特殊部隊のハンドガン 各国エリート部隊が選ぶ採用ピストル一覧

グロック射撃イメージ画像

この記事の要約

  • 世界各国の特殊部隊は、信頼性・軽量性・拡張性を重視した最新ハンドガンを採用している。
  • GlockやSIG Sauer、H&Kなどの代表的モデルが任務や環境に応じて選ばれ、更新が進んでいる。
  • 採用理由には耐久試験突破、隠密性、モジュラー設計などがあり、各国の特殊作戦に最適化されている。

世界各国の特殊部隊は、任務の性質上、高い信頼性を持つハンドガンを装備しています。

近年では、9mm口径を中心に軽量でコンパクト、かつ光学機器やサプレッサー対応のモデルが主流となっており、信頼性と拡張性を両立させた最新モデルへの更新が進められています。

この記事では、世界の特殊部隊が採用するハンドガンと、その採用背景について詳しく解説します。

目次

Glock 17

画像出典: Glock
項目内容
モデル名Glock 17
メーカーGlock(オーストリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発(標準)
全長約204mm
重量約625g(空マガジン時)
特徴世界各国の軍・警察で採用。高信頼性、軽量。

グロック17(Glock 17)は、世界各国の特殊部隊や軍で広く採用されている拳銃であり、米国デルタフォース、英国軍、ノルウェー軍特殊部隊などでも使用されています。ノルウェーでは1985年に「P80」として、スウェーデンでは1988年に「Pistol 88」として正式採用されました。英国軍は2013年にブローニング・ハイパワー(Browning Hi-Power)の後継として導入し、フランス軍も2020年に採用しています。1992年までに、グロック17は45か国以上で35万丁以上が販売されました。

採用理由としては、NATO耐久試験を突破する高い信頼性、軽量でシンプルな設計、多弾数装弾(17発)、高いモジュール性、一貫したトリガープルなどが挙げられます。ポリマーフレームにより軽量性と耐久性を両立し、メンテナンス性にも優れています。また、光学機器やサプレッサーへの対応など、カスタマイズ性の高さも評価されています。

グロック17の開発は1980年代初頭に始まり、ガストン・グロックを中心としたエンジニアおよび軍関係者のチームによって設計されました。ノルウェーとスウェーデンのNATO試験に合格したことを契機に、各国で採用が広がりました。米国の特殊部隊では2000年代初頭にデルタフォースなどが採用し、イラクやアフガニスタンでの作戦において高い信頼性が実戦で評価されています。英国軍は複数の候補銃を比較試験した結果、軽量性と操作性に優れる点を理由にグロック17 Gen4を選定しました。

米陸軍大将のカスタムピストル

米陸軍のオースティン・スコット・ミラー大将は、元デルタフォース隊員であり、アフガニスタン駐留米軍司令官を務めた経歴を持つ人物です。同大将が勤務中にカスタム仕様のグロックピストルを携行している様子は、複数の写真によって確認されています。

ミラー大将のグロックには、Leupold DeltaPoint Proのドットサイトが搭載されています。さらに、スレッデッドバレル、大型コンペンセイター、フレアマグウェル、延長マガジンなどが装着されており、改造内容は大幅です。その外観や仕様は、競技用拳銃に近い点が特徴となっています。

モデルについては、グロック17、19、45のいずれかと推測されており、サイズはフルサイズで、Gen4またはGen5である可能性が高いとされています。

参考:
Top U.S. General In Afghanistan Is Carrying A Heavily-Modified Glock With A Compensator Attached

Glock 19

グロック19
グロック19 画像出典:us.glock.com
項目内容
モデル名Glock 19
メーカーGlock(オーストリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数15発(標準)
全長約187mm
重量約595g(空マガジン時)
特徴Glock 17のコンパクト版。特殊部隊・民間でも人気。

グロック19(Glock 19)は、米陸軍特殊部隊、ネイビーシールズ、海兵隊レイダース、レンジャー部隊など、米SOCOM傘下の各部隊で広く採用されています。SOCOMは2016年に正式採用を決定し、これにより全特殊部隊で使用可能となりました。FBIはグロック19Mを制式採用しており、CIAや海兵隊も隠密性と汎用性の高さから同モデルを選定しています。国際的にも特殊部隊や警察機関で高い人気を誇っています。

採用理由としては、民間服での携行やロープロファイル任務(周囲の注目を集めず、存在や活動を悟られないように実行する任務)に適したコンパクトさ、高い信頼性、15発装填可能なマガジン、グロック17のマガジンも使用できる互換性、軽量性とシンプルな操作性、そして豊富なカスタマイズ性が挙げられます。これらの要素に加え、隊員からの強い要望が採用を後押ししました。

グロック19は9mm口径で、標準15発装填可能なマガジンを備え、軽量なポリマーフレームを採用したコンパクトモデルです。ドットサイトや拡張マガジンなど各種オプションにも対応しており、優れたグリップ性と安定性を持つ点が特徴となっています。

同モデルは1980年代後半にグロック17のコンパクト版として開発され、2006年頃から陸軍特殊部隊が隠密用途として独自に採用を開始し、2016年にはSOCOMが公式採用しました。その後、米特殊部隊全体で標準装備として定着し、他機関への普及も進んでいます。

作戦面では、イラクやアフガニスタンを含む戦地で隠密任務とCQBの双方に使用されており、通常の携行に加えて拡張マガジンや各種カスタムパーツを装着した運用も行われています。

マリタイムスプリングカップ

一部の特殊部隊に支給されるグロック19には、マリタイムスプリングカップが装備されている例が確認されています。この部品は「Maritime spring cups」とも呼ばれています。マリタイムスプリングカップは、水没後でも確実に作動させるために設計された構造で、ファイアリングピンチャンネル内に侵入した水や異物を排出しやすくする仕組みを備えています。

この機構は、水中行動を伴う任務を想定する特殊作戦部隊からの要請によって開発されたもので、水没後の作動不良を防ぐことを主な目的としています。一般的なグロック19には標準装備されておらず、主に軍や法執行機関向けの特別仕様として提供されています。

なお、グロック19Xなど一部の派生モデルには標準装備されている一方、通常のグロック19には搭載されていないため、特殊仕様として扱われています。

米特殊部隊がグロックを「こっそり」入手した方法

1985年以降、米軍の制式ピストルはベレッタM9でしたが、金属製で重量がある点に不満を抱く隊員も少なくありませんでした。2000年代に入ると、グロックは民間市場や法執行機関で高い評価を得るようになり、軽量で扱いやすい特性から若い世代の隊員を中心に支持が広がりました。デルタフォースがグロック22を採用した事例も、この流れを後押しした要因とされています。

一方で、新型ピストルの導入は陸軍全体の調達規制により認められていませんでした。そのため特殊部隊は、調達要件そのものを工夫するという方法を取りました。フルサイズピストルであるグロック17や34はM9と用途が重複するため正式導入が難しく、そこで注目されたのが、民間服装で行動する任務に適した隠匿用ピストルの不足でした。

特殊部隊は「隠し持ち可能なピストル」という要件を設定し、この条件は事実上グロック19を想定したものでした。結果として、この要件を満たす拳銃としてグロック19の調達が実現します。当初は一部の隊員や特定任務に限定した支給でしたが、2016年には特殊作戦軍全体であるSOCOMがグロック19を正式採用し、全チームへの支給が可能となりました。さらに2018年には、Trijicon RMR Type 2ドットサイトも採用されています。

こうした経緯を経て、現在ではグロック19が米特殊部隊の標準的なピストルとして広く運用されています。

Glock 26

Glock 26画像
Askild Antonsen, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Glock 26
メーカーGlock
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数10発
全長160mm
重量610g
特徴サブコンパクトサイズの「ベビ―グロック」。

グロック26(Glock 26)は米陸軍特殊部隊やスイス軍で採用されており、特殊部隊では私服での行動や潜入任務など、隠密性が求められる場面で使用されています。スイス軍ではグロック17 Gen4とともにグロック26 Gen4が制式採用されており、小型軽量で携行しやすい点から、特定の特殊部隊で選ばれるケースが見られます。

採用されている理由としては、サブコンパクトサイズによる高い隠密性、グロックシリーズに共通する信頼性、グロック19や17のマガジンと互換性を持つ実用性、小型軽量で携行負担が少ない点が挙げられます。これらの特性により、隠匿携行を必要とする任務に適したモデルとして評価されています。

グロック26は9mm口径で、標準10発のマガジンを備え、上位モデルのマガジンも使用可能です。軽量なポリマーフレームを採用し、短いグリップとバレルによって高い隠蔽性を実現しています。アフターマーケットパーツにも対応していますが、サイズの関係で装着できるパーツには制約があります。全体として、コンシールドキャリー(隠匿携行)向けに設計されたモデルです。

1995年にグロック17と19のサブコンパクト版として登場し、9.11以降は米陸軍特殊部隊で隠密用として採用されました。スイス軍も後にグロック26 Gen4を採用し、標準装備および特殊任務用として運用しています。

作戦面では、米陸軍特殊部隊においてグロック19を補完する隠密用武器として使用され、スイス軍では標準装備としてだけでなく、特定任務に応じて選択されることがあります。また、女性オペレーターや軽装任務の隊員に支給される例も確認されています。

USSOCOMではMk26(G26)、Mk27(G19)、Mk28(G17)、Mk29(G34)の制式名が存在しますが、実際の運用はG19が主流です。

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SIG Sauer P226

SIG P226 MK25画像
SIG Sauer P226 MK25 画像出典:Torbs, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SIG Sauer P226
メーカーSIG Sauer(スイス/ドイツ/アメリカ)
口径9×19mm 他
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数15発(9mm標準)(ロングマガジンにより最大32発)
全長約196mm
重量約964g
特徴海軍SEALs正式採用。高耐久性、精度。

シグ・ザウエル P226は、米海軍SEALsや英国SASをはじめ、多数の特殊部隊や法執行機関で採用されている拳銃です。SEALsでは1989年からMk25として30年以上使用され、パナマ、ソマリア、ハイチ、バルカン半島、イラク、アフガニスタン、シリアなど、さまざまな地域で運用されてきました。英国SASも1980年のイラン大使館人質事件後、その高い信頼性を評価して採用しています。その他にも、FBIやシークレットサービス、欧州軍などで使用例が見られます。

採用理由としては、過酷な環境下でも発揮される高い信頼性と耐久性、海軍特殊作戦向けMk25に施された防錆処理(リン酸塩処理パーツやクロームライニング)、高い精度、スムーズなDA/SAトリガー、15発以上の高装弾数、そして耐久性と適度な重量を両立する金属フレーム構造が挙げられます。

P226は9mm口径を基本とし、.40 S&Wや.357 SIGモデルも存在します。15発のダブルスタックマガジン、アルミ合金フレームとステンレススライド、DA/SAトリガー、夜間用トリチウムサイト(Mk25)、クロームライニング、アクセサリーレールなどを備えています。

開発は1980年代初頭にP220の後継として進められ、XM9トライアルではベレッタ92FSとともに技術要件を唯一満たしましたが、コスト面の理由からベレッタが採用されました。その後、M9の信頼性問題を受けてSEALsが独自試験を実施し、1989年にP226をMk25として正式採用しました。英国SASも同時期に採用を決定しています。

運用面では、SEALsによる5000発耐久試験を突破し、30年以上にわたり多くの戦地で高い信頼性を発揮してきました。SASも対テロ作戦や人質救出など、即応性が求められる任務でP226を使用しています。

ベレッタM9の信頼性問題とは?

