レミントン 1858 New Army

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アメリカ南北戦争開戦の3年前、パーカッション・リボルバーのレミントン・モデル 1858が誕生した。この時代、既に金属カートリッジが誕生していたが、まだカートリッジを使用しないパーカッション式や、フリント・ロック式、マッチロック式といった銃が多く使用されていた。南北戦争でも、リムファイアー・カートリッジとマズルローダー式は混在していた。

今回は早速手に入れたレミントン1858ニュー・アーミーを実射。ブラックパウダーを使用する銃の扱い方は知っているものの、実際に使用するのは初めて。それだけに、体験してみると新鮮で面白いものだった。

この銃は金属カートリッジを使用しないので、いわばシリンダー自体がカートリッジの役目を果たす。シリンダーのそれぞれのチャンバーに弾丸と火薬が直接入り、シリンダーの後部にパーカッション・キャップをプライマーとしてはめこむ。シリンダーは、金属カートリッジとマガジンの両方の役目を果たすこととなる。

 

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真鍮のパウダー・メジャー、キャップ火薬、パウダー。

 

 

装填方法

使用手順の簡単な流れは、まずハンマーをハーフコックする。これによりシリンダーはフリーとなるので、回転させてチリリリリーと音を鳴らすことができる。この状態で銃口を上向きにし、パウダー(火薬)をシリンダーに入れる。パウダー・メジャーを使用して火薬量を量るが、今回はパウダーを入れるフラスクを用意していないため、パウダーを容器の蓋に移し、そのへんに落ちている.45ACPのケースで掬い取ってパウダー・メジャーの中へ入れた。

続いて繊維質のワッズを挿入し、弾をセットしなくてはならないが、弾はチャンバー径よりオーバー・サイズであるため、素手で入れることはできない。そのため、バレル下に装備されたローディング・レバーを使用する。これにはかなりの力を要し、テコの原理で一気にチャンバーに押し込める。このとき弾が削れて輪状の鉛のカスが出る。それぐらいガッチリとホールドされているということである。

弾をセットできたら、弾の上からグリスかオイルを垂らしてやる。これは撃発時に他のチャンバー内の火薬への誘撃発を防ぐためのもの。必ずしも必要なことでないが、できるだけ行うことをお勧めする。そして、最後にパーカッション・キャップをニップルにはめこんで撃発完了となる。

 

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25ヤード5発の結果。中心の黒丸は直径約15cm

 

 

実射

準備ができたらターゲットに銃口を向け射撃。今回は試しに火薬量を10グレインからスタートして、10グレイずつ40グレインまで増量していった。10グレインでの火薬量では、「パン!」という軽い音とリコイルで、スモークも少ない。まるで玩具の鉄砲である。続いて20グレイン、30グレインとしてみるが、35グレインでちょうど良いリコイルとグルーピング結果が得られることが分かった。40グレインでは「ドポァァァーン!」と迫力の銃声と大量のスモーク、強いリコイルが感じられた。強いと言っても、9mmLugerより弱いと言える。それも、ガツンとくる鋭いリコイルではなく、どこか粘りがある。銃声も甲高さがないので、耳にも優しいかもしれない。

パウダーとパーカッション・キャップの状態は常に一定ではない。そのため、トリガーを引いてハンマーが落ちても、「ドン!」と発射されることもあれば、「パチン!シュッ・ドン!」と、火薬の爆発の連鎖が遅いこともある。今回も、5発に2発は発射が遅れた。コンマ数秒の遅れだが、現代の優秀な銃に慣れていると不自然さを感じる。

ブラック・パウダーの銃は、シューティング・レンジでは珍しいため注目される。近くにいた子供は、「Dad!! あの銃からスゴイ煙がでたよ!」と大騒ぎ。20代の2人組シューターからは、「あれは、クールだ!」と近くまで見学しに来た。スモーク量が多いので撃てば目立つ。実際、射撃後は目の前がスモークで真っ白になり、ターゲットが確認できなくなった。昔の人はこれに命を託していたかと思うと尊敬する。しかし、その時代にはこれしか無かったのだが・・・。

 

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スモークは視界を遮る。連射すればターゲットを見失うほど。

 

 

不発

恐れていたことが起きた。それは不発。遅延発火かもしれないのでいつ発射されるかも分からず、しばらく銃口を安全な方向へ向けたままでなければならない。一度チャンバーに入れてしまった弾は撃たなければ取り出せないので、不発が起こった場合は遅延発火を考え1分間待ち、再度新しいパーカッション・キャップを使用して射撃する。今回はこの方法で無事発射できた。もしキャップを交換してもダメな場合は、シリンダーを取り出した後、ニップル・レンチでニップルを取り外し、シリンダーの後方から古い火薬と新しい火薬を入れ替えて撃発させる。

 

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集弾性能

グルーピングは今回の射撃では何とも評価できない。30発ほど撃ったが、片手射ちの立射であったし、あまり真面目に測っていない。とりあえず、25ヤードで人間に命中させるのは可能であるのは間違いない。次回、もっと真面目に撃ってみたいと思う。

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