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特殊部隊のハンドガン 各国エリート部隊が選ぶ採用拳銃一覧

G19射撃画像
U.S. Naval Special Warfare Task Unit Europe
Sgt. Patrik Orcutt, Public domain, via Wikimedia Commons

世界各国の特殊部隊は、任務の性質上、高い信頼性を持つハンドガンを装備しています。

近年では、9mm口径を中心に軽量でコンパクト、かつ光学機器やサプレッサー対応のモデルが主流となっており、信頼性と拡張性を両立させた最新モデルへの更新が進められています。

この記事では、世界の特殊部隊が採用するハンドガンと、その採用背景について詳しく解説します。

Glock 17

画像出典: Glock
項目内容
モデル名Glock 17
メーカーGlock(オーストリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発(標準)
全長約204mm
重量約625g(空マガジン時)
特徴世界各国の軍・警察で採用。高信頼性、軽量。

グロック17(Glock 17)は世界各国の特殊部隊や軍で採用されており、米デルタフォース、英国軍、ノルウェー軍特殊部隊などで使用されています。

ノルウェーでは1985年にP80として、スウェーデンでは1988年にPistol 88として採用され、英国軍は2013年にブローニング・ハイパワーの代替として採用。フランス軍も2020年に採用しています。

1992年までに45か国以上で35万丁以上が販売されました。

採用理由

NATO耐久試験を突破する高い信頼性、軽量でシンプルな設計、高い装弾数(17発)、モジュール性、トリガープルの一貫性などが評価されました。

ポリマーフレームで軽量かつ頑丈、メンテナンスが容易で、光学機器やサプレッサー対応のカスタマイズ性が備わっています。

歴史

開発は1980年代初頭で、ガストン・グロックとエンジニア・軍関係者らのチームにより設計され、ノルウェーとスウェーデンのNATO試験に合格後、各国で広く採用されました。

米特殊部隊では2000年代初頭にデルタフォースなどが採用し、イラクやアフガニスタンでの作戦で信頼性と適応性が高く評価されています。

英国軍は他の候補銃と比較試験を行い、軽量性と操作性の優位からGlock 17 Gen 4を選定しました。

Glock 19

グロック19
グロック19 画像出典:us.glock.com
項目内容
モデル名Glock 19
メーカーGlock(オーストリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数15発(標準)
全長約187mm
重量約595g(空マガジン時)
特徴Glock 17のコンパクト版。特殊部隊・民間でも人気。

グロック19(Glock 19)は、米陸軍特殊部隊、ネイビーシールズ、海兵隊レイダース、レンジャー部隊など米SOCOM傘下の各部隊で広く採用されています。SOCOMは2016年に公式採用し、全特殊部隊で使用可能となりました。

FBIはGlock 19Mを制式採用しており、CIAや海兵隊も隠密性と汎用性から選定しています。

国際的にも特殊部隊や警察で人気があります。

採用理由

民間服やロープロファイル任務(周囲の注目を集めず、存在や活動を悟られないように実行する任務)で携行しやすいコンパクトさ、高い信頼性、15発装填可能でGlock 17マガジンも使用できる容量、軽量性とシンプルな操作性、カスタマイズ性、そして隊員からの強い要望により採用に至りました。

特徴

9mm口径、標準15発マガジン(上位モデルマガジン使用可)、軽量ポリマーフレーム、コンパクトサイズ、各種オプション対応(ドットサイトや拡張マガジンなど)、グリップしやすさと安定性が挙げられます。

歴史

1980年代後半にGlock 17のコンパクト版として開発され、2006年頃から陸軍特殊部隊が隠密用として独自採用を開始、2016年にSOCOMが公式採用しました。以後、米特殊部隊全体で標準装備となり、他機関への普及も進みました。

作戦面では、イラク・アフガニスタンを含む戦地で隠密・CQB両用として使用され、通常の携行に加え拡張マガジンや各種カスタムパーツを装着して運用されています。

米特殊部隊がGlockを「こっそり」導入した方法

1985年以降、米軍の制式拳銃はベレッタM9でしたが、金属製による重量が不満とされていました。

一方、2000年代に入るとGlockは民間市場や法執行機関で高い評価を得ており、若い世代の隊員は軽量で扱いやすいGlockを望むようになりました。(デルタフォースがGlock 22を採用したことも後押しとなった)

しかし、新たなピストルの購入は陸軍全体の規制で許可されなかったため、特殊部隊は調達要件を工夫しました。

戦闘用フルサイズピストル(Glock 17や34)はM9と重複するため導入できませんでしたが、民間服装作戦用の隠匿用拳銃が不足している点に着目し、「隠し持ち可能な拳銃」という要件を作成しました。

この仕様は事実上Glock 19を指しており、これにより特殊部隊はGlock 19を調達できました。

当初は一部隊員や特定任務のみの支給でしたが、2016年には特殊作戦軍全体(SOCOM)がGlock 19を正式採用。これにより全チームへの支給が可能となり、2018年にはTrijicon RMR Type 2ドットサイトも採用されました。

こうした経緯から、現在ではGlock 19が特殊部隊の標準ピストルとなっています。

Glock 26

Glock 26画像
Askild Antonsen, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Glock 26
メーカーGlock
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数10発
全長160mm
重量610g
特徴サブコンパクトサイズの「ベビ―グロック」。

グロック26(Glock 26)は米陸軍特殊部隊やスイス軍で採用されており、特殊部隊では私服や潜入任務など隠密性が求められる場面で使用されています。

スイス軍ではGlock 17 Gen4と共にGlock 26 Gen4が制式採用されています。

Glock 17や19ほど一般的ではありませんが、特定の特殊部隊では小型軽量で携行しやすいため選ばれています。

採用理由

サブコンパクトサイズによる高い隠密性、Glockシリーズ共通の信頼性、Glock 19や17のマガジン互換による実用性、小型軽量で携行負担が少ない点です。

特徴

9mm口径、標準10発マガジン(上位モデルのマガジン使用可)、軽量ポリマーフレーム、短いグリップとバレルによる隠蔽性、アフターマーケットパーツ対応(ただしサイズ上制約あり)、コンシールドキャリー(隠匿携帯)向け設計です。

歴史

1995年にGlock 17と19のサブコンパクト版として登場し、9.11以降米陸軍特殊部隊で隠密用に採用されました。

スイス軍も後にGlock 26 Gen4を採用しています。

運用

作戦面では、米陸軍特殊部隊でGlock 19を補完する隠密用武器として、スイス軍では標準装備および特殊任務用として使用されています。

SIG Sauer P226

SIG P226 MK25画像
SIG Sauer P226 MK25 画像出典:Torbs, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SIG Sauer P226
メーカーSIG Sauer(スイス/ドイツ/アメリカ)
口径9×19mm 他
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数15発(9mm標準)(ロングマガジンにより最大32発)
全長約196mm
重量約964g
特徴海軍SEALs正式採用。高耐久性、精度。

SIG Sauer P226は、米海軍SEALsや英国SASをはじめとする多数の特殊部隊や法執行機関で採用されています。

SEALsでは1989年からMk25として30年以上使用され、パナマ、ソマリア、ハイチ、バルカン半島、イラク、アフガニスタン、シリアなどで運用されました。

英国SASは1980年のイラン大使館人質事件後、信頼性を評価して採用しています。

他にもFBI、シークレットサービス、欧州軍などで使用例があります。

採用理由

過酷環境での高い信頼性と耐久性、海軍特殊作戦向けMk25の防錆処理(リン酸塩処理パーツとクロームライニング)、高精度、スムーズなDA/SAトリガー、高装弾数(15発以上)、耐久性と適度な重量を両立する金属フレーム構造が評価されました。

特徴

9mm口径(.40 S&Wや.357 SIGモデルもあり)、15発ダブルスタックマガジン、アルミ合金フレームとステンレススライド、DA/SAトリガー、夜間用トリチウムサイト(Mk25)、クロームライニング、アクセサリーレール搭載です。

開発

1980年代初頭にP220の後継として開発が行われ、XM9トライアルではBeretta 92FSとともに技術要件を唯一満たしましたが、コスト面でBerettaが採用されました。

その後M9の信頼性問題※を受け、SEALsが独自試験を行い1989年にP226をMk25として正式採用。英国SASも同時期に採用しました。

運用

SEALsによる5000発耐久試験を突破し、30年以上にわたり多くの戦地で高い信頼性を発揮。SASも対テロや人質救出など即応性が求められる任務でP226を使用しています。

Beretta M9の信頼性問題とは?

  1. スライド破損事故

1980年代後半、実射訓練中にスライドが破断し、射手の顔に後部が飛来する事故が複数発生しました。原因は高圧弾薬(NATO弾の高圧仕様や誤装填弾)と製造ロットの問題が重なったためとされています。これに対し、Berettaはハンマーピン設計を改良し、破断時でも射手に飛来しない構造に変更しました。

  1. マガジン問題

イラクやアフガニスタンでの砂塵環境下において、米軍がサードパーティ製のパーカライジング加工マガジンを使用した結果、砂塵付着による給弾不良が多発しました。オリジナルのBeretta製ニッケルメッキマガジンでは問題が少なかったため、補給上のマガジン選定が一因とされています。

  1. 9mm弾のストッピングパワー問題

M9本体の機械的信頼性ではなく、FMJ弾のストッピングパワー不足への不満もM9批判と混同されがちです。ジュネーブ条約によりFMJ(フルメタルジャケット)弾しか使用できないため、9mm弾のストッピングパワーが.45ACPより劣るという兵士からの声がM9批判に繋がりました。

緊急時や救護状況でのハンドガンの使用

デルタフォースやDEVGRUなどの特殊任務部隊は、他の部隊よりも拳銃訓練を徹底しています。

負傷者を救護中、ライフルを使えない場面など、極限状態で拳銃を使用した事例が語られています。

1993年の「ブラックホーク・ダウン」事件では、デルタフォースのゲイリー・ゴードンがライフル弾を使い果たし1911ピストルを使用。

また、Navy SEALのマシュー・アクセルソンはアフガニスタンでライフルを失い、SIG P226に切り替えました。

SIG Sauer P228

SIG P228 画像出典:guns.com
項目内容
モデル名SIG Sauer P228
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数13発(ロングマガジンにより最大18発)
全長約180mm
重量約770g
特徴P226のコンパクトモデル。

SIG Sauer P228は、米軍でM11として1990年代初頭に制式採用され、主に憲兵隊、陸軍犯罪捜査局(CID)、空軍OSI、海軍航空隊、NCIS、一部の将官などに配備されました。

特殊戦闘艇部隊(SWCC)でもコンパクトで取り回しやすいため長年使用され、シークレットサービス、FBI、DEA、BATF、各地警察でも採用実績があります。スウェーデン軍でも一般配備されています。

採用理由

車両搭乗員や航空機搭乗員、将官、捜査官などM9では大きすぎる場面で求められたコンパクトサイズ、15,000発試験でわずか1回の作動不良という高い信頼性、13+1発という多弾数マガジンと優れたエルゴノミクス(人間工学)、現代的で扱いやすい設計が評価されました。

特徴

9mm口径、13発標準マガジン(P226用15・20発マガジン使用可)、アルミ合金フレーム、P226より短いスライドとバレル、DA/SAトリガー、ナイトサイト(SigLite装備型あり)、M11-A1では防錆処理も施されています。

