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口径とは何か?44口径は何ミリ? 口径の測り方と基準を徹底解説

銃の画像

口径とは、どこのこと?

センチにするとどれくらい?

この記事では、銃の口径について解説します。

銃の口径とは?

1911ピストルの構造

口径とは、銃身(バレル)の内径です。

銃身とは、装薬の燃焼により発生した高圧ガスを利用し、弾頭を加速させるための筒状のパーツです。

銃身の先端部分を銃口(マズル)と呼び、後端部分をブリーチと呼びます。

銃の画像

銃身内部をボア(bore)と呼ぶことから、銃身の内径はボアダイアメーター(bore diameter)とも呼ばれます。

また、口径は英語で「キャリバー(caliber)」ですが、「ボア」と「キャリバー」の違いは後述します。

キャリバーの語源はギリシャ語の「kalapous」に由来し、「靴職人の足型」を意味します。これが後にアラビア語で「型」や「鋳型」を意味する「qālib」に変化し、16世紀に「口径」を意味するイタリア語の「calibro」やフランス語の「calibre」へと変化しました。

ライフリングの山(ランド)と谷(グルーブ)

銃身内部のライフリング 画像出典:MatthiasKabel

銃身内部を覗くと、ライフリングと呼ばれる溝が確認できます。

ライフリングは弾頭を回転させ、ジャイロ効果によって空中における弾の直進性を高めるために存在します。

古いマズルローダー(前装式銃)やショットガンにはライフリングが使用されないものが多いですが、高い命中精度を求められる銃の多くにはライフリングが備わっています。

ジャイロ効果とは、回転している物体が姿勢を保とうとする現象です。この現象により、外力が加わっても回転軸が安定しやすくなります。自転車やバイクの車輪が回転することでまっすぐ走りやすくなるのもジャイロ効果の一例です。

これは銃身(バレル)の断面図です。

ライフリング画像

対面する山の内径(図A)を山径 / ボアダイアメーター / ランドダイアメーターと呼びます。

対面する谷の内径(図B)を谷径 / グルーブダイアメーターと呼びます。

山は「ランド(Land)」、谷は「グルーブ(Groove)」です。

発射時には山径より大きい直径の弾頭が通過し、銅や鉛で構成された柔らかい弾頭はライフリングに食い込むことでライフリングの方向に沿って回転します。

先ほど「ボア」と「キャリバー」について触れましたが、ボアは山径を指し、主にライフリングが備わっていないショットガンなどで多く利用される用語です。

一方、口径を意味する「キャリバー」も同様に、一般的には「山径」を意味しますが、山径に限定される決まりはありません。

そのため、「山径」「谷径」「弾頭直径」のいずれも「キャリバー」として扱われる場合があります。

銃身を後ろから見たとき、進行方向に向かって右回転し、溝の数が6本の場合は「6条右回り」と表現されます。通常、ライフリングの回転方向は「右回り」がほとんどで、左回りはイギリスのライフル(エンフィールド)など、一部にしか存在しません。

インチ表示の口径

トーラスリボルバー画像

口径はメートルやインチで表記されます。

例えば、.38口径や.45口径は銃身の内径をインチで表しています。

インチ表示では100分の1インチ、1000分の1インチで計測されています。

  • .38スペシャル(.38口径)は、0.38インチ
  • .357マグナム(.357口径)は、0.357インチ
  • .44マグナム(.44口径)は、0.44インチ
  • .45ACP(.45口径)は、0.45インチ

しかし、弾薬の名称がそのまま口径を意味するほど単純ではなく、本当はもう少し複雑です。

.38スペシャルと.357マグナムは同じ口径

リボルバーの弾薬の画像

例を挙げると、.38スペシャルと.357マグナムは異なる弾薬で名称も異なりますが、どちらも同じ口径です。

そのため、.357マグナムリボルバーに.38スペシャルを装填し発射可能です。

.38スペシャルと.357マグナムの山径は0.346インチ(8.79mm)、谷径は0.355インチ(9.02mm)となります。

つまり、.38スペシャルと.357マグナムの実際の口径は、0.355インチ(9.02mm)です。

.38スペシャルと.357マグナムが同じ口径の理由

なぜ.38スペシャルと.357マグナムは同じ口径なのに、名称の数字が異なるのか?

この理由は、もともと.38スペシャルは「ヒールドブレット」だったからです。

ヒールドブレット(Heeled bullet)とは、弾頭と薬莢が同じ外径を持つという、古い設計の弾薬です。

ヒールドブレット画像
通常弾(左)とヒールドブレット(右)画像出典:Wikipedia

弾頭の後端が薬莢の厚みの分だけ小さくなっており、弾頭側面と薬莢側面の間に段差がない設計でした。

当時の.38スペシャルは0.38インチの弾頭直径があったものの、のちの時代にヒールドブレットを廃止。

0.355~0.358インチの弾頭直径に縮小され、「.38スペシャル」という名前だけが残ったという歴史的背景があります。

ちなみに「.38スーパー」も弾頭直径が0.356インチしかなく、これも同じ理由です。

現在ではヒールドブレットが少なくなりましたが、.22LR弾などでは現役で使用されています。

.44マグナムの口径は10.9mm

S&W29画像

.44マグナム(.44レミントンマグナム)の場合は、山径が0.417インチ(10.59mm)、谷径が0.429インチ(10.9mm)です。

つまり、.44マグナムの実際の口径は0.429インチ(10.9mm)です。

同じく.44口径の.44S&Wスペシャル弾も.44マグナムと同じ10.9mmが口径です。

口径は山径?谷径?

