バージニア工科大での悲惨な銃撃事件にはホローポイントが使用されたと報道されています。容疑者がNBCニュースに送りつけた写真の中にも、このホローポイントの写真が含まれていました。
鉄砲趣味の人間でホローポイントを知らない人は居ないと思いますが念のためおさらいすると、ホローポイント(Hollow Point)は読んで時の如く、弾頭の先端に穴が開いている弾です。貫通力よりもストッピングパワーを優先させたデザインになっており、先端に穴や切れ込みを入れることにより、着弾時に弾頭が裂けてストッピングパワーを高めています。つまり、人体を貫通させずに運動エネルギーを拡散させてより大きいダメージを与えようという弾薬です。衣服を貫通し人体に進入したホローポイントは細胞組織を掻き回しながら進み、ほとんどの場合貫通せずに体内で停弾します。よって、銃創は通常の弾よりも酷いものになります。
今回は報道で公開された写真を見比べてみようと、今手元にあるホローポイントを引っ張り出してきました。
左から順番に、
PMC スターファイア、SPEER ゴールドドット、FEDERALハイドラショック、CORBON +P、Winchester SXT、Winchester スーパーX
・・・の以上です。
報道で公開されている写真と見比べてみて、右端の「ウィンチェスター・スーパーX」と似ていると思うのですがいかがでしょうか。
スーパーXブランドでも弾頭重量は様々ですが、画像の弾薬は弾頭重量147グレインです。アクションシューティング等の競技や、セルフディフェンスとして対人用に使用される一般的なホローポイントです。
スーパーXは1922年から製造される歴史の長いホローポイント弾で、知名度の高いブランドだと言えます。9mmの147グレインだと銃口初速は約990fps前後、マズルエナジーは約320ft-lbf前後、ノックアウトファクターは約7.2〜7.8ほどになります。この数値を他の弾薬と比較したい方は、当サイトの基礎知識をご覧ください。
色々勝手に述べていますが、これはあくまで私の推測なので、実際に使用された弾種であるのか現時点では分かりません。ひょっとしたらレミントンかも?
参考までに、左側がFMJ(フルメタルジャケット)、右側がJHP(ジャケッテッド・ホローポイント)です。ホローポイントは着弾すると写真右側のように裂けます。写真の弾頭は.45ACP。実際に人体から回収したのではなく、私が通う近所のシューティングレンジから拾ってきました。人体に対しても、大体このような違いが見られます。
それにしても、右側の弾頭は少し裂けすぎですね。ホットロードで撃つとこれぐらいになりますが、人体に対しては弾頭の中央以後はほとんど無傷の状態で残ります。
もっと詳しく勉強したい方には、Bob Forker著「Ammo&Ballistics」や、Evan P. Marshall著「STOPPING POWER」、Vincent JM Di Maio著「GUNSHOT WOUNDS」といった書籍をお薦めします。どれも内容が素晴らしいのでぜひお試しください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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