
現在のアメリカ警察において、リボルバーは一部で今なお使用されているものの、その役割は過去と比べて大きく縮小しています。
この記事では、現代の警察組織におけるリボルバーの位置づけや使用状況について解説します。
標準装備はセミオートマチックピストルへ移行
一部のアメリカの警察官は今でもリボルバーを使用していますが、主力装備としての役割は終えています。
現在ではごく限られた場面での運用に留まっています。

現在、多くの警察署では、9mm口径のセミオートマチック拳銃が標準装備とされています。
代表的なモデルには、Glock 17、Glock 19、Sig Sauer P320、Smith & Wesson M&Pシリーズなどがあります。
1980年代から1990年代にかけて、民間市場では装弾数15~17発のセミオート・ピストルが普及するようになり、装弾数5~6発のリボルバーは法執行機関用として対応が困難な状況になりました。
その結果、装弾数の多さや再装填の速さを理由にセミオートへの切り替えが進みました。
ロサンゼルス市警察では、リボルバーからセミオートに移行するための特別な訓練コースが用意されているものの、「バックアップ用」としてリボルバーの使用が許可されている例もあります。
リボルバーが使用される主な場面

バックアップ用拳銃
リボルバーは現在でもバックアップ用として使用されています。
簡単な構造と高い信頼性が評価され、メインのピストルが使用できなくなった際の緊急対応用として採用されるケースが多いです。
バックアップガン携帯の有無は、各個人や法執行機関によって異なります。
ベテラン警官による使用
過去にリボルバーを支給されたベテラン職員は、現在でもそのまま使用を継続している場合があります。
シカゴ警察では、1991年以前に採用された職員に限り、リボルバーの携行が許可されています。
伝統重視のテキサス・レンジャー

テキサス・レンジャーではSIG P320が支給されていますが、伝統を重視する同法執行機関では、個人的にリボルバーの携帯も許可されているといいます。
こうした部隊では、歴史的背景とともに、現在もリボルバーを用いた運用が継続されています。
デスクワークの職員用
事務関係など、デスクワーク中心の法執行機関職員は、装弾数が多く重いピストルを携帯する必要がないため、小型軽量なリボルバーを携帯することがあります。
リボルバーが使われ続ける理由

信頼性と構造の簡素さ
リボルバーは作動を火薬の力に頼らないシンプルな構造で実現し、自動装填式と比較してジャム(作動不良)が起きにくいため、緊急時に確実に作動する点が評価されています。
リボルバーの弱点として、砂などの異物に弱い他、整備不良などによって機械的原因によるジャムが起こるリスクもありますが、クリーンな環境で整備が行き届いたリボルバーは信頼性の高さを維持します。
慣習と運用の柔軟性
一部の警察署では、個人の裁量でリボルバーの使用を継続することが認められており、長年使用してきた装備に対する信頼感から、使用を続ける職員も少なくありません。
支給品以外の銃携帯を許可する法執行機関では、携帯可能な銃のモデルや使用弾薬などの条件を定めており、提供される許可リストのなかから選択して特定モデルを携帯することができます。
この許可リストのなかにリボルバーが含まれている法執行機関では、リボルバーを携帯している職員も存在します。
コストと耐久性
小規模な警察署などでは、装備更新のための予算が限られており、耐久性の高いリボルバーが経済的な選択肢として支持されています。
訓練目的
訓練目的でリボルバーを保有する法執行機関も存在します。
警察官は現場で事件に関係するリボルバーを扱う場面があり、リボルバーの構造や扱い方を学ぶ必要があります。
リボルバーの課題と今後

装弾数の少なさ
一般的なリボルバーは5~8発しか装填できず、10~17発以上を装填可能なセミオートピストルに比べて明らかに不利です。
銃撃戦など、長時間の交戦には不向きとされます。
若手職員の習熟度の低さ
最近の警察官はリボルバーの操作に不慣れであることが多く、インディアナ州のチェスタートン警察では、若手職員のためにバックアップ用リボルバーをGlock 43Xへと切り替えた実例もあります。
アクセサリー類との互換性
リボルバーはタクティカルライトやドットサイトなど、現代の装備に対応しにくいという弱点があります。
こうした拡張機能が重要視される現代の法執行機関においては、セミオートピストルへの移行が加速しています。
まとめ
アメリカの警察におけるリボルバーの使用は、今やごく限られた場面に限定されています。
標準装備はセミオートマチックピストルが中心であり、リボルバーは主にバックアップ用やベテラン職員による昔からの継続使用において残されているのみです。
私自身、カリフォルニア州内でリボルバーを携帯している警察官とパークレンジャーを見かけたことがありますが、どちらも年季が入ったリボルバーでした。
今ではこうした光景を見ることは少なくなり、リボルバーはメインウェポンとしての役割を終えたといえるでしょう。