ご質問を頂きました。
44オートマグの質問です。
HIGH STANDARDやTDE、AMT、AとMを重ねたエンブレム・ロゴの物が、画像検索で4種類ほど確認が出来ました。
どの様な変遷を経て来たのかを知りたいです。
また、他にも、バリエーションが有りましたらお教えください。
オートマグの変遷について解説します。
オートマグとは?
オートマグとは、アメリカ・カリフォルニア州のガンスミス、ハリーサンフォード、マックスゲラ達によって開発されたステンレス製マグナムピストルです。
開発された1970年当時は「世界最強のピストル」と謳われました。
オートマグ専用弾である.44AMP(.44オートマグピストル)を使用し、AR-15のボルトに類似したロータリーボルトで閉鎖と解放を行い作動します。
ガス作動のAR-15とは異なり、反動利用方式のオートマグのボルトを後退させるには必要とされる質量が足りないため、ボルトの後退速度を向上させるアクセレレーターを内蔵しています。
またプロトタイプを開発する過程で二つのワルサーP38フレームを繋げるなど、ワルサーP38をイメージして開発されたため、オートマグの分解方法にワルサーP38との類似点が見られます。
オートマグは製造コストに見合わない217.5ドル(現在の約1,380ドル相当)という格安バーゲンプライスで発売され、「売れば売るほど赤字」という状態でした。今年のショットショー(SHOT 2018)では、オートマグ開発に携わったラリー・グロスマンが「あの価格はクレイジーだった」と振り返っていましたが、当時もオートマグ社の技術陣と社長であるハリーサンフォードの間で価格を巡って軋轢が生じ、技術者がオートマグ社を去る切っ掛けになっています。
(現在では中古でも2,000~4,000ドル以上で取引されています)
オートマグ社は2年あまりで倒産した短命企業でしたが、その後も複数の企業でオートマグが製造されました。また同時にカスタムモデルも多数製造されたため、多くのバリエーションが存在します。
銃身長は4.5インチから16.5インチまで製造され、口径バリエーションには.44AMP、.41JMP、.357AMPなどが存在します。
オートマグにはIからVまで存在しますが、今回は初代オートマグIのみ触れます。
オートマグIだけでも奥が深いので、できるだけ分かりやすく簡潔に解説したいと思います。
オートマグを製造した企業
オートマグ社はカリフォルニア州パサデナに設立され、ここで製造されたオートマグは通称「パサデナ・オートマグ」と呼ばれており、最も価値のある時代のオートマグとして取引されています。
オートマグ社倒産の後、トーマス・オイル・カンパニー社が工場設備などを買収し、TDE(トラスト・ディード・エステイツ)社を設立。
オートマグ開発者のハリーサンフォードは、TDE社でオートマグの製造を継続しました。
当初、TDE社はノースハリウッドに設立されましたが、大量のオーダーを受けるには工場が狭すぎると判断され、すぐにエルモンテに移転しています。
ここまでで製造されたモデルが、いわゆる「Aシリーズ」と呼ばれるオートマグであり、シリアルナンバーがAで始まっています。
そしてTDE社ではガンスミスのリージャラスによって、様々なカスタムモデルが製造されました。
TDE社はやがてハリーサンフォードの新会社であるOMC(オードナンス・マニュファクチュアリング・カンパニー)社と合併してTDE/OMCとなり、後にAMT社創設へ繋がります。
企業名と地名 | シリアルナンバー |
---|---|
AMC (Auto Mag Corp) (カリフォルニア州パサデナ) | Aシリーズ A0001 – A3300 |
TDE (Trust Deed Estates)(カリフォルニア州ノースハリウッド) | Aシリーズ A3400 – A05015 |
TDE (Trust Deed Estates) (カリフォルニア州エルモンテ) | Aシリーズ A05016 – A08300 |
TDE (Trust Deed Estates) (カリフォルニア州エルモンテ) | ハイスタンダード H1 – H198 他多数 |
TDE (Trust Deed Estates) (カリフォルニア州エルモンテ) | リージャラスカスタム LEJ1X – LEJ100X (.44AMP) LEJ001 – LEJ100(.41JMP) LEJ001 – LEJ100(.357AMP) |
TDE/OMC (Trust Deed Estates / Ordnance Manf Corp) (カリフォルニア州エルモンテ) | Bシリーズ B00001 – B00370 |
AMT (Arcadia Machine & Tool) (カリフォルニア州アーウィンデール) | Cシリーズ LAST1 – LAST50 (計50丁) |
AMC (Auto Mag Corp) (カリフォルニア州コビナ) | 不明 |
AM (Auto Mag) (カリフォルニア州アーウィンデール) | 不明 |
AM (Auto Mag)(サウスダコタ州スタージス) | 不明 |
Auto Mag Ltd. Corp. (サウスカロライナ州ロリス) | 不明 |
Excell Arms (アリゾナ州ブルヘッド)(カリフォルニア州オンタリオ) | 不明 |
モデルナンバーの違い
オートマグのモデル名には「オートマグ180」と「オートマグ160」があり、モデル180は弾薬に.44AMPを使用し、モデル160は.357AMPを使用します。
しかし、TDE/OMCが製造したBシリーズのオートマグでは、モデルナンバーを180から280へ、160から260へ変更しました。
そのため、.44AMPのオートマグ280と、.357AMPのオートマグ260も存在します。
また、リージャラスによるカスタムモデルをシリーズ展開し、モデル100、モデル200、モデル300、モデル400、モデル500、モデル600を製造しました。
オートマグはいつ誰が作ったのか?
