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ライフル弾の先端には空洞がある? 5.56mm弾の構造

ライフル弾画像

皆さんからいただいた、「銃の疑問」に回答します。

ロシアの小口径弾薬である5.45x39mm弾は、弾頭の先端が空洞になっている「ポイズンバレット」と呼ばれる加工がされていますが、同じ小口径弾薬である5.56×45mm弾も同じような加工がされているのでしょうか?

ライフル弾の先端には空洞がある?

空洞の有無は弾薬の種類によって異なります。

M855の画像
M855 Photo via modulusarms.com

例を挙げると、軍用の5.56mm弾にはNATO軍のSS109、米軍のM193、M855、M855A1などがありますが、SS109とM855には空洞があり、M193とM855A1には空洞がありません。

先端に空洞を設ける理由は2つあり、1つは先端を軽くして重心位置を後方に設定することで着弾時にタンブリング(横転)を起こしやすくし、人体(ソフトターゲット)に対して大きなダメージを与えます。

もう1つの理由は、着弾時に柔らかい先端が潰れることで着弾時の抵抗を増大させ、ターゲットに対して大きなダメージを与えます。(これはタンブリングを誘発しやすくすることに繋がります)

弾頭のコアを覆っている銅合金ジャケットは先端が尖っているため、飛翔中時の空気抵抗を軽減し、遠距離でも弾速を維持しやすくしています。

M193は鉛のコアに銅のジャケットを被せた構造で、鉛は柔らかいためターゲットに命中すると潰れて拡張、またはバラバラに砕けることで、ターゲットに大きなダメージを与えます。

M855も着弾時に砕ける「フラグメンテーション」が起こる設計ですが、貫通力とタンブリングの誘発を強化する目的で弾頭の先端側にスチールコアを配置し、後部に鉛を配置しています。

一方、M855を改良したM855A1には空洞がありません。

M855は着弾時にタンブリングを起こしますが、個体差によりスチールコアの配置の状態が安定せず、命中精度にバラつきが生じたり、着弾時のタンブリングが不確実という問題がありました。

そのため、命中精度や貫通力を向上させる目的から精度を出しやすい形状に変更し、M855A1のような尖った先端のスチールコアと合金の組み合わせで設計しています。

また、M855が安定しなかった原因には、20インチバレルのM16ライフルに最適化されたM855を14.5インチバレルのM4カービンで使用されていたこともあり、この点も含めてM855A1は重量バランスが最適化され、よりタンブリングやフラグメンテーションが起こりやすく、一貫して大きなダメージを与えやすい設計となっています。