歴史

1988年にP226のコンパクト版として開発され、米軍のコンパクトピストルプログラムでM11として採用されました。

近年では高圧弾対応のP229に置き換えが進んでいますが、現在も一部で使用されています。

運用

5000発耐久試験で高評価を得て採用され、SWCCでは狭い船内での運用に適していることからP226より好まれました。

航空機搭乗員や捜査官、特殊作戦でも高い携行性と信頼性を評価されています。

SIG Sauer P239

SIG P239ピストル画像
SIG P239 Tratnik at Slovenian Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SIG Sauer P239
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm 他.357 SIG/.40 S&W
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数8発(9mm)7発 (.357 SIG/.40 S&W)
全長約168mm
重量約770g
特徴単列マガジンによるスリム設計。SEAL Team 6使用。

SIG Sauer P239は、アメリカ海軍特殊戦開発群(DEVGRU、通称SEAL Team Six)でコンシールドキャリー用として配備されていました。

米国の一部法執行機関でも、タクティカルユニットや覆面捜査官に使用され、スウェーデン警察でも他のSIG Sauerモデルと併用されています。

採用理由

採用に至った理由は、隠し持ちやすい小型サイズであること、次にSIG Sauer製らしい高い信頼性、そしてシングルスタックによるスリムでグリップしやすいエルゴノミクスです。

特徴

9mm、.357 SIG、.40 S&W口径に対応し、マガジンはシングルスタックで9mmが8発、.40 S&Wと.357 SIGが7発装填可能。アルミ合金フレームとステンレススライドを持ち、DA/SAトリガー方式、全長約6.6インチとコンパクトでコンシールドキャリーに最適化されています。

多くのモデルにナイトサイト(SIGLITE)が搭載されています。

歴史

1990年代半ばに登場し、法執行機関やパーソナルディフェンス(個人防衛)向けの小型信頼性オートとして開発されました。

DEVGRUでは、民間衣装での作戦や覆面任務で目立たず携行できるサイドアームとして採用されましたが、近年はより多弾数の新型小型拳銃に置き換えが進んでいます。

SIG Sauer M17 / M18

M18ピストル画像
項目内容
モデル名M17 / M18
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、ショートリコイル作動、セミオート。
一部モデルにマニュアルセイフティあり。
装弾数17~21発
全長M17:約203mm / M18:約183mm
重量約833g(M17)
特徴米軍制式採用。モジュラーフレーム。

SIG Sauer M17(フルサイズ)とM18(コンパクト)は、アメリカ陸軍、海軍、海兵隊、空軍、宇宙軍のすべての主要部隊に採用されています。

M18は特に海軍と海兵隊で標準配備され、陸軍は主にM17を使用しています。両モデルはM9やその他旧式拳銃を置き換えるため採用され、海兵隊では2020年から全部隊でM18配備が始まりました。

特殊作戦部隊(SOF)にも配備されており、近接戦闘や特殊任務で運用されています。

採用理由

36,000発の耐久テストを無停止でクリアした高い信頼性、P320ベースのモジュラー設計によるグリップやスライド交換の容易さ、光学機器対応など最新の要求に応える多機能性が挙げられます。

高い精度と操作性、アンビ仕様の安全装置やスライドストップも評価されました。

特徴

9mmストライカー方式、M17標準17発、M18標準15発装填、ナイトサイト、光学サイト対応スライド、コヨーテタン色のPVDコーティングスライドとポリマーフレームが備わっています。

歴史

2017年に陸軍のMHS(Modular Handgun System)コンペで勝利し採用が決定、グロック、ベレッタ、FNハースタルを抑えました。

101空挺師団などで運用が開始され、SOFとの連携でCQB(近接戦闘)要求にも対応しています。

銃におけるモジュラー設計(モジュラーシステム)とは、交換可能な部品やモジュールで構成され、用途や任務、個人の好みに応じてカスタマイズや再構成が可能な設計手法です。

これにより、グリップサイズや銃身長さ、口径などを調整でき、例えばSIG Sauer P320ではグリップやスライド、銃身を簡単に交換してコンパクトピストルからフルサイズピストルに変えられます。

モジュラー設計の主な利点は以下の通りです。

  • カスタマイズ性に優れ、身体的特徴や任務に合わせて最適化できる。
  • 用途に応じてライフルからカービン、ショットガンの構成変更など多様な運用が可能。
  • 部品の交換やメンテナンスが容易で、専用工具やガンスミスを必要としない。
  • 複数の銃を購入する代わりに一つの基本システムを拡張でき、コスト効率が良い。
  • 操作性や精度の向上に寄与する。

実例として、「SIG Sauer P320」「ストーナー 63」「レミントンモジュラーコンバットショットガン(Remington Modular Combat Shotgun)」などがあります。

一方で、モジュラー設計は一つのコア部品で複数の銃器タイプに変換できるため、法的管理や技術的分類が複雑になる課題もあります。

ピストルをミニカービンに変換?

第19特殊部隊グループはFlux Raiderというグリップモジュールを試験しており、M17ピストルをストック付きの光学機器やライトを搭載したコンパクトなピストルキャリバーカービン(PCC)に変換しています。

この改造により射程とコントロール性が大幅に向上し、拳銃とカービンの境界が曖昧になっています。

Navy SEALsなど他の部隊でも評価中との噂があります。

SIG Sauer SP2022

SIS SP2022画像
SIS SP2022 Augustas Didžgalvis, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SP2022
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数15発
全長約190mm
重量約760g
特徴ポリマーフレーム版SIG。

SIG Sauer SP2022は、2003年にフランス国家憲兵隊によって27万丁が採用され、第二次世界大戦以来最大規模の拳銃発注となりました。

フランス警察や保安部隊でも広く使用されており、コロンビア陸軍、アメリカ陸軍、マレーシア軍・警察でも採用されています。

米陸軍では2005年に5,000丁を装甲車両乗員用として購入しました。

採用理由

軍・警察試験で証明された高い信頼性、ポリマーフレームによる軽量化と耐腐食性、全金属SIGモデルより低コストである点が挙げられます。

ピカティニー規格アクセサリーレール、DA/SAトリガーシステム、優れたエルゴノミクスが備わっています。

特徴

9mm(.40S&W/.357SIGも存在)、標準15発装填、ポリマーフレーム、デコッキングレバー付きDA/SA作動方式、アクセサリーレール装備、20年の耐用設計です。

運用

1990年代末から2000年代初頭に開発されたSIG初のポリマーフレームピストルであり、フランスの大量採用を契機に世界的に評価が高まりました。

米陸軍でも車両乗員に配備されるなど、信頼性と堅牢性を求める現場で運用されています。

SIG Sauer P220

SIG 220画像
SIG P220 画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名P220
メーカーSIG Sauer(日本製造:住友重機械)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数9発(9mm)、8発 (10mm/ .45 ACP)
全長約196mm
重量約780g
特徴陸自標準拳銃。

SIG Sauer P220は1975年にスイス軍の標準制式拳銃「Pistole 75(P75)」として採用され、日本の自衛隊も1982年に正式採用したピストルです。

デンマーク特殊部隊やチリ、イラン、ナイジェリア、ウルグアイ、バチカンのスイス警護隊などでも使用されています。

採用理由

  • 高信頼性と耐久性を持ち、厳しい環境下でも安定して作動する。
  • DA/SAトリガーとデコッキングレバーを初めて採用し、安全性と操作性が向上。
  • 旧来の手作業多いP210よりも生産・維持コストが低い。
  • エルゴノミクスに優れ、自然な狙いやすさと高い命中精度を誇る。

特徴

  • 弾薬:9×19mmパラベラム(他に.45ACP、.38スーパー、7.65mmも存在)
  • 弾倉容量:9mmは9発、.45ACPは7発
  • フレーム:合金製、プレススチールスライドで軽量かつ堅牢
  • 作動方式:DA/SAトリガー、デコッキングレバー付き(マニュアルセーフティレバーなし)
  • バリエーション豊富で、コンパクトやタクティカルモデル、.22LR変換キットなどもあり
  • 分解・メンテナンスが容易で、汚れに強い設計

歴史

1970年代初頭に高コストなP210を代替する目的で開発され、1975年にスイス軍が初採用しました。

ドイツのJ.P. Sauer & Sohn社との生産提携で輸出が拡大し、アメリカでは1977~80年に「ブローニングBDA」として販売されました。

P220の成功は後続のP226などシグザウエル拳銃シリーズの礎となりました。

運用

スイスと日本での長期の標準装備として実証済みで、デンマーク特殊部隊でも採用されるなど高い評価を得ています。

耐久性と正確性により、世界各国のエリート部隊や警察で信頼されています。

F9 (SIG Sauer P320 X-Carry Pro)

F9SWS画像
F9SWS 画像出典:armyrecognition.com
項目内容
モデル名F9 (SIG Sauer P320 X-Carry Pro)
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、ショートリコイル作動、セミオート。
一部モデルにマニュアルセイフティあり。
装弾数17発
全長187mm
重量840g
特徴モジュラーフレームとドットサイト対応スライド。

F9(SIG Sauer P320 X-Carry Pro)は、デンマーク国防省が2023年に陸軍、海軍、空軍、特殊作戦司令部(SOCOM)の標準制式拳銃として選定し、長年使用されてきたSIG P210(M/49)を置き換えました。

オーストラリア国防軍も同様にBrowning Hi-Powerに代わる新型拳銃として採用し、ノルウェー警察などでも運用されています。

採用理由

  • 厳格な評価試験においてGlock 17 Gen5、Beretta APX、Canik TP9SFを上回る高性能を示したこと(命中精度、夜間射撃、耐落下性、貫通力など)
  • モジュラー設計による個人・任務への柔軟な対応(トリガーグループはシリアル管理され、グリップサイズや口径の交換が可能)
  • 多い装弾数(17発)、光学照準器対応(リフレックスサイト搭載可能)、サプレッサー装着対応など現代的な装備性
  • 人間工学に基づいたグリップ形状、フラットトリガー、長めのビーバーテイル、複数の安全機構を装備した操作性と安全性の向上

特徴

  • 口径:9×19mmパラベラム
  • 装弾数:17発(標準)
  • フレーム:X-Carryポリマーグリップ、着脱可能なマグウェル、深いアンダーカットトリガーガード
  • 作動方式:ストライカー式、モジュラーファイアコントロールユニット
  • 照準器:標準X-RAY3ナイトサイト、オプティクス対応スライド
  • アクセサリー:ピカティニー・レール装備、ライト・レーザー対応、サプレッサー対応
  • 安全機構:ストライカーセーフティ、ディスコネクトセーフティ、オプションでマニュアルセーフティ搭載可
  • 分解:3点テイクダウンシステムで整備が容易

歴史

P320プラットフォームは2014年にSIG Sauerがモジュラー設計のストライカー式拳銃として開発。

X-Carry Proは軍・法執行機関の要求に応えるために改良された派生モデルです。

デンマークは2023年にNATO加盟国として初めてP320シリーズを正式制式拳銃に採用しました。

運用

  • デンマーク国防省の4週間にわたる厳しい試験で群を抜く性能を発揮。
  • オーストラリア軍の選定試験でも優秀な評価を受け、SIG Romeo 2リフレックスサイトとFoxtrot 2ホワイトライトを組み合わせて採用。
  • 現在、デンマークおよびオーストラリアの特殊部隊や一般部隊で運用されており、柔軟性と信頼性に対する好評が多い。

H&K Mk23 (Mark 23 Mod 0)

