映画「アメリカンスナイパー」で映画化された伝説的スナイパーのクリス・カイルは、今では説明の必要がないほど有名でしょう。彼はPTSDを患う元海兵隊帰還兵に射撃指導を行っている最中に射殺され、そのニュースは世界に衝撃を与えました。
先日5日、テキサス州でライフルの腕を競う「アメリカン・スナイパー・シュートアウト」が開催され、クリス・カイルの未亡人タヤ・カイルが、プロシューターでNRAワールドチャンピオンのブルース・パイアットを破って勝利しました。合計29のターゲットを使用した競技にてパーフェクトスコアの10,140点を獲得。対するブルース・パイアットのスコアは3,040点でした。
とんでもないスコアを叩き出して驚くところですが、実はこの大会はチャリティーで、タヤ・カイルが使用した銃は自動狙撃が可能なトラッキングポイントM600(5.56mm)/M800(7.62x51mm)でした。一方、ブルース・パイアットはM4A1(5.56mm)、M110(7.62x51mm)、M2010(.338ラプアマグナム)を使用しています。
このチャリティー大会では優勝賞金50万ドルがクリス・カイル・フロッグ基金に贈られました。もしブルース・パイアットが勝利した場合は彼に100万ドルが贈られる予定でしたが、その可能性は低かったでしょう。この競技には敵から攻撃を受けている状況を再現し、遮蔽物に身を隠しながら狙わずに銃だけを露出させて応戦する「ブラインド・ショット」が含まれていました。トラッキングポイントにはオプションでサングラス型HUDがあり、スコープを覗かなくても正確に狙撃できます。映像はWIFIで飛ばせるので、アプリをインストールしたiPhoneでターゲットを確認しながら撃つことも可能です。そんなハイテク機器を持たないブルース・パイアットは、このブラインド・ショットで一発も命中させることができませんでした。
トラッキングポイント社が開発した自動狙撃システムは、スコープを覗きながらターゲットをロックオンでき、撃つ準備が整ってからトリガーを引くと、着弾点とロックオンされたターゲットが重なった瞬間に自動的に発射される仕組みです。ターゲットがロックされるとレティクルの色が青から赤に変わり、スコープに内臓されたレーザーレンジファインダーが距離を自動的に計測、弾速に合わせて常に自動ゼロインされます。ターゲットまでの距離は連続的に自動計測されるため、ターゲットが近づいたり遠ざかったりと移動していても正確な射撃が可能となっています。
「リアルライフ・エイムボット」とも呼ばれる銃が使用されたことでアメリカのネットでは、
「チートじゃん!」
「まあ、チャリティーなんだから良いじゃない」
「おめでとうタヤ!」
と、様々な意見が飛び交い、FoxNewsでも報道され話題を呼んでいます。
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