オートマグの主要開発者と開発の経緯は以下の通りです。
ハリー・サンフォード(Harry W. Sanford)
オートマグ開発者。
カリフォルニア州パサデナのガンショップオーナーであり、後にオートマグ社、OMC社、AMT社を創設。
採算の取れない価格でオートマグを販売し、オートマグ開発技術陣と対立したが、経営が苦しい状態でも社員をクビにすることはなかった。
ラリーグロスマン曰く、「賢い経営判断ではなかったが、それが彼のやり方だった」
また大の射撃好きで、ほとんど毎日射撃場に通っていた。
マックス・ゲラ(Max Gera)
イタリア・ベニス出身の移民アメリカ人でガンスミス。
パックマイヤー社に入社するも社長から屈辱的扱いを受け退社。
ガンスミスを探していたハリーサンフォードの元で働くこととなり、オートマグのプロトタイプを製造するが、やがて出資者やハリーサンフォードに不満を持ち独立。
その後、ガンスミスや自動車販売業に就くが、1989年から妻子を捨て行方不明になり、2009年に発見され妻子と再会した。
リー・ジャラス(Lee E. Jurras)
フロリダ州のイチゴ農家に生まれた元海兵隊員。
高速ピストル弾のスペシャリストであり、弾薬メーカー「スーパーベルコープ」社長。
ハリーサンフォードと協力し、.41JMP(ジャラス・マグナム・ピストル)の開発、及びカスタムモデルの製造販売に尽力。
南アフリカでオートマグを使用したハンティングを行うハンターでもあり、銃器専門誌で執筆した。
マーク・ローベンデール(Mark Lovendale)
オートマグ社の開発技術陣リーダー。
マックスゲラのクロモリスチール製プロトタイプを元にステンレス製オートマグを製造。
1970年10月~1971年1月にオートマグ社の副社長を務めた。
ラリー・グロスマン(Larry Grossman)
元AMT社のガンスミスでオートマグシリーズ(II~V)の設計者。
俳優クリントイーストウッドに贈られたカスタムオートマグ「クリント1」の空砲バージョン「クリント2」を製造し、映画「ダーティハリー4」で使用された。
2018年現在はエクセルアームズ社で新型オートマグの開発を行っている。
ケント・ロモント(Kent Allen Lomont)
インディアナ州、ロモント・プレシジョン・ブレット社社長。
アメリカのマシンガン界で有名なClassIIIディーラーであり、.30LMP(ロモント・マグナム・ピストル)の開発者。
ハリーサンフォードと共にカスタムオートマグの開発に携わった。
オートマグ年表
1958年 | ハリーサンフォードが新弾薬.44AMP(.44オートマグピストル)を開発 |
1963年 | リージャラスがスーパーベルコープ社(Super Vel Corp)をインディアナ州に創設 |
1965年 | ハリーサンフォードがオートマグピストルの開発を始める |
1968年 | シングルショット試製オートマグを製造 ガンスミスのマックスゲラがパックマイヤー社に入社するも同年退社し、 ハリーサンフォードのガンショップに入社、オートマグ開発に携わる |
1969年 | 装填と排莢を行えるボルトを持つ試製オートマグを製造 |
1970年 | ハリー・サンフォードがカリフォルニア州パサデナにオートマグコーポレーション社創設 同年3月、銃器専門誌「Guns & Ammo」でジェフクーパーがオートマグを紹介するが、 マガジンは未完成だった |
1970年10月 | マックスゲラが投資家やハリーサンフォードへの不信によりオートマグ社を退社し、 ガンショップ「ゲラ・アームズ」を開店(翌年閉店) |
1971年8月8日 | オートマグ発売 |
1972年 | ノースハリウッドガンズ社の協力によって.357AMP開発 |
1972年5月3日 | 経営方針を巡る社内の対立や投資家の引き上げによってオートマグコーポレーション社倒産 トーマス・オイル・カンパニー社が工場設備と約5000丁分のパーツを買収し、 TDE社(トラスト・ディード・エステイツ)を創設 TDEでオートマグが製造されるなか、ハリーサンフォードは1996年までオートマグパーツ販売を継続(TDEは約4900丁製造) |
1972年9月 | .45ACPモデルの発売を予定していたが、発売されなかった |
