
世界に存在する弾薬は数千種以上にのぼります。
しかし、すべてを網羅的に解説するのは現実的ではありません。
そこでこの記事では、代表的な拳銃弾を厳選して解説します。
※記事の最後に専門用語解説を掲載しています。
簡易版の弾薬一覧とライフル弾の詳細版はこちらを御覧ください。
標準的な自動拳銃用弾薬
汎用性が高く、世界的に広く使用されている自動拳銃(セミオートピストル)用の弾薬群です。
.32 ACP(7.65×17mmSR)

| 弾頭重量 | 60~73 gr |
| 初速 | 約900~950 fps |
| マズルエナジー | 約130~140 ft-lbf |
| 薬莢長 | 17.3 mm |
.32 ACP(Automatic Colt Pistol)は、ジョン・ブローニングが1899年に設計した小型拳銃用のセンターファイア式弾薬で、主にブローバック式自動拳銃向けに開発されました。全長25mm、弾頭径7.94mmで、セミリムド・ストレート型ケースを採用しています。初期にはFN M1900やコルトM1903などに使用され、世界中の軍・警察で広く使用されました。
- センターファイア式
- 撃発装置が弾薬のケース中心部を叩いて発火するしくみです。
- 現代のほとんどの火薬式弾薬で採用されています。
- ブローバック式(ブローバック)
- 発射の反動でスライドやボルトを後退させて排莢と装填を行う作動方式です。
- 構造が単純で小型のセミオートピストルで多く使われます。
- セミリムド(半縁付き)
- 弾底の直径よりもリム(起縁)がわずかに張り出した形状の薬莢です。
- リムド(起縁式)弾薬に比べ、自動火器での給弾不良(ジャム)を減らす目的で設計されました。
- エキストラクター(抽筒子)が薬莢を確実に掴める利点を保ちつつ、リムレス(無起縁)に近いスムーズな作動性を目指したものです。
- ストレート型ケース(直筒型ケース)
- ケース(薬莢)の側面がほぼ一直線の形状を指します。
- 装填や排莢が安定しやすい形です。
軽量で反動が少なく、近距離での命中精度が高いため、コンシールドキャリー(隠匿携帯)用途に適しています。ストッピングパワー(対象を即時無力化する能力)に関しては議論があるものの、実戦での使用実績も豊富です。ジェームズ・ボンドが使用するワルサー PPKが.32 ACPを採用していたことから、一般認知度が高まりました。
米国ではSAAMI規格により最大圧力20,500 psiと定められていますが、ヨーロッパではCIP規格により23,000 psiまで許容されており、欧州製弾薬の方が高初速になる傾向があります。代表的な弾種には、60gr JHP(初速1,100 ft/s)、71gr FMJ(984 ft/s)、75gr +P(1,150 ft/s)などがあり、銃身長によって性能が大きく変化します。
- SAAMIとCIP
- 銃弾の最大許容圧力や寸法を定め、安全と互換性を保証する標準規格です。
- SAAMI: 米国の業界団体による規格。
- CIP: ヨーロッパ諸国を中心とした国際的な公的機関による規格。
- gr(グレイン)
- 弾頭や火薬(装薬)の重さを示すために使われる質量の単位です。
- 1 grは約0.0648グラムに相当し、銃弾の性能を表す上で指標となります。
.32 ACPは、多くの拳銃に採用されており、近年では軽量ポリマー製のサブコンパクトピストルにも広く使われています。ヨーロッパでは「7.65mm ブローニング」として知られ、民間・法執行機関での使用が一般的です。
- .32ACPを使用する銃の例:
- FN ブローニング M1900(FN Browning Model 1900)
- FN ブローニング M1910(FN Browning Model 1910)
- コルト M1903(Colt Model 1903 Pocket Hammerless)
- ワルサー PP(Walther PP)
- ワルサー PPK(Walther PPK)
- SIG P230
- CZ 83
- アストラ 300(Astra 300)
- ベレッタ M1935(Beretta Model 1935)
- マウザー HSc(Mauser HSc)
- KelTec P32
.380 ACP(9x17mm)

| 弾頭重量 | 85~100 gr |
| 初速 | 約850〜1,100 fps |
| マズルエナジー | 約170~220 ft-lbf |
| 薬莢長 | 17.3 mm |
.380 ACPは、1908年にジョン・ブローニングによって設計され、コルト社が製造を開始した小型拳銃用のリムレス・ストレート型弾薬です。弾頭径は約9mm(.355インチ)で、主にブローバック式の小型ピストルに使用されることを想定して開発されました。低反動で構造が簡素なため、固定バレル式の設計が可能となり、命中精度が高く、製造コストも抑えられます。
- リムレス
- 薬莢のベース(弾底)とリム(起縁)の直径がほぼ同じである薬莢です。
- この設計の最大の利点は、マガジン内でのスタッキング(積み重ね)と自動火器での給弾が非常にスムーズであることです。
- 現代の自動拳銃やライフルなど、自動火器用弾薬の主流となっています。

