ダブルアクションの銃にもマニュアルセーフティがあるのはなぜでしょうか?
ベレッタ92やS&Wクラシックオートなどダブルアクションにも拘らず手動セーフティが付いている場合がありますが、あれはなぜでしょうか?
携帯するにしてもSAオートと違ってトリガープルが重いので安全ですし、保管するにしても同様です。
どのような意図でダブルアクションの銃にも手動セーフティを付けるのでしょうか?
トリガープルの重さは安全と無関係です。しかし、セーフティは安全のために存在します。
セーフティとは?
銃のセーフティ(安全装置)は二種類存在し、インターナル・セーフティ(内蔵安全装置)とエクスターナル・セーフティ(外部安全装置)があります。
どちらも誤射や暴発事故を防ぐための安全装置ですが、手動で操作するセーフティはエクスターナル・セーフティで、セーフティーレバーなどを操作することでトリガーが引かれても発射しない状態となります。
一方、銃の内部に存在し、トリガーが引かれたときだけ作動する安全装置(ファイアリングピン・ブロック・セーフティなど)や、マガジンが挿入されたときだけ解除されトリガーが引けるようになる安全装置(マガジン・セーフティ)などがインターナル・セーフティと呼ばれます。
しかし、トリガープルの重さ、シングルアクション、ダブルアクションはいずれもセーフティの役割を果たさないため、セーフティとは関係ありません。以前に「NYPDがKahr K9ピストルを排除した理由とは?」の記事で触れましたが、法執行機関の人間でも「トリガーが重ければ安全」と誤った認識を持つなど、セーフティについて誤解されることが多いのは事実です。しかし、そのような認識はトリガーに触れる「言い訳」となり、「撃つ瞬間までトリガーガード内に指を入れてはいけない」という基本的なルールに反することになりかねません。
安全性をトリガープルの重さに頼るのは、却って暴発のリスクを高めます。
ダブルアクションとは?
ダブルアクションとは、トリガーを引くことでハンマーをコックしシアーを解放するという二段階の動作(アクション)を同時に行うため、ダブルアクションと呼ばれます。
一方、シングルアクションとは、トリガーを引いてシアーを動かしハンマーを解放させるという一段階の動作を行うため、シングルアクションと呼ばれます。
ダブルアクションは撃発までに二段階のプロセスがあり、シングルアクションは撃発までのタイムラグが短い点に注目してください。
シングルアクションのセーフティはより重要
ダブルアクション・リボルバーのほとんどにマニュアルセーフティが存在しないように、マニュアルセーフティが存在しないダブルアクション・ピストル/リボルバーは多く存在します。しかし、だからといってマニュアルセーフティが不要ということはありません。(理由は最後に述べます)
一方、シングルアクション・ピストルのマニュアル・セーフティはコック・アンド・ロック時に重要となります。ハンマーをコックした状態でシングルアクション・ピストルを携帯する場合、シアーの一点だけでハンマーを支えているため、何らかの衝撃等によってシアーがハンマーから外れてハンマーが落ちるリスクがあり、マニュアルセーフティはシングルアクション・ピストルでより重要な意味を持ちます。
ハンマーがコックされた状態はハンマースプリングが圧縮された状態を保持するため、暴発のリスクが高まります。安全性を考えた場合、ハンマーはコックされているよりレスト状態の方が安全といえるでしょう。

画像出典:sightm1911.com
コルト1911ピストルを例にすると、ハンマーをコックしマニュアルセーフティをオンにすると、マニュアルセーフティの一部がシアーの動きを妨害し、トリガーが引かれてもシアーが動けなくなることでハンマーの解放を阻止します。このセーフティは、マニュアルセーフティが動かない限り、銃を落下させたり衝撃が加わっても暴発を防ぐことができます。
マニュアルセーフティが必要な理由
セーフティはひとつより二つ、二つより三つの方が信頼性が高まります。
例としてベレッタ92FSでは、ハンマーとファイアリングピンの物理的接触を断つマニュアル・セーフティ、ハンマーがコック途中で落ちてもファイアリングピンに触れるのを防ぐハーフコック・セーフティ、ファイアリングピンの動きを制限するファイアリングピン・ブロック・セーフティが備わっています。
もし、ハーフコック・セーフティが何らかの理由で破損したとしても、ファイアリングピン・ブロック・セーフティが存在するため、衝撃等によりハンマーが落ちても暴発に至りません。このように、セーフティは二重三重に用意されることで信頼性を高めています。
マニュアルセーフティも同様に、誤ってトリガーを引いた際に暴発を防ぐことができます。ネイビーシールズやデルタフォース出身で銃に精通した人物をよく観察すると、彼らは常に撃つときだけセーフティ・オフにし、撃ち終わったらセーフティ・オンに切り替えています。これはハンドガンだけではなく、ライフルでも同じです。セーフティのオンオフを体に覚えさせ、安全性を確実にしています。
また、トリガーに指を触れなくてもトリガーが引かれる事故は起きます。木の枝、無線機、その他装備品等々、誤ってトリガーを引っ掛けてしまうことがあります。また、無意識の行動や、身体の反射運動によってトリガーを引いてしまうこともあるでしょう。そうしたリスクがある以上、マニュアルセーフティは暴発リスク軽減に重要な役割を果たします。軍や警察が銃にマニュアルセーフティが必須と要求しているのは、こうした理由があるためです。中にはマニュアルセーフティのない銃を採用することがありますが、その場合でも安全を担保できる機能が備わっているのがほとんどです。