目安
初心者講習6,900円
教習資格認定申請8,900円
猟銃用火薬類等譲受許可2,400円
射撃教習約30,000円
猟銃・空気銃所持許可申請10,500円
合計約58,700円
警察庁が示す手数料等の目安

空気銃は猟銃とは手続きの一部が異なり、原則として射撃教習を必要としませんが、初心者講習や所持許可の審査は必要です。また、銃の所持許可と狩猟免許は別の制度です。猟銃を所持しているだけでは狩猟を行うことはできず、実際に銃猟を行う場合は第一種銃猟免許を取得し、狩猟を行う都道府県で狩猟者登録を行います。

ライフル銃はさらに所持要件が厳しく、一般には猟銃の所持許可を継続して10年以上受けている人のほか、職業として獣類を捕獲する人や一定の射撃競技選手など、法律で定められた条件を満たす場合に限られます。

所持後も保管・使用状況が継続して確認される

許可を受けた後も、猟銃を自由に扱えるわけではありません。猟銃等は、容易に持ち運べない堅固なガンロッカーなどに施錠して保管し、その銃に適合する実包を同じ保管設備に収納することは禁止されています。そのため、銃はガンロッカー、実包は装弾ロッカーというように分けて管理します。

銃を運搬できるのも、狩猟、射撃、修理など正当な理由がある場合に限られます。運搬中は銃に覆いをかけるかケースに収納し、必要のない状態で実包を装填しておくことも認められていません。

所持後は警察による毎年の検査があり、銃と所持許可証、使用実績、実包の管理、保管状況などが確認されます。面接を通じて健康状態や生活状況の変化についても調査され、所持者としての適格性が継続的に確認されます。

所持許可には有効期間があり、原則として許可後3回目の誕生日までです。継続して所持する場合は更新手続きが必要で、更新時にも講習や審査が行われます。

さらに、2025年3月からは、許可された用途に使用されていない「眠り銃」への規制も強化されました。使用実績がない期間の基準が3年以上から2年以上に短縮され、使用する意思がないと判断された場合には所持許可が取り消されることがあります。

このように、講習、射撃教習、人物審査、銃ごとの許可を経て所持した後も、保管・運搬規制、毎年の検査、許可更新、使用実績の確認によって、所持者と銃の双方を継続的に管理する仕組みになっています。

無可動実銃とは?警察庁の認定基準

日本では「撃てない実銃」を所持することも可能です。

実銃を発射不能に加工したものは一般に「無可動実銃」と呼ばれ、警察庁では「無可動銃」としています。

認定には、機関部を作動不能にし、銃身や弾倉を閉塞するなどして銃砲としての機能を完全に失わせることが必要です。拳銃では、残る部品が銃刀法上の「拳銃部品」に該当しないことも確認されます。

拳銃の無可動実銃が少ない理由

日本では、拳銃の無可動銃が法律で禁止されているわけではありません。警察庁は回転式拳銃、自動式拳銃、デリンジャーについて無可動銃の認定基準を設けています。ただし、拳銃の場合は単に発射不能にするだけではなく、銃身、フレーム、シリンダー、スライドなどが銃刀法上の「拳銃部品」に該当しない状態であることも確認されます。また、グリップ(銃把)を除く外装を白色または黄色に塗装する必要があります。

このため、拳銃は長銃より加工や輸入時の確認が複雑で、実銃本来の外観も残しにくくなります。国内の無可動実銃専門店でも、法的リスクやコレクション価値の低下を理由に拳銃を取り扱わない例があります。こうした事情が重なり、日本では小銃や機関銃などに比べて拳銃型の無可動実銃がほとんど流通していません。