第二次世界大戦前にはチェコスロバキア、ハンガリー、イタリア、オランダ、ユーゴスラビアなど複数の国で軍用拳銃の標準弾薬として採用され、ドイツでも広く使用されました。戦後は9×19mmパラベラムに置き換えられましたが、民間市場では現在も人気があり、特に隠匿携帯用の自衛用ピストルとして広く使われています。
弾頭重量は85〜100グレインが主流で、初速は約980〜1280 ft/s、マズルエナジーは約190〜337 ft⋅lbfと幅があります。用途に応じて貫通力や拡張径が異なる設計がされており、自己防衛用途に適した性能を持ちます。
.380 ACPは、地域によって「9mm Kurz」「9mm Corto」「9mm Browning Short」など様々な名称で呼ばれ、現在も多くのメーカーが製造を続けています。
- .380ACPを使用する銃の例:
- コルト M1908(Colt Model 1908 Pocket Hammerless)
- FN ブローニング M1910(FN Browning Model 1910)
- ワルサー PP(Walther PP)
- ワルサー PPK(Walther PPK)
- ベレッタ M1934(Beretta Model 1934)
- ベレッタ M84(Beretta Model 84)
- マウザー HSc(Mauser HSc)
- SIG P230
- グロック 42(Glock 42)
- ルガー LCP(Ruger LCP)
9x19mm パラベラム

| 弾頭重量 | 115〜147 gr |
| 初速 | 約1,150〜1,200 fps |
| マズルエナジー | 約350〜395 ft-lbf |
| 薬莢長 | 19.15 mm |
9×19mmパラベラムは、1901年にオーストリアの銃器設計者ゲオルク・ルガーによって開発されたピストル用のセンターファイア式リムレス型弾薬で、世界で最も広く使用されている小火器用弾薬の一つです。元々はルガー・ピストル用に設計され、1904年にドイツ海軍、1908年に陸軍に採用されました。弾頭径は約9mm、ケース長は19mmで、適度なストッピングパワーと低反動、大きな市場シェアを兼ね備えており、軍・警察・民間で広く使用されています。
第二次世界大戦中には、鉛節約のためスチールコア(鉄芯)弾(08 mE)や鉄粉を焼き固めた焼結鉄製弾(08 sE)などの特殊弾種が登場しました。戦後はNATO標準弾薬として採用され、9mm NATOとして知られる高圧仕様も存在します。スウェーデンではm/39B弾が開発され、ケブラー(ソフトアーマー)を貫通できる性能を持ちます。米国では「+P」や「+P+」といった高圧仕様が普及し、自己防衛用途での性能向上が図られています。
「+P」や「+P+」は、標準的な弾薬よりも高いガス圧(高圧)で装薬されていることを示す表示です。
- +P(プラスピー):
- 標準規格よりも高圧ですが、SAAMIなどの規格で最大許容圧力が定められています。
- 高い初速とエネルギーを得る目的で使用されます。
- +P+(プラスピープラス):
- +P規格を超えるさらに高圧の弾薬で、正式な規格による最大許容圧力が定められていません。
- これらの弾薬は銃器に大きな負荷をかけるため、対応する銃器でのみ使用可能です。
ロシアでは7N21や7N31などの高貫通力を持つ軍用特殊弾が開発され、ボディアーマー(防弾ベスト)の貫通を目的とした設計がなされています。弾種はFMJ、JHP、トレーサーなど多岐にわたり、用途に応じた選択が可能です。米国の法執行機関では、115gr +P+弾が長年にわたり使用されており、近年ではFBIも9mm弾の有効性を再評価し、採用を拡大しています。
現在では、9×19mmパラベラムは世界中の軍・警察・民間市場で標準的な拳銃弾として位置づけられており、性能、供給、互換性の面で高い信頼性を持つ弾薬です。
- 9x19mmパラベラム弾(9mm Luger)を使用する銃の例:
- グロック17(Glock 17)
- ベレッタ92FS(Beretta 92FS)
- シグ・ザウエル P226(SIG Sauer P226)
- ワルサーP99(Walther P99)
- H&K USP
- CZ 75
- スミス&ウェッソン M&P9(Smith & Wesson M&P9)
- ルガー SR9(Ruger SR9)
- FN ハイパワー(FN Browning Hi-Power)
- H&K VP9
.40 S&W(10.2×22mm)

| 弾頭重量 | 135〜180 gr |
| 初速 | 約850〜1,330 fps |
| マズルエナジー | 約400〜500 ft-lbf |
| 薬莢長 | 21.6 mm |
.40 S&W(スミス&ウェッソン)は、1990年にアメリカのS&W社とウィンチェスター社によって共同開発されたピストル用のリムレス弾薬です。1986年のFBIマイアミ銃撃事件を契機に、FBIが求めた中速・低反動の10mmオート代替弾として誕生しました。10mmオートのケースを短縮し、9mmサイズの中型フレームピストルに適合させることで、.40 S&Wは高いストッピングパワーと扱いやすさを両立させています。
初期にはS&W Model 4006やGlock 22/23などが対応拳銃として登場し、法執行機関を中心に広く採用されました。連邦アサルトウェポン禁止法(1994年施行~2004年失効)により、マガジン容量が制限された際には、限られた装弾数でも高威力を発揮できる.40 S&Wが民間市場でも人気を集めました。
弾頭重量は105〜200グレインまで幅広く、代表的な装弾では135grで588 ft⋅lbf、180grで463 ft⋅lbfなどがあり、用途に応じた選択が可能です。SAAMI規格では最大圧力35,000 psiとされており、9mmや.45 ACPと比較してエネルギー効率や貫通力に優れています。
しかし、FBIは2015年に再び9mm弾へ移行し、.40 S&Wは一部で過剰な銃の摩耗や速射時のコントロールが困難といった問題が指摘されるようになりました。現在では、特殊部隊や一部の民間ユーザーに支持されつつも、法執行機関では9mmへの回帰が進んでいます。とはいえ、.40 S&Wは依然として高威力と汎用性を兼ね備えた有力な選択肢の一つです。
- .40 S&Wを使用する銃の例:
- グロック22(Glock 22)
- グロック23(Glock 23)
- スミス&ウェッソン M4006(Smith & Wesson Model 4006)
- スミス&ウェッソン M4046(Smith & Wesson Model 4046)
- スプリングフィールド XD40(Springfield XD40)
- H&K USP40(Heckler & Koch USP40)
- シグ・ザウエル P229(SIG Sauer P229)
- ベレッタ Px4 ストーム(Beretta Px4 Storm)
- ワルサー P99(Walther P99)
1986年のマイアミ銃撃戦は、FBI史上最悪の銃撃戦の一つです。この事件を契機に、FBIは制式拳銃の見直し(9mmから.40S&W口径への移行)や戦術訓練の強化を進めました。
.45 ACP(11.43×23mm)