1974年 | ハリーサンフォードがスーパーベルコープ社社長のリー・ジャラスに協力を要請 同年スーパーベルコープ社廃業 1974~1976年にリージャラスによって約1100~1200丁のオートマグを販売 リージャラスがオートマグ愛好家のクラブ「Club de Auto Mag International」を創設 (同年4月から月刊会報誌を発行し、1975年には会員数700人まで成長) |
1974年4月 | ハイスタンダード・ファイアーアームズ社(テキサス州ヒューストン)の依頼により 同社ロゴ入りオートマグを製造 (シリアルナンバー「H」で始まる) |
1976年 | アメリカ独立200周年記念モデルを限定100丁製造 (シリアルナンバー:USA001~) |
1977年 | ハリーサンフォードがAMT(アルカディア・マシン&ツール)社創設 |
1980年7月 | AMT社によって.45WinMag対応バレルを試作 |
1980年8月28日 | 俳優クリントイーストウッドがハリーサンフォードから贈られたカスタムオートマグ 「クリント1」の礼状を送る |
1982年 | オートマグ製造終了 |
1983年12月8日 | クリントイーストウッドに贈られたカスタムモデル「クリント1(クリント2)」が 映画「ダーティハリー4」(原題 Sudden Impact)に登場 |
1985年 | ハリーサンフォードとラリーグロスマンによってAMTオートマグIIを開発 |
1989年 | AMT社(カリフォルニア州コビナ)倒産により同州アーウィンデールのIAI (アーウィンデール・アームズ・インコーポレイテッド)社が買収 |
1992年 | AMTオートマグIIIおよびIV発売 |
1993年 | AMTオートマグV発売 |
1996年 | 急性心不全によりハリーサンフォード死去(享年65歳) |
1998年 | サウスダコタ州のガレナインダストリーズ社(Galena Industries)がIAI社を買収 |
2000年 | ガレナインダストリーズ社がオートマグの再販を発表 限定1,000丁のハリーサンフォード記念モデルが製造された |
2001年 | IAIによるAMTブランド銃器製造終了 |
2002年7月25日 | ガレナインダストリーズ社がAMT銃器製造設備やパーツをオークションで売却 (ハイスタンダード・ファイアーアームズ社がAMTブランドの製造販売を継続) |
2012年1月27日 | ケントロモント死去 |
2015年8月 | オートマグ社(Auto Mag Ltd. Corp/サウスカロライナ州)創設 ハリーサンフォードの息子ウォルターサンフォードからオートマグ社にすべての権利を売却 |
2017年4月24日 | リージャラス死去 |
2017年? | エクセルアームズ社(ラリー・グロスマン)がオートマグを製造することにオートマグ社が合意 |
2018年1月23日 | エクセルアームズ社がショットショー(SHOT 2018)でオートマグを公開 |
2018年5月 | ハイスタンダード・ファイアーアームズ社倒産 |
先ほど「オートマグはハリーサンフォードとマックスゲラ達によって開発された」と申しましたが、実は誰のアイディアでオートマグが開発されたのかハッキリしていないところがあります。
1970年3月のGuns & Ammo誌では、マックスゲラがオートマグの開発者として紹介されました。
しかし、ロータリーボルトをピストルに使用するアイディアについて、マックスゲラは「これは自分のアイディアであって、ハリーは関与していない」と述べる一方、ハリーサンフォードの家族は「ハリーのアイディア」と述べています。
オートマグの最終的な特許情報を見ると、そこにマックスゲラの名前はないのでマックスゲラの作品とは言えないように見えますが、マックスゲラはオートマグの特許出願前に退社しており、タイミングが悪く名前が載らなかったとも見られます。
オートマグの特許を取得したのはハリーサンフォードであり、一般的にオートマグを紹介する際には「開発者はハリーサンフォード」と紹介されますが、マックスゲラの存在も重要だったといえるかもしれません。
オートマグの刻印(マーキング)
オートマグはカスタムモデルも多数製造されたため、様々な刻印が存在します。
ここでは、そのなかの一部をご紹介します。
Pasadena, California
カリフォルニア州パサデナで製造されたオリジナルの刻印
オートマグのAMロゴが確認できます。
TDE North Hollywood