以下は必要とされる加工の条件です。

回転式拳銃の無可動化条件

黄色いコルトSAAイラスト
  • 銃身への鋼鉄製インサート挿入と両端の溶接固定
  • 銃身中間部への5mm×2cm以上のスリットを最低1か所設置
  • 回転弾倉内部の隔壁を弾丸装填部から銃身方向へ3分の2以上除去
  • 残る薬室相当部分の全孔への鋼鉄製インサート挿入と両端の溶接固定
  • 撃鉄の溶接固定と撃針口の閉塞
  • 撃針・撃鉄ばねなど、引き金と撃鉄以外の撃発装置の除去
  • 引き金と撃鉄の切断による連動不能化
  • 回転弾倉上部のブリッジ部分への直径5mm以上の孔2か所の設置
  • 銃把を除く全体の白色または黄色への塗装

自動式拳銃の無可動化条件

黄色いベレッタ92FSイラスト
  • 銃身から薬室までの鋼鉄製インサート挿入と両端の溶接固定
  • 銃身中間部と薬室への5mm×2cm以上のスリット設置
  • スライドからの撃針・撃針ばねの除去
  • 撃針孔とその周辺の加工による再装着不能化
  • スライドへの5mm×2cm以上の確認用スリットの必要数設置
  • 撃鉄ばね、コネクター、ディスコネクターなどの撃発装置の除去
  • 引き金と撃鉄の切断による連動不能化
  • 機関部体への5mm×2cm以上の確認用スリットの必要数設置
  • 銃把を除く全体の白色または黄色への塗装

デリンジャー銃の無可動化条件

黄色いデリンジャーイラスト
  • 銃身から薬室までの鋼鉄製インサート挿入と両端の溶接固定
  • 薬室への5mm×2cm以上の確認用スリット設置
  • 複数銃身の場合における各銃身への同様の処置
  • 撃鉄の溶接固定と撃針口の閉塞
  • 撃針・撃鉄ばねなど、引き金と撃鉄以外の撃発装置の除去
  • 引き金と撃鉄の切断による連動不能化
  • 開閉子の除去による実包装填不能化
  • 銃身と機関部体の分離不能化
  • 銃把を除く全体の白色または黄色への塗装

小銃・機関銃の無可動化条件

M60マシンガンイメージ画像
  • 銃身から薬室までの鋼鉄製インサート挿入と両端の溶接固定
  • 銃身と機関部体の分離不能化
  • 銃身中間部と薬室への5mm×2cm以上のスリット設置
  • ボルトの半開き状態での機関部体への溶接固定
  • 撃針の除去とボルト下半分の切断・除去
  • コネクター、ディスコネクターなど、引き金以外の撃発装置の除去
  • 引き金の切断によるボルト相当部分との連動不能化
  • 本体への5mm×2cm以上の確認用スリットの必要数設置

認定は警察庁の基準表に基づき、すべての条件を満たした場合に限って行われます。加工状態は外部から確認できることも求められ、判断に疑義がある場合は科学捜査研究所に確認します。散弾銃や空気銃なども構造に応じて同基準に準じて判断され、講習用として地方公共団体などが管理するものには一部例外があります。

認定後は、都道府県名、一連番号、認定年月日、輸入・販売業者または個人名、型式、輸入等の丁数が警察庁へ報告されます。

古式銃は日本でも所持できる

古式銃要点まとめ画像

日本では銃砲の所持は原則として禁止されていますが、例外として、美術品や骨董品として価値のある「古式銃砲」は、銃刀法に基づく登録を受けることで所持できます。代表的なものは火縄銃などで、都道府県教育委員会の審査を経て「銃砲刀剣類登録証」が交付されます。

この登録制度は、所有者本人に所持許可を与えるものではなく、古式銃砲そのものを登録する仕組みです。通常の猟銃などでは公安委員会が所持者の適格性や用途を審査しますが、古式銃砲では、その銃が登録基準を満たしているかが審査されます。登録された古式銃砲は所有者が変わっても登録自体は有効で、譲渡や相続の際には所定の届出が必要です。

登録対象となる古式銃の年代は、日本製はおおむね慶応3年(1867年)以前に製造されたもの、外国製はおおむね同年以前に日本へ伝来したものが対象です。ただし、古ければ自動的に登録されるわけではなく、構造や製作年代に加え、美術的・骨董的・資料的価値なども含めて審査されます。