| 弾頭重量 | 200〜230 gr |
| 初速 | 約830〜950 fps |
| マズルエナジー | 約350〜675 ft-lbf |
| 薬莢長 | 22.8 mm |
.45 ACPは、1904年にジョン・ブローニングによって設計された拳銃用のリムレス・ストレート型弾薬です。アメリカ陸軍がフィリピンでの戦闘において.38口径弾のストッピングパワー不足を痛感したことから、より強力な.45口径弾の採用が求められました。これを受けて、コルト社がブローニングの設計をもとに開発したのが.45 ACPであり、1911年にはM1911ピストルとともに正式採用されました。
230グレインの弾頭を約830フィート毎秒で発射する標準仕様を持ち、比較的低圧で作動するため、銃器の耐久性にも優れています。また、標準弾は亜音速であるため、サプレッサー(消音器)との相性も良く、特殊部隊などでも使用されています。弾種にはFMJ(フルメタルジャケット)、JHP(ジャケット・ホローポイント)、トレーサー、ショットシェルなど多様なバリエーションがあり、軍用・民間用ともに幅広く利用されています。
.45 ACPは、アメリカ軍だけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランスなどでも使用され、各国で独自の名称や仕様が存在します。現在では、9mmパラベラム弾が主流となっているものの、.45 ACPはその高いストッピングパワーと信頼性から、民間の防衛用途や射撃競技、特殊部隊などで根強い人気を保っています。弾薬の寸法や圧力規格はSAAMIおよびCIPによって定められており、安全性と互換性が確保されています。
- .45 ACPを使用する銃の例:
- コルト M1911(Colt M1911)
- グロック 21(Glock 21)
- H&K USP45(Heckler & Koch USP45)
- シグ・ザウエル P220(SIG Sauer P220)
- スミス&ウェッソン M&P45(Smith & Wesson M&P45)
- スプリングフィールド XD45(Springfield XD45)
- FNX-45(FN FNX-45)
- ベレッタ Px4 ストーム(Beretta Px4 Storm)
- マウザー M2(Mauser M2)
- AMT ハードボーラー(AMT Hardballer)
7.62x25mm トカレフ

| 弾頭重量 | 85~90 gr |
| 初速 | 約1,200〜1,630 fps |
| マズルエナジー | 約290〜514 ft-lbf |
| 薬莢長 | 25 mm |
7.62×25mmトカレフ弾は、1930年代にソビエト連邦で開発された拳銃・短機関銃用の弾薬です。設計の元となったのはドイツ製の7.63×25mmマウザー弾であり、寸法が非常に似ているため、一部の銃器では両方の弾薬を使用可能です。ただし、トカレフ弾はより高圧のため、マウザー弾専用の銃で使用すると損傷の恐れがあります。
拳銃弾としては珍しいボトルネック型を採用しており、平均初速は約400〜500m/s、マズルエナジーは600J前後と非常に高い性能を誇ります。そのため、NIJ規格のボディアーマー(レベルIIA〜II)を貫通する能力があり、9×19mmパラベラム弾よりも貫通力に優れるとされています。特にスチールコア(鉄芯弾)の弾種では、防弾装備に対して高い効果を発揮します。
- ボトルネック型
- 薬莢(ケース)の本体(ボディ)よりも、弾頭を保持する先端(ネック)が細くなっている形状です。
- この形状により、薬莢内に多くの火薬を詰めることができ、高初速と高威力を実現します。
- 主にライフル弾に多く用いられる構造です。
ソ連では、TT-33ピストルやPPSh-41短機関銃などに広く採用され、ワルシャワ条約機構加盟国にも輸出されました。後に9×18mmマカロフ弾に主力が移行しましたが、ロシアや中国の警察・特殊部隊では現在も使用例があります。冷戦後には西側諸国にも流入し、民間市場でも一部で流通しています。
現在でもルーマニア、チェコ、セルビアなどで生産が続けられており、射撃競技やコレクターに一定の人気があります。トカレフ弾は、軍事史において技術的・戦術的に重要な位置を占める弾薬の一つです。
- 7.62×25mmトカレフを使用する銃の例:
- トカレフ TT-33(Tokarev TT-33)
- PPS-43 短機関銃(PPS-43 Submachine Gun)
- PPSh-41 短機関銃(PPSh-41 Submachine Gun)
- CZ 52
- ノリンコ 213(Norinco Model 213)
- 54式拳銃(Type 54 Pistol)
- 64式短機関銃(Type 64 Submachine Gun)
- 85式短機関銃(Type 85 Submachine Gun)
- ツァスタバ M57(Zastava M57)
拳銃弾でボトルネック型薬莢の採用が少ない理由
- 作動の信頼性
- ボトルネック薬莢は弾頭が先細りの形状のため、ストレート型薬莢と比べて給弾時に弾頭が下を向くノーズダイブや給弾不良が起きやすい傾向があります。
- 特にダブルスタックマガジン(複列弾倉)ではフォロワーやスプリングの設計を工夫しないとジャムにつながります。
- とはいえ、SIG P226の.357 SIGなど、銃本体とマガジンが適切に設計されていればボトルネック弾の安定した給弾は可能です。
- 一般的には、拳銃用途ではストレート型薬莢の方が単純で信頼性が高いとの見解が主流です。
- 使用上の制約
- 拳銃は主に近距離で使われるため、ボトルネック薬莢による極端な高初速や高威力は必ずしも必要ではありません。
- 代表的なボトルネック拳銃弾(例:.357 SIG、5.7x28mm)は高初速になりやすく、反動が大きくなることや薬莢形状のためにマガジン装弾数が減るといった欠点があります。
- そのため多くの場合、シンプルなストレート型薬莢が実用的で好まれます。
9x18mm マカロフ