H&K Mk23 画像
H&K Mk23 Joe Loong, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名H&K Mk23
メーカーHeckler & Koch
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
デコッキングレバーおよびアンビセーフティ装備
装弾数12発
全長約245mm(サプレッサー装着時約420mm)
重量約1,210g(空マガジン時)
約1,910g(サプレッサー装着時)
特徴USSOCOM採用。高精度。サプレッサー・LAM統合設計。高耐久性(3万発耐久)。

採用国と部隊

H&K Mk23は1996年にアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)で制式採用され、ネイビーシールズや陸軍特殊部隊などに配備されました。

他国ではインドネシア(Kopaska、Kopassus)、マレーシア(Pasukan Gerakan Khas、Pasukan Khas Laut)、ポーランド(GROM)、シンガポールの特殊部隊で採用されています。

採用理由

Mk23はバックアップではなくメインアームとして使用可能な「攻撃用ハンドガン」として開発されました。

高精度、サプレッサー対応、レーザーエイミングモジュール(LAM)対応が求められ、.45 ACP弾(特に+P弾使用時)の高いストッピングパワーが評価されました。

過酷な環境試験を含む3万発の耐久試験に合格し、平均作動停止間隔(MRBS)は6,000発以上、サンプルによっては15,000発を超えています。

ナイツアーマメント製サプレッサーとインサイトテクノロジー製LAMとの統合設計により、夜間作戦や隠密行動能力が向上しました。

特徴

口径は.45 ACP(.45 Superにも対応)、装弾数12発、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、専用デコッキングレバーとアンビセーフティを搭載しています。

5.87インチのスレッドバレルはポリゴナルライフリングを採用し、命中精度と耐久性を向上。

ポリマーフレームに耐腐食性スチールスライドを組み合わせ、アンビマガジンキャッチ、反動軽減バッファー(最大40%軽減)、3ドットトリチウムナイトサイト、LAM対応アクセサリーレールが備わっています。

重量は空で約1.21kg、サプレッサー装着時約1.91kg、全長は24.5cm(サプレッサー装着時42cm)です。

開発経緯

1991年にUSSOCOMの要求で開発が始まり、コルトとH&Kが提案。

コルト案が早期に脱落し、厳格な試験を全てクリアしたH&K案が1996年に採用され、1,950丁が納入されました。

Mk23の技術はH&K USPの開発にも活かされています。

運用実績

米軍や同盟国特殊部隊で使用され、高い命中精度(25mで2インチのグルーピング)、塩水・砂・泥・極端な温度環境下での作動信頼性が評価されています。

ただしサイズと重量は一部任務で敬遠される要因となっています。

その一方で、3万発の+P弾使用後も精度と作動信頼性を維持する耐久性により、特殊用途で高く評価されています。

HK45CT

HK45Cピストル画像
HK45C Ckindel, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名HK45CT
メーカーHeckler & Koch
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
デコッカーおよび/またはマニュアルセーフティ装備(HK45系標準)
装弾数8発
全長約186mm
重量約820g
特徴海軍SEALs採用。サプレッサー対応。

HK45CTはアメリカ海軍特殊部隊NSWC(ネイビーSEALs)において、より大型で重いMk 23の代替として採用された特殊作戦用拳銃です。

その他の特殊部隊でも採用例がありますが、NSWCが最も代表的な使用者です。

採用理由

  • Mk 23に比べてコンパクトで携行性が高く、隠密・特殊任務に適する点
  • USP系統に基づく高い信頼性と耐久性、20,000発以上の長寿命を誇ること
  • 標準でスレデッド(ねじ切り)バレルを持ち、サプレッサー(消音器)装着が容易で特殊作戦のニーズに合致
  • グリップしやすさを考慮した交換式バックストラップやアンビ(両利き対応)操作部、優れた人間工学的設計
  • ピカティニー(MIL-STD-1913)レール搭載でライトやレーザーサイトが装着可能、SEALsはCrimson Trace社製赤外線レーザーも装備

特徴

  • 口径:.45 ACP
  • 装弾数:10発(延長フロアプレート付き標準マガジン)
  • バレル:サプレッサー対応スレッド、Oリングで精度向上
  • フレーム:ポリマーフレーム、交換可能バックストラップ、アンビ対応セーフティ・スライドリリース・マグリリース
  • 照準器:標準ナイトサイト、サプレッサーハイトサイト対応
  • アクセサリー:MIL-STD-1913ピカティニーレール装備
  • 反動低減システム:HK独自のリコイルリダクションシステムで反動を約30%軽減
  • 作動方式:DA/SAトリガー(デコッカー付き)、法執行向けLEMトリガーも選択可
  • 重量:Mk 23より軽量かつコンパクトで携行性に優れる

歴史

HK45はもともと米軍のジョイント・コンバット・ピストル計画(JCP)用に開発されましたが、計画自体は2006年に中止。その後HK社は軍・法執行・民間市場向けに開発を続けました。

HK45CTは2011年にNSWCにMk 24 Mod 0として正式採用され、Mk 23の代替を担いました。

設計には特殊作戦経験者のラリー・ビッカース氏やケン・ハカソーン氏も関与し、USPとMk 23の利点を凝縮したモデルです。

運用

NSWCの極秘試験を経て採用され、特に対テロや隠密作戦に携わるSEALチームで用いられています。

AAC製サプレッサー、Crimson Trace製防水赤外線レーザーと組み合わせて使用されており、多機能かつ汎用的な攻撃・ディフェンス用拳銃として評価されています。

H&K P30

HK P30画像
HK P30 Rizuan, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名H&K P30
メーカーHeckler & Koch
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
複数トリガーバリアントあり
V1/V2:ライトDAO(CDA/LEM)
V3:ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数15発
全長186mm
重量740g
特徴人間工学グリップとモジュラーバックストラップ。

HK P30はドイツ製の高信頼性ポリマーフレーム拳銃で、特殊部隊や警察を中心に世界各国で採用されています。

特にドイツ連邦軍の特殊部隊KSKや海軍特殊部隊KSM、マレーシアの海軍特殊部隊PASKALなど、対テロや海洋特殊作戦において高い評価を得ています。

主な採用国・部隊

  • ドイツ:連邦税関、連邦警察、ヘッセン州警察、陸軍憲兵、KSK・KSM特殊部隊
  • ノルウェー警察、フィンランド警察即応部隊、ポルトガル陸軍・警察
  • シンガポール陸軍(2018年以降)
  • マレーシア海軍特殊部隊PASKAL
  • 米国国境警備隊戦術部隊
  • スイス国境警備隊、スペインモッソス・デスクアドラほか

採用理由

試験で9万発以上の耐久テストをクリアするなど、耐久性に優れている点、交換可能なバックストラップによる優れた人間工学設計、多様なトリガーシステム(DA/SA、LEMなど)から選べること、安全性の高いアンビ対応操作部の搭載など、多岐にわたります。

特徴

9mmまたは.40 S&W口径で15〜13発の装弾数、軽量かつ耐腐食性の高いポリマーフレーム、ピカティニーレールによる各種アクセサリー装着対応、複数のバリエーション(ロングスライドP30L、サブコンパクトP30SKなど)が挙げられます。

2006年のドイツ連邦税関での初採用以降、欧州やアジアの特殊部隊や警察に広がり、対テロ・特殊作戦において信頼されるサービスピストルとして実績を積んでいます。

H&K USP9

USP TACTICAL画像
項目内容
モデル名USP9
メーカーHeckler & Koch
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
バリアントにより
DA/SA(デコッカーおよび/またはマニュアルセーフティ付)
DAO
シングルアクションオンリー
装弾数15発
全長約194mm
重量約720g
特徴高信頼性。世界各国で採用。

HK USP(ユニバーサル・セルフローディング・ピストル)はドイツ製の高信頼性サービスピストルで、1990年代初頭に開発されました。

ドイツ連邦軍ではP8として採用され、ドイツの特殊部隊KSKや海軍特殊部隊KSMをはじめ、米国の移民税関捜査局(INS)、日本の特殊部隊など、世界20か国以上の軍・警察組織で使用されています。

採用理由

  • 頑強で耐腐食性に優れ、20,000発以上の耐久性能を誇る信頼性の高さ
  • 多様なトリガーと安全機構(DA/SA、DAO、LEMなど)による柔軟な運用対応
  • 独自のリコイル低減システムとOリング銃身(タクティカルモデル)により、高精度かつ反動軽減を実現
  • ピカティニーレールやマウントグルーブによるアクセサリー対応(ライト、レーザー、サプレッサー)
  • アンビ対応の操作系とカスタマイズ可能な安全装置

特徴

9mm、.40 S&W、.45 ACP、.357 SIGの各口径があり、最大装弾数は15発(9mm)、12発(.45 ACP)。

フレームはポリマー製で金属補強を施し、耐久性と軽量化を両立。

USP Tacticalはスレデッドバレルや調整可能なサイトを装備し、特殊作戦向けに最適化されています。

歴史

1989年に設計が始まり1993年に市場投入。1995年にドイツ連邦軍がP8として採用。

1990年代後半以降はMk 23 SOCOMの代替としてタクティカルモデルが特殊部隊で高評価を受けました。

運用

欧米やアジアの特殊部隊、連邦法執行機関での採用例が多く、過酷な環境下でも安定したパフォーマンスを発揮しています。

Colt M1911(1911ピストル)

コルトM1911A1ピストル画像
コルトM1911A1 M62, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Colt M1911
メーカーColt
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、セミオート
装弾数7発(標準)
全長約216mm
重量約1100g
特徴1911年採用。高いストッピングパワーと伝統。

コルトM1911はアメリカ製の名銃で、1911年の採用以来、70年以上にわたり米軍の標準拳銃として運用されてきました。

特殊部隊で根強い支持を受けており、現在もデルタフォース、グリーンベレー、ネイビーSEALs、MARSOCなどで使われています。

英国の特殊部隊や世界各国の軍・警察でも広く採用されました。

採用理由

  • 高い信頼性:6000発耐久テストをクリアし、過酷な戦場環境でも安定動作
  • 強力なストッピングパワー:.45ACP弾の高い威力で近接戦闘に有利
  • 高い命中精度と耐久性:第一次世界大戦からベトナム戦争まで多様な環境で実績あり
  • メンテナンスのしやすさ:分解や清掃が容易で、野戦に適している
  • カスタマイズ性:特殊部隊では照準器やグリップ、トリガーなどを改良して使用

特徴

口径が.45ACP、装弾数7+1発(標準)、シングルアクション、スチール製フレーム、手動セーフティとグリップセーフティが備わっています。

歴史

ジョン・M・ブローニング設計で1911年に米軍採用。

20世紀のほぼ全戦争に携行され、1985年のベレッタM9採用後も特殊部隊ではカスタムモデルで使用が続きました。

運用

第一次大戦の塹壕戦、第二次大戦の接近戦、朝鮮・ベトナム戦争の過酷環境でも多くの兵士の命を救い、現代に至るまで米国特殊部隊で根強い人気を誇ります。

調達時に議論を呼んだベレッタM9の採用

ベレッタM9は1985年にM1911に代わる米軍制式拳銃となりました。

選定過程は不正価格モデルやイタリア政府との秘密取引、競合他社の価格情報漏洩などの疑惑が持ち上がり、大きな論争となりました。

このため会計検査院による汚職調査が行われました。

MEU(SOC)

MEU1911ピストル画像
画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名MEU(SOC)ピストル
メーカーMarine Corps Armoryカスタム1911
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、セミオート
装弾数7発
全長約216mm
重量約1100g
特徴海兵隊特殊部隊仕様の1911改良型。

