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アメリカから日本へ銃器を持ち込む方法と禁止規制|輸送・輸出入許可の要点

海外渡航時にピストルやライフルなどの銃器を携行する場合、アメリカ国内での輸送規則を順守すれば預け荷物として運ぶことは可能です。

しかし、日本へ持ち込む際には、日本の「銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)」により厳格な規制が課せられ、原則として禁止されています。

本記事では、アメリカ出国時および日本入国時における銃器輸送の規則と注意点を、具体的な手続きも含めて詳しく解説します。

アメリカ出国時の基本要件:安全な輸送のために

アメリカから銃器を海外へ持ち出す際は、アメリカ運輸保安局(TSA)および利用する航空会社の規定を厳守する必要があります。

  • 銃器は完全にアンロードする: 輸送中は、銃器に弾薬が装填されていてはいけません。
  • 施錠可能な堅牢ケースに収納: 不正なアクセスを防ぐため、銃器は必ず施錠可能なハードケースに入れてください。ケースの鍵や暗証番号はご自身で管理しますが、保安検査時に開示を求められた場合は応じる必要があります。
  • 預け荷物のみ: ピストルやライフル本体だけでなく、マガジン、クリップ、ボルト、撃針などの部品もすべて機内持ち込みはできません。必ず預け荷物として輸送してください。
  • チェックイン時に申告: 航空会社のカウンターで、銃器と弾薬を輸送することを必ず申告してください。
  • 弾薬の要件: 弾薬は、元のパッケージ、または弾薬用に設計された頑丈な箱に収納し、硬質なケース内に収める必要があります。1人あたり5kg(11ポンド)を超える弾薬は持ち込めません。
  • 国際線利用時の追加規則: 国際線の場合、輸出に関する書類(BISライセンスなど)が必要となることがあります。また、再入国時のトラブルを避けるため、出国前にCBPフォーム4457で銃器を登録しておくことをお勧めします。航空会社によっては、国際線での銃器輸送自体を許可していない場合もあるため、事前に確認が必須です。

BISライセンスは、米国商務省産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security) が発行する輸出許可証です。これは主に軍事品や二重用途品などの輸出に必要となるもので、一般的な民間人の銃器輸出に常に必要とされるわけではありません。ただし、銃器の種類や輸出先の国によっては必要となる場合があります。

日本入国時の厳格な規制と合法的な手続き

アメリカから規則を守って銃器を持ち出せたとしても、日本への銃器持ち込みは「銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)」により非常に厳しく規制されており、原則として禁止されています。

無許可で銃器や弾薬、銃部品を輸入した場合、禁制品として税関で没収され、逮捕・起訴・懲役刑を含む重い刑罰の対象となります。

アメリカ国内での合法的な所持や輸出許可があっても、日本の法律が優先されます。

一般の旅行者が日本へ銃器を合法的に輸入することは困難です。

非常に複雑で時間のかかる複数の手続きと許可取得が必要となります。

1. 経済産業省の輸入承認取得(輸入承認証)

銃器、銃の部品、弾薬の輸入には、まず経済産業省の「輸入承認」が必要です。

経済産業省の貿易管理部に申請し、承認を得なければ輸入できません。

申請には、経済産業省の輸入承認要否照会フォームから問い合わせて確認が必要です。

2. 都道府県公安委員会の所持許可

日本国内で銃器を所持するためには、さらに都道府県公安委員会から「銃砲所持許可証」を得る必要があります。

輸入の際には、この許可を税関に提示しなければなりません。

所持許可の取得自体も厳しい要件と審査を伴います。

3. 輸入貨物の検査と登録

航空貨物などで銃砲刀剣類を輸入する場合、到着後に税関で貨物の開封・検査が行われます。

その後、都道府県の教育委員会などが実施する登録審査を受ける必要があります。

例えば、東京都の場合は都の教育委員会に登録申請を行い、「登録証」の交付を受けます。

4. 税関での手続き

上記すべての許可と承認を得た上で、税関に輸入承認証など必要な書類を提出し、関係機関の審査を経て正式に通関手続きが完了します。

これらの手続きが完了しない場合、貨物は返送されるか、廃棄されることになります。

日本居住者が猟銃等を海外へ一時的に持ち出す・海外から持ち帰る場合

日本居住者が、狩猟などの目的で猟銃や関連する弾丸を一時的に海外へ持ち出す場合、または海外で購入した猟銃や弾丸を日本へ持ち帰る場合は、特別な手続きが必要です。

海外へ一時的に猟銃等を持ち出す際の手続き

狩猟などのために猟銃を海外へ携帯して持ち出す場合、経済産業大臣の輸出許可が必須です。

出国時には、必ず税関に申告し、以下の書類と物品を提示してください。

  • 輸出許可書
  • 猟銃
  • 弾丸
  • パスポート

持ち出した猟銃等を日本へ持ち帰る際の手続き

海外へ持ち出した猟銃や弾丸を日本に持ち帰る際は、税関で「携帯品・別送品申告書」を提出して申告する必要があります。

  • 猟銃: 出国時に確認を受けた輸出許可書を提示することで、旅具通関が可能です。
  • 弾丸: 猟銃とは異なり、別途都道府県知事の輸入許可が必要になります。

海外で猟銃等を購入し日本へ持ち帰る際の手続き

外国で猟銃や弾丸を新たに購入し、日本へ持ち帰る場合は、非常に厳格な規制が適用されます。通常の銃器輸入と同様に、以下の許可がなければ日本に持ち込むことはできません。

  • 猟銃: 都道府県公安委員会の所持許可
  • 弾丸: 都道府県知事の輸入許可

これらの許可は、通常の輸入手続き(経済産業省の輸入承認や教育委員会の登録など)と並行して必要となります。

輸出許可に関する詳細は、経済産業省貿易管理部貿易審査課へお問い合わせください。

まとめ:日本への銃器持ち込みは事実上困難

アメリカから銃器を預け荷物として持ち出すこと自体は、TSAおよび航空会社規定を遵守すれば可能です。しかし、日本への持ち込みは日本の銃刀法により原則禁止されており、無許可輸入は重大な犯罪となります。

合法的に日本へ銃器を輸入するには、経済産業省からの輸入承認、都道府県公安委員会からの所持許可、そして日本政府の定める複雑な輸入手続きを全て完了させる必要があります。

日本へ銃器を持ち込む予定がある場合は、必ず事前に専門機関(弁護士、通関業者、関連省庁など)へ相談し、全ての法規制と許可手続きを完了させることが必須です。

※参考:Transporting Firearms and Ammunition | Transportation Security Administration

※参考:猟銃の携帯輸出入手続(カスタムスアンサー) : 税関 Japan Customs