| 弾頭重量 | 95 gr |
| 初速 | 約950〜1,050 fps |
| マズルエナジー | 約200〜250 ft-lbf |
| 薬莢長 | 18 mm |
9×18mmマカロフ弾は、ソビエト連邦で1946年に設計され、1951年に正式採用された拳銃弾です。設計者はB.V.セミンで、当時の制式ピストルであったTT-33の問題点を解消する目的で開発されました。特に、操作性の向上と製造の簡略化を重視し、ブローバック方式に適した構造となっています。
ドイツの9×18mmウルトラ弾を参考にしており、弾頭径は9.27mmと、一般的な9mmパラベラム弾(約9.017mm)よりもわずかに大きくなっています。そのため、互換性には注意が必要です。最大圧力は約162MPa(23,500psi)で、比較的低圧であるため、固定銃身のピストルに適しています。
標準的な弾種には、フルメタルジャケット(FMJ)、ジャケット・ホローポイント(JHP)、鋼芯弾などがあり、用途に応じてストッピングパワーや貫通力が異なります。ロシアでは、SP-7やSP-8などの特殊弾も開発されており、防弾装備を貫通する能力を持つものも存在します。代表的な使用銃には、マカロフPM、ステチェキンAPS、CZ vz. 82などがあり、東側諸国で広く採用されました。
現在でもロシアや一部の旧東側諸国では使用されており、民間市場でも一定の人気があります。9×18mmマカロフ弾は、設計の合理性と信頼性から、軍用・警察用だけでなく、自衛や射撃競技にも適した弾薬として評価されています。
- 9×18mmマカロフを使用する銃の例:
- マカロフ PM(Makarov PM)
- スチェッキン APS(Stechkin APS)
- MP-448 スキッフ(MP-448 Skif)
- RCA TKB-0216
- KBP R-92KS
- フォート12(Fort-12)
- ラドム P-64(Radom P-64)
- ラドム P-83 バナド(Radom P-83 Wanad)
- FÉG PA-63
高威力・大口径自動拳銃用弾薬
標準的な弾薬よりも高い威力や、特殊な用途を持つ自動拳銃用の弾薬です。
.357 SIG(9×21mm SIG)

| 弾頭重量 | 115〜147 gr |
| 初速 | 約1,350〜1,450 fps |
| マズルエナジー | 約500〜620 ft-lbf |
| 薬莢長 | 21.97 mm |
.357 SIGは、1994年にスイスのSIG社とアメリカのフェデラル(Federal Premium Ammunition)社によって共同開発された拳銃弾です。リボルバー用の.357マグナム弾に匹敵する性能を、オートマチックピストルでも実現することを目的として設計されました。基本構造は.40S&W弾の薬莢をベースに、先端を絞って9mm径の弾頭を装着する「ボトルネック形状」を採用しています。
この形状により、短いグリップ長のピストルにも対応しつつ、十分な装薬量を確保することが可能となり、高い初速と運動エネルギーを実現しています。弾道性能としては、125グレインの弾頭で410〜450m/sの初速、686〜790ジュールのマズルエナジーを持ち、精度と貫通力に優れています。
.357 SIGは一部のアメリカの公的機関、例えばシークレットサービスや連邦航空保安局などで採用されていますが、銃への負荷が大きい、反動が大きい、高価、マズルフラッシュが大きいなどの問題もあり、9x19mmパラベラム弾や.40S&W弾と比べると普及率は限定的です。民間市場でも一定の人気はあるものの、主流の座には至っていません。
- .357 SIGを使用する銃の例:
- シグ・ザウエル P226(SIG Sauer P226)
- シグ・ザウエル P229(SIG Sauer P229)
- グロック 31(Glock 31)
- グロック 32(Glock 32)
- グロック 33(Glock 33)
- スミス&ウェッソン M&P357(Smith & Wesson M&P357)
- スプリングフィールド XD357(Springfield XD357)
- H&K USP コンパクト(Heckler & Koch USP Compact in .357 SIG)
- スミス&ウェッソン Sigma 357V(Smith & Wesson Sigma 357V)
- ステアー M357-A1(Steyr M357-A1)
10mm Auto(10×25mm)

| 弾頭重量 | 155〜200 gr |
| 初速 | 約1,200〜1,600 fps |
| マズルエナジー | 約500〜700 ft-lbf |
| 薬莢長 | 25.2 mm |
10mmオート弾(10x25mm)は、1983年にアメリカの銃器評論家ジェフ・クーパー氏とスウェーデンのFFVノルマ社によって共同開発された拳銃弾です。設計の背景には、従来の9mm弾よりも高威力で、.45 ACP弾よりも高初速かつフラットな弾道の弾薬を求める声がありました。元となった薬莢は.30レミントン弾で、形状はリムレス・ストレート型を採用しています。
弾頭径は約10.17mmで、薬莢長は25.2mm、全長は32mmとされ、最大圧力はSAAMI基準で37,500psiに達します。これにより、175グレインの弾頭で高い初速と運動エネルギーを発揮し、貫通力とストッピングパワーの両立が可能となっています。
一時期はFBIの人質救出チームや特殊装備部隊に採用されましたが、反動の強さや銃器の耐久性に課題があり、後に.40S&W弾へと移行する動きが見られました。それでも、10mmオート弾はIPSCなどの射撃競技や狩猟用途で根強い人気を保っており、現在も一部のメーカーによって生産が続けられています。高威力なこの弾薬は、特定の用途においては非常に有用な選択肢となっています。
- 10mmオートを使用する銃の例:
- ブレン・テン(Bren Ten)
- コルト デルタエリート(Colt Delta Elite)
- スミス&ウェッソン M1006(Smith & Wesson Model 1006)
- スミス&ウェッソン M1076(Smith & Wesson Model 1076)
- スプリングフィールド XD-M 10mm(Springfield XD-M 10mm)
- グロック 20(Glock 20)
- グロック 29(Glock 29)
- ロックアイランド TAC Ultra FS(Rock Island TAC Ultra FS)
- キンバー カスタム TLE II(Kimber Custom TLE II)
- STI パーフェクト10(STI Perfect 10)
.50 Action Express(.50 AE)