一般的に口径とは山径(ボアダイアメーター)を指します。

しかし、アメリカで開発された弾薬の多くは谷径が口径になり、なおかつアメリカで開発された弾薬でも山径を口径とする例外もあるため複雑です。

大雑把に「アメリカで誕生した弾薬は谷径が口径」「アメリカ以外の国で誕生した弾薬は山径が口径」と覚えると良いかもしれませんが、例外があることも念頭に置く必用があるでしょう。

7.62mmNATO薬莢画像

例を挙げると、アメリカ製の.308ウィンチェスター(7.62x51mm)というライフル弾の「.308」は、谷径の0.308インチ(7.82mm)を意味し、山径は0.3インチ(7.62mm)となり、谷径が口径です。

一方、.308ウィンチェスターと同サイズの7.62mmNATO弾は、山径が7.62mmで山径が口径です。

また、AK47などで使用されるロシア製の7.62x39mmは、山径が7.62mm、谷径が7.87mmとなり、山径が口径です。

このように、弾薬の名称(または公称の口径)は実際の口径とは異なることがあります。

弾薬公称の口径山径
(mm)
谷径
(mm)
弾頭直径
(mm)
.22 LR0.22インチ5.51 mm5.64 mm5.626~5.728 mm
.38 SPL0.38インチ8.79 mm9.02 mm9.017~9.093 mm
9×19 mm9 mm8.79 mm9.02 mm8.957~9.03 mm
.357マグナム0.357インチ8.79 mm9.02 mm9.017~9.093 mm
10 mmオート10 mm9.91 mm10.173 mm10.097~10.173 mm
.40 S&W0.4インチ9.91 mm10.173 mm10.097~10.173 mm
.44マグナム0.44インチ10.59 mm10.9 mm10.897~10.973 mm
.45 ACP0.45インチ11.23 mm11.43 mm11.405~11.481 mm
.223レミントン
(5.56×45 mm)
0.223インチ
5.56 mm
5.56 mm5.69 mm5.626~5.702 mm
5.56 mm NATO
(5.56×45 mm)
5.56 mm5.56 mm
(NATO規格)
5.69 mm
(NATO規格)
5.7 mm
(NATO規格)
.308 ウィンチェスター
(7.62×51 mm)
0.308インチ7.62 mm7.82 mm7.773~7.849 mm
7.62 mm NATO
(7.62×51 mm)
7.62 mm7.62 mm
(NATO規格)
7.82 mm
(NATO規格)
7.82 mm
(NATO規格)
7.62×39 mm7.62 mm7.62 mm7.92 mm7.85~7.9 mm

谷径より大きな弾頭直径の弾頭が発射される場合、弾頭は谷径のサイズまで圧縮されます。

7.62mmNATOと同サイズの.308ウィンチェスターは、7.62mmNATOよりも高圧です。.308ウィンチェスターの銃で7.62mmNATOを使用可能ですが、反対に7.62mmNATOの銃で.308ウィンチェスターは使用不可のため注意が必要です。

※以下の記事では45口径について触れており、「なぜ戦艦大和の主砲も.45口径?」などの疑問も解説しています。

9mm口径の銃は実際には8.79mm口径

9mm弾の画像

9mm弾(9x19mm/9mmルガー/9mmパラベラム)を例にすると、この弾薬を使用する銃の口径は「9mm」と呼ばれています。

しかし、実際のサイズは異なります。

9mmを使用する銃の口径(山径)は8.79mmで、弾頭の直径は公差を含めて8.957~9.03 mmになります。

谷径は9.02mm、山径は8.79mmとなり、そこを直径8.957~9.03 mmの弾頭が通過します。

9mmの場合、0.355インチ(9.017mm)や0.356インチ(9.0424mm)の弾頭が多く利用されています。

一般的に0.355インチの弾頭はFMJやJHPといった鉛のコアを銅のジャケットで覆った「ジャケッテッドブレット」で使用され、0.356インチの弾頭は鉛のみの「レッドブレット」で使用される傾向があります。

補足:ボアダイアメーター vs ランドダイアメーター

私自身、「ランド・ダイアメーター」と記述された日本語の資料を見た事がありませんが、NRA発行の「NRA Firearms Sourcebook」など、いくつかの英文資料でまれに見られます。

これは私見ですが、ライフリングの説明をする際に、「ボア・ダイアメーター」が山径であることを知らない人に対しても、「ランド・ダイアメーター」といえばどこを指すのかストレートに意味が通じるため、状況次第で多用されている呼び方だと思われます。

通常は、口径またはボアダイアメーターと呼ぶのが一般的でしょう。

ショットガンの口径

ショットガン(散弾銃)の口径は、ゲージ(gauge / 番)で分類されます。

一般的に多く利用される口径は次のとおり。

  • 10ゲージ(10番)
  • 12ゲージ(12番)
  • 16ゲージ(16番)
  • 20ゲージ(20番)
  • 28ゲージ(28番)

ゲージの場合、数字が小さいほど口径が大きくなります。

つまり、10ゲージは12ゲージよりも大口径です。

ゲージ内径 (mm)備考
1019.5大型獣狩猟に使用される
1218.5最も一般的で用途が広い
1616.8小動物猟やクレー射撃に使用される
2015.9小動物猟やクレー射撃に使用される
2814.2小動物猟やクレー射撃に使用される
.41010.467.5番ゲージ相当で.410口径とも呼ばれる

ゲージは、銃身の内径と同じ大きさの鉛球が何個で1ポンドの重さになるのかで決まります。

例えば、銃身の内径と同じ直径の鉛球が12個で重さ1ポンドになると、その銃身の口径は12ゲージです。

※1ポンド=453.592グラム

しかし、「.410」は例外で、410/1000インチ (約67.5ゲージ相当)となり、一般的には「.410」や「.410口径」と呼ばれます。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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