MEU(SOC)ピストルはアメリカ海兵隊の特殊部隊「フォース・リーコン」および海兵遠征部隊の特殊作戦対応部隊に1985年から2022年まで支給された、コルトM1911A1をベースにしたカスタムピストルです。

採用理由

  • 優れた信頼性:汚れや過酷な環境下でも安定して作動し、一般のM9より耐久性が高い
  • 強力なストッピングパワー:.45ACP弾薬による高いストッピングパワーは直接行動や近接戦闘に適する
  • カスタム精度:マッチグレードバレル、軽量トリガー、高視認サイトなど細部にわたり手作業で改良されている
  • 頑丈な構造:重量フレームと強化パーツで長期間の酷使に耐えられる

特徴

口径.45ACP、装弾数7発(ウィルソン・コンバット製ステンレスマガジン)、シングルアクション、約1.1kgの重量、5インチのマッチグレードバレル搭載です。

さらにアンビ対応のサムセーフティやラバーグリップ、前部コッキングセレーションなどが備わっています。

歴史

1985年に米海兵隊の精密武器整備部門で既存のM1911A1を厳選して改修・製造され、約40年間にわたりフォース・リーコンなど海兵隊の特殊部隊標準拳銃として使われました。

2020年代初頭にM45A1とM18に順次置き換えられ、2022年に完了、退役しました。

運用

過酷な戦場や湿潤環境でも作動し続けた実績があり、近接戦闘や直接行動任務での使用に最適化された拳銃として高い評価を得ています。

Manurhin MR73

MR73画像
マニューリンMR73 画像出典:eurooptic.com
項目内容
モデル名MR73
メーカーManurhin(フランス)
口径.357マグナム / .38スペシャル
作動方式ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数6発
全長190mm(銃身長により異なる)
重量約930g(4インチ)
特徴GIGN正式採用。極めて高い精度と耐久性。

マニューリンMR73(Manurhin MR73)はフランスの名高い高精度リボルバーで、特にフランスの対テロ精鋭部隊GIGN(国家憲兵介入隊)で広く使用されています。

RAIDやBRIなど他の特殊警察部隊でも採用されてきました。

現在もGIGNをはじめ一部の精鋭部隊で現役です。

採用理由

  • 高い信頼性と耐久性:.357マグナム弾を17万発以上発射しても劣化がほとんど見られない堅牢な設計
  • 驚異的な命中精度:ハンドフィットにより調整されたトリガーと銃身が非常に高い精度を実現
  • 強力なストッピングパワー:.357マグナム弾は旧警察制式の.32ACPから大幅な性能向上を実現
  • 高度なカスタマイズ性:トリガープルの重さや照準器などを個別に調整可能
  • 過酷な訓練に耐える堅牢性:GIGN隊員の大量発砲訓練にも耐えうる信頼性

特徴

6連発のDA/SA方式、.357マグナム弾(.38スペシャル弾も使用可能)、複数の銃身長バリエーション、冷間鍛造銃身と高級鋼材の使用、職人の手による仕上げが特徴です。

歴史

1972~73年にフランス警察の要請で開発され、1970年代から1980年代にかけて国家憲兵やGIGNに標準配備されました。

製造は1998年からChapuis Armes社に引き継がれ、現在も限定的に生産されています。

運用

1994年のエールフランス機ハイジャック事件でのGIGNによる制圧作戦などで活躍し、隊員の精度訓練「トラストショット」でもMR73が使われています。

Walther PDP P14 / P14K

ワルサーPDPピストル画像
ワルサーPDP P14 / P14K 画像出典:Walther
項目内容
モデル名PDP P14 / P14K
メーカーWalther
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数18発(フルサイズ)15発(コンパクト)
全長P14:215mm / P14K:189mm
重量不明
特徴ドイツ特殊部隊採用。最新モジュラーピストル。

ワルサーPDP(Walther PDP P14およびP14K)は、ドイツ連邦軍の精鋭特殊部隊向けに新たに採用された次世代サイドアームです。

KSK(陸軍特殊部隊)やKSM(海軍特殊部隊)、軍警察の特殊部隊で使用され、これまで主力だったGlock 17やHK P30、さらにはP8やP9などの旧型ピストルに代わる標準拳銃となりました。

採用理由

  • 約1年にわたる厳しい評価試験で、命中精度・信頼性・操作性・拡張性のすべてで競合機種を凌駕
  • 最新のモジュラー設計とハイキャパシティマガジン、そしてAimpoint ACRO 2ドットサイト対応による光学照準の装着が可能
  • 特殊部隊隊員からのフィードバックを反映した優れたエルゴノミクス(人間工学)とワルサー社独自の「ダイナミックパフォーマンストリガー」による軽快で正確なトリガーフィーリング

特徴

  • 口径は標準的な9×19mmパラベラム
  • マガジン装弾数は15~18発と旧型より増加
  • P14はフルサイズ(銃身長4.5インチ)、P14Kはコンパクト(銃身長4インチ)モデル
  • サイレンサー装着対応のスレッド付きバレルおよびマズルブレーキ装備
  • 標準でAimpoint ACRO 2ドットサイトが搭載可能な深いスライドカットを装備
  • ライトやレーザーサイトの取り付けが可能なアクセサリーレールを搭載
  • バックストラップやグリップパネルが交換可能で、個々の手のサイズや好みに対応可能

歴史

2021年にワルサーがPDP(Performance Duty Pistol)として発売した最新型をベースに、ドイツ連邦軍の特殊部隊仕様としてP14/P14Kをカスタマイズ。

2024年に「System Pistole Spezialkräfte」プログラムの評価を勝ち抜き正式採用されました。

運用

実射テストや過酷な環境下での信頼性試験をクリアし、隊員からは高速なターゲット捕捉能力や操作性の高さが高く評価されています。これによりドイツ特殊部隊のサイドアームが標準化され、これまでの多様な拳銃が統一されました。

Beretta APX

Beretta APX画像
Beretta APX 画像出典:Shistorybuff, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Beretta APX
メーカーBeretta(イタリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発
全長約192mm
重量約800g
特徴モジュラー設計。イタリア特殊部隊採用。

ベレッタAPX(Beretta APX)は、イタリア軍および警察の特殊部隊(SOF)を中心に採用されている最新世代のモジュラー式セミオートピストルです。

イタリア陸軍の特殊作戦部隊や近接警護チームから、従来のBeretta 92FSを置き換えつつあります。

インドネシア海軍の特殊部隊(Taifib、Kopaska、Denjaka)やアルバニアの特殊警察RENÉAなど、多国籍のエリート部隊でも使用されています。

世界20か国以上の警察・軍隊にも広がりを見せています。

採用理由

  • 米陸軍のモジュラー・ハンドガン・システム(MHS)仕様に適合するよう設計された、内部シャーシ一体型のモジュラー構造
  • 用途や使用者の手に合わせて交換可能なバックストラップ、フレームの交換が可能で柔軟性に優れる
  • 45,000発の射撃テストで5,000発ごとの故障率が低く、高い信頼性と耐久性を実証
  • スライドに施された攻撃的なセレーション、低いボアアクシス(照準線と銃身軸差)が操作性とコントロールの向上に寄与
  • タクティカルモデル(APX Combat、A1 Tactical)はスレッド付き銃身やサプレッサー用ハイサイト、ドットサイト対応で特殊作戦ニーズに対応
  • 競争力のある価格で、旧型拳銃からの更新を目指す機関に適したモダンプラットフォーム

特徴

  • 口径:9×19mmパラベラム(.40S&Wや9×21mm IMIもあり)
  • マガジン装弾数:標準17発(ダブルスタック)
  • フレーム:ポリマー製、交換可能なバックストラップとモジュラーシャーシシステム
  • 作動方式:ストライカー式、約6ポンドの安定したトリガープル
  • スライド:攻撃的なセレーション、光学照準器対応(タクティカルモデル)
  • 銃身:ネジ付き銃身(タクティカル・コンバットモデル)
  • 照準:標準サイトとサプレッサー用高サイト、光学サイト対応
  • バリエーション:フルサイズ、セントリオン(ミッドサイズ)、コンパクト、コンバット、A1タクティカル
  • アクセサリーレール:ピカティニーレール装備でライトやレーザーが取り付け可能

歴史

APXは米陸軍MHSプログラムに合わせて開発されましたが、SIG Sauer P320に敗れながらも2017年に市販開始。その後、戦術的な拡張モデルやコンパクトモデルを追加し、世界中で採用が拡大しています。

運用

イタリアの特殊作戦部隊を中心に徐々に92FSから移行が進み、各種軍警察組織の評価試験もパス。

モジュール性と戦術適性の高さが評価され、多様な任務に対応できる側面が支持されています。

Beretta PX4 Storm

ベレッタ Px4 Storm画像
Beretta Px4 Storm east718, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名PX4 Storm
メーカーBeretta
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式(ローテイティングバレルロック)
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数17発
全長約192mm
重量約785g
特徴ローテイティングロッキングバレル構造。

ベレッタPx4ストーム(Beretta Px4 Storm)は、2004年に登場したモダンなポリマーフレームのサービスピストルで、優れた信頼性と高いモジュール性を誇ります。

イタリアのNOCS(治安作戦中央部隊)をはじめ、インドのPara特殊部隊、韓国の707特殊任務大隊、チリやアルバニアの特殊部隊など、多国籍の特殊部隊・警察機関で採用されているほか、世界中の一般警察や軍隊にも広く配備されています。

採用理由

  • 10,000発の連続射撃試験でも故障なく耐えうる堅牢さを持ち、独特のローテイティングバレルロック機構が摩擦を減らし信頼性を向上させています。
  • 交換可能なバックストラップとグリップ、左右両用対応のマガジンリリースやスライドストップを装備し、多様なユーザーの手に合わせて素早くカスタマイズ可能です。
  • トリガーを引かずに分解できる設計で、整備時の安全性が高いほか、オートファイアリングピンブロックを装備し、DAOモデルはスパー無しハンマーを採用しています。
  • ローテイティングバレルシステムにより反動とマズルジャンプが抑制され、連射時の制御性と速射性が向上しています。
  • ピカティニーレールを装備し、ライトやレーザーの搭載に対応。多彩なアクセサリーで任務に適合します。

主要スペック

  • 口径:9×19mmパラベラム(.40S&W、.45ACPもあり)
  • マガジン容量:モデルや口径によるが9mmフルサイズは17発前後
  • 作動方式:ショートリコイル、ロッキングはローテイティングバレル(フルサイズ・コンパクト)、サブコンパクトはティルトバレル
  • フレーム:ポリマー+スチールインサートで軽量かつ耐腐食性あり
  • 照準:3点ドットのアイアンサイト(Superluminova塗装で暗所視認性良好)
  • 安全装置:オートファイアリングピンブロック、任意のマニュアルセーフティやデコッカー(モデルにより異なる)
  • モジュール:バックストラップ交換可能、左右両用の操作部品
  • アクセサリーレール:標準ピカティニーレール搭載
  • バリエーション:フルサイズ、コンパクト、サブコンパクト