| 弾頭重量 | 300〜350 gr |
| 初速 | 約1,200〜1,500 fps |
| マズルエナジー | 約1,200〜1,600 ft-lbf |
| 薬莢長 | 32.6 mm |
.50アクション・エクスプレス弾(.50 AE、12.7×33mm)は、1988年にアメリカのエヴァン・ウィルジン氏とアクションアームズ(Action Arms)社によって開発された大口径拳銃弾です。当時の拳銃弾の中でも最強クラスの威力を持つとされ、特にデザートイーグルなどの大型拳銃で使用されることで知られています。
薬莢の形状はリベーテッドリム・ストレート型で、弾頭径は12.7mm(.500インチ)と非常に大きく、全長は約40.9mmです。雷管には大型拳銃用のタイプが使用されます。代表的な弾頭には300グレインのXTP(Hornady)やGDHP(Speer)、325グレインのUCHP(Speer)などがあり、初速は約450〜470m/s、マズルエナジーは約1,965〜2,200Jに達します。
.50 AEは、その高威力ゆえに狩猟や自己防衛、競技射撃などで用いられることがありますが、反動の強さや銃器の大型化を伴います。そのため、一般的な拳銃弾としての普及は限定的であり、特定の用途に特化した選択肢として位置づけられています。現在でも一部のメーカーによって製造が続けられており、狩猟やメタリックシルエット競技など特殊用途において高い評価を受けています。
- .50AEを使用する銃の例:
- デザートイーグル Mark VII(Desert Eagle Mark VII)
- デザートイーグル Mark XIX(Desert Eagle Mark XIX)
- AMT オートマグ V(AMT Automag V, .50 AE)
- リベーテッドリム
- 薬莢の本体(ベース)の直径よりも、リム(起縁)の直径の方が意図的に小さく設計されている形状です。
- 大口径で高威力の弾薬を、より小型で一般的な銃のエキストラクター(抽筒子)とボルトで運用できるようにするために採用されます。
- 主にマグナムライフル弾で多く見られます。
- メタリックシルエット射撃競技
- 動物形の金属標的(鶏・猪・七面鳥・羊)を遠距離から立射で撃ち倒す精密射撃競技です。
- 命中して標的が倒れることで得点となり、距離や風を考慮した弾道補正技術が求められます。
- ライフル・ピストル部門があり、国際的にはIMSSUが統括しています。
9x21mm Gyurza

| 弾頭重量 | 103 gr |
| 初速 | 約1,300 fps |
| マズルエナジー | 約415 ft-lbf |
| 薬莢長 | 20.9 mm |
9×21mmギュルザ(Gyurza)弾は、1990年代にロシアのツニートチマッシ(TsNIITochMash)が開発した拳銃弾です。主に連邦保安庁や軍の特殊部隊で採用されており、設計目的は、9×19mmパラベラムで貫通できないボディアーマーなどの個人防護装備を突破することです。
薬莢はストレート型リムレスで、代表的な弾種にSP-10、SP-11、SP-12、SP-13があります。各弾種は弾頭重量と性能が異なり、SP-10は軽めの弾頭で高初速と高い貫通力を示します。弾頭構造は外側のジャケットとスチールコアがポリエチレン層で仕切られ、非装甲目標では一体的に作用し、装甲に当たるとジャケットが剥がれてスチールコアが貫通する仕組みになっています。近距離での高い装甲貫通性能が報告されており、例えば薄いチタン板と多数層のケブラーを近距離で貫通する評価があります。
欠点としては弾頭を軽くして高速化しているため空気抵抗で減速が早く、有効射程が短くなる点が挙げられます。専用銃としてSR-1セミオートピストルやSR-2ヴェレスク向けに整備されており、同寸法の他国製9×21mmとは仕様が異なり互換性がありません。民間市場での流通はほとんどなく、特殊任務や戦術的用途に限られた運用が中心です。
- 9×21mm Gyurzaを使用する銃の例:
- SR-1 ベクター(SR-1 Vektor)
- SR-2 ヴェレスク(SR-2 Veresk)
- ゲパルド短機関銃(Gepard)
サブコンパクト/PDW向け小口径弾
個人防衛火器(PDW)や小型拳銃向けに開発された、貫通力などに特化した小口径高速弾薬です。
FN 5.7x28mm