アドレスがノースハリウッドになっている、TDE社による初期のオートマグです。
TDEは後にエルモンテへ移転しました。
矢印のTDEロゴが確認できます。
TDE, El Monte, California
移転後にカリフォルニア州エルモンテで製造されたTDE社製オートマグ。
TDEオートマグでは、ケント・ロモントによるカスタムオートマグも製造され、口径ごとに以下の動物のロゴマークが使用されています。
- ウッドチャック(.22LMP)
- キツネ(.25LMP)
- クーガー(.30LMP)
- アンテロープ(.357AMP)
- グリズリー(.41JMP)
- バイソン(.44AMP)
TDE BICENTENNIAL
自由の鐘(リバティ・ベル)が刻印されたアメリカ独立200周年記念モデル。
TDE, El Monte, California, High Standard
ハイスタンダード社の依頼によりTDE(エルモンテ)で製造された同社ロゴ入りオートマグ。
レシーバーの右側にTDEのロゴが入っています。
TDE, El Monte, California, Lee Jurras
TDE(エルモンテ)で製造された、リージャラスの手によるカスタムオートマグ。
リージャラスのトレードマークである「ライオンヘッド」のロゴが入っています。
TDE / OMC, El Monte, California
TDE/OMC社によるオートマグで、OMC社(オードナンス・マニュファクチュアリング・カンパニー)のロゴが入っています。
いわゆる「Bシリーズ」オートマグです。
「ソリッドボルト・オートマグ」とも呼ばれますが、例外的にソリッドボルトではないモデルもBシリーズに含まれるため一概に言えません。
AMT, Covina, California
50丁製造されたAMT社製オートマグ(Cシリーズ)。
コビナで製造され、アーウィンデールで組み立てられたオートマグです。
クリントイーストウッドに贈られたクリント1はAMTのロゴが入っています。
AMC, Covina, California
AMC社製オートマグ。
AMTオートマグと同じく、コビナで製造されアーウィンデールで組み立てられたオートマグです。
以上がハリーサンフォード存命中に製造されたオートマグです。
以下はハリーサンフォードの死後(1996年以降)に製造されました。
HARRY W. SANFORD Pasadena, California
ハリーサンフォードのサイン入り記念モデル。
木製化粧箱入りで限定1,000丁製造されました。
この他、アーウィンデールで製造された「AM, Irwindale, California 」と、カリフォルニア州エスペリアや、サウスダコタ州スタージスで製造された「AM, Sturgis, South Dakota」のオートマグが存在します。
AM Classic Edition
2015年にサウスダコタ州で設立されたオートマグ社による復刻オートマグです。
素材を416ステンレスから410ステンレスへ変更し、オリジナルの時代には無かったCNCマシンやCADを駆使して、マガジンなどあらゆるパーツを更新しています。
オプションとしてアンビセイフティレバーも用意されており、銃身長は6.5インチおよび8.5インチ、口径バリエーションは.44AMP、.357AMP、.45win-magとなっています。
また、設計に使用されたCADなどのデータは、ゲーム会社にも提供されました。
(GTA IV、マフィアIII、バイオハザード7など)
2018年のショットショー(SHOT 2018)で公開されたエクセルアームズ社の黒いオートマグ。
ブースにはラリーグロスマン本人が立ち、プロモーションが行われました。
オリジナルのステンレスシルバーモデルの他、セラコートフィニッシュなど複数のバリエーションが用意されていますが、オリジナルではバレルに溶接されていたベンチレーテッドリブが、今回はバレルと一体の削り出しになっています。
価格帯は約3,400~3,700ドルになるとのことです。
オートマグの口径と使用弾薬
.44AMP(.44 Auto-Mag)は、ライフル弾の.308ウィンチェスターや.30-06のケースを33mmにカットし、.44マグナムの弾頭を装填しています。
.357AMP(.357 Auto-Mag)は、.44AMPをネックダウンして.357マグナムの弾頭を装填しています。