歴史

グロック17などの競合製品に対抗するために開発され、米軍のジョイントコンバットピストルプログラムでも評価されましたが最終的に採用はされませんでした。

その後も世界中の多くの法執行機関や特殊部隊で評価されており、特に高いモジュール性と反動制御の良さが重視されています。

運用

米国メリーランド州警察などをはじめ、多くの特殊部隊で厳しい環境下での耐久試験をクリア。

インドのPara特殊部隊や韓国の707特殊任務大隊、イタリアNOCSなど、信頼性とカスタマイズ性が求められる部隊で継続して採用されています。

PX4(ベレッタ PX4 ストーム)のローテイティングバレルとは、銃身(バレル)を回転させることでロッキングとアンロッキングを行う作動方式のことです。

PX4はショートリコイル作動式ですが、一般的なティルトバレル方式(バレルが上下に傾くロッキングシステム)ではなく、銃身自体が軸方向に沿ってわずかに回転することでスライドとの結合を解放します。

具体的には以下のような特徴があります。

  • 発射時、銃身とスライドがわずかに後退する際に、バレルがカムパス(内部のカム溝とカムラグ構造)によって数度だけ回転します。
  • この回転動作によってロッキングが解除され、スライドが後退して排莢と再装填を行います。
  • ティルトバレル方式に比べて直進運動が多いため、発射時の反動直進性が高まり、マズルジャンプ(跳ね上がり)が抑えられる設計思想があります。
  • 同様の回転式バレルロッキングは、ベレッタ 8000クーガーやグランドパワー K100などでも採用されています。

この方式はティルト式に比べて部品摩耗が少ないとされ、反動感がソフトであると評価されることが多い一方、回転部分の機械構造が複雑になるため、製造コストやメンテナンス性の面でやや不利とされることもあります。

FN Five-seveN

FNファイブセブン画像
FN Five-seveN Bobbfwed at the English-language Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Five-seveN
メーカーFN Herstal(ベルギー)
口径5.7×28mm
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、ハンマー方式、セミオート
装弾数20発
全長約208mm
重量約744g
特徴高速軽量弾。貫通力重視。

FNファイブセブン(FN Five-seveN)は、1990年代にベルギーのFN Herstal社がNATOの新型PDW(パーソナルディフェンスウェポン/個人防衛火器)要請に応えて開発した5.7×28mm弾を使用するセミオートピストルです。

1998年の生産開始以来、軽量かつハイキャパシティの装弾数、そしてボディアーマーを貫通できる高い貫通力を持つことから、世界40か国以上の軍・警察特殊部隊やエリート部隊に採用されています。

採用部隊・国

  • フランス:GIGN(国家憲兵隊対テロ部隊)、RAID(国家警察特殊部隊)、DGSE(情報機関)など
  • ベルギー:特殊部隊グループ(SFG)、特殊ユニット局(DSU)
  • ポーランド:GROM(特殊部隊)、中央捜査局
  • インド:VIP警護部隊SPG(特別警護隊)
  • アメリカ:シークレットサービス、戦術チーム多数
  • シンガポール:陸軍コマンドフォーメーション
  • サウジアラビア、イタリア(コル・モスキン特殊部隊)、インドネシア、メキシコ、キプロス、チリ、他多数

採用理由

  • 5.7×28mm弾は従来の9mmよりも射程・精度・貫通力が優れており、ボディーアーマー貫通能力を有しています。
  • ロード時1kg未満で、標準20発の大容量マガジンにより連射時の携行負担を軽減。
  • 反動が少なく、速いフォローアップショットが可能なためCQB(近接戦闘)に最適。
  • さまざまな環境下での運用に耐え、軍用・対テロ・近接戦闘任務に適応。
  • コンパクトかつ軽量で、車両乗務員や隠密任務に向いています。

主要スペック

  • 口径:5.7×28mm
  • マガジン容量:標準20発(10発、30発もあり)
  • 重量:約744g(空マガジン)、1kg未満(装填時)
  • 作動方式:シングルアクション、セミオート
  • フレーム:ポリマー製(軽量かつ耐腐食)
  • 照準:調整可能または固定、トリチウムナイトサイトあり
  • 安全装置:アンビ対応のマニュアルセーフティとトリガーセーフティ
  • アクセサリーレール:タクティカルライトやレーザー搭載用

歴史

1990年代にNATOの要請を受け開発され、FN P90 PDWと同じ弾薬を使用するサイドアームとして設計されました。

1998年に量産が開始され、2000年にはキプロス特殊部隊で初めて採用。その後、世界中の軍・警察特殊部隊での採用が急速に拡大しました。

運用

  • フランス特殊部隊による対テロや近接護衛、都市戦、海上任務など多彩な任務での運用実績があります。
  • 米シークレットサービスをはじめとした法執行機関でも、高い貫通力と携行性を評価されています。
  • 多くの特殊作戦部隊でP90 PDWとともに装備され、統一弾薬による運用効率を高めています。

議論と犯罪使用:FN Five-seveN

FN Five-seveNは米国でボディーアーマーを貫通できる能力が問題視され、法規制提案が相次ぎました。

メキシコ麻薬カルテルやフォートフッド銃乱射事件などで使用され、悪名が高まりました。

IWI Jericho 941

ジェリコピストル画像
項目内容
モデル名Jericho 941
メーカーIsrael Weapon Industries
口径9×19mm / .40S&W / .45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはシングルアクションオンリー(SAO)
装弾数16発(9mm)
全長約207mm
重量約1080g(スチールモデル)
特徴CZ75系設計ベース。

ジェリコ941(IWI Jericho 941)は、イスラエルのイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ(IMI)が1990年に開発したセミオートピストルで、CZ 75をベースにした信頼性の高いプラットフォームを特徴としています。

イスラエル国防軍(IDF)および警察特殊部隊、さらには世界各国の特殊部隊や警察で幅広く採用されています。

採用部隊・国

  • イスラエル:IDF全軍および特殊部隊、警察・治安部隊
  • インド:特殊部隊(SF)
  • 韓国:707特殊任務大隊(対テロ特殊部隊)、軍警特殊任務班
  • チリ:海兵隊
  • その他:コロンビア、コスタリカ、エルサルバドル、ジョージア、ギリシャ、ニカラグア、ペルー、フィリピン(薬物取締局)、ルーマニア、セルビア、ウクライナ、ベトナム(限定的)など

採用理由

  • CZ 75の堅牢で精度の高い設計を踏襲し、Tanfoglio製パーツの採用により品質・補修パーツの入手性も高い。
  • 既存のCZ 75系知識を活かした訓練・整備がしやすく、軍・警察双方に適応しやすい。
  • 主に9mmだが、.40S&W、.45ACP、当初は.41AEも用意。スチールフレームとポリマーフレーム両方が選択可能。
  • セーフティ兼デコッキングレバーと快適なグリップ形状で多様なユーザーに対応。

主要スペック

  • 口径:9×19mmパラベラム(標準)、.40S&W、.45ACP、.41AE(初期)
  • マガジン容量:9mmモデルで15~16発が一般的
  • 作動方式:ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
  • フレーム材質:スチールまたはポリマー
  • 銃身:ポリゴナルライフリング
  • 照準:フィクスド(固定式)またはアジャスタブル(調整式)
  • バリエーション:フルサイズ、セミコンパクト、コンパクト、アクセサリーレール付きモデルなど

歴史

イスラエルが1990年に自国軍の信頼できる近代的拳銃を求めて開発。

CZ 75の実績をベースに設計され、最初はTanfoglioがパーツ供給。国内外の警察・軍で広く採用され、「ベイビーイーグル」「ウージーイーグル」「デザートイーグル・ピストル」などの名前でも知られています。

以降、ポリマーフレームモデルの追加や多口径展開で進化を続けています。

運用

  • イスラエル特殊部隊では対テロ・特殊作戦での信頼性と命中精度を評価。
  • 韓国707特殊任務大隊では標準装備として採用され、高リスク任務に使用。
  • チリ海兵隊およびその他多国の特殊部隊でも堅牢な作りと運用のしやすさから愛用されています。

Emtan Ramon

EMTAN RAMONピストル画像
EMTAN RAMONピストル 画像出典:emtan.co.il
項目内容
モデル名Ramon
メーカーEmtan Karmiel(イスラエル)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発
全長約184mm
重量約640g
特徴Glock系設計、低価格高耐久。

エムタン・ラモン(Emtan Ramon)は、イスラエル特殊部隊をはじめ、ペルー軍・警察、スペインのシビルガード(国家憲兵組織)、その他40か国以上の軍・法執行機関で採用されているピストルです。

採用理由

高い信頼性と耐久性が挙げられます。NATOおよび米軍の厳格な環境・耐久テスト(20,000発の耐久試験)に合格し、過酷な状況下でも安定した性能を発揮します。

Glock 19に類似した設計ながら、コストパフォーマンスに優れているため、予算が限られる機関でも大量採用しやすい点も支持されています。

設計は特殊部隊のフィードバックを反映し、命中精度、操作性、装着感に重点が置かれていることが特徴です。また、ホルスターやアクセサリーの互換性を重視したユニバーサルモデルとして製造され、兵站面の負担軽減にも寄与しています。

主なスペック

9×19mmパラベラム弾を使用し、標準マガジンは17発(15発版も存在)。

フレームは耐久性の高いポリマーフレームでストライカーファイア方式です。

トリチウムナイトサイトやドットオプティクスの装着が可能なアダプターを標準装備し、ピカティニーレールが備わっています。

歴史

イスラエルのエムタン・カルミエル社が特殊部隊の意見を取り入れて開発し、すでに6年以上の運用実績があります。

スペインやペルーでの大規模調達をはじめ、世界中に輸出されており、信頼性の高さからグローバルに評価されています。

運用

イスラエル特殊部隊が従来のグロックから切り替えを進めており、ペルー軍ではNATO基準による事前検査を経て正式採用、スペインのシビルガードではコスト面の理由で選定されています。

初期にはエキストラクターやスプリング、稀にスライド亀裂の問題が報告されましたが、パーツ交換で対処済みです。

Emtan Ramonは高水準の耐久性と信頼性を装備し、かつコスト面で優位な点が多国籍軍・警察特殊部隊に支持される理由となっています。

NATO規格を満たす品質検査に合格していることも、その信頼を裏付けています。

K5 (DP51)

DP51画像
DP51 War Memorial of Korea’s public work is used according to Korea Open Government License (KOGL) (KOGL Type 1 or KOGL Type 1), via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名K5
メーカーS&T Motiv(旧Daewoo)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
トリプルアクション
(DA/SAに独自の「ファストアクション」モードを追加)
装弾数13発
全長約190mm
重量約740g
特徴韓国軍標準拳銃。

K5は、韓国が1989年に制式採用した9mm口径の自国製拳銃で、正式名称はDP51です。

軽量で扱いやすく、独自のファストアクション機構(ダブルアクションとシングルアクションを組み合わせた機能)が備わっていることが特徴で、韓国の軍と警察で広く運用されています。

採用部隊と国

韓国では大韓民国軍の標準制式拳銃として、特殊部隊や軍警察、将校を含む幅広い部隊でK5が使用されています。

国外への輸出例は限定的であり、バングラデシュ、ペルー、ベトナムの一部軍・警察組織でも見られますが、主な運用国は韓国です。

採用理由

国内生産による供給独立を目的として1980年代に開発されました。

K5は「ワンダーナイン」と呼ばれるハイキャパシティダブルスタックマガジンを装備し、当時としては軽量な合金フレームを採用しています。

独自の「トリプルアクション」トリガーシステムは、長いダブルアクションの安全性とシングルアクションの軽い引き心地を兼ね備え、射撃の安全性と操作性を向上させました。

設計がシンプルでメンテナンスが容易であり、大量配備に適しています。

主な特徴

口径は9×19mmパラベラム。マガジンは13発のダブルスタック型(S&Wモデル59に類似)。

銃身長は約4.1インチ、全長は約7.1インチ。重量は約737gで軽量な合金フレーム製。

作動方式はダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)ですが、トリプルアクションとも呼ばれる独特なモードを持ち、ハンマーをコックした後に安全にデコックしつつ、最初のトリガープルを軽く長くできる仕組みです。