| 弾頭重量 | 約28〜40 gr |
| 初速 | 約1,600(拳銃)~2,350(P90) fps |
| マズルエナジー | 約220〜340 ft-lbf |
| 薬莢長 | 28.90 mm |
FN 5.7×28mm弾は、ベルギーのFNハースタル社が1980年代末から1990年代初頭にかけて開発した小口径・高初速の拳銃弾です。NATOの新世代個人防衛火器(PDW)構想に基づき、9mmパラベラム弾に代わる弾薬として設計されました。目的は、ボディアーマーを貫通できる能力を持ちながら、軽量・低反動・高精度を両立することにあります。
弾頭重量はおおむね28〜40グレイン(約1.8〜2.6g)で、初速は銃種により異なりますが、P90のような長銃身では約716m/sに達します。運動エネルギーは約500〜790ジュールに及び、CRISAT基準のソフトアーマーを貫通する能力を備えています。代表的な弾種には軍用のSS190、鉛フリーのSS195LF、民間向けのSS197SRなどがあります。
弾頭は着弾時にタンブリング(横転)を起こすよう設計されており、拡張や破砕によらず大きな創傷を形成します。この構造はハーグ条約に抵触せず、軍・法執行用途に適しています。軽量弾頭のため空気抵抗による減速が早く、有効射程はおよそ200メートルとされていますが、携行弾数を増やせる点が実戦上の利点です。
FN P90サブマシンガンやFN Five-seveNセミオートピストルなど専用火器に使用され、40か国以上の軍や法執行機関に採用されています。湾岸戦争やアフガニスタン紛争、イラク戦争でも実戦投入され、特殊部隊や要人警護任務での使用実績があります。民間市場でも限定的に販売され、射撃競技や護身用途として注目されています。
- FN 5.7×28mmを使用する銃の例:
- FN ファイブセブン(FN Five-seveN)
- FN P90
- FN PS90
- ルガー57(Ruger-57)
- CMMG バンシー 5.7(CMMG Banshee 5.7)
- ケルテック P50(Kel-Tec P50)
- AR57 カービン(AR57 Carbine)
- ダイアモンドバック DBX57(Diamondback DBX57)
- マスターピースアームズ MPA 57(MasterPiece Arms MPA 57)
HK 4.6x30mm

| 弾頭重量 | 約23〜40 gr |
| 初速 | 約2,000〜2,400 fps |
| マズルエナジー | 約204〜512 ft-lbf |
| 薬莢長 | 30.50 mm |
HK 4.6×30mm弾は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が開発した小口径高速弾で、主にPDW(個人防衛火器)向けに設計されています。従来の拳銃弾よりも高い貫通力と低反動を兼ね備えており、特にボディアーマーを着用した相手に対する有効性を重視して開発されました。1999年に登場し、主にH&K MP7に使用されています。
弾頭は軽量で高速、初速は約720~750 m/sに達し、近距離での貫通性能に優れています。また、反動が小さいため、連射時のコントロール性が高く、精度の向上にも寄与しています。弾薬の設計には、スチールコア弾やフルメタルジャケット弾など複数のバリエーションがあり、用途に応じて選択可能です。
NATO標準化を目指して5.7×28mm弾と競合しましたが、最終的には標準化には至りませんでした。それでも、特定の軍や法執行機関では採用されており、近年では特殊部隊などでの使用例も見られます。小型で軽量な設計は、携行性や装弾数の面でも利点があり、PDWの性能を最大限に引き出すための要素となっています。
- 4.6×30mmを使用する銃の例:
- H&K MP7
- ST キネティクス CPW(ST Kinetics CPW)
- CMMG フォーシックス(CMMG FourSix)
回転式拳銃(リボルバー)用弾薬
主にリボルバーで使用される、リム付きの弾薬です。
.38 スペシャル(9×29mmR)

| 弾頭重量 | 約125〜158 gr |
| 初速 | 約700〜900 fps |
| マズルエナジー | 約200〜300 ft-lbf |
| 薬莢長 | 29.3 mm |
.38スペシャル弾は1898年にアメリカのスミス&ウェッソンが設計した、リム付きセンターファイア式の拳銃弾です。主にリボルバーで使われますが、セミオートピストルやカービンにも使えることがあります。
元は.38ロングコルトを発展させたもので、当初は黒色火薬を用い、のちに無煙火薬へ更新されました。弾頭径は約.357〜.358インチ(約9.07mm)で、名称の「.38」は当時の「弾頭径=薬莢直径」を示します※。1920年代から1990年代初頭にかけて米国の警察で標準弾薬として広く採用されました。命中精度が良く反動がソフトなため、標的射撃や競技、護身、携行、ホームディフェンスや小動物狩猟まで用途が広いのが特徴です。
典型的な弾頭重量158グレイン弾を短めの銃身で発射すると、マズルエナジーは概ね200〜300ft-lbfの範囲になります。高圧仕様の「+P」や「+P+」も存在しますが、旧式リボルバーでは使用不可のため注意が必要です。.357マグナム口径のリボルバーであれば.38スペシャルを安全に発射できます。
日本では長年にわたり警察のリボルバー用弾薬として採用され、予算や治安事情の関係で継続使用されてきました。一部の特殊部隊や私服刑事には9mmセミオートピストルが導入されていますが、.38スペシャルは扱いやすさと実績から依然重要な役割を果たしています。
- .38スペシャルを使用する銃の例:
- スミス&ウェッソン M10(Smith & Wesson Model 10)
- スミス&ウェッソン M36(Smith & Wesson Model 36)
- スミス&ウェッソン M60(Smith & Wesson Model 60)
- スミス&ウェッソン M15(Smith & Wesson Model 15)
- コルト ディテクティブスペシャル(Colt Detective Special)
- コルト オフィシャルポリス(Colt Official Police)
- コルト コブラ(Colt Cobra)
- ルガー SP101(Ruger SP101)
- チャーターアームズ アンダーカバー(Charter Arms Undercover)
- ミネベア M360J サクラ
※.38スペシャルのサイズが昔と現在で異なる理由は、こちらの記事で解説しています。
.357 マグナム(9×33mmR)

