銃の閉鎖方式のひとつに「ローリングブロック方式」があります。
1863年、レナード・ガイガーによって特許が取得され、後にレミントン社のジョセフ・ライダーによって完成した、19世紀の最も成功を収めた閉鎖方式のひとつです。レミントン社の成功に不可欠な発明であり、それゆえに「レミントン・アクション」とも呼ばれます。
初めてローリングブロック方式が採用されたのは、レミントンM1865です。
米海軍はM1865ピストル及びカービンモデルのM1867を採用。M1867はデンマークやスウェーデン・ノルウェー(当時)でも幅広く採用されました。
ローリングブロック方式の利点は高い信頼性にあります。
泥や汚れに強く、頑丈でありながら構造はシンプルで、確実に作動することが高く評価されました。
ローリング・ブロック方式の構造
では、ローリングブロック方式とはどのような仕組みで作動するのでしょうか?
まず最初にハンマーを起こし、ブリーチブロックを起こして閉鎖を解放します。続いて弾をチャンバーに装填し、ブリーチブロックを元に戻せば射撃準備完了です。トリガーを引き発射したら、ハンマーを起こし、ブリーチブロックを起こすとエキストラクターが空薬莢を引き出します。引き出された薬莢は指でつまんで排莢します。
上の図ではシアーが存在しませんが、シアーのあるブリーチブロック方式を採用した銃も存在します。注目すべき点は、ブリーチブロックが回転式であり、ハンマーによってブリーチが閉鎖される構造です。ハンマーがファイアリングピンを叩いて撃発した瞬間、弾が前方へ移動すると同時にブリーチブロックを後ろへ押す力が加わりますが、ハンマーが邪魔をするのでブリーチブロックは閉鎖状態を保ちます。
ブリーチブロックの回転はレバーと連動し、ブリーチブロックが解放状態になるとレバーがトリガーの動きをロックし、トリガーが引けなくなります。もしトリガーが引けてしまうと、ハンマーが落ちてブリーチブロックに負荷がかかり、閉鎖できなくなります。また、閉鎖が不完全な状態でハンマーが落ちるとファイアリングピンを叩けず、撃発の失敗につながります。これらを防止するために、レバーは重要な役割を果たしています。
また、ハンマーはハーフコックが可能ですが、ハーフコック位置でトリガーはハンマーに食い込むので、トリガーはロックされます。ハーフコックを解除するにはハンマーをフルコック状態まで起こすか、少し起こしてトリガーを引けばハンマーをレスト状態にできます。ただし、レスト状態は暴発の危険があるため、携帯時はハーフコックが安全です。(※ハーフコック付はM1887以降)
謎の拳銃
オークションサイト「ロックアイランド・オークション」にて、珍しい銃が出品されました。
それはいつ、どこで、誰が製造したのか不明という謎のピストルです。
ブリーチ解放時にハンマーを自動でコックするようです。
この銃には以下の特徴があります。
- 使用弾薬:.32ACP
- 銃身長:4-7/8インチ
- セミオート
- ライフリング無し
- 刻印無し
- 熱処理が不完全
- グリップパネルはプラスチック(ベークライト?)
- チェッカリングは機械加工ではなくハンドメイド
- ブリーチブロックを両側から掴んで引くと装填と排莢が可能
- ブリーチブロックはグリップの下側(グリップパネルの裏)を支点として可動
- バレルは上方に位置し、下方にスプリングとガイドロッドを収納
- ハンマースプリングは「ぜんまいばね」を使用?
銃器系サイト「Forgotten Weapons」では様々な意見が出ていますが、出所不明でライフリングがないことから考えると、メーカーではなく個人による作品かもしれません。
.32ACPの誕生は1899年なので、製造時期はそれ以降だと考えられます。
作動方式はストレート・ブローバックのようで、エジェクターとエキストラクターが確認できます。
オークションではこの銃の予想落札価格を2,000~4,000ドルと見ています。
落札者さんが分解して内部画像をネットにアップしてくれたら嬉しいのですが・・・。
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