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知っておきたい銃の対人効果 ストッピングパワーとは?

ご質問を頂きました。

Man Stopping Powerという言葉が出てきましたが、この言葉の意味(定義)を教えてください。

これは接近してくる敵を衝撃で静止させる力という意味なのでしょうか?それとも単に敵を行動不能にさせる能力といった意味なのでしょうか?

単純にMan Stopping Powerと聞いた場合、映画の演出のように弾丸が命中した敵が後ろに吹っ飛ぶかのような印象を受けます。

実際に拳銃弾や小銃弾にそのようなエネルギーがあるのでしょうか。

もしそうなら射手も吹き飛ばされそうなものですが……。

ストッピングパワーについて解説します。

ストッピングパワーとは?

ストッピングパワー」とは、ターゲットとなる対象(人や動物など)の行動力を奪う力を指します。

つまり、被弾によって行動をストップさせる能力をストッピングパワーと呼びます。

例を挙げると、銃を持つ犯人が警察官に銃口を向けようとしたとき、警察官はこれに反応にして迅速に犯人の行動を停止させなければなりません。

このような一瞬の行動が生死を分ける状況において、相手の行動を阻止するために一定のストッピングパワーのある銃と弾薬が必要とされます。

しかし、ストッピングパワーは定量化できないため、これまでの研究で証明されたことがありません。

行動不能になる原因

ストッピングパワーは弾頭重量、弾速、口径、弾頭形状、弾頭構造、被弾箇所などによって異なるため、マグナム弾で効果がない場合もあれば、.22LRのような小さな弾薬で効果を発揮することもあります。

とはいえ、人間が被弾したとき、脳、心臓、脊髄などにダメージを負うと瞬間的に意識を失い、行動不能になります。

また、内臓に大きなダメージを負った場合では、その損傷範囲や広い場合や、損傷の状態が酷い場合は行動不能になるまでの時間が短くなる傾向があります。

一方、臓器や神経系へのダメージが軽微で、筋肉の損傷に留まる場合は行動力を奪うには不十分で、ストッピングパワーが発揮できません。

ストッピングパワーの強い弾薬の条件とは?

人間(動物)が被弾により行動不能に陥るには様々な要因があるため、ストッピングパワーの研究は難しいといえます。

しかし、人類の歴史上、どのような条件の弾薬のストッピングパワーが強く、行動不能にさせる効果を得られるかは経験的に知られています。

口径が大きいこと、弾速が速いこと、着弾時に弾頭が拡張し弾頭の運動エネルギーが体内で消費されること、行動不能にさせる箇所に命中させることは、高いストッピングパワーを得るための条件といえます。

なかでも、被弾箇所の違いは高いストッピングパワーを得るうえで最も重要と考えられています。

同じ弾薬を比較したとき、口径が大きく弾速が速い弾頭の方が高いストッピングパワーを得られる傾向がありますが、被弾箇所によってはその効果が得られない場合があります。

そのため、高いストッピングパワーを得るには高い命中率と致命傷となる部位に到達できる銃や弾薬が必要とされます。

口径が大きく弾速が速い方がストッピングパワーが大きいからといって、必ずしも強力な.44マグナムが効果的とはいえません。

相手を行動不能にさせるには適切な箇所に命中しなければ効果がないため、反動が強すぎず、ストレス状況下においても射手がコントロール可能な銃や弾薬が必要です。

銃で撃たれると後ろに飛ばされる?

映画では被弾して体が飛ばされるシーンがありますが、現実では飛ばされません。

なぜなら、弾頭と人間は質量差が大きいからです。

ボディーアーマーを着用した人間が被弾しても、後方へ押されることなく衝撃が拡散されます。

無重力の宇宙空間で銃を発射した場合、弾頭は高速で前方方向へ飛翔しますが、射手はゆっくり後方へ飛ばされます。

これは質量差が大きいことが原因で、弾頭が着弾した際も弾頭が持つ運動エネルギーと慣性力によって対象を飛ばすことはできません。

ビリヤードの球のように、同等の質量同士で運動エネルギーを効率よく伝達する条件があれば被弾によって飛ぶこともあり得ますが、現実はそうではありません。

また、被弾すると弾頭は進行方向へ運動エネルギーを伝えるだけではなく、被弾箇所の周囲に向かって拡散されるため、進行方向へ伝達する力は弱くなります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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