| 弾頭重量 | 約125〜158 gr |
| 初速 | 約1,200〜1,500 fps |
| マズルエナジー | 約400〜700 ft-lbf |
| 薬莢長 | 33 mm |
.357マグナム弾は、1934年にスミス&ウェッソンが開発した強力な回転式拳銃用実包です。登場当時は「世界最強の拳銃弾」として知られ、その後も高圧仕様の拳銃弾として長く人気を保ち続けています。
弾頭径は約0.357インチ(9.07ミリ)で、高初速と貫通力により、軽度の遮蔽物やボディアーマーを貫く能力を持ち、護身から狩猟、メタリックシルエット射撃競技まで幅広く使われています。
.38スペシャル弾と比べると、.357マグナムは圧倒的に高いエネルギーと弾速を発揮し、中型獣の狩猟や高威力を求める状況に適しています。一方で、.357マグナム対応のリボルバーでは.38スペシャル弾も発射できるため、訓練や射撃練習に経済的な利点があります。
代表的な使用銃はスミス&ウェッソン・モデル27やルガーGP100など。最大圧は約35,000psiと高く、強固なフレーム構造を持つ銃のみが対応します。高い信頼性、ストッピングパワー性能、そして優れた精度を兼ね備えた実包として、.357マグナムは現在も世界中で高い評価を受けています。
- .357マグナムを使用する銃の例:
- スミス&ウェッソン M19(Smith & Wesson Model 19)
- スミス&ウェッソン M27(Smith & Wesson Model 27)
- スミス&ウェッソン M686(Smith & Wesson Model 686)
- コルト パイソン(Colt Python)
- コルト キングコブラ(Colt King Cobra)
- コルト トルーパー(Colt Trooper)
- ルガー GP100(Ruger GP100)
- ルガー SP101(Ruger SP101)
- タウルス M66(Taurus Model 66)
- チャーターアームズ マグパグ(Charter Arms Mag Pug)
.44 マグナム(10.9x33mmR)

| 弾頭重量 | 約180〜340 gr |
| 初速 | 約975〜1,700 fps |
| マズルエナジー | 約700〜1,500 ft-lbf |
| 薬莢長 | 32.6 mm |
.44マグナムは1950年代にエルマー・キースとスミス&ウェッソンが共同で開発し、1955年に実用化された強力なリボルバー用実包です。.44スペシャルの薬莢を延長して設計され、低威力の銃に誤装填できない安全性を確保しています。
弾頭径は約0.429インチ(約10.9mm)、薬莢長は約1.285インチ(約32.6mm)。特に中~大型獲物の狩猟やメタリックシルエット射撃競技での利用価値が高い実包です。
威力は大きい反面、発射時の反動とマズルブラストも相応に大きく、扱いには慣れが必要です。精度は良好で、適切な銃と弾薬の組み合わせにより優れた命中精度とエネルギー伝達を実現します。
運用はリボルバーが中心ですが、ライフルや一部のセミオートピストルに転用される例もあります。用途は護身から実猟、競技まで幅広く、強力な打撃力を重視する場面で今なお有力な選択肢となっています。
- .44マグナムを使用する銃の例:
- スミス&ウェッソン M29(Smith & Wesson Model 29)
- スミス&ウェッソン M629(Smith & Wesson Model 629)
- ルガー レッドホーク(Ruger Redhawk)
- ルガー スーパーレッドホーク(Ruger Super Redhawk)
- トーラス レイジングブル(Taurus Raging Bull)
- トーラス レイジングハンター(Taurus Raging Hunter)
- トーラス M44(Taurus Model 44)
- マグナムリサーチ BFR(Magnum Research BFR)
- ダン・ウェッソン モデル44(Dan Wesson Model 44)
- コルト アナコンダ(Colt Anaconda)
- アストラ M44(Astra Model 44)
.500 S&W マグナム(12.7×41mmSR)