「文化財なら実銃を所持できる」わけではない

古式銃の登録制度は、文化財保護法による「重要文化財」「国宝」などの指定とは別の制度です。文化財に指定されているという理由だけで銃砲の所持が認められるわけではありません。銃刀法上の登録基準を満たし、登録証が交付されていることが必要です。

反対に、文化財として正式に指定されていない銃でも、美術品または骨董品として価値のある古式銃砲と認められれば登録の対象になります。つまり、一般に「文化財として所持できる」と表現されることがありますが、正確には「文化財的価値を持つ古式銃砲を、銃刀法上の登録を受けて所持できる」という制度です。

発射可能な状態でも登録対象になる

無可動銃と大きく異なるのは、古式銃砲では登録のために必ずしも発射機能を恒久的に破壊する必要がない点です。無可動銃は銃身の閉塞や機関部の加工などによって銃としての機能そのものを失わせますが、古式銃の登録は文化財的価値を持つ銃を保存するための制度であり、元の構造を残した状態のものも存在します。

ただし、登録証があることと、その銃を自由に発射できることは別問題です。登録はあくまで古式銃砲の所持を認めるものであり、実包や火薬類の所持、使用、運搬などにはそれぞれ別の法規制があります。「登録された古式銃だから自由に射撃できる」という意味ではありません。

どんな銃でも古ければ登録できるわけではない

登録対象となるのは、美術品または骨董品として価値のある古式銃砲です。単に製造年が古いだけで登録されるわけではなく、構造、製作年代、来歴、保存状態などを含めて審査されます。

そのため、近代的な拳銃を「古いから」「希少だから」「歴史資料だから」という理由だけで古式銃として登録することはできません。登録基準を満たさない銃は通常の銃刀法上の規制対象となり、登録証がないまま個人が保管することはできません。登録不可となった場合には、法令に従った処分や、一定の博物館等への寄贈などが検討されます。

よくある質問

日本では銃を使った事件は年間何件ありますか?

2025年に警察庁が「銃器発砲事件」として集計した事件は1件で、死者1人、負傷者0人でした。発砲事件は長期的に減少しており、2025年は平成以降で最少となっています。

発砲事件が1件なのに、なぜ拳銃が573丁も押収されているのですか?

発砲事件数と違法拳銃の押収数は別の統計だからです。2025年には拳銃573丁が押収され、このうち156丁はオークションサイトや掲示板などインターネット上の情報を端緒として押収されました。密輸、密造・改造銃、海外製の玩具と称した真正拳銃なども取締りの対象となっています。

日本で個人が銃を合法的に所持することはできますか?

一定の条件を満たせば可能です。狩猟、有害鳥獣捕獲、標的射撃などに使用する猟銃や空気銃は、都道府県公安委員会の所持許可を受けることで所持できます。銃1丁ごとに許可が必要で、講習、審査、射撃教習などの手続きがあります。

合法的に所持している銃はどのように保管しますか?

猟銃等は堅固なガンロッカーなどに施錠して保管し、適合する実包は別の装弾ロッカーで管理します。所持後も警察による検査が行われ、銃、許可証、使用実績、実包、保管状況などが確認されます。

無可動実銃とは何ですか?

実銃に恒久的な加工を施し、銃砲としての機能を完全に失わせたものです。警察庁では「無可動銃」と呼び、銃身の閉塞や機関部の作動不能化など、銃種ごとに定められた認定基準を満たす必要があります。

古式銃は日本でも個人で所持できますか?

美術品や骨董品として価値のある古式銃砲は、都道府県教育委員会の審査を受けて「銃砲刀剣類登録証」が交付されれば所持できます。これは所有者ではなく銃そのものを登録する制度で、譲渡や相続の際には所定の届出が必要です。

古式銃は何年以前に製造されたものが対象ですか?