安全装置は手動セーフティ兼デコッカーで、アンビ対応。サイトは調整可能な三点照準。エルゴノミクスも考慮されており、マガジンキャッチはリバーシブル、ハンマーは露出式で、トリガーガードはフック付きまたは丸みを帯びた形状があります。

開発と歴史

1980年代に大宇精密工業(Daewoo Precision Industries)が開発し、1989年に韓国軍で正式採用されました。

国外では「DP51」「Lionheart LH9」「REGULUS」などの名称で民間・輸出向けにマイナーチェンジを施し展開しています。

現在も韓国軍の標準制式拳銃として現役です。

運用例・評価

韓国特殊部隊および軍警察、将校の標準拳銃として広く支給され、野戦および戦闘環境での信頼性が評価されています。

国外市場では独特のトリプルアクショントリガーが注目され、高い評価を受けています。

隊員が自費購入していた韓国特殊部隊

調達問題は精鋭部隊にも影響します。

韓国特殊部隊では、国内製品の品質不良や入手不可により、隊員が海外から拳銃やタクティカルギアを自費購入することがありました。

調達規制で購入が一時禁止され、作戦能力低下の懸念が生じ、問題となりました。

Caracal F / C / SC

Caracalピストル画像
Caracal F Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Caracal F / C / SC
メーカーCaracal International(UAE)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数F:18発 / C:15発 / SC:13発
全長F:178mm、C:167mm、SC:160mm
重量750g
特徴UAE製モジュラーピストル。

カラカル(Caracal)は、アラブ首長国連邦(UAE)が2006年に開発した自動拳銃で、F、C、SCなど複数のサイズバリエーションがあります。

採用部隊と国

アラブ首長国連邦(UAE)ではCaracal F(カラカルF)が軍および警察の標準制式拳銃として採用されています。

バーレーン軍・警察も約5,000挺の採用実績があり、ヨルダン軍・警察でも標準装備となっています。

アルジェリアやリビアの軍・警察部隊でも使用例があります。さらにドイツやイタリア、フランス、タイなどの特殊部隊において評価・試験が行われており、ヨーロッパや中東、北アフリカの他国にも配備または評価されています。

採用理由

Caracalは欧州およびUAEの設計チームによる共同開発で、最新の設計思想を反映した信頼性の高い拳銃です。

ドイツ等での厳しい軍・警察トライアルを通過し、耐久性・精度・操作性が評価されています。

低いボアアクシスにより反動が抑えられ、速射時のコントロール性が向上します。

UAEの国内生産品であるため、輸入品に比べてコストと供給面での利点も大きいです。また、9mmを中心に.40S&Wや.45ACPもラインナップし、フルサイズ(F)、コンパクト(C)、サブコンパクト(SC)と複数のサイズ展開が可能で多様な任務に適応します。

主な特徴

主力は9×19mmパラベラム弾。マガジン容量はフルサイズで18発、コンパクトで15発、サブコンパクトで12発(9mmの場合)。

フレームは軽量かつ耐腐食性に優れたポリマーフレーム。作動方式はストライカー式でトリガープルが一定です。

サイトは標準の3点ドットサイトを装備し、ロープロファイルの選択肢もあります。

安全装置はトリガーセーフティ、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティが標準装備。グリップは低ボアアクシス設計で、操作性と連射時の安定性に優れています。

ピカティニーレールを装備し、ライトやレーザーサイトの装着が可能です。

開発と歴史

2002年に欧州とUAEのデザイナーにより開発が開始され、2006年にCaracal International LLCが設立されました。

2007年に製品発表されてから、UAE軍・警察を中心に急速に採用が進みました。

続いてバーレーン、ヨルダンなど湾岸諸国でも大量採用され、欧州やアジア、アフリカ各地で評価・デモンストレーションが実施されています。

運用例・評価

イタリアのNOCS、GIS、17º Stormo Incursori(第17強襲航空団)、9th Parachute Regiment(第9落下傘連隊)やフランスのRAID、GIGN、タイの特殊部隊など欧州・アジアの精鋭部隊において評価・試験されています。

UAEやヨルダンの特殊部隊や警察は実戦環境で使用し、信頼性と操作性の高さが報告されています。

国際的な比較試験でも既存の主要ブランドと競合し、好評を得ています。

Taurus PT92

トーラスPT92画像
トーラスPT92 画像出典:taurususa.com
項目内容
モデル名Taurus PT92
メーカーTaurus
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数17発
全長216mm
重量960g
特徴Beretta 92のブラジルライセンス生産型。

トーラスPT92(Taurus PT92)は、ブラジルのトーラス社が製造する9mm自動拳銃で、ベレッタ92のライセンス生産を基に独自改良を加えたモデルです。

1980年代からブラジル軍や警察、特殊部隊で広く採用されており、堅牢で信頼性が高いことで知られています。

採用部隊と国

ブラジル陸軍の標準制式拳銃(「M975」)として採用されており、国内警察および特殊歩兵部隊でも運用されています。

ペルー陸軍および特殊部隊、インドネシア軍・警察、マレーシアの警察・軍特殊部隊、さらにアルゼンチン、ドミニカ共和国、リビア、パラグアイの軍・警察特殊部隊、イスラエル警察でも使用されています。

採用理由

PT92はイタリアのベレッタ92を基に、ベレッタとの契約終了後にブラジルでの生産権を得て製造された拳銃です。

設計の信頼性と実績はすでに実証済みで、ブラジルでの現地生産によりコスト削減と供給面の独立性を実現しました。

従来のベレッタ92のDA/SA方式、ハイキャパシティダブルスタックマガジン、ダイレクトフィード方式を踏襲しつつ、フレームに組み込まれたセーフティ兼デコッカーを装備し、安全性を強化しています。

主な特徴

主弾薬は9×19mmパラベラム弾で、マガジン容量は標準で17発。

フレームはアロイ製で耐久性に優れています。

スライドはベレッタの特徴であるオープンスライドデザイン。

セーフティはフレームマウントのコンビネーション式(セーフティ兼デコッカー)で扱いやすい構造です。

バリエーションとしてコンパクトモデルや.40S&W、.380ACPモデルも存在し、現代的なタクティカルライトやレーザー装着用のピカティニーレール搭載モデルもあります。

歴史

1983年にブラジルでベレッタの特許が切れた後、トーラス社がベレッタの旧設備を取得し、PT92の製造を開始しました。

すぐにブラジル軍および警察の制式拳銃として採用され、その後ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカ各地へ輸出されました。

運用例・評価

ブラジルの特殊歩兵部隊が治安・警備任務で採用し、過酷な環境でも信頼性を発揮しています。

ペルーの特殊部隊でも実戦配備されており、エリート部隊のサイドアームとして適応しています。

ブラジルでベレッタ92ピストルが製造された経緯は以下のとおりです。

  1. 契約とライセンス生産
    • 1970年代、ブラジル軍および警察向けに拳銃の国産化が求められていました。
    • このとき、イタリアのベレッタ社は南米市場への進出を目指し、ブラジル国内での生産を計画しました。
  2. ベレッタ社のブラジル工場設立
    • 1977年、ベレッタ社はブラジル・サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポに工場を設立し、ベレッタ92(初期モデル)のライセンス生産を開始しました。
    • しかし数年後、ベレッタは経営戦略の変更によりブラジル市場から撤退することを決定し、この工場と生産設備をトーラス社(Forjas Taurus S.A.)に売却しました。
  3. トーラスPT92の誕生
    • トーラスはベレッタから譲渡された製造設備を活用し、ベレッタ92の基本設計を引き継いだ自社モデルPT92を製造開始しました。

PT92は以下のような改良が施されています。

  • セフティレバーをスライドではなくフレームに配置し、デコッキング機能を追加
  • マガジンキャッチ位置の変更
  • グリップデザインの変更

 これらの改良により、PT92は単なるコピーではなく、トーラス独自の製品として評価されるようになりました。

FAMAE FN-750

FAMAE FN-750画像
FAMAE FN-750 画像出典:wikiwarriors.org
項目内容
モデル名FAMAE FN-750
メーカーFAMAE
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数15発
全長210mm
重量1,000g
特徴FN Hi-Powerのチリライセンス生産型。

採用部隊と国

FAMAE FN-750はチリのFAMAE(陸軍兵器工廠)によってライセンス生産され、チリ陸軍、法執行機関、特殊作戦部隊、戦術部隊で運用されています。

主にチリ国内向け製品ですが、FAMAEはラテンアメリカ諸国を中心に軍警察向け輸出実績を持ち、FN-750も地域展開の一環として位置付けられています。

採用理由

FN-750はモジュラーシステムとして設計され、特殊作戦部隊が任務に応じて構成を変更できる点が大きな特徴です。

設計基盤には高い信頼性と精度で知られるCZ75プラットフォームが採用されており、過酷な作戦環境における運用に適しています。

サンティアゴで製造されるため、供給・整備面での国内自立性を確保できることも採用理由の一つです。

主な特徴

CZ75をベースとしたプラットフォームを採用し、9×19mmパラベラム弾仕様が標準ですが、マルチキャリバー化にも対応可能です。

最新CNC加工で製造され、高品質を維持しています。

モジュラーシステムにより光学照準器や各種タクティカルアクセサリーに対応し、用途に応じた運用が可能です。

歴史

FN-750はチリ軍向けの高品質国産サイドアーム・モジュラーシステムとしてFAMAEにより開発されました。

2020年にはラテンアメリカ防衛革新賞(Latin American Defense Innovation Prize)を受賞しており、地域防衛産業における先進的な存在として認められています。

運用例・評価

特殊作戦部隊向けに設計されており、ミッションアダプタブル※な構成が求められる作戦に投入されています。

FAMAEはチリ軍への主要供給業者であり、FN-750は戦術部隊・特殊部隊装備体系の中核を成しています。

ミッションアダプタブル(Mission Adaptable)」の要点

  • 汎用性:一つの装備で複数任務に対応
  • 迅速性:現場で素早く構成変更可能
  • 効率性:複数種類の装備を持たずに済むため補給・整備コストが軽減

MP-443 Grach

MP-443 Grach画像
MP-443 Grach Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名MP-443 Grach(ヤリギンピストル)
メーカーIzhmekh(ロシア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数17発
全長約198mm
重量約830g
特徴ロシア軍標準拳銃。

MP-443 Grachは、ロシアのイジェフスク機械製作工場が開発した9x19mm自動拳銃で、2003年にロシア軍の制式拳銃として採用されました。

マカロフPMの後継として設計され、高い耐久性と装弾数17発の大容量が特徴です。

採用部隊と国

MP-443 Grach(グラッチ)はロシア軍および法執行機関全般の制式拳銃であり、空挺軍(VDV)、スペツナズ(SOBR、FSBを含む)、憲兵(軍警察)など特殊部隊にも配備されています。

ウクライナ紛争ではロシア軍通常部隊やチェチェンSOBR部隊による運用が確認されています。また、カザフスタンでは輸出民間仕様MR-446 Vikingが民間警備会社や一部治安部門で採用されています。

