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G2R RIP ホローポイント弾

アメリカのG2リサーチ社の新製品であるホローポイント弾、RIP (Radically Invasive Projectile)が注目されています。RIPはラディカリー・インベイシブ・プロジェクタイルの略称ですが、日本語訳すると「徹底侵入弾」といったところでしょうか。英語でRIPは「引き裂く」や「激しく進む」という意味がありますが、同時に、R.I.Pは「Rest In Peace 安らかに眠れ」の略でもあるので、これらの意味を掛けているようです。

口径バリエーションは380ACP、9mm、10mm、357SIG、40S&W、45ACP、12ゲージスラグがあり、9mmの弾頭重量96グレインで初速は1265fps、マズルエナジーは370ft-lbfとなっています。通常の9mmより若干圧力が高いホットロードなので、リコイルも少し強くなっていると想像できます。レベルIIIAのボディーアーマーを貫通しないので通常のホローポイント弾と同様、合法であるのは間違いありませんが、着弾時に弾頭が八つに分裂して直径6インチ(約15cm)範囲の細胞組織を切り裂く効果が衝撃的に見えるためか、早速デイリーメールやワシントンポストなどマスコミの注目を集め記事にされています。KTWやブラックタロンのような末路にならなければ良いのですが。

通常のホローポイントが着弾時に拡張してダメージを増幅するのに比べ、RIPはフラグメンテーションを起こした八つの破片が周囲に散ることで損傷箇所を増やしダメージを与えられます。急所を外した場所に命中しても、上手くいけば破片により致命傷を与えられるかもしれません。細胞組織が破壊され、より多くの血管が損傷すれば出血も増えストッピングパワー増大に期待できるでしょう。本来、ホローポイント弾の常識としてジャケットとコアが分離するのはストッピングパワーを低下させるため好ましくありませんが、RIPは分離した破片の形状がシャープで直進性が高いところに優位性があり、硬く尖った破片は体内で長い距離を進むことができます。実際、G2Rはこの破片の形状に拘りを持っており、セールスポイントとしています。また、周囲に広がる破片とは別に、コアの部分の貫通力がバリスティックゼラチンで16インチ(約40cm)あるため、ガラスや薄い鉄板やベニヤ板などに命中しても粉砕されず、それらを貫通したあとも人体に対してダメージを与えられます。

G2リサーチ社が「ホームディフェンス用として開発した」と言う通り、細胞組織に対して有効で、かつ適度な貫通力を持ち合わせているようです。貫通力の高い弾は二次被害を引き起こしやすく、ホームディフェンス用として住宅地で使用されることに適していませんし、人体に対しては高いストッピングパワーを持つという意味で弾頭が持つエナジーを体内で使い果たされることが好ましいといえます。ただ、コストが高いのが難点。20発入ボックスの価格が44ドル(約4,500円)はホローポイントとしてはかなり高額です。私がアメリカで使用していたウィンチェスターの9mm JHPは20発入で13.99ドル(約1400円)だったので、44ドルと聞くと驚かされます。RIPは弾頭の製造にCNCマシンを使用して削りだしているので、工程を考えると仕方がない価格かもしれません。

追記:Q&A

非人道的な弾なのですか?

様々な意見があると思いますが、個人的には細かい破片が体内に残されて後遺症が残るストッピングパワーの低い弾は問題があると思います。ですがテストの結果を見る限りRIPは通常のホローポイント弾と変わらない効果を示しているので、非人道的だというのは疑問です。ピストル弾のRIPより通常のライフル弾の方が遥かにハイパワーで高いストッピングパワーを維持し、より大きな傷口を発生させますが、これらが非難されることはありません。

弾頭が開くタイミングはいつですか?

人体に進入後すぐに開き始めます。ホローポイント弾は種類によって開くタイミングが異なりますが、RIPは流体に対して開く設計であるので、衣服を貫通した後に人体へ進入し、弾頭が進む中で水分の多い細胞組織に押されながら徐々に弾頭が開いていきます。 開き終えた破片は千切れて斜め方向へ前進し、残されたコアが直進を続けます。

 

G2 Research
http://g2rammo.com/

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