7.62mmライフルは本当に「精度が落ちやすい」のか?

HK G3とM16A2の画像
H&K G3バトルライフル(上)とM16A2アサルトライフル(下) 画像出典:Armémuseum (The Swedish Army Museum)andHarald Hansen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

7.62mm口径のライフルが「精度を失いやすい」と言われることがあります。

しかし、これは口径そのものの問題ではありません。精度低下の原因は、バレルの摩耗、熱、弾薬の品質、そして銃の設計にあり、過酷な使用環境ではどの口径でも起こり得ます。

通常のセミオート射撃であれば、7.62×39mmや7.62 NATOライフルは数万発にわたり実用精度を維持することが可能です。


目次

精度が落ちる本当の理由

AK47とM16画像
AK47とM16 画像出典:Auge=mit, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • バレル摩耗と発射数
    高熱と高発射数は薬室付近やライフリングを摩耗させ、集弾性能を徐々に悪化させます。特にフルオート射撃では摩耗が加速します。軍用の7.62×39mm AKタイプでは、セミ / フル混合使用でおよそ3〜5万発が寿命とされ、集弾が「戦闘で許容される精度」を超えた時点で交換対象となります。
  • 持続射撃による熱影響
    バレルが熱を帯びると膨張や銃床との干渉で着弾点が変動し、グルーピングが広がります。特にAKや初期の7.62mm NATOバトルライフルに多い細身のバレルでは顕著です。これは冷却後に回復する一時的な精度低下であり、長期的な摩耗とは区別されます。
  • プラットフォームと弾薬の質
    「7.62×39mmは不正確」とされる評判は、薄いバレルや粗い公差、簡素な照準器を備えた典型的なAKの設計、そして安価な弾薬に起因することが多いです。良質な銃とマッチグレード弾薬を組み合わせれば、7.62×51mm NATOは数百メートル先でも高精度を維持できるため、現在でもマークスマンライフルや狙撃銃に採用されています。

7.62mmと5.56mmの比較

ライフル弾比較画像
5.45x39mm 5.56x45mm 7.62x39mm 7.62x51mm 7.62x54mmR
  • 反動と制御性
    7.62mm NATOバトルライフルをフルオートで撃つと反動が大きく、命中率は軽量な5.56mmライフルより低下しがちです。そのため多くの軍隊は7.62mm NATOをセミオート主体とし、フルオートは小口径に任せる運用を選びました。
  • バレル寿命の傾向
    高速・高圧の小口径弾に比べ、7.62×39mmのような中圧弾はバレルへの負担が少なく、乱用しなければ長寿命です。逆に高強度の装薬や過酷な射撃スケジュールは、口径に関わらず寿命を縮めます。

まとめ

7.62mmライフルが「精度を失いやすい」というのは誤解です。

精度低下は口径ではなく、使用環境と設計に左右されます。適切なメンテナンスと常識的な射撃ペースを守れば、7.62×39mmも7.62 NATOmmも長期間にわたり実用精度を維持できます。

参考文献:

  • Primary Arms Blog – AR-15 Barrel Replacement Guide
  • Reddit – How many rounds before AK accuracy drops?
  • Wikipedia – 7.62×51mm NATO
  • Reddit – Why is 7.62×39 regarded as inaccurate?
  • Ammoman Blog – AK-47 Accuracy
  • YouTube – AK Accuracy Test
  • YouTube – 7.62 NATO Battle Rifle Control
  • Army University Press – Battle Rifle vs Small Caliber Analysis
  • U.S. Marines Field Manual – Infantry Rifle Platoon and Squad
  • YouTube – 7.62 Rifle Shooting Demonstration

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