日本製はおおむね慶応3年(1867年)以前に製造されたもの、外国製はおおむね同年以前に日本へ伝来したものが対象です。ただし、年代だけで登録されるわけではなく、構造や来歴、美術的・骨董的・資料的価値なども審査されます。

文化財に指定された銃なら自由に所持できますか?

いいえ。文化財保護法上の「重要文化財」や「国宝」の指定と、銃刀法上の登録制度は別です。文化財に指定されていても、それだけで銃砲の所持が認められるわけではなく、銃刀法上の登録または許可が必要です。

登録された古式銃は実際に発射できますか?

古式銃には発射機能を残した状態で登録されるものもありますが、登録証があるからといって自由に射撃できるわけではありません。火薬や実包の所持・使用・運搬には別の法規制が適用されます。

日本と米国の銃器統計はそのまま比較できますか?

単純比較はできません。日本の「銃器発砲事件」と米国のFBI「アクティブシューター事件」では定義が異なり、押収銃についても米国では回収・トレースされた銃器を中心に集計しています。数値を見る際は、それぞれの統計の対象と集計方法を確認する必要があります。

まとめ

日本では発砲事件そのものは長期的に減少していますが、違法拳銃の押収やネットを介した流通、密造・改造、自作銃などへの対策は現在も続いています。一方、合法的な猟銃や空気銃は、人物審査、銃ごとの許可、保管・運搬規制、定期検査によって継続的に管理されています。

実銃を発射不能にした無可動銃についても、単に撃てないだけではなく、銃種ごとの加工基準をすべて満たす必要があります。日本の銃器対策は、違法銃の摘発だけでなく、合法銃と無可動銃を含めた複数の仕組みによって成り立っています。

参考資料

日本国内

  • 警察庁「日本の銃器情勢(令和7年版)」
  • 銃器対策推進会議「令和7年度銃器対策推進状況」
  • 銃器対策推進会議「令和7年度銃器対策推進状況の概要」
  • 銃器対策推進会議「第二次銃器対策推進5か年計画」
  • 警察庁「猟銃・空気銃所持許可の初めて所持する場合/更新する場合」
  • 警察庁「猟銃等の所持許可のための用途及び使用実績の審査について(通達)」
  • 警察庁「無可動銃の認定基準について(通達)」
  • 文化庁「銃砲刀剣類所持等取締法」
  • e-Gov法令検索「銃砲刀剣類所持等取締法」
  • e-Gov法令検索「銃砲刀剣類登録規則」
  • TBS NEWS DIG「手製の拳銃のようなもので妻に発砲後自らも撃ったか 神奈川県大磯町の路上に停車中の車から高齢の夫婦が死亡しているのが見つかる 神奈川県警」
  • 読売新聞オンライン「路上に止めた軽の車内に頭から血を流して死亡している高齢夫婦、自作拳銃で無理心中か」

米国統計・比較資料

  • FBI「Active Shooter Incidents in the United States in 2025」
  • FBI「Active Shooter Incidents in the United States in 2024」
  • CDC/NCHS「FastStats – Injuries」
  • CDC「WISQARS」
  • ATF「Firearms Trace Data: United States and Territories – 2023 – Firearm Types Recovered and Traced」
  • ATF「Firearms Trace Data: United States and Territories – 2025」
  • ATF「National Firearms Commerce and Trafficking Assessment:Part V – Privately Made Firearms Updates and New Analysis」
  • ATF「Privately Made Firearms」
  • U.S. Department of Justice「Fact Sheet: Two Years of the Bipartisan Safer Communities Act」
  • U.S. Sentencing Commission「Quick Facts: Section 922(g) Firearms」
  • U.S. Customs and Border Protection「Weapons and Ammunition Seizures」
  • U.S. Department of Justice「International Gun Trafficking Conspiracy Dismantled」
  • U.S. Department of Justice「Edmond Man Sentenced to Serve 18 Months in Federal Prison after Machinegun Conversion Devices are Intercepted from Packages Destined for Oklahoma」
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