ウクライナ軍でも鹵獲品として運用例があります。

採用理由

老朽化したマカロフPMの後継として、より高い装弾数(17~18発)、近代的ダブルアクション作動、改良されたエルゴノミクスを特徴としています。

7N21 +P+徹甲弾対応により防弾装備を貫通可能であることも特殊部隊での運用に必須でした。

コルト・ブローニング式ショートリコイル機構を簡素化した設計で信頼性とメンテナンス性を向上させています。

主な特徴

口径は9×19mmパラベラムで、標準弾および徹甲弾(7N21)に対応します。

オールスチールフレームで堅牢性は高いものの、重量は950gとやや重めです。

全長198mm、銃身長112mm、作動方式はショートリコイルのダブルアクション、装弾数は17または18発。

命中精度は有効射程50m程度とされています。

ピカティニーレール装着可能モデルも存在し、現代的なタクティカルアクセサリーに対応します。

歴史

1993年にイジェフスク工場(現カラシニコフ・コンツェルン)でウラジーミル・ヤリギンによって設計が始まり、2003年にロシア軍で正式採用されました。

実部隊配備は2011~2012年以降本格化し、マカロフPMを徐々に置換していますが、一部部隊ではAPSステチェキンやPMも継続使用されています。

運用例・評価

ウクライナ戦争においてロシア軍通常部隊、VDVスペツナズ、チェチェンSOBR部隊などが使用している様子が確認されています。

ダブルアクショントリガーと徹甲弾能力は高く評価される一方、グロック17など西側製ポリマーピストルに比べ重量と信頼性で批判されることもあります。

GSh-18

GSh-18 画像
GSh-18 Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名GSh-18
メーカーKBP Instrument Design Bureau(ロシア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ローテイティングバレルロック
ストライカー方式、セミオート
装弾数18発
全長約184mm
重量約580g
特徴高貫通AP弾対応。軽量。

GSh-18は、ロシア製の軽量でコンパクトな9x19mm自動拳銃で、2001年に制式採用されました。

高い装弾数(18発)と優れた操作性を持ちます。

採用部隊と国

GSh-18は2003年よりロシア軍および法執行機関にて配備され、特に特殊部隊や治安部隊で重用されています。

空挺軍、スペツナズ、治安局(FSB)、警察特殊部隊などが運用し、第二次チェチェン紛争、グルジア紛争、シリア内戦、ウクライナ戦争など、主要紛争で実戦投入が確認されています。

輸出や国外採用例は限定的で、民間向けバリエーションが存在するのみです。

採用理由

高初速の7N21および7N31徹甲弾による防弾ベスト(ロシアクラス3相当)貫通能力は、旧式マカロフPMでは達成不可能であり、これが最大の採用要因となりました。

重量580~590gと非常に軽量で携行性に優れ、装弾数も18発と多く、特殊作戦に最適です。

ポリマーフレーム、ストライカー作動、ローテイティングロッキングバレルなど近代的設計が採用されています。

主な特徴

口径は9×19mmパラベラム、特に7N21および7N31 +P+弾薬対応。装弾数18発、重量580~590g(未装填)、作動方式はショートリコイル・ローテイティングバレル・ストライカー方式。

ポリマーフレームにスチールスライドと内部機構を組み合わせ、銃身長103mm。グロック風トリガーセーフティを装備し、エキストラクターはローデッドインディケーター機能を兼ねます。

耐久性は3万発以上を保証。反面、グリップはやや大きく、グリップしにくいとの指摘もあります。

歴史

1990年代後半、ツーラのKBP設計局でグリャゼフとシプノフ両技師により開発されました。

2000年にロシア司法省で先行配備され、2003年の政令により軍・法執行機関に広く採用されています。

ただし全軍の標準拳銃はMP-443 Grachであり、GSh-18は特殊部隊や前線部隊向けに限定的に運用されています。

運用例・評価

第二次チェチェン紛争、グルジア紛争、シリア、ウクライナといった近年の紛争で運用が確認されており、特殊部隊員からは防弾装備貫通能力と高装弾数、軽量性を評価する声が多い一方、トリガープルが重く長い点、グリップ形状が西側製拳銃に比べて劣るという指摘もあります。

PM(Makarov)

マカロフ画像
マカロフ Konstantin, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名PM(Makarov)
メーカー旧ソ連各社
口径9×18mmマカロフ
作動方式ブローバック方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数8発
全長約161mm
重量約730g
特徴簡素で頑丈。東欧で長期使用。

PM(マカロフ)は、1951年にソ連で制式採用された9x18mmマカロフ弾を使用する自動拳銃です。

シンプルな設計と信頼性の高さが特徴で、旧ソ連およびロシアの特殊部隊や警察で長く運用されてきましたが、近年は新型拳銃への更新が進んでいます。

採用部隊と国

Makarov PM(マカロフPM)は1951年にソビエト連邦軍、警察、特殊部隊、戦車乗員、航空機搭乗員の標準拳銃として採用されました。

ソ連崩壊後もロシア軍・警察・スペツナズなどで広く運用が続いており、2003年にMP-443 Grach(PYa)に正式に置き換えられた後も、多くの部隊で現用されています。

東ドイツやブルガリアなどの東欧諸国をはじめ、北朝鮮、ベトナム、アジア、アフリカ、中東各国でも採用されました。

採用理由

PMはワルサーPPに基づくシンプルなブローバック設計で、高い信頼性とメンテナンス性を持ち、作動不良が極めて少ない点が評価されました。

トカレフTT-33より小型軽量で、安全装置やデコッカーを装備したDA/SAトリガーによる取り扱い安全性の高さ、大量生産向きのコスト効率の良さも決め手となりました。

9×18mmマカロフ弾は近接戦闘で十分なストッピングパワーと制御しやすい反動を提供します。

主な特徴

口径は9×18mmマカロフ弾、装弾数8発(シングルスタック)、作動方式は直撃式ブローバックのDA/SA。重量約730g、全長161.5mm、銃身長93.5mm。

スライド上のデコッカー兼セーフティ、ヒール式マガジンキャッチ、フィクスドサイトが備わっています。

オールスチール構造で堅牢、射程は有効50mとされます。

歴史

第二次世界大戦後、トカレフTT-33とナガンM1895を置き換えるため設計され、厳格な競争試験を経て1951年12月に「9mmピストレット・マカロフ」として正式採用。

ソ連崩壊まで標準拳銃の地位を維持し、その後もPYaやウダフなど後継モデルが完全に代替できず、現役運用が続いています。

ロシア、東ドイツ、ブルガリア、中国など多数の国でライセンス生産されました。

運用例・評価

ベトナム戦争(北ベトナム・ベトコン)、ソ連アフガン侵攻、チェチェン紛争、リビア危機、シリア内戦、ウクライナ戦争など各地の紛争で使用され、スペツナズや警察特殊部隊に長年支給されています。

高い信頼性と簡便さ、隠匿性が評価され、今日も数多くの部隊で使用され続けています。

CZ 75 SP-01 Phantom

CZ 75 SP-01 Phantom画像
CZ 75 SP-01 Phantom JanHermanek, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SP-01 Phantom
メーカーČeská zbrojovka(チェコ)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数18発
全長約208mm
重量約800g
特徴ポリマーフレーム、タクティカル仕様。

CZ 75 SP-01 Phantomは、チェコ製の9mm自動拳銃で、CZ 75シリーズの近代化モデルです。

耐久性と精度に優れ、特殊部隊や警察で使用されています。

採用部隊と国

CZ 75 SP-01 Phantom(ファントム)は2012年1月からチェコ陸軍空挺部隊(第4即応旅団)に標準支給されており、全隊員に支給されています。また、スロバキア特殊部隊・軍・警察、タイ王立陸軍特殊部隊でも採用されています。

CZ 75ファミリー(SP-01含む)はジョージア、カザフスタン、リトアニア、ポーランド、ロシア、トルコ、アメリカ(デルタフォース)、セルビア警察特殊部隊など世界各国の特殊部隊や警察で運用されています。

採用理由

CZ 75は信頼性と精度の高さで世界的評価を得ており、SP-01 Phantomは33%軽量化されたポリマーフレーム、アクセサリーレール、交換式バックストラップを装備するなど、現代の特殊部隊運用に適応したモデルです。

グリップインサートにより、手のサイズに合わせた調整が可能で、長時間の携行や射撃でも快適さと安定性を確保します。CZ 75シリーズの長年の実績と耐久性も重要な採用理由です。

主な特徴

口径は9×19mmパラベラム弾、装弾数18発(拡張容量)。

フレームはポリマー製で、スライドは鍛造スチール(軽量化スカラップ加工)。

作動方式はDA/SAでデコッキングレバーを装備し、アクセサリーレール、2種類の交換式リアストラップを標準装備します。

重量約770g、全長184mm、銃身長98mm。

歴史

CZ 75は1975年に設計され、翌年チェコスロバキアで正式採用。

SP-01シリーズは軍・法執行機関・対テロ部隊向けに開発され、Phantomは2000年代に軽量ポリマーフレームとモジュラーグリップシステムを採用して誕生しました。

2012年からチェコ軍空挺部隊で正式採用され、数千挺が調達されています。

運用例・評価

チェコ陸軍空挺部隊では2012年から全隊員に支給されており、実戦配備実績があります。

世界各国の特殊部隊やエリート警察部隊でも信頼性、操作性、軽量性が高く評価され、さまざまな気候や任務環境下で安定した運用が確認されています。

CZ P-10 C / F

CZ P-10画像
CZ P-10 Land68, CC0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名CZ P-10 C / F
メーカーČeská zbrojovka
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数C:15発 / F:19発
全長C:185mm / F:203mm
重量C:740g / F:800g
特徴CZ初のストライカーピストル。

CZ P-10 C / Fは、チェコ製の9mmストライカー式自動拳銃で、軽量かつコンパクトな設計が特徴です。

採用部隊と国

CZ P-10 CおよびFはチェコ軍の標準拳銃であり、特殊部隊や警察機関にも採用されています。

最近では調達数が21,000丁を超え、軍全体への配備が進んでいます。

フランスの国家憲兵隊特殊部隊(GIGN)でも使用されており、他にアメリカ、ポルトガル、スペイン、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、ウクライナ、スロバキア、リトアニア、スロベニア、メキシコ(連邦警察憲兵隊)、南アフリカ、フィリピン、ベトナム、タイなどでも軍・警察・特殊部隊に配備されています。

ポーランド国境警備隊(試験中)、マレーシア王立警察、ポーランド中央汚職防止局・税関・国境警備隊、ルーマニア陸軍、スリランカ空軍連隊、台湾法務部調査局でも運用が報告されています。

採用理由

P-10シリーズは過酷な軍事使用や悪天候にも耐える高い信頼性と耐久性を持ち、エルゴノミクスに優れています。

グリップのチェッカリングと3種類の交換式バックストラップにより多様なユーザーに対応し、短いリセットと切れのあるトリガーで精密射撃や速射性に優れます。

光学機器対応、アクセサリーレール、アンビ操作系、サプレッサーやドットサイト対応など現代戦術運用に必要な機能も備わっています。

コストパフォーマンスにも優れ、モジュラー設計で多様な任務に対応可能です。

主な特徴

口径は9×19mmパラベラム弾。装弾数はコンパクトモデルP-10 Cが15+1発、フルサイズモデルP-10 Fが19+1発。

ストライカー方式(部分プリコック)、トリガーセーフティ、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティを装備。フレームはガラス繊維強化ポリマーで、スライドストップはアンビ、マガジンリリースは左右入替可能。