ベレッタM9の信頼性問題として指摘される点には、主に三つの事例があります。

第一に、1980年代後半に発生したスライド破損事故があります。実射訓練中にスライドが破断し、後部が射手の顔方向へ飛来する事故が複数確認されました。原因は高圧弾薬の使用と製造ロット上の問題が重なったためとされ、NATO弾の高圧仕様や誤装填弾の影響が指摘されています。この問題を受け、ベレッタはハンマーピンの設計を改良し、破断時でもスライド後部が射手側へ飛来しない構造へ変更しました。

第二に、イラクやアフガニスタンの砂塵環境で多発したマガジン関連の給弾不良があります。主な原因は、米軍が使用したサードパーティ製マガジンにあり、これらはパーカライジング加工が施されていたため砂塵が付着しやすい特性を持っていました。一方で、ベレッタ純正のニッケルメッキマガジンでは不具合が少なかったとされ、補給上のマガジン選定が問題を拡大させた要因と考えられています。

第三に、9mm弾のストッピングパワーに関する不満があります。これはM9本体の機械的信頼性とは別の問題ですが、FMJ弾使用時の威力不足がM9批判と混同されることがありました。ハーグ条約の制約により使用弾薬はFMJ弾に限定されるため、9mm弾は.45ACPと比較して威力が劣るという印象を持たれ、兵士の評価を下げる一因となっています。

緊急時や救護状況でのハンドガンの使用

デルタフォースやDEVGRU(デブグル)などの特殊部隊は、他の部隊と比べてピストル射撃訓練を特に徹底しています。負傷者を救護している最中や、ライフルを使用できない状況など、極限状態でピストルを頼らざるを得ない場面が実際に存在するためです。こうした状況下でピストルを使用した事例は複数語られています。

1993年の「ブラックホーク・ダウン」事件では、デルタフォースのゲイリー・ゴードンがライフル弾を使い果たし、1911ピストルを使用して戦闘を継続しました。また、Navy SEALのマシュー・アクセルソンはアフガニスタンでライフルを失い、SIG P226に切り替えて応戦したことが知られています。

このような実戦経験から、特殊部隊ではピストルを「最後の防衛手段」として確実に扱えるよう、高度な訓練が重視されています。

SIG Sauer P228

SIG P228 画像出典:guns.com
項目内容
モデル名SIG Sauer P228
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数13発(ロングマガジンにより最大18発)
全長約180mm
重量約770g
特徴P226のコンパクトモデル。

シグ・ザウエル P228は、米軍でM11として1990年代初頭に制式採用され、主に憲兵隊、陸軍犯罪捜査局(CID)、空軍OSI、海軍航空隊、NCIS、一部の将官などに配備されました。特殊戦闘艇部隊(SWCC)でもコンパクトで取り回しやすい点が評価され長年使用されており、シークレットサービス、FBI、DEA、BATF、各地の警察機関でも採用実績があります。さらに、スウェーデン軍でも一般配備されているモデルです。

採用理由としては、車両搭乗員や航空機搭乗員、将官、捜査官など、M9では大きすぎる場面で求められたコンパクトサイズが挙げられます。また、15,000発の試験でわずか1回の作動不良にとどまった高い信頼性、13+1発という多弾数マガジン、優れたエルゴノミクス(人間工学)、そして現代的で扱いやすい設計が高く評価されました。

P228は9mm口径で、標準13発のマガジンを備え、P226用の15発・20発マガジンも使用可能です。アルミ合金フレームを採用し、P226より短いスライドとバレルを持つコンパクト設計となっています。DA/SAトリガーを採用し、ナイトサイト(SigLite装備型)を備えたモデルも存在します。M11-A1では防錆処理が施され、耐久性がさらに向上しています。

1988年にP226のコンパクト版として開発され、米軍のコンパクトピストルプログラムでM11として採用されました。近年では高圧弾に対応したP229への更新が進んでいますが、現在も一部の部隊で使用が続いています。

運用面では、5000発耐久試験で高い評価を得て採用され、SWCCでは狭い船内での取り回しの良さからP226より好まれました。航空機搭乗員や捜査官、特殊作戦においても、高い携行性と信頼性が評価され続けています。

SIG Sauer P239

SIG P239ピストル画像
SIG P239 Tratnik at Slovenian Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SIG Sauer P239
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm 他.357 SIG/.40 S&W
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数8発(9mm)7発 (.357 SIG/.40 S&W)
全長約168mm
重量約770g
特徴単列マガジンによるスリム設計。SEAL Team 6使用。

シグ・ザウエル P239は、アメリカ海軍特殊戦開発グループ(DEVGRU、通称SEAL Team Six)でコンシールドキャリー用として配備されていたモデルです。米国の一部法執行機関でもタクティカルユニットや覆面捜査官に使用されており、スウェーデン警察でも他のシグ・ザウエル製ピストルと併用されています。

採用された理由としては、隠し持ちやすい小型サイズであることに加え、シグ・ザウエル製らしい高い信頼性、そしてシングルスタック構造によるスリムで握りやすいエルゴノミクスが挙げられます。これらの特性により、目立たず携行する必要がある任務に適したモデルとして評価されました。

P239は9mm、.357 SIG、.40 S&Wの各口径に対応し、マガジンはシングルスタックで9mmが8発、.40 S&Wと.357 SIGが7発装填可能です。アルミ合金フレームとステンレススライドを採用し、DA/SAトリガー方式を備え、全長約6.6インチというコンパクトなサイズによりコンシールドキャリーに最適化されています。多くのモデルにはナイトサイト(SIGLITE)が搭載されています。

1990年代半ばに登場したP239は、法執行機関や個人防衛向けの小型で信頼性の高いオートとして開発されました。DEVGRUでは民間衣装での作戦や覆面任務において、目立たず携行できるサイドアームとして採用されていましたが、近年はより多弾数の新型小型ピストル(シグ・ザウエル P365など)への更新が進んでいます。

SIG Sauer P365

SIG P365画像
SIG P365 Digitallymade, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SIG Sauer P365
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式
装弾数10発、12発、15発マガジンオプション
全長約147mm
重量約500g
特徴高装弾数マイクロコンパクト。日常携行向けに最適化。

シグ・ザウエル P365は、2018年に登場した9mm口径のマイクロコンパクトピストルで、小型軽量でありながら10+1発以上の装弾数を備えた設計となっています。DEVGRU(アメリカ海軍特殊戦開発グループ)やデンマークのSOKOM(特殊作戦軍司令部)、軍憲兵隊のほか、アメリカ各地の警察特殊部隊や刑事部門でも、バックアップやコンシールドキャリー用のサイドアームとして採用が進んでいます。

P365が特殊部隊に採用されている理由は、サイズに対する装弾数比が非常に優れている点にあります。一般的なマイクロコンパクトピストルが6〜8発程度であるのに対し、P365は標準で10+1発、さらに12+1、15+1、17+1発のマガジンにも対応し、フルサイズピストルに匹敵する火力を確保できます。また、ストライカー方式による一貫したトリガープル、低いボアアクシスによる射撃時のコントロール性、モジュラー設計による拡張性など、信頼性と実用性を重視する特殊部隊の要求に適合した特徴を備えています。

P365は2018年の発表後、アメリカの法執行機関でバックアップや潜入任務用として急速に採用が広がり、2019年にはデンマーク特殊作戦軍司令部(SOKOM)および軍憲兵隊でも採用されました。これは、従来の大口径で装弾数が少ないコンパクトピストルからの更新であり、火力と隠匿性の両立を図るための選択でした。

特殊部隊においてP365は、主に民間衣装での潜入任務や近接警護任務で使用されています。コンシールドキャリー時にも目立ちにくく、SASモデルではサイトをスライド内に埋め込むことで引っ掛かりを排除し、スムーズな抜き撃ちを可能にしています。また、状況によってはメインキャリーとして使用されることもあり、特に車両の乗降時や狭い空間での近接戦闘において取り回しやすい点が高く評価されています。

モデル全長
(mm)
高さ
(mm)

(mm)
重量
(g)
P36514710926500
P365 SAS14710026500
P365 XL17012028590
P365 XMACRO17013228624

SIG Sauer M17 / M18

M18ピストル画像
項目内容
モデル名M17 / M18
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、ショートリコイル作動、セミオート。
一部モデルにマニュアルセーフティあり。
装弾数17~21発
全長M17:約203mm / M18:約183mm
重量約833g(M17)
特徴米軍制式採用。モジュラーフレーム。

シグ・ザウエル M17(フルサイズ)とM18(コンパクト)は、アメリカ陸軍、海軍、海兵隊、空軍、宇宙軍のすべての主要部隊で採用されています。M18は特に海軍と海兵隊で標準配備されており、陸軍では主にM17が使用されています。両モデルはM9やその他の旧式ピストルを更新する目的で導入され、海兵隊では2020年から全隊でM18の配備が進められました。特殊作戦部隊(SOF)にも配備されており、近接戦闘や特殊任務で運用されています。