どちらの弾薬も製造メーカーが少なく、流通量は多くありません。
流通量が増えなければ価格も高額となり、さらに流通量が増えないという悪循環が.44AMPをメジャーな存在にできなかった原因でもあります。
そのためオートマグの所有者は自分で弾を製造する「リローダー」が多く、RCBSなどから発売されているリローディングダイを使用して製造するのが一般的です。
.44AMPや.357AMPの弾道は、マグナムピストル用カートリッジとしては比較的フラットで、ハンドガン・ハンティング用としても優秀な性能を持ち合わせています。
ドロップ比較(参考値)単位=インチ
弾薬 | 弾頭重量 gr | 初速 fps | 100 ヤード | 200 ヤード | 300 ヤード |
.44AMP | 200 | 1800 | 6.3 | 30.7 | 82.7 |
240 | 1600 | 8.2 | 43.0 | 100 | |
265 | 1500 | 9.6 | 46.9 | 105 | |
.44マグナム | 240 | 1180 | 11.6 | 57.1 | 144.8 |
.357AMP | 100 | 2650 | 3.3 | 19.6 | |
125 | 2300 | 4.5 | 25.7 | 63 | |
137 | 2200 | 4.1 | 20.2 | 55.8 | |
158 | 2000 | 5.3 | 26.7 | 63 | |
.357マグナム | 158 | 1234 | 10.9 | 55.5 | 143.4 |
※銃身長8.5インチの弾道データです。
弾速とマズルエナジー比較(参考値)
弾薬 | 弾頭重量 | 初速 | マズルエナジー |
.44AMP | 240 gr | 1600 fps | 1364 ft-lbf |
.44マグナム | 240 gr | 1230 fps | 806 ft-lbf |
.41JMP | 110 gr | 2500 fps | 1527 ft-lbf |
.357AMP | 158 gr | 2000 fps | 1404 ft-lbf |
.357マグナム | 158 gr | 1240 fps | 540 ft-lbf |
9x19mm | 115 gr | 1180 fps | 356 ft-lbf |
.45ACP | 230 gr | 890 fps | 405 ft-lbf |
.50AE | 300 gr | 1475 fps | 1449 ft-lbf |
.500S&W | 350 gr | 1400 fps | 1523 ft-lbf |
.44AMPの弾速 (銃身長8.5インチ)
弾頭重量 | BC※ | 初速 fps | 100 ヤード | 200 ヤード | 300 ヤード |
---|---|---|---|---|---|
200 | 0.153 | 1800 | 1390 | 1120 | 970 |
240 | 0.173 | 1600 | 1290 | 1080 | 960 |
265 | 0.193 | 1500 | 1220 | 1050 | 960 |
※BC = 弾道係数
.357AMPの弾速 (銃身長8.5インチ)
弾頭重量 | BC | 初速 fps | 100 ヤード | 200 ヤード | 300 ヤード |
---|---|---|---|---|---|
100 gr | 0.91 | 2650 | 1750 | 1150 | 920 |
125 gr | 0.122 | 2300 | 1680 | 1220 | 980 |
137 gr | 0.15 | 2200 | 1730 | 1340 | 1080 |
158 gr | 0.183 | 2000 | 1620 | 1310 | 1080 |
.41JMPの弾速 (銃身長10.5インチ)
弾頭重量 | BC | 初速 fps | 100 ヤード | 200 ヤード | 300 ヤード |
---|---|---|---|---|---|
110 gr | 0.256 | 2500 | 2170 | 1870 | 1600 |
130 gr | 0.292 | 2200 | 1930 | 1690 | 1480 |
.41JMP(ジャラス・マグナム・ピストル)は、リージャラスが開発した弾薬です。
オートマグは「オートジャム」?