3ドットナイトサイト(光学機器対応モデルあり)、ピカティニーレールを標準装備します。

重量はスチールフレーム拳銃に比べ軽量です。

歴史

2014年から開発が始まり、2017年にCZ初のポリマーフレーム・ストライカー式拳銃としてP-10 Cが登場しました。

翌2018年にP-10 F(フルサイズ)、以降サブコンパクトやマイクロモデルも展開され、軍用・法執行・民間市場で拡大。

チェコ軍および警察では急速に採用が進み、現在は世界90か国以上で採用例があります。

運用例・評価

チェコ軍および特殊部隊では標準装備として実戦配備され、GIGNでも採用されるなど、その信頼性と性能が世界的に評価されています。

各国の軍・警察・特殊部隊による選定試験でもGlockなど他社製と比較して採用される例が多く、過酷な環境下での信頼性、トリガー品質、精度、操作性で高い評価を受けています。

よくある質問

Q
世界最強の警察特殊部隊は?
A

世界で最強の警察部隊については議論がありますが、訓練の厳しさ、装備の先進性、危険な任務で知られるエリート警察戦術部隊がいくつか存在します。

代表的な例は以下の通りです。

  • イスラエル「ヤマム」
    • 対テロ作戦と人質救出を専門とし、先制攻撃と精密な作戦で世界でも最も危険な警察部隊の一つとされています。
  • フランス「GIGN」
    • 隠密作戦や大規模人質救出で知られ、先進的戦術と技術を駆使します。
  • アメリカ「FBI HRT」
    • FBI人質救出チームは、アメリカ国内における「デルタフォース的存在」であり、軍事レベルの作戦に対応できるよう訓練されています。
  • ブラジル「BOPE(特殊警察作戦大隊)」
    • 極めて危険な環境で活動し、作戦中の交戦率が最も高い部隊として知られています。
Q
日本のSWATチームとは?
A

日本におけるSWATチームの相当組織は特殊急襲部隊(SAT)です。SATは警察庁管轄の高度に訓練された警察戦術部隊で、1996年に発足し、通常警察では対処困難なテロ事件や武装事案への対応を担います。

SAT隊員は突入、人質救出、対テロに熟達しており、フランスのGIGNなど海外部隊とも共同訓練を行っています。部隊は突入班、狙撃班、技術支援班で構成され、全国数県に約300名の隊員が配備されています。

Q
日本に特殊部隊はあるのでしょうか?
A

日本には軍の特殊部隊があります。最も有名なのは陸上自衛隊の特殊作戦群(SOGまたはSFGp)です。

この部隊はその専門性と、海外特殊部隊との共同訓練から「日本版デルタフォース」と呼ばれることもあります。

特殊作戦群は対テロ、ゲリラ戦、高度な潜入作戦などを任務とし、日本で最もエリートとされる軍事部隊です。

Q
世界で1番強い特殊部隊は?
A

「最強」の定義は作戦成功率、訓練、機密性、作戦範囲など、基準により異なるため、明確な答えはありませんが、以下の部隊が最もエリートとされることが多いです。

  • アメリカ「Navy SEAL Team 6(DEVGRU)」
  • イギリス「SAS」
  • ロシア「スペツナズ(FSBアルファ部隊)」
  • イスラエル「サイェレット・マトカル」および「シャイェテット13」
  • フランス「GIGN」
  • カナダ「JTF2」

各特殊部隊と採用銃一覧

国名正式部隊名
(日本語 / 英語)
採用拳銃
アメリカ陸軍特殊部隊
U.S. Army Special Forces
(Green Berets)
Glock 19, Glock 17, SIG M17 / M18 (P320系)
アメリカデルタフォース
1st SFOD-D
(Delta Force)
Glock 19, Colt M1911
アメリカ第75レンジャー連隊
75th Ranger Regiment
Glock 19, Glock 17
アメリカCIA特殊活動センター
CIA Special Activities Center
(SAC/SOG)
Glock 19
アメリカ海軍特殊部隊SEALs
United States Navy SEALs
SIG P226, P228, P239, HK45CT, Glock 19 (Mk27), SIG M17 / M18 (P320系)
アメリカ海兵隊フォースリーコン
United States Marine Corps Force Reconnaissance
MEU(SOC)ピストル (1911系), M007 (Glock 19)
イギリスSAS
Special Air Service
Glock 17, Glock 19, SIG P226, P228 (旧来)
フランス国家憲兵治安介入部隊
Groupe d’Intervention de la Gendarmerie Nationale
(GIGN)
Manurhin MR73, Glock 17/19/26, SIG SP2022
ドイツ陸軍特殊部隊コマンド
Kommando Spezialkräfte
(KSK)
Walther PDP P14/P14K, Glock 17 (旧来), HK P30 (旧来)
ドイツ海軍特殊部隊コマンド
Kommando Spezialkräfte Marine
(KSM)
Walther PDP P14/P14K
イタリア第9落下傘強襲連隊「コル・モスキン」
9º Reggimento d’Assalto Paracadutisti “Col Moschin”
Beretta APX, Glock 17/19, FN Five-seveN
イタリアCOMSUBIN
Comando Raggruppamento Subacquei e Incursori Teseo Tesei
Beretta APX, Glock 17/19
ノルウェー国防特殊部隊FSK
Forsvarets Spesialkommando
(FSK)
Glock 17/19 (推定)
スウェーデン特殊作戦群
Särskilda Operationsgruppen
(SOG)
Pistol 88 (Glock 17/19系)
イスラエルサイェレット・マトカル
Sayeret Matkal
IWI Jericho 941, Emtan Ramon
日本特殊作戦群
JGSDF Special Operations Group
SIG P220 (9mm), HK USP, MP7
韓国第707特殊任務団
707th Special Mission Group
K5, Glock, Beretta 92系, Jericho 941FL, SIG P226
オーストラリアSAS連隊
Special Air Service Regiment
(SASR)
SIG P320 X-Carry Pro
シンガポールコマンドー部隊
Singapore Armed Forces Commando Formation
輸入・国産拳銃 (詳細非公開)
UAE大統領警護特殊作戦司令部
UAE Presidential Guard Special Operations Command
Caracal F/C/SC
エジプト第777対テロ部隊
Unit 777
(Sa’ka Forces)
HK USP, SIG P226, トカレフ, Helwan (旧来)
ブラジル軍警察特殊作戦大隊
Batalhão de Operações Policiais Especiais
(BOPE)
Taurus PT92, IMBEL 9mm
メキシコ海軍特殊部隊FES
Fuerza Especial de la Marina
(FES)
Glock, HK USP, FN Five-seveN
チリ警察特殊作戦群GOPE
Grupo de Operaciones Policiales Especiales
(GOPE)
FAMAE FN-750 (CZ 75クローン), Glock 17, Beretta Px4
ロシアFSBアルファ部隊
FSB Alpha Group
MP-443, GSh-18, マカロフ (旧来)
ポーランドGROM部隊
Jednostka Wojskowa GROM
詳細非公開
チェコ第601特殊部隊群
601. skupina speciálních sil
(601st Special Forces Group)
Glock 17, CZ 75 SP-01, CZ P-10 C/F

特殊兵器:水中拳銃

特殊作戦では環境に合わせた武器が求められることがあります。

HK P11はNATO水中工作員用に開発された多銃身の水中射撃用拳銃です。

NATOもロシアもこうした水中戦闘用武器を開発しましたが、実戦で使用された例はほとんどありません。

歴史年表(採用と退役)

モデル国・部隊退役・更新
1911年Colt M1911米軍
特殊部隊
1985年以降退役
1951年PM(マカロフ)ロシア特殊部隊更新進行中
1973年Manurhin MR73仏GIGN現用
1975年SIG Sauer P220スイス軍
特殊部隊
ほぼ退役
1980年代Taurus PT92ブラジル特殊部隊更新進行中
1980年代FAMAE FN-750チリ陸軍特殊部隊現用
1985年MEU(SOC)米海兵隊フォースリーコン2022年退役
1989年SIG Sauer P226英国SAS
米Navy SEALs
2016年退役
(米SOCOM)
一部現用
1989年K5(DP51)韓国特殊部隊現用
1990年代IWI Jericho 941イスラエル特殊部隊現用
1990年代SIG Sauer P228米軍特殊部隊
(M11)
現用
(限定)
1990年代SIG Sauer P239米Navy SEALs
(限定)
退役
(時期不明)
1990年代初頭Glock 17英国SASなど現用
1993年H&K USP9独GSG9
欧州特殊部隊
現用
1996年H&K Mk23米SOCOM現用
(限定)
2000年代FN Five-seveNベルギーSF
米SOF
現用
2000年代Glock 26米SOCOM現用
2000年代半ばGlock 19米陸軍特殊部隊
SOCOM
現用
2001年GSh-18ロシア特殊部隊現用
2002年SIG Sauer SP2022仏GIGN現用
2003年MP-443 Grachロシア特殊部隊現用
2006年HK45CT米SOCOM現用
2006年Beretta PX4 Storm伊GIS
特殊部隊
現用
2006年H&K P30独GSG9
SEK
現用
2008年CZ 75 SP-01 Phantomチェコ601特殊部隊群現用
2009年Caracal F / C / SCUAE特殊部隊
他中東SF
現用
2013年Glock 17 Gen4英国軍全体現用
2017年CZ P-10 C / Fチェコ601特殊部隊群現用
2019年SIG Sauer M17 / M18米陸軍
一部特殊部隊
現用
2019年Beretta APX伊GIS現用
2020年代Emtan Ramonイスラエル特殊部隊
(一部)
現用
2023年F9(SIG P320 X-Carry Pro)デンマーク軍特殊部隊現用
本年表は特殊部隊での採用年と退役年を示しますが、一部推定を含みます。

SEALsによる安全装置の除去

Smith & Wesson M39はベトナム戦争中にNavy SEALsに採用されました。

SEALsはマガジンを抜くと発射できなくなるマガジンセーフティを嫌い、多くの隊員が非公式にアーマラーに依頼して安全装置を除去していました。

まとめ

特殊部隊が選定する拳銃には、過酷な環境下で確実に作動する高い信頼性、優れた命中精度、そして圧倒的な性能も求められます。

拳銃の採用は、各国の作戦要求や装備調達方針、さらに国際的なパートナーシップといった複雑な要因が絡み合って決定されますが、いくつかの共通した傾向が見られます。

例えば、GlockシリーズやSIG Sauer製ピストルは、その高い信頼性と汎用性から、アメリカをはじめ世界各国の特殊部隊で広く採用されています。

近年では、サプレッサーやドットサイトなど各種アクセサリーの搭載を前提としたモジュラーピストルシステムが重視されており、オーストラリアが採用するF9システムや、ドイツのWalther PDP P14/P14Kなど最新モデルの運用例も見られます。

また、NATO標準弾である9x19mm口径のピストルが主流となっており、これにより同盟国間の相互運用性が確保されています。

一方で、フランスのGIGNがManurhin MR73リボルバーを運用しているように、部隊の伝統や独自の要件に基づき特殊なモデルを選定する例も存在します。ロシア特殊部隊によるMP-443グラチの採用もその一例です。

特殊部隊におけるハンドガン選定では、信頼性、操作性、耐久性、そして現代戦術への適応性が最重要視されます。

これらの要素が、日々変化する脅威に対処し、多様な任務を遂行するために必要とされています。