ワルサーPPKやPPK/Sの.380ACP弾仕様はストレートブローバックかつスライドが小さい(軽い)ためリコイルスプリングが強く、スライドが引きにくい、リコイルがキツイという話をよく耳にします。
これはやはり他の380ACP弾のストレートブローバック中型オートに関しても同じなのでしょうか?
例えば、ベレッタM1934やSIG SAUER P230といった中型オートと比べるとどうなのでしょうか?
ワルサーPPK/Sなど、閉鎖機構の無いストレート・ブローバック(シンプル・ブローバック)方式を採用するピストルはバレルとスライド(またはブリーチ)がロックされないため、ピストルのサイズに対して強いリコイルスプリングを使用したり、重いスライドを使用するなど、発射後にバレル内の腔圧が低下したあとでスライドが後退するように設計されています。
ストレート・ブローバック方式の銃はピストルのサイズに対してリコイル・スプリングが強力である傾向があり、銃によってはスライドが引くのに通常より力を必要とする場合もあります。
しかし、必ずしも「ストレートブローバック = リコイルスプリングが強い」とは言えません。
下のリストはそれぞれのリコイル・スプリングの強さを比較したものです。
モデル名 | リコイル・スプリングの強さ |
ストレート・ブローバック方式 | |
ワルサーPP | 15 lb (.380ACP) |
ワルサーPPK/S | 20 lb (.380ACP) |
SIG P230 / 232 | 20 lb (.380ACP) |
マカロフ | 17 lb (9x18mm) |
Beretta M84F | 14 lb (.380ACP) |
コルト 380ガバメント | 11 lb (.380ACP) |
ショート・リコイル方式 | |
Kel-Tec P32 | 9 lb (.32ACP) |
CZ 75 | 14 lb (9x19mm) |
ブローニング HP | 17 lb (9x19mm) / 20 lb (40S&W) |
コルト・ガバメント 1911 | 16 lb (.45ACP) |
キンバー・ウルトラキャリー | 18 lb (.45ACP) |
パラオーディナンス P12 | 22 lb (.45ACP) |
ベレッタ 92FS | 13 lb (9x19mm) |
トーラス PT-92 | 13 lb (9x19mm) |
ワルサーP38 | 6.5 x 2 lb (9x19mm) |
スターム・ルガー P85 | 11 lb (9x19mm) |
Glock 17 | 17 lb (9x19mm) |
Glock 19 | 18 lb (9x19mm) |
Glock 36 | 17 lb (.45ACP) |
SIG P220 | 20 lb (.45ACP) |
SIG P226 | 15 lb (9x19mm) / 20 lb (.357SIG/.40S&W) |
H&K USP | 12 lb (9x19mm/.40S&W) / 14 lb (.45ACP) |
ルガー P08 | 38 lb (9x19mm) |
S&W M5904 | 14 lb (9x19mm) |
LAR グリズリー .45WinMag | 27 lb (.45WinMag) |
ガス・ディレード・ブローバック方式 | |
H&K P7 | 21 lb (9x19mm) |
※ファクトリー・スタンダードのリコイル・スプリングを比較
※単位はポンド
※()内は使用弾薬