| 弾頭重量 | 約265〜740 gr |
| 初速 | 約1,500〜1,800 fps |
| マズルエナジー | 約2,000〜3,000 ft-lbf |
| 薬莢長 | 41.3 mm |
.500 S&W マグナムは2003年にスミス&ウェッソンとCor-Bonが共同開発した、市販される拳銃弾では世界最強レベルの弾薬です。弾頭径は0.500インチ(約12.7mm)で、弾頭重量はおおむね265〜740グレインまで幅があり、狩猟用途では325〜440グレイン級が一般的です。
高圧を前提とした設計で、SAAMI基準では最大で約60,000psiに達する仕様もある一方、多くの装弾は安全性と排莢の確実性を考慮し約50,000psi程度に抑えられています。薬莢形状はセミリムドとストレートウォールが用いられ、強固なシリンダーを持つ大型リボルバーでの運用を前提としています。
性能はライフル弾に匹敵するエネルギーと高い貫通力を示し、大型獣の狩猟やデンジャラスゲームに対する護身用途で高い評価を受けています。反動とマズルブラストは非常に大きく、射手には相応の慣れが求められます。
- デンジャラスゲーム(危険動物)
- 狩猟において人間に反撃する能力があり、生命に危険を及ぼす獰猛な大型動物を指す用語です。
- 主にアフリカの「ビッグファイブ」(ライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、ケープバッファロー)が代表的です。
- 地域によっては、クマ(ヒグマやグリズリーなど)やホッキョクグマなどもデンジャラスゲームに含められることがあります。
弾頭はハードキャストやジャケッテッドホローポイントなど用途に応じた各種があり、貫通重視から拡張重視まで選択肢が豊富。日常携行向けではなく、狩猟や特殊用途向けに特化しています。
- .500 S&W マグナムを使用する銃の例:
- スミス&ウェッソン M500(Smith & Wesson Model 500)
- マグナムリサーチ BFR(Magnum Research BFR)
- トーラス レイジングブル(Taurus Raging Bull)
- トーラス レイジングハンター(Taurus Raging Hunter)
- センターファイア式弾薬:雷管が薬莢中央部に配置される現代の主流な弾薬の点火方式
- ブローバック式自動拳銃:反動のみで閉鎖と解除を行う比較的単純な構造の自動拳銃の作動方式
- コンシールドキャリー:拳銃などを衣服の下などに隠して携行する用途や行為
- ストッピングパワー:弾丸が目標に命中した際、対象を行動不能にする能力・威力
- SAAMI規格:アメリカの弾薬メーカーが定める、弾薬の寸法や圧力に関する業界標準規格
- CIP規格:ヨーロッパの弾薬メーカーが定める、弾薬の寸法や圧力に関する業界標準規格
- リムレス弾薬:薬莢の底のリム(縁)が胴部とほぼ同じで、出っ張りのない弾薬
- ストレート型弾薬:薬莢の胴部が真っ直ぐで、弾頭に向かって絞られていない形状の弾薬
- ボトルネック型:薬莢の胴部から先端にかけて急激に口径が絞られている(首が細くなっている)弾薬の形状
- スチールコア:弾頭の内部に鋼鉄などの硬い芯(コア)が埋め込まれた、貫通力を高めた弾種
- NATO標準弾薬:北大西洋条約機構(NATO)の加盟国間で共通使用が定められた弾薬
- +P(プラスピー)弾:標準的な弾薬よりも高い内部圧力で装填された、高威力の弾種
- 弾頭重量:弾丸単体(薬莢に詰められる部分)の重さで、「グレイン(gr)」で表記
- 初速:弾丸が銃口を離れた瞬間の速度で、「フィート毎秒(fps)」や「メートル毎秒(m/s)」で表記
- マズルエナジー:弾丸が銃口を離れた時点の運動エネルギーで、威力の指標の一つ
- ボディアーマー:弾丸や破片などから着用者を防護するために使用される防弾装備
- リベーテッドリム:薬莢の底のリム(縁)部分が、薬莢胴部よりも直径が小さい形状
- メタリックシルエット射撃競技:遠距離の動物形金属標的を撃ち倒す精密射撃の競技
- タンブリング:弾丸が目標に命中した後、回転または横転を起こして進む現象
- ハーグ条約:軍事目的でのダムダム弾など、人体内で拡張・扁平化しやすい弾丸の使用を禁止した条約
- 個人防衛火器(PDW):後方部隊の兵士などが携行する、小型で高い貫通力を持つ銃器
- リム付き弾薬(リムドカートリッジ):薬莢の底にあるリム(縁)が、薬莢胴部よりも直径が大きくなっている弾薬
- 無煙火薬:燃焼時にほとんど煙を出さない火薬で、現代の弾薬で広く使われるもの
- 中間弾薬:拳銃弾とフルサイズライフル弾の中間に位置し、アサルトライフルなどで使用される弾薬
- 分隊支援火器:分隊レベルで運用される、持続的な射撃能力を持つ機関銃などの火器
- 亜音速弾(サブソニック弾):音速(約340m/s)よりも遅い初速で発射される、消音効果が高い弾薬
- サプレッサー:銃の発射音を低減するために銃口に装着される装置(消音器)
- CQB(近接戦闘):建物内部などの非常に近い距離で行われる戦闘(Close Quarters Battle)
- メトフォード型ライフリング:銃身の内側に施された、弾丸を回転させて安定させる溝(ライフリング)の形状
- ランカスターライフリング:楕円形や多角形の形状をした、特殊なタイプのライフリング
- ハイブリッドケース:異なる金属素材を組み合わせ、高圧に耐えるよう設計された薬莢
- マッチ弾:射撃競技での精密な命中を目的として、高い精度で製造された弾薬
- バーミント狩猟:小型の有害鳥獣(害獣)の駆除または狩猟
- Wikipedia — 7.62×25mm Tokarev, .32 ACP, .380 ACP, 9×18mm Makarov, 9×19mm Parabellum, .40 S&W, .357 SIG, 4.6×30mm HK, 9×21mm Gyurza, .38 Special, .357 Magnum, .44 Magnum, .500 S&W Magnum, 5.56×45mm NATO
- Ammo.com — 7.62×25 vs 9mm 比較記事, 9mm パラベラム 弾道データ, .40 S&W 弾道, .357 Magnum 弾道, .44 Magnum 弾道, .50 AE 比較記事, 5.7×28mm 弾道
- Ballistics101 — .32 ACP 解説, .380 ACP 解説, 9mm データ, .357 SIG 弾道, .38 Special 弾道表, .357 Magnum データ, .44 Magnum データ, .500 S&W 弾道表, .50 AE 弾道表
- BrassFetcher — 7.62×25mm ハンドガン資料, .500 S&W 試験結果
- BulkMunitions — 7.62×25mm 解説記事, .32 ACP 解説記事
- Genitron — 7.62×25mm 実包基礎, 9×18mm Makarov 基礎
- GunData / Gundata — .32 Auto カートリッジ情報, .357 SIG データ, .50 AE 弾道データ
- Ballistics By The Inch — .32 Auto 実測データ
- Guns.com — .32 ACP レビュー, 9×18mm Makarov 解説
- XXLReloading — .32 ACP リロードデータ
- Vista Outdoor / Federal — 9mm 製品情報
- FN America — SS197SR 製品情報(5.7×28mm)
- Ammoman — 5.7×28mm 弾道表
- GunPrime — 5.7×28mm 解説記事
- TrueShotAmmo — 5.7×28mm 特性分析, 4.6×30mm 詳細解説
- Ultimate Reloader — 4.6×30mm 比較テスト
- AlienGearHolsters — .357 SIG 記事
- CyA Supply — .40 S&W 解説, .357 SIG 比較記事
- LuckyGunner Labs — リボルバー弾道試験
- Buffalo Bore — .38 Special 製品データ
- BallisticStudies — .357 Magnum 解説, .44 Remington Magnum 解説
- AmericanRifleman — .500 S&W 特集記事
- Aria Ballistic Engineering — .500 S&W 関連資料
- HOP Munitions — .50 AE 概説
- HandWiki — Engineering: 7.62×25mm Tokarev
- Military Wiki — 9×21mm Gyurza
- WeaponSystems.net — 9×21mm Russian 概要, 5.56×45mm NATO 解説
- その他多数の資料







