ご質問を頂きました。
アサルトライフル等の弾倉は湾曲したものとストレートなものがありますが、これはどういった違いがあるのでしょうか?
湾曲したバナナタイプの方をよく見かけますが、AR15の10連や20連のようなストレートタイプもしっかり見かけますし、それぞれにメリットがあるのだとは思いますが…
MP5に至っては初期生産型はストレート、後にバナナ型になったのが改良かと思ったら10mm版ではストレートタイプだったり、使い分けるデザイン上の理由なんかがあったりするのでしょうか?
弾薬によっては、先端に向かって薬莢の直径が細くなる「テーパードケース(Tapered case)」が使用されています。
この「テーパー」によってマガジンの湾曲の角度が異なります。
※テーパー(Taper)=「先細」。
7.62x39mm
テーパードケースを並べると湾曲するため、マガジンの形状も合わせて湾曲しています。
このテーパーの角度によって薬室内でケースの張り付きを防ぎ、スムーズな排莢によりジャムを防止します。
また、テーパードケースをストレートマガジンで使用するとマガジン内で詰まってしまい、弾薬がマガジンの上まで送られにくくなります。
AK47等で使用される7.62x39mmは薬莢にスチールケース(鉄製薬莢)を利用しており、これはブラスケース(真鍮製薬莢)より張り付きやすいことから角度の強いテーパー角度で対処しています。
AK47はスチールケースで正常に作動するよう設計されており、ブラスケースを使用するライフルより高めの圧力で排莢させています。
5.56x45mm
5.56x45mmの場合、テーパーの角度が弱いため20発程度ではストレートマガジンでも作動に問題ありません。
しかし、30発になると角度が大きくなりスムーズにマガジン内を上昇できないため、作動の信頼性を得るためにマガジンを湾曲させる必要があります。
9x19mm
H&K MP5は1976年から湾曲したマガジンに変更されましたが、その後もしばらくの間はストレートマガジンも平行して製造されていました。
MP5で使用される9x19mmはテーパードケースですが、弾頭がFMJの場合ストレートマガジンでも問題なく作動します。
しかし、ホローポイント弾を使用するとジャムを起こしやすいため、湾曲したマガジンにより対応しています。
.40S&W
10mmオートや.40S&Wは厳密にはテーパードケースとも言えますが、ほとんどストレートケースに近い非常に浅い角度のテーパーのため、実質的にストレートケースとして扱われています。
そのため.40S&Wのマガジンもストレートマガジンが使用されます。
(画像は.40S&W口径のH&K MP5/40)
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