採用理由としては、36,000発の耐久テストを無停止でクリアした高い信頼性、P320をベースとしたモジュラー設計によるグリップやスライド交換の容易さ、光学機器への対応など、最新の要求に応える多機能性が挙げられます。また、高い精度と操作性、アンビ仕様の安全装置やスライドストップも評価されました。

M17とM18は9mm口径のストライカー方式を採用し、M17は標準17発、M18は標準15発のマガジンを装填できます。ナイトサイトや光学サイト対応スライドを備え、コヨーテタンカラーのPVDコーティングスライドとポリマーフレームが特徴となっています。

2017年には陸軍のMHS(Modular Handgun System)コンペで勝利し、グロック、ベレッタ、FNハースタルを抑えて採用が決定しました。その後、101空挺師団などで運用が開始され、SOFとの連携によってCQB(近接戦闘)要求にも対応する形で実戦投入が進められています。

モジュラー設計(モジュラーシステム)とは

銃におけるモジュラー設計(モジュラーシステム)とは、交換可能な部品やモジュールで構成され、用途や任務、個人の好みに応じてカスタマイズや再構成が可能な設計手法を指します。この仕組みにより、グリップサイズや銃身の長さ、口径などを柔軟に調整でき、例えばシグ・ザウエル P320ではグリップやスライド、銃身を簡単に交換することで、コンパクトピストルからフルサイズピストルへと構成を変えることができます。

モジュラー設計には、身体的特徴や任務内容に合わせて最適化できる高いカスタマイズ性、用途に応じてライフルからカービン、ショットガンへと構成を変更できる多様な運用性、部品交換やメンテナンスの容易さ、複数の銃を購入する代わりに一つの基本システムを拡張できるコスト効率の良さ、そして操作性や精度の向上に寄与する点など、多くの利点があります。

実例としては、シグ・ザウエル P320、ストーナー63、レミントン・モジュラーコンバットショットガンなどが挙げられます。一方で、モジュラー設計は一つのコア部品で複数の銃器タイプに変換できるため、法的管理や技術的分類が複雑になるという課題も存在します。

米軍の第19特殊部隊グループでは、Flux Raiderと呼ばれるグリップモジュールの試験が行われており、M17ピストルをストック付きで光学機器やライトを搭載したコンパクトなピストルキャリバーカービン(PCC)へと変換する取り組みが進められています。この改造によって射程とコントロール性が大幅に向上し、ピストルとカービンの境界がより曖昧になりつつあります。Navy SEALsなど他の部隊でも評価が進んでいるとされ、特殊部隊における新たな装備選択肢として注目されています。

SIG Sauer SP2022

SIS SP2022画像
SIS SP2022 Augustas Didžgalvis, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SP2022
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数15発
全長約190mm
重量約760g
特徴ポリマーフレーム版SIG。

シグ・ザウエル SP2022は、2003年にフランス国家憲兵隊によって27万丁が採用され、第二次世界大戦以来最大規模のピストル発注となりました。採用に至った理由としては、軍や警察の試験で証明された高い信頼性、ポリマーフレームによる軽量化と耐腐食性、そしてフルメタルSIGモデルより低コストである点が挙げられます。さらに、ピカティニー規格のアクセサリーレール、DA/SAトリガーシステム、優れたエルゴノミクスも評価されています。

SP2022は9mm口径を基本とし、.40 S&Wや.357 SIGモデルも存在します。標準で15発装填可能なマガジンを備え、ポリマーフレーム、デコッキングレバー付きのDA/SA作動方式、アクセサリーレールなどを搭載し、20年の耐用設計が特徴です。

このモデルは1990年代末から2000年代初頭にかけて開発されたSIG初のポリマーフレームピストルであり、フランスによる大量採用を契機に世界的な評価が高まりました。ブルガリアでは軍憲兵部隊および特殊作戦部隊で配備され、ルーマニアでは国家憲兵隊の特殊介入旅団で使用されています。マレーシアでは王立マレーシア警察の特殊エリート部隊向けに約2,000丁が採用され、ポルトガルでも国家共和警備隊や公安警察のエリート部隊で運用されています。コロンビアでは国家警察のタクティカルチームに12万丁以上が配備されており、スイスでも軍憲兵部隊がSP2022と近縁モデルのSPC2009を使用しています。

SIG Sauer P220

SIG 220画像
SIG P220 画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名P220
メーカーSIG Sauer(日本製造:住友重機械)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数9発(9mm)、8発 (10mm/ .45 ACP)
全長約196mm
重量約780g
特徴陸自標準ピストル。

シグ・ザウエル P220は、1975年にスイス軍の標準制式ピストル「Pistole 75(P75)」として採用され、日本の自衛隊でも1982年に正式採用されたモデルです。デンマーク特殊部隊をはじめ、チリ、イラン、ナイジェリア、ウルグアイ、そしてバチカンのスイス警護隊など、世界各国の軍や警察でも使用されています。

採用理由としては、高い信頼性と耐久性を備え、厳しい環境下でも安定して作動する点が挙げられます。また、DA/SAトリガーとデコッキングレバーを初めて採用したことで安全性と操作性が向上し、旧来の手作業工程が多いP210と比べて生産・維持コストが低いことも評価されました。さらに、エルゴノミクスに優れ、自然な狙いやすさと高い命中精度を持つ点も採用を後押ししています。

P220は9×19mmパラベラム弾を基本とし、.45ACP、.38スーパー、7.65mmなどのバリエーションも存在します。弾倉容量は9mmで9発、.45ACPで7発となっており、合金製フレームとプレススチールスライドにより軽量かつ堅牢な構造を実現しています。作動方式はDA/SAで、デコッキングレバーを備えながらマニュアルセーフティレバーを持たない設計です。コンパクトモデルやタクティカルモデル、.22LR変換キットなどバリエーションも豊富で、分解やメンテナンスが容易な点も特徴です。

P220は1970年代初頭に高コストなP210の代替として開発され、1975年にスイス軍が初めて採用しました。その後、ドイツのJ.P. Sauer & Sohn社との生産提携により輸出が拡大し、アメリカでは1977年から1980年にかけて「ブローニングBDA」として販売されました。P220の成功は、後続のP226をはじめとするシグ・ザウエルシリーズの基盤となりました。

運用面では、スイスと日本で長期間にわたり標準装備として使用されてきた実績があり、デンマーク特殊部隊でも採用されるなど高い評価を受けています。耐久性と正確性に優れていることから、世界各国のエリート部隊や警察機関で信頼されたモデルです。

F9 (SIG Sauer P320 X-Carry Pro)

F9SWS画像
F9SWS 画像出典:armyrecognition.com
項目内容
モデル名F9 (SIG Sauer P320 X-Carry Pro)
メーカーSIG Sauer
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、ショートリコイル作動、セミオート。
一部モデルにマニュアルセーフティあり。
装弾数17発
全長187mm
重量840g
特徴モジュラーフレームとドットサイト対応スライド。

F9(SIG Sauer P320 X-Carry Pro)は、デンマーク国防省が2023年に陸軍、海軍、空軍、特殊作戦司令部(SOCOM)の標準制式ピストルとして選定し、長年使用されてきたSIG P210(M/49)を更新したモデルです。オーストラリア国防軍でもブローニング・ハイパワーの後継として採用され、ノルウェー警察などでも運用が進んでいます。

採用理由としては、厳格な評価試験においてグロック17 Gen5、ベレッタAPX、Canik TP9SFを上回る性能を示した点が挙げられます。命中精度、夜間射撃、耐落下性、貫通力など多方面で優れた結果を残しました。また、モジュラー設計により個人や任務に応じた柔軟な構成変更が可能で、シリアル管理されたトリガーグループを中心にグリップサイズや口径を交換できる点も評価されています。さらに、標準17発の装弾数、光学照準器への対応、サプレッサー装着への適合など、現代的な装備要求に応える機能性を備えています。人間工学に基づいたグリップ形状やフラットトリガー、長めのビーバーテイル、複数の安全機構による操作性と安全性の高さも採用を後押ししました。

F9の特徴としては、9×19mmパラベラム弾を使用し、標準17発の装弾数を持つ点が挙げられます。X-Carryポリマーグリップ、着脱可能なマグウェル、深いアンダーカットトリガーガードを備え、ストライカー式のモジュラーファイアコントロールユニットを採用しています。照準器は標準でX-RAY3ナイトサイトを搭載し、スライドは光学機器に対応しています。ピカティニーレールによりライトやレーザーを装着でき、サプレッサーにも対応しています。安全機構としてストライカーセーフティやディスコネクトセーフティを備え、オプションでマニュアルセーフティも搭載可能です。分解は3点テイクダウンシステムにより容易に行えます。

P320プラットフォームは2014年にシグ・ザウエルがモジュラー設計のストライカー式ピストルとして開発したもので、X-Carry Proは軍や法執行機関の要求に応えるために改良された派生モデルです。デンマークは2023年にNATO加盟国として初めてP320シリーズを正式制式ピストルとして採用しました。

運用面では、デンマーク国防省の4週間にわたる厳しい試験で高い性能を示し、オーストラリア軍の選定試験でも優秀な評価を得て採用されています。オーストラリアではSIG Romeo 2リフレックスサイトとFoxtrot 2ホワイトライトを組み合わせた構成で導入されました。現在、デンマークおよびオーストラリアの特殊部隊や一般部隊で運用されており、柔軟性と信頼性の高さが評価されています。

H&K Mk23 (Mark 23 Mod 0)

H&K Mk23 画像
H&K Mk23 Joe Loong, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名H&K Mk23
メーカーHeckler & Koch
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
デコッキングレバーおよびアンビセーフティ装備
装弾数12発
全長約245mm(サプレッサー装着時約420mm)
重量約1,210g(空マガジン時)
約1,910g(サプレッサー装着時)
特徴USSOCOM採用。高精度。サプレッサー・LAM統合設計。高耐久性(3万発耐久)。

H&K Mk23は1996年にアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)で制式採用され、ネイビーシールズや陸軍特殊部隊などに配備されました。他国でもインドネシアのKopaskaやKopassus、マレーシアのPasukan Gerakan KhasおよびPasukan Khas Laut、ポーランドのGROM、シンガポールの特殊部隊などで採用されています。

Mk23はバックアップではなく、メインアームとして使用可能な「攻撃用ハンドガン」として開発された点が特徴です。高精度、サプレッサー対応、レーザーエイミングモジュール(LAM)対応が求められ、.45 ACP弾、特に+P弾使用時の高いストッピングパワーが評価されました。過酷な環境試験を含む3万発の耐久試験に合格し、平均作動停止間隔(MRBS)は6,000発以上、サンプルによっては15,000発を超えるなど、極めて高い信頼性を示しています。さらに、ナイツアーマメント製サプレッサーとインサイトテクノロジー製LAMとの統合設計により、夜間作戦や隠密行動能力が大きく向上しました。

Mk23は.45 ACP口径(.45 Superにも対応)で、装弾数は12発です。作動方式はダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)で、専用デコッキングレバーとアンビセーフティを備えています。5.87インチのスレッドバレルにはポリゴナルライフリングが採用され、命中精度と耐久性が向上しています。ポリマーフレームと耐腐食性スチールスライドを組み合わせ、アンビマガジンキャッチ、反動軽減バッファー(最大40%軽減)、3ドットトリチウムナイトサイト、LAM対応アクセサリーレールなどを搭載しています。重量は空で約1.21kg、サプレッサー装着時は約1.91kgとなり、全長は24.5cm(サプレッサー装着時42cm)です。

開発は1991年にUSSOCOMの要求によって始まり、コルトとH&Kが提案を行いました。コルト案は早期に脱落し、厳格な試験をすべてクリアしたH&K案が1996年に採用され、1,950丁が納入されました。Mk23で得られた技術は、後のH&K USPシリーズの開発にも活かされています。

運用実績としては、米軍および同盟国の特殊部隊で使用され、25mで2インチのグルーピングを実現する高い命中精度や、塩水、砂、泥、極端な温度環境下でも作動する信頼性が高く評価されています。一方で、大型かつ重量があるため、一部の任務では敬遠されることもあります。しかし、3万発の+P弾を使用した後でも精度と作動信頼性を維持する耐久性により、特殊用途では依然として高い評価を受けています。

HK45CT

HK45Cピストル画像
HK45C Ckindel, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名HK45CT
メーカーHeckler & Koch
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
デコッカーおよび/またはマニュアルセーフティ装備(HK45系標準)
装弾数8発
全長約186mm
重量約820g
特徴海軍SEALs採用。サプレッサー対応。

HK45CTは、アメリカ海軍特殊部隊NSWC(ネイビーSEALs)において、より大型で重いMk23の代替として採用された特殊作戦用ピストルです。他の特殊部隊でも採用例がありますが、最も代表的な使用者はNSWCとされています。

採用理由としては、Mk23に比べてコンパクトで携行性が高く、隠密性が求められる特殊任務に適している点が挙げられます。USP系統に基づく高い信頼性と耐久性を備え、20,000発以上の長寿命を誇ることも評価されました。標準でスレッドバレルを備えており、サプレッサーを容易に装着できる点は特殊作戦のニーズに合致しています。また、交換式バックストラップやアンビ仕様の操作部など、人間工学に基づいた扱いやすい設計も採用理由の一つです。さらに、MIL-STD-1913ピカティニーレールを搭載し、ライトやレーザーサイトを装着でき、SEALsではCrimson Trace社製の赤外線レーザーも使用されています。

HK45CTは.45 ACP口径で、装弾数は10発の標準マガジンを備えています。銃身はサプレッサー対応のスレッド仕様で、Oリングによって精度が向上しています。ポリマーフレームに交換可能なバックストラップを備え、セーフティ、スライドリリース、マグリリースはすべてアンビ仕様です。照準器は標準ナイトサイトで、サプレッサーハイトサイトにも対応しています。HK独自のリコイルリダクションシステムにより反動が約30%軽減され、作動方式はデコッカー付きのDA/SAトリガーで、法執行機関向けにLEMトリガーも選択できます。Mk23より軽量かつコンパクトで、携行性に優れている点が特徴です。

HK45はもともと米軍のジョイント・コンバット・ピストル計画(JCP)向けに開発されましたが、計画は2006年に中止されました。その後もHK社は軍・法執行機関・民間市場向けに開発を継続し、HK45CTは2011年にNSWCでMk24 Mod 0として正式採用され、Mk23の代替を担うことになりました。設計には特殊作戦経験者であるラリー・ビッカース氏やケン・ハカソーン氏も関与し、USPとMk23の利点を凝縮したモデルとなっています。

運用面では、NSWCの極秘試験を経て採用され、特に対テロ作戦や隠密行動に携わるSEALチームで使用されています。AAC製サプレッサーやCrimson Trace製の防水赤外線レーザーと組み合わせて運用され、多機能で汎用性の高い攻撃・防御用ピストルとして高く評価されています。

H&K P30

HK P30画像
HK P30 Rizuan, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名H&K P30
メーカーHeckler & Koch
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
複数トリガーバリアントあり
V1/V2:ライトDAO(CDA/LEM)
V3:ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数15発
全長186mm
重量740g
特徴人間工学グリップとモジュラーバックストラップ。

HK P30はドイツ製の高信頼性ポリマーフレームピストルで、特殊部隊や警察を中心に世界各国で採用されています。ドイツ連邦軍の特殊部隊KSKや海軍特殊部隊KSM、マレーシア海軍特殊部隊PASKALなど、対テロや海洋特殊作戦において高い評価を得ているモデルです。

主な採用国・部隊としては、ドイツの連邦税関、連邦警察、ヘッセン州警察、陸軍憲兵、KSKおよびKSM特殊部隊が挙げられます。さらに、ノルウェー警察、フィンランド警察即応部隊、ポルトガル陸軍・警察、シンガポール陸軍(2018年以降)、マレーシア海軍特殊部隊PASKAL、米国国境警備隊戦術部隊、スイス国境警備隊、スペインのモッソス・デスクアドラなど、多くの国と部隊で採用されています。

採用理由としては、9万発以上の耐久テストをクリアする高い耐久性、交換可能なバックストラップによる優れた人間工学設計、DA/SAやLEMなど複数のトリガーシステムから選択できる柔軟性、安全性の高いアンビ対応操作部の搭載など、多面的な性能が評価されています。

HK P30は9mmまたは.40 S&W口径に対応し、装弾数は15〜13発です。軽量で耐腐食性の高いポリマーフレームを採用し、ピカティニーレールによりライトやレーザーなどのアクセサリー装着にも対応しています。ロングスライドモデルのP30LやサブコンパクトモデルのP30SKなど、用途に応じたバリエーションも豊富です。

2006年にドイツ連邦税関で初めて採用されて以降、欧州やアジアの特殊部隊や警察へと採用が広がり、対テロや特殊作戦において信頼されるサービスピストルとして確固たる実績を築いています。

H&K USP9

USP TACTICAL画像
項目内容
モデル名USP9
メーカーHeckler & Koch
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
バリアントにより
DA/SA(デコッカーおよび/またはマニュアルセーフティ付)
DAO
シングルアクションオンリー
装弾数15発
全長約194mm
重量約720g
特徴高信頼性。世界各国で採用。

HK USP(ユニバーサル・セルフローディング・ピストル)は、高い信頼性を備えたサービスピストルとして1990年代初頭に開発されました。頑強で耐腐食性に優れ、20,000発以上の耐久性能を誇る点が評価され、多様なトリガー方式や安全機構(DA/SA、DAO、LEMなど)により柔軟な運用が可能です。独自のリコイル低減システムや、タクティカルモデルに採用されているOリング銃身によって高精度と反動軽減を両立し、ピカティニーレールやマウントグルーブによりライト、レーザー、サプレッサーなどのアクセサリーにも対応しています。さらに、アンビ対応の操作系やカスタマイズ可能な安全装置も特徴です。

USPは9mm、.40 S&W、.45 ACP、.357 SIGといった複数の口径に対応し、最大装弾数は9mmで15発、.45 ACPで12発となっています。ポリマー製フレームには金属補強が施され、耐久性と軽量化を両立しています。USP Tacticalではスレッドバレルや調整可能なサイトを備え、特殊作戦向けに最適化された仕様となっています。

1989年に設計が始まり、1993年に市場投入された後、1995年にはドイツ連邦軍がP8として採用しました。1990年代後半以降はMk23 SOCOMの代替としてタクティカルモデルが特殊部隊で高く評価されるようになりました。

運用面では、ドイツ連邦軍でP8として広く使用され、ドイツの特殊部隊KSKや海軍特殊部隊KSM、米国の移民税関捜査局(INS)、日本の特殊部隊など、世界20か国以上の軍や警察組織で採用されています。欧米やアジアの特殊部隊、連邦法執行機関でも使用例が多く、過酷な環境下でも安定したパフォーマンスを発揮するピストルとして高い信頼を得ています。

Colt M1911(1911ピストル)

コルトM1911A1ピストル画像
コルトM1911A1 M62, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Colt M1911
メーカーColt
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、セミオート
装弾数7発(標準)
全長約216mm
重量約1100g
特徴1911年採用。高いストッピングパワーと伝統。

コルトM1911はアメリカ製の名銃で、1911年の採用以来70年以上にわたり米軍の標準ピストルとして運用されてきました。特殊部隊からの支持も根強く、デルタフォース、グリーンベレー、ネイビーSEALs、MARSOCなどで使用された実績があります。英国の特殊部隊をはじめ、世界各国の軍や警察でも広く採用されてきました。

採用理由としては、6000発の耐久テストをクリアする高い信頼性、.45ACP弾による強力なストッピングパワー、第一次世界大戦からベトナム戦争まで多様な環境で実証された命中精度と耐久性が挙げられます。分解や清掃が容易で野戦に適している点も評価され、特殊部隊ではサイトやグリップ、トリガーなどをカスタマイズして使用されることが一般的でした。

特徴としては、使用弾薬が.45ACPで、標準装弾数は7+1発、作動方式はシングルアクションです。スチール製フレームを採用し、マニュアルセーフティとグリップセーフティを備えた設計となっています。

M1911はジョン・M・ブローニングによって設計され、1911年に米軍に採用されました。20世紀のほぼすべての戦争で携行され、1985年にベレッタM9が採用された後も、特殊部隊ではカスタムモデルとして使用が続きました。

第一次世界大戦の塹壕戦、第二次世界大戦の接近戦、朝鮮戦争やベトナム戦争の過酷な環境でも高い性能を発揮し、現代に至るまで米国特殊部隊で根強い人気を保ち続けています。

フランケンシュタイン1911

フランケンシュタイン1911とは、デルタフォース(第1特殊部隊作戦分遣隊デルタ)のアーマラーが製作していた高度にカスタムされた1911ピストルを指す通称です。市販品や軍用品の中から最良の部品だけを選び抜き、細部まで手作業で調整することで、極めて高い信頼性と精度を実現していました。改造内容にはマッチグレードバレル、カスタムトリガー、アンビセーフティ、強化サイトなどが含まれ、使用者の要望に合わせて仕上げられていた点が特徴です。

フォースリーコン(米海兵隊偵察部隊)でもカスタム1911が使用されていましたが、デルタフォースとはアーマラーや調達経路が異なっていました。フォースリーコンでも選別部品を用いたカスタムピストルが製作されていましたが、信頼性と精度に関する「伝説」として語られるのは、主にデルタフォースのアーマラーが手掛けた1911です。

これらのカスタム1911は市販の完成品ではなく、使用者の好みや任務要件に応じて手作業で組み立て、調整、改造されたものであり、その徹底した作り込みが「フランケンシュタイン」という呼称の由来となっています。

調達時に議論を呼んだベレッタM9の採用

ベレッタM9は1985年にM1911に代わる米軍の制式ピストルとして採用されましたが、その選定過程は大きな議論を呼びました。不正価格モデルの存在やイタリア政府との秘密取引、競合他社の価格情報漏洩といった疑惑が浮上し、調達プロセス全体に対する不信感が高まったためです。この問題を受けて、米会計検査院(GAO)による汚職調査が実施されました。

調査の結果、価格情報漏洩を裏付ける証拠は確認されず、政治的圧力や秘密取引の決定的証拠も認められませんでした。しかし、試験内容や評価基準の変更に関する説明が不十分であったことは事実とされ、これが競合他社の不満を招いた要因となりました。

M45 MEUSOC(MEU)

MEU1911ピストル画像
画像出典:Wikipedia
項目内容
モデル名M45 MEUSOC
メーカーMarine Corps Armoryカスタム1911
口径.45ACP
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、セミオート
装弾数7発
全長約216mm
重量約1100g
特徴海兵隊特殊部隊仕様の1911改良型。

MEU(SOC)ピストル(M45 MEUSOC)は、アメリカ海兵隊の特殊部隊フォース・リーコンおよび海兵遠征部隊の特殊作戦対応部隊に、1985年から2022年まで支給されていたコルトM1911A1をベースにしたカスタムピストルです。MEU(SOC)1911は1万発ごとにオーバーホールされ、フレーム、スライド、バレルが異なる年代やメーカーの部品で構成されるという特徴を持っていました。

COLT M45A1 画像
COLT M45A1 画像出典:Coati077, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

2012年には後継モデルとしてM45A1 CQBP(クローズクォーターバトルピストル)が登場しましたが、現在では両モデルとも退役しています。

項目MEU(SOC)
(M45 MEUSOC)
M45A1 CQBP
運用期間1985年~2022年2012年~2022年
起源USMC精密兵器部門(PWS)によるカスタム製造コルトによる工場生産
(1911レールガンベース)
フレーム余剰M1911A1フレーム
(第二次世界大戦期含む)
新造ステンレススチールフレーム
レール初期なし
(一部後期モデルで追加)
MIL-STD-1913ピカティニーレール標準装備
フィニッシュパーカライジングセラコート
デザートタンDecobond
サイトハイプロファイルコンバットサイトトリチウムナイトサイト
リコイルシステム標準リコイルスプリングデュアルリコイルスプリングシステム
配備部隊フォースリーコン
MARSOC
SRT
フォースリーコン
MARSOC
SRT
特徴両利き対応セーフティ
マッチグレードバレル・トリガー
エクステンデッドビーバーテイル
コンペティショングレードマガジン
マッチグレードバレル
改良エルゴノミクス
反動軽減構造
耐久性一部フレームは50万発耐用
(通常は1万発ごとに再組立)
耐腐食性向上
標準化生産による信頼性確保

採用理由としては、汚れや過酷な環境下でも安定して作動し、一般的なM9よりも高い耐久性を備えていた点が挙げられます。さらに、.45ACP弾薬による高いストッピングパワーは直接行動任務や近接戦闘に適しており、マッチグレードバレル、軽量トリガー、高視認サイトなど、細部にわたる手作業の改良によって性能が向上していました。重量フレームと強化パーツにより、長期間の酷使にも耐えられる設計となっていた点も評価されています。

直接行動とは

直接行動(Direct Action, DA)」とは、指定された目標を奪取、破壊、捕獲、利用、回収、損傷させるために、専門的な軍事能力を用いて実施される短時間の攻撃や小規模の攻勢行動を指します。これらの任務は、敵対地域や立ち入りが制限された地域、あるいは政治的に微妙な環境下で行われることが多く、通常の軍事作戦とはいくつかの点で区別されます。具体的には、より高い物理的・政治的リスクを伴うこと、専門的な作戦技術を必要とすること、そして特定の目標を達成するために精密かつ限定的な武力行使が求められる点が挙げられます。

直接行動任務は迅速かつ決定的に実行され、数時間以内、あるいはそれ以下で完了することが一般的です。海軍SEALsや陸軍レンジャーなど、高度に訓練された特殊作戦部隊が担当し、高価値目標の捕獲または排除、重要インフラの破壊、機密装備や要員の回収などが典型的な任務となります。実例としては、襲撃、待ち伏せ、破壊工作、敵陣への攻撃、地雷やその他火器の設置などが含まれます。

直接行動は特殊作戦部隊の主任務の一つであり、情報収集を重視する特殊偵察や、抵抗勢力支援を目的とする非正規戦などの任務と対比される概念です。

使用弾薬は.45ACPで、装弾数はウィルソン・コンバット製ステンレスマガジンによる7発、作動方式はシングルアクションです。重量は約1.1kgで、5インチのマッチグレードバレルを搭載しています。アンビ対応のサムセーフティ、ラバーグリップ、フロントコッキングセレーション、ハイプロファイルコンバットサイト、エクステンデッドビーバーテイルグリップセーフティ、ステンレス製コンペティショングレードマガジンなどが特徴的な仕様です。

2022年に更新されたM45A1では、.45ACP口径と1911プラットフォームを維持しつつ、マッチグレードバレルや改良されたエルゴノミクス、耐腐食性の高いデザートタンフィニッシュのステンレスフレームとスライド、MIL-STD-1913ピカティニーレール、トリチウムナイトサイト、デュアルリコイルスプリングシステムなどが追加され、耐久性と反動軽減がさらに向上しました。

MEU(SOC)ピストルの歴史は、1980年代半ばに米海兵隊のロバート・ヤング大佐がM1911A1を現代戦に適応させる改良案を提示したことに始まります。クアンティコのUSMC精密兵器部門(PWS)では、第二次世界大戦期の余剰M1911A1フレームを用い、高品質な市販部品を組み合わせて信頼性と精度を向上させながら手作業で組み立てられました。2012年には評価の結果、後継としてコルト1911レールガンが採用され、M45A1 CQBPと命名されました。M45 MEUSOCとM45A1は2020年代初頭にM18へと順次更新され、2022年10月に退役が完了しました。

MEU(SOC)ピストルは、過酷な戦場や湿潤環境でも作動し続けた実績があり、近接戦闘や直接行動任務に最適化されたピストルとして高い評価を得ていました。

Manurhin MR73

MR73画像
マニューリンMR73 画像出典:eurooptic.com
項目内容
モデル名MR73
メーカーManurhin(フランス)
口径.357マグナム / .38スペシャル
作動方式ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
装弾数6発
全長190mm(銃身長により異なる)
重量約930g(4インチ)
特徴GIGN正式採用。極めて高い精度と耐久性。

マニューリンMR73(Manurhin MR73)はフランス製の高精度リボルバーで、特に対テロ精鋭部隊であるGIGN(国家憲兵介入隊)で広く使用されてきました。RAIDやBRIなど他の特殊警察部隊でも採用されており、現在もGIGNをはじめとする一部の精鋭部隊で現役として運用されています。

採用理由としては、.357マグナム弾を17万発以上発射しても劣化がほとんど見られないほどの高い信頼性と耐久性、ハンドフィットによって調整されたトリガーと銃身が生み出す驚異的な命中精度、旧警察制式の.32ACPから大幅に向上したストッピングパワーが挙げられます。さらに、トリガープルの重さやサイトを個別に調整できる高度なカスタマイズ性、GIGN隊員が行う大量発砲訓練にも耐えうる堅牢性も評価されています。

MR73は6連発のDA/SA方式で、.357マグナム弾に加えて.38スペシャル弾も使用できます。複数の銃身長バリエーションが存在し、冷間鍛造銃身や高級鋼材の使用、職人による丁寧なフィニッシュが特徴です。

このリボルバーは1972〜73年にフランス警察の要請で開発され、1970年代から1980年代にかけて国家憲兵やGIGNに標準配備されました。製造は1998年からChapuis Armes社に引き継がれ、現在も限定的に生産が続けられています。

運用面では、1994年のエールフランス機ハイジャック事件におけるGIGNの制圧作戦で活躍したほか、隊員の精度訓練として知られる「トラストショット」でもMR73が使用されています。こうした実績により、MR73は現在も世界的に高い評価を受け続けています。

トラストショット(Tir de Confiance)は、GIGNの最終訓練試験で行われる射撃テストです。候補生が防弾ベストを着用し、胸に置かれたクレー皿を、別の候補生が15メートル離れた位置からマニューリン MR73リボルバーで撃ちます。この試験は、射撃精度、セルフコントロール、仲間への絶対的信頼を示す儀式です。

Walther PDP P14 / P14K

ワルサーPDPピストル画像
ワルサーPDP P14 / P14K 画像出典:Walther
項目内容
モデル名PDP P14 / P14K
メーカーWalther
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数18発(フルサイズ)15発(コンパクト)
全長P14:215mm / P14K:189mm
重量不明
特徴ドイツ特殊部隊採用。最新モジュラーピストル。

ワルサーPDP(Walther PDP P14およびP14K)は、ドイツ連邦軍の精鋭特殊部隊向けに新たに採用された次世代サイドアームです。KSK(陸軍特殊部隊)やKSM(海軍特殊部隊)、軍警察の特殊部隊で使用され、これまで主力だったグロック17やHK P30、さらにはP8やP9といった旧型ピストルに代わる標準ピストルとして位置づけられています。

採用理由としては、約1年にわたる厳しい評価試験において、命中精度、信頼性、操作性、拡張性のすべてで競合機種を上回った点が挙げられます。最新のモジュラー設計とハイキャパシティマガジンを備え、Aimpoint ACRO 2ドットサイトに対応する光学照準器の装着が可能であることも評価されました。さらに、特殊部隊隊員からのフィードバックを反映した優れたエルゴノミクスと、ワルサー社独自の「ダイナミックパフォーマンストリガー」による軽快で正確なトリガーフィーリングも採用を後押ししています。

ダイナミック・パフォーマンス・トリガー

ワルサーのダイナミック・パフォーマンス・トリガーは、PDPやPPQシリーズ向けに設計された純正のドロップイントリガーアップグレードで、一部モデルを除いて幅広く対応しています。アルミ製のフラットフェイストリガーを採用し、トリガープルは約1.8kgと軽量で切れが良く、射撃精度と操作性を大きく向上させる設計となっています。

主な特徴として、フラット形状による安定した指掛かり、遊び(テイクアップ)の短縮による素早い射撃、リセットの短縮による高速連射、オーバートラベルの低減による精密射撃のしやすさが挙げられます。さらに、トリガーセーフティを搭載し、トリガー、トリガーバー、ファイアコントロールアセンブリがセットになっているため、簡単に取り付けられる点も利点です。

対応モデルはPDPコンパクトおよびフルサイズ、Q4/Q5スチールフレーム、Q4 Tac、Q5 Match、PPQ 9mm/.40S&W(M1/M2)など多岐にわたります。競技用途やタクティカル用途で素早く正確な射撃を可能にする、ワルサー純正の最高クラスのトリガーアップグレードとして高く評価されています。

特徴としては、口径が標準的な9×19mmパラベラムで、マガジン装弾数は15〜18発と旧型より増加しています。P14はフルサイズ(銃身長4.5インチ)、P14Kはコンパクトモデル(銃身長4インチ)で、サプレッサー装着に対応したスレッド付きバレルやマズルブレーキを備えています。スライドにはAimpoint ACRO 2ドットサイトを搭載可能な深いカットが施され、アクセサリーレールによりライトやレーザーサイトの装着も可能です。バックストラップやグリップパネルは交換式で、個々の手のサイズや好みに合わせた調整ができます。

PDPは2021年にワルサーがPerformance Duty Pistolとして発売した最新モデルを基にしており、ドイツ連邦軍の特殊部隊仕様としてP14およびP14Kがカスタマイズされました。2024年には「System Pistole Spezialkräfte」プログラムの評価を勝ち抜き、正式採用に至っています。

運用面では、実射テストや過酷な環境下での信頼性試験をクリアし、隊員からは高速なターゲット捕捉能力や操作性の高さが高く評価されています。これにより、ドイツ特殊部隊のサイドアームが標準化され、従来の多様なピストルが統一される形となりました。

Beretta APX

Beretta APX画像
Beretta APX 画像出典:Shistorybuff, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Beretta APX
メーカーBeretta(イタリア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発
全長約192mm
重量約800g
特徴モジュラー設計。イタリア特殊部隊採用。

ベレッタAPX(Beretta APX)は、イタリア軍および警察の特殊部隊を中心に採用されている最新世代のモジュラー式セミオートピストルです。イタリア陸軍の特殊作戦部隊や近接警護チームでは、従来のベレッタ92FSからAPXへの更新が進んでいます。さらに、インドネシア海軍の特殊部隊(Taifib、Kopaska、Denjaka)やアルバニアの特殊警察RENÉAなど、多国籍のエリート部隊でも使用されており、世界20か国以上の軍や警察へと採用が広がっています。

採用理由としては、米陸軍のモジュラー・ハンドガン・システム(MHS)仕様に適合するよう設計された内部シャーシ一体型のモジュラー構造が挙げられます。用途や使用者の手に合わせてバックストラップやフレームを交換できる柔軟性を備え、45,000発の射撃テストで5,000発ごとの故障率が低いことから、高い信頼性と耐久性が実証されています。スライドに施された攻撃的なセレーションや、低いボアアクシスによる優れた操作性とコントロール性も評価されました。タクティカルモデルであるAPX CombatやA1 Tacticalでは、スレッド付き銃身、サプレッサー用ハイサイト、ドットサイト対応など、特殊作戦向けの装備が充実しています。さらに、競争力のある価格設定により、旧型ピストルからの更新を目指す機関にとって魅力的なモダンプラットフォームとなっています。

特徴としては、口径が9×19mmパラベラムを基本とし、.40S&Wや9×21mm IMIにも対応する点が挙げられます。マガジン装弾数は標準17発のダブルスタック方式で、ポリマーフレームには交換可能なバックストラップとモジュラーシャーシシステムが採用されています。作動方式はストライカー式で、約6ポンドの安定したトリガープルを備えています。スライドは攻撃的なセレーションを持ち、タクティカルモデルでは光学照準器にも対応します。銃身はタクティカルモデルでスレッド付きとなり、照準器は標準サイトに加えてサプレッサー用ハイサイトや光学サイトにも対応します。バリエーションはフルサイズ、セントリオン(ミッドサイズ)、コンパクト、コンバット、A1タクティカルなど多岐にわたり、ピカティニーレールによりライトやレーザーの装着も可能です。

APXは米陸軍MHSプログラムに合わせて開発されましたが、最終的にはシグ・ザウエルP320に敗れました。その後、2017年に市販が開始され、戦術的な拡張モデルやコンパクトモデルが追加されることで、世界各国での採用が拡大していきました。

運用面では、イタリアの特殊作戦部隊を中心に92FSからの移行が進み、各種軍警察組織の評価試験もクリアしています。モジュール性と戦術適性の高さが評価され、多様な任務に対応できる点が支持されています。

Beretta PX4 Storm

ベレッタ Px4 Storm画像
Beretta Px4 Storm east718, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名PX4 Storm
メーカーBeretta
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式(ローテイティングバレルロック)
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはダブルアクションオンリー(DAO)
装弾数17発
全長約192mm
重量約785g
特徴ローテイティングロッキングバレル構造。

ベレッタPx4ストーム(Beretta Px4 Storm)は、2004年に登場したモダンなポリマーフレームのサービスピストルで、優れた信頼性と高いモジュール性を備えています。10,000発の連続射撃試験でも故障なく作動する堅牢さを持ち、独特のローテイティングバレルロック機構が摩擦を減らして信頼性を高めています。交換可能なバックストラップやグリップ、左右両用のマガジンリリースやスライドストップにより、多様なユーザーの手に合わせて素早くカスタマイズできる点も評価されています。

整備面では、トリガーを引かずに分解できる設計が安全性を高めており、オートファイアリングピンブロックを備えるほか、DAOモデルではスパー無しハンマーを採用しています。ローテイティングバレルシステムは反動とマズルジャンプを抑制し、連射時の制御性と速射性を向上させています。さらに、ピカティニーレールを装備しているため、ライトやレーザーなどのアクセサリーを任務に応じて装着できます。

主要スペックとしては、口径が9×19mmパラベラムを基本とし、.40S&Wや.45ACPモデルも存在します。マガジン容量はモデルや口径によって異なりますが、9mmフルサイズでは17発前後です。作動方式はショートリコイルで、フルサイズとコンパクトモデルはローテイティングバレル、サブコンパクトはティルトバレル方式を採用しています。ポリマーフレームにスチールインサートを組み合わせることで軽量かつ耐腐食性を確保し、照準にはSuperluminova塗装の3点ドットサイトを採用しています。安全装置はオートファイアリングピンブロックに加え、モデルによりマニュアルセーフティやデコッカーが選択可能です。バックストラップ交換や左右両用操作部品などのモジュール性も特徴で、フルサイズ、コンパクト、サブコンパクトといったバリエーションが揃っています。

Px4ストームは、グロック17などの競合製品に対抗するために開発され、米軍のジョイントコンバットピストルプログラムでも評価されましたが、最終的な採用には至りませんでした。その後も世界中の法執行機関や特殊部隊で高く評価され、特にモジュール性と反動制御の良さが重視されています。

運用面では、米国メリーランド州警察をはじめ、多くの特殊部隊で厳しい環境下の耐久試験をクリアしています。イタリアのNOCS(治安作戦中央部隊)、インドのPara特殊部隊、韓国の707特殊任務大隊、チリやアルバニアの特殊部隊など、多国籍の特殊部隊や警察機関で採用されており、世界中の一般警察や軍隊にも広く配備されています。

PX4のローテイティングバレル

PX4(ベレッタ PX4 ストーム)のローテイティングバレルとは、銃身を回転させることでロッキングとアンロッキングを行う作動方式のことです。PX4はショートリコイル作動式ですが、一般的なティルトバレル方式のように銃身が上下に傾くのではなく、銃身自体が軸方向に沿ってわずかに回転することでスライドとの結合を解放します。

発射時には、銃身とスライドがわずかに後退する際に、内部のカム溝とカムラグ構造によってバレルが数度だけ回転します。この回転動作によってロッキングが解除され、スライドが後退して排莢と再装填が行われます。ティルトバレル方式に比べて直進運動が多いため、発射時の反動がより直線的になり、マズルジャンプが抑えられるという設計思想があります。同様の回転式バレルロッキングは、ベレッタ8000クーガーやグランドパワーK100などでも採用されています。

この方式はティルト式に比べて部品摩耗が少ないとされ、反動感がソフトであると評価されることが多い一方、回転部分の機械構造が複雑になるため、製造コストやメンテナンス性の面ではやや不利とされることもあります。

FN Five-seveN

FNファイブセブン画像
FN Five-seveN Bobbfwed at the English-language Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Five-seveN
メーカーFN Herstal(ベルギー)
口径5.7×28mm
作動方式ショートリコイル方式
シングルアクションオンリー、ハンマー方式、セミオート
装弾数20発
全長約208mm
重量約744g
特徴高速軽量弾。貫通力重視。

FNファイブセブン(FN Five-seveN)は、1990年代にベルギーのFN Herstal社がNATOの新型PDW要請に応えて開発した、5.7×28mm弾を使用するセミオートピストルです。1998年の生産開始以来、軽量で高い装弾数を持ち、ボディアーマーを貫通できる優れた貫通力を備えていることから、世界40か国以上の軍や警察の特殊部隊、エリート部隊で採用されています。

採用国・部隊としては、フランスのGIGN、RAID、DGSE、ベルギーの特殊部隊グループ(SFG)や特殊ユニット局(DSU)、ポーランドのGROMや中央捜査局、インドのSPG、アメリカのシークレットサービス、シンガポール陸軍コマンドフォーメーションなどが挙げられます。その他にもサウジアラビア、イタリアの特殊部隊、インドネシア、メキシコ、キプロス、チリなど、多数の国で運用されています。

採用理由としては、5.7×28mm弾が従来の9mm弾よりも射程、精度、貫通力に優れ、ボディアーマー貫通能力を持つ点が大きな要因です。装填時でも1kg未満という軽量性と、標準20発の大容量マガジンにより携行負担が少なく、反動が小さいためフォローアップショットが速く、CQB(近接戦闘)に適しています。さまざまな環境下での運用に耐え、軍用・対テロ・近接戦闘任務に適応できる点も評価されています。コンパクトで軽量なため、車両乗務員や隠密任務にも向いています。

主要スペックとしては、口径が5.7×28mmで、マガジン容量は標準20発(10発、30発もあり)、重量は空マガジンで約744g、装填時でも1kg未満です。作動方式はシングルアクションのセミオートで、フレームは軽量かつ耐腐食性の高いポリマー製です。照準は調整可能または固定式で、トリチウムナイトサイトも選択できます。安全装置はアンビ対応のマニュアルセーフティとトリガーセーフティを備え、アクセサリーレールによりタクティカルライトやレーザーの搭載が可能です。

歴史としては、1990年代にNATOの要請を受けて開発され、FN P90 PDWと同じ弾薬を使用するサイドアームとして設計されました。1998年に量産が開始され、2000年にはキプロス特殊部隊が初めて採用し、その後世界中の軍や警察特殊部隊で採用が急速に拡大しました。

運用面では、フランス特殊部隊による対テロ作戦、近接護衛、都市戦、海上任務など多彩な場面で実績を残しています。米シークレットサービスをはじめとする法執行機関でも、高い貫通力と携行性が評価されています。また、多くの特殊作戦部隊でP90 PDWと併用され、統一弾薬による運用効率の向上にも寄与しています。

FNファイブセブンに関する議論と犯罪使用

FNファイブセブンは、ボディアーマーを貫通できる性能を持つとして、アメリカでは批判や規制提案の対象となってきました。特にSS190弾など一部の5.7×28mm弾はNIJレベルIIIAのソフトアーマーを貫通可能であり、この点が問題視されています。ただし、こうしたアーマーピアシング弾は米国では軍や法執行機関専用で、民間向けに販売される弾薬には同等の貫通能力はありません。

FNファイブセブンは、2009年のフォートフッド銃乱射事件やメキシコ麻薬カルテルによる使用によって悪名が広がりました。これらの事例を受け、米議会では民間販売を禁止する法案が繰り返し提出されていますが、2025年時点では連邦レベルでの禁止には至っていません。

IWI Jericho 941

ジェリコピストル画像
項目内容
モデル名Jericho 941
メーカーIsrael Weapon Industries
口径9×19mm / .40S&W / .45ACP
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)
またはシングルアクションオンリー(SAO)
装弾数16発(9mm)
全長約207mm
重量約1080g(スチールモデル)
特徴CZ75系設計ベース。

ジェリコ941(IWI Jericho 941)は、イスラエルのイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ(IMI)が1990年に開発したセミオートピストルで、CZ 75をベースにした信頼性の高いプラットフォームを特徴としています。イスラエル国防軍(IDF)や警察特殊部隊をはじめ、世界各国の特殊部隊や警察組織でも幅広く採用されています。

採用国・部隊としては、イスラエルのIDF全軍および特殊部隊、警察・治安部隊のほか、インドの特殊部隊、韓国の707特殊任務大隊や軍警特殊任務班、チリ海兵隊などが挙げられます。さらに、コロンビア、コスタリカ、エルサルバドル、ジョージア、ギリシャ、ニカラグア、ペルー、フィリピンの薬物取締局、ルーマニア、セルビア、ウクライナ、ベトナムなど、多くの国で運用されています。

採用理由としては、CZ 75の堅牢で精度の高い設計を踏襲し、タンフォリオ製パーツの採用により品質と補修パーツの入手性が高い点が挙げられます。既存のCZ 75系の知識を活かした訓練や整備がしやすく、軍・警察双方に適応しやすいことも評価されています。主に9mm口径が使用されますが、.40S&W、.45ACP、初期には.41AEも用意され、スチールフレームとポリマーフレームの両方が選択可能です。セーフティ兼デコッキングレバーや快適なグリップ形状により、多様なユーザーに対応できる点も特徴です。

主要スペックとしては、口径が9×19mmパラベラム(標準)で、.40S&W、.45ACP、.41AE(初期)にも対応します。マガジン容量は9mmモデルで15〜16発が一般的で、作動方式はダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)です。フレーム材質はスチールまたはポリマーで、銃身にはポリゴナルライフリングが採用されています。照準は固定式または調整式があり、フルサイズ、セミコンパクト、コンパクト、アクセサリーレール付きモデルなど多様なバリエーションが存在します。

ジェリコ941は、イスラエルが1990年に自国軍向けの信頼できる近代的ピストルを求めて開発したもので、CZ 75の実績をベースに設計され、初期はタンフォリオがパーツ供給を行っていました。国内外の警察や軍で広く採用され、「ベイビーイーグル」「ウージーイーグル」「デザートイーグル・ピストル」などの名称でも知られています。その後、ポリマーフレームモデルの追加や多口径展開によって進化を続けています。

運用面では、イスラエル特殊部隊が対テロや特殊作戦でその信頼性と命中精度を高く評価しているほか、韓国の707特殊任務大隊でも標準装備として採用され、高リスク任務で使用されています。チリ海兵隊やその他多国の特殊部隊でも、堅牢な作りと運用のしやすさから愛用されています。

タンフォリオ(Tanfoglio)とIWI ジェリコ 941の関係

タンフォリオとIWIジェリコ941の関係は、同モデルの開発初期に深く結びついています。IWI(旧IMI)がジェリコ941を1980年代後半から1990年代初頭にかけて開発した際、主要部品と製造技術を提供したのがイタリアのタンフォリオでした。ジェリコ941はCZ 75を基にした設計ですが、IMIは直接CZから技術供与を受けたわけではなく、CZ 75クローンを製造していたタンフォリオから部品供給を受けていました。

初期モデルでは、タンフォリオ製パーツをイスラエルで組み立て、IMI/IWIがバレルやトリガー機構を仕上げることで完成させていました。生産初期はタンフォリオへの依存度が高かったものの、時間の経過とともにイスラエル国内での生産比率が増加しています。それでも必要に応じてタンフォリオからの部品供給は継続されており、両社の技術的なつながりは現在も残っています。

CZ 75やタンフォリオ T95のマガジンがジェリコ941で使用可能である点からも、設計上の共通性が明確に見て取れます。

タンフォリオ(Tanfoglio)とCZの関係

タンフォリオとCZは別会社ですが、両者の関係はCZ 75ピストルの設計に由来しています。CZ(チェコ)は1975年にCZ 75を開発し、その優れた設計は世界中の拳銃に大きな影響を与えました。一方、イタリアのタンフォリオは1980年代からCZ 75のクローンや派生モデルを製造し始め、イスラエルのジェリコ941やスイスのAT 84Sなどにも部品を供給してきました。

冷戦期には、西側諸国がチェコ製ピストルを直接輸入することが難しかったため、タンフォリオが高品質なCZ 75クローンを製造し、市場の需要を補う役割を果たしました。現在でもタンフォリオはCZ 75クローンの最大手であり、オリジナルにはない口径バリエーションや高いカスタマイズ性、そして比較的低価格で人気を集めています。

Emtan Ramon

EMTAN RAMONピストル画像
EMTAN RAMONピストル 画像出典:emtan.co.il
項目内容
モデル名Ramon
メーカーEmtan Karmiel(イスラエル)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数17発
全長約184mm
重量約640g
特徴グロック系設計、低価格高耐久。

エムタン・ラモン(Emtan Ramon)は、イスラエル特殊部隊をはじめ、ペルー軍・警察、スペインのシビルガード(国家憲兵組織)、その他40か国以上の軍や法執行機関で採用されているピストルです。採用理由としては、高い信頼性と耐久性が挙げられます。NATOおよび米軍の厳格な環境・耐久テストに合格し、20,000発の耐久試験でも安定した性能を維持することが確認されています。

グロック19に類似した設計を持ちながら、コストパフォーマンスに優れている点も評価されており、予算が限られる機関でも大量採用しやすい特徴があります。設計には特殊部隊からのフィードバックが反映されており、命中精度、操作性、装着感に重点が置かれています。また、ホルスターやアクセサリーの互換性を重視したユニバーサルモデルとして製造されているため、兵站面での負担軽減にも寄与しています。

主なスペックとしては、9×19mmパラベラム弾を使用し、標準マガジンは17発(15発版も存在)です。フレームは耐久性の高いポリマーフレームで、作動方式はストライカー式です。トリチウムナイトサイトやドットオプティクスを装着できるアダプターを標準装備し、ピカティニーレールも備えています。

エムタン・ラモンは、イスラエルのエムタン・カルミエル社が特殊部隊の意見を取り入れて開発したもので、すでに6年以上の運用実績があります。スペインやペルーでの大規模調達をはじめ、世界中に輸出されており、その信頼性の高さからグローバルに評価されています。

運用面では、イスラエル特殊部隊が従来のグロックから切り替えを進めており、ペルー軍ではNATO基準による事前検査を経て正式採用されています。スペインのシビルガードではコスト面が選定理由となりました。初期にはエキストラクターやスプリング、稀にスライド亀裂の問題が報告されましたが、これらはパーツ交換によって解決されています。

エムタン・ラモンは高水準の耐久性と信頼性を備え、さらにコスト面での優位性も持つことから、多国籍の軍や警察特殊部隊に支持されています。NATO規格を満たす品質検査に合格している点も、その信頼性を裏付けています。

エムタン・ラモンの価格

エムタン・ラモンの価格は、政府調達においてグロックよりも安価である点が特徴です。2021〜2023年のスペイン警察の調達では、エムタン・ラモンが1丁269ユーロ、グロック19が306ユーロで契約されており、価格差が明確に示されています。ペルー軍向け契約では1丁875ドルで納入されていますが、こちらは付属品やサポートを含む価格であるため、欧州での調達価格と単純に比較することはできません。

総じて、政府調達においてエムタン・ラモンはグロックより10〜15%ほど安価であり、コスト面での優位性が採用理由の一つとなっています。

K5 (DP51)

項目内容
モデル名K5
メーカーS&T Motiv(旧Daewoo)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
トリプルアクション
(DA/SAに独自の「ファストアクション」モードを追加)
装弾数13発
全長約190mm
重量約740g
特徴韓国軍標準ピストル。

K5は、韓国が1989年に制式採用した9mm口径の自国製ピストルで、正式名称はDP51です。軽量で扱いやすく、ダブルアクションとシングルアクションを組み合わせた独自のファストアクション機構を備えている点が特徴で、韓国の軍や警察で広く運用されています。

韓国では大韓民国軍の標準制式ピストルとして、特殊部隊、軍警察、将校を含む幅広い部隊で使用されています。国外への輸出例は限定的で、バングラデシュ、ペルー、ベトナムの一部軍・警察組織で採用されていますが、主な運用国は韓国です。

採用理由としては、国内生産による供給独立を目的として1980年代に開発された点が挙げられます。K5は「ワンダーナイン」と呼ばれるハイキャパシティのダブルスタックマガジンを装備し、当時としては軽量な合金フレームを採用していました。独自の「トリプルアクション」トリガーシステムは、長いダブルアクションの安全性とシングルアクションの軽い引き心地を両立し、射撃の安全性と操作性を向上させています。設計がシンプルでメンテナンスが容易なため、大量配備にも適しています。

DP51のトリガーシステム「ファストアクション」とは?

DP51のトリガーシステムである「ファストアクション」は、韓国のK5/DP51ピストルに搭載された独自の機構で、「トリプルアクション」や「ダブルアクションプラス」とも呼ばれています。通常のシングルアクションではハンマーが起きた状態で軽く短いトリガープルとなり、ダブルアクションではハンマーが倒れた状態から引き金を引くことでハンマーが起きて発射され、長く重いトリガープルになります。

ファストアクションでは、まずハンマーを起こしてから親指で前方に倒すと、外見上はハンマーが倒れた状態になりますが、内部ではスプリングが圧縮されたまま保持されています。この状態で引き金を引くと、ハンマーが素早く起きてすぐに発射されるため、長いトリガートラベルでありながら軽いトリガープルを実現します。これにより、安全性と素早い初弾発射の両立が可能となっています。

主な特徴として、口径は9×19mmパラベラムで、マガジンは13発のダブルスタック型です。銃身長は約4.1インチ、全長は約7.1インチ、重量は約737gで、軽量な合金フレームを採用しています。作動方式はダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)ですが、トリプルアクションと呼ばれる独特のモードを備え、ハンマーをコックした後に安全にデコックしつつ、最初のトリガープルを軽く長くできる仕組みになっています。安全装置はマニュアルセーフティ兼デコッカーでアンビ対応、サイトは調整可能なスリードット式です。エルゴノミクスにも配慮され、マガジンキャッチはリバーシブル、ハンマーは露出式で、トリガーガードはフック付きまたは丸みを帯びた形状が存在します。

K5は1980年代に大宇精密工業(Daewoo Precision Industries)が開発し、1989年に韓国軍で正式採用されました。国外では「DP51」「Lionheart LH9」「REGULUS」などの名称で民間・輸出向けにマイナーチェンジを施して展開されています。現在も韓国軍の標準制式ピストルとして現役で運用されています。

運用面では、韓国特殊部隊や軍警察、将校の標準ピストルとして広く支給され、野戦や戦闘環境での信頼性が高く評価されています。国外市場では独特のトリプルアクショントリガーが注目され、操作性の高さから高い評価を受けています。

隊員が自費購入していた韓国特殊部隊

調達問題は韓国の精鋭部隊にも影響を及ぼしてきました。韓国特殊部隊では、国内製品の品質不良や入手困難といった事情から、隊員が海外からピストルやタクティカルギアを自費で購入するケースが見られました。しかし、調達規制によってこうした個人購入が一時的に禁止されたことで、必要な装備を確保できない状況が生まれ、作戦能力の低下が懸念される問題へと発展しました。

Caracal F / C / SC

Caracalピストル画像
Caracal F Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名Caracal F / C / SC
メーカーCaracal International(UAE)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数F:18発 / C:15発 / SC:13発
全長F:178mm、C:167mm、SC:160mm
重量750g
特徴UAE製モジュラーピストル。

カラカル(Caracal)は、アラブ首長国連邦(UAE)が2006年に開発したセミオートピストルで、F、C、SCといった複数のサイズバリエーションが用意されています。UAEではカラカルFが軍および警察の標準制式ピストルとして採用されており、バーレーン軍・警察でも約5,000挺が導入されています。ヨルダン軍・警察でも標準装備として使用され、アルジェリアやリビアの軍・警察部隊でも運用例が確認されています。さらに、ドイツ、イタリア、フランス、タイなどの特殊部隊で評価・試験が行われ、ヨーロッパ、中東、北アフリカの各国でも配備や評価が進んでいます。

採用理由としては、欧州とUAEの設計チームによる共同開発により、最新の設計思想を反映した高い信頼性が挙げられます。ドイツなどで実施された厳しい軍・警察トライアルを通過し、耐久性、精度、操作性が高く評価されています。低いボアアクシスによって反動が抑えられ、速射時のコントロール性が向上する点も特徴です。UAE国内で生産されるため、輸入品に比べてコストや供給面での利点が大きく、9mmを中心に.40S&Wや.45ACPもラインナップされ、フルサイズ、コンパクト、サブコンパクトと複数のサイズ展開により多様な任務に対応できます。

主な特徴として、使用弾薬は9×19mmパラベラムで、マガジン容量はフルサイズで18発、コンパクトで15発、サブコンパクトで12発です。フレームは軽量で耐腐食性に優れたポリマー製で、作動方式はストライカー式のためトリガープルが一定です。サイトは標準の3点ドットサイトを備え、ロープロファイルタイプも選択できます。安全装置はトリガーセーフティ、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティが標準装備で、低ボアアクシス設計のグリップは操作性と連射時の安定性を高めています。ピカティニーレールも搭載され、ライトやレーザーサイトの装着が可能です。

開発は2002年に欧州とUAEのデザイナーによって開始され、2006年にカラカル・インターナショナルLLCが設立されました。2007年の製品発表後、UAE軍・警察を中心に急速に採用が進み、続いてバーレーンやヨルダンなど湾岸諸国でも大量採用が行われました。欧州、アジア、アフリカ各地でも評価やデモンストレーションが実施されています。

運用面では、イタリアのNOCS、GIS、17º Stormo Incursori、9th Parachute Regiment(第17強襲航空団)、フランスのRAIDやGIGN、タイの特殊部隊など、欧州・アジアの精鋭部隊で評価・試験が行われています。UAEやヨルダンの特殊部隊や警察では実戦環境で使用され、信頼性と操作性の高さが報告されています。国際的な比較試験でも既存の主要ブランドと競合し、好評を得ています。

Taurus PT92

トーラスPT92画像
トーラスPT92 画像出典:taurususa.com
項目内容
モデル名Taurus PT92
メーカーTaurus
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数17発
全長216mm
重量960g
特徴ベレッタ 92のブラジルライセンス生産型。

トーラスPT92(Taurus PT92)は、ブラジルのトーラス社が製造する9mmセミオートピストルで、ベレッタ92のライセンス生産を基に独自の改良を加えたモデルです。1980年代からブラジル軍や警察、特殊部隊で広く採用されており、堅牢で信頼性が高いことで知られています。

ブラジル陸軍では標準制式ピストル「M975」として採用され、国内警察や特殊歩兵部隊でも運用されています。さらに、ペルー陸軍および特殊部隊、インドネシア軍・警察、マレーシアの軍・警察特殊部隊、アルゼンチン、ドミニカ共和国、リビア、パラグアイの軍・警察特殊部隊、イスラエル警察など、多くの国で使用されています。

採用理由としては、PT92がベレッタ92を基にしつつ、ベレッタとの契約終了後にブラジル国内で生産権を取得したことで、信頼性の高い設計を維持しながらコスト削減と供給面での独立性を実現した点が挙げられます。従来のベレッタ92が持つDA/SA方式、ハイキャパシティダブルスタックマガジン、ダイレクトフィード方式を踏襲しつつ、フレームに組み込まれたセーフティ兼デコッカーを採用することで、安全性と操作性を向上させています。

特徴としては、主弾薬が9×19mmパラベラムで、マガジン容量は標準17発です。フレームはアルミ合金製で耐久性に優れ、スライドはベレッタの特徴であるオープンスライドデザインを採用しています。セーフティはフレームマウントのコンビネーション式で扱いやすく、バリエーションとしてコンパクトモデルや.40S&W、.380ACPモデルも存在します。さらに、タクティカルライトやレーザーを装着できるピカティニーレール搭載モデルも用意されています。

歴史としては、1983年にブラジルでベレッタの特許が切れた後、トーラス社がベレッタの旧設備を取得し、PT92の製造を開始しました。すぐにブラジル軍および警察の制式ピストルとして採用され、その後ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカ各地へ輸出されました。

運用面では、ブラジルの特殊歩兵部隊が治安・警備任務で使用し、過酷な環境でも高い信頼性を発揮しています。ペルーの特殊部隊でも実戦配備され、エリート部隊のサイドアームとして適応しています。

ブラジルでベレッタ92ピストルが製造された経緯

ブラジルでベレッタ92ピストルが製造されるようになった経緯は、1970年代の軍・警察向け国産化需要に端を発しています。当時、ブラジルでは自国で安定供