「オートマグはジャムが多いためオートジャムと呼ばれた」と語られることがあります。
実銃に詳しい方なら理解されていると思いますが、ジャムの原因はひとつとは限らず、様々な要因によって発生します。
装薬量、弾頭重量、弾頭の種類、マガジンリップの角度、マガジンスプリング、マガジンフォロアー、フィードランプ、スライド、リコイルスプリング、グリップの強さ・・・等々、ジャムの原因となる条件や問題点は様々です。
オートマグも同様に、条件が良ければジャムは少なく、その逆もあります。
ただ、オートマグにはオートマグに起こりやすい特有のジャムもあります。
オールステンレス製の銃が市場に登場したのは1965年のS&W M60が初と言われていますが、当時は技術的にステンレス加工が困難であり、オートマグも製造に苦心したようです。
ステンレス製ピストルの経験がない時代であり、やがてステンレス製のスライドやボルトとフレームを組み合わせた際、使用するガンオイルによっては潤滑作用が失われ摩擦が大きくなることも知られるようになりました。
オールステンレス製のオートマグを快調に作動させるにはオイルも重要となり、ステンレス対応オイルを使用することが望ましいといえます。(2015年以降のオートマグはステンレスの種類を変更することで作動がスムーズになっています)
また、2015年にオートマグ社がオートマグを設計する際、最も大きく更新されたパーツのひとつがマガジンでした。
オートマグのオリジナルマガジンは現代の水準と比較すると決して良いとは言えず、弾の先端(弾頭)がマガジン内に沈み込む「ノーズダイブ」が起きたり、ボルト前進時にボルトフェイスが弾薬を上手く拾えないこともあります。
そこで2015年版オートマグではマガジンを更新し、従来より高い位置でマガジンリップが弾薬を保持することにより、ボルトフェイスが弾薬を押して浅い角度で薬室内に装填されるよう変更されています。
また、マグナムピストルのジャムでありがちなのが、グリップの甘さです。
特にオートマグでは反動を利用してボルトを後退させる機構上、片手で射撃したり、甘いグリップで射撃すると、反動によるフレームの後退によってボルトの後退量が相殺され、ジャムが発生しやすくなります。
オートマグは条件次第で「オートジャム」ですが、オートマグの特性を知り、適切に使用すると快調に作動するピストルといえます。
あとがき
今回の記事のため、1970年代のGuns & Ammo誌など様々な古い資料を読み返しました。
いつもは長い記事でも三日以内に書き終えるのですが、今回は一週間以上かけてしまい、ほとんどの時間を読書に費やしてしまいました。
しかし私にとってオートマグは特別で、子供の頃に東京マルイのエアコキオートマグを手にしたことが銃に興味を持つキッカケとなったこともあり、今回は普段より情報量多めになっています。
個人的にはオートマグというピストルだけでなく、その開発を巡る人間ドラマの部分にも興味を持っているのですが、そこに触れると長くなるので今回は割愛しました。
マックスゲラのエピソードや、その周囲の人々の交流、リージャラスのオートマグ・ハンティングの話なども面白いので、いつか機会があればご紹介したいと思います。
オートマグのスペック
口径 | .44AMP 10.74x33mm(1958年~) .357AMP 9x33mm(1972年~) .41JMP 10.41x33mm(1974年?~) .475 Auto Mag(試製) .45ACP(試製) .45ACP Magnum(試製) .45 Win Mag .40KMP(キンセル・メイナード・ピストル) .300AMP.30LMP(ロモント・マグナム・ピストル) .25LMP.22LMP |
作動方式 | ショートリコイル |
銃身長 | 6.5インチ(オリジナルモデル) 4.5~16.5インチ(カスタムモデル) |
全長 | 11.5インチ (292mm) |
重量 | 1.62 kg(.44AMP) 1.53 kg(.357AMP) |
装弾数 | 7+1発 |
材質 | ステンレス ポリウレタン(グリップパネル) |
グリップ | ブラックプラスチック カスタムウッド |
ライフリング | 8条右 |
ツイストレート | 1:18 |
ランド幅 | 0.0467インチ(.44AMP) 0.052インチ(.357AMP) |
グルーヴ幅 | 0.119インチ(.44AMP) 0.090インチ(.357AMP) |
グルーヴ深さ | 0.004インチ |
サイト | アジャスタブル・ターゲットサイト |
フィニッシュ | ポリッシュド・ブルバレル マットフレーム |
製造年 | 1970年~1982年 2015年~ |
製造数 | 約9,000丁 |
価格 | 217.5~275ドル(1970年代当時) 225ドル(.45ACPモデル予定価格/1972年当時) 3,499ドル(2015年モデル) 約3400~3700ドル(2018年モデル) |
開発者 | ハリー・W・サンフォード |
特許番号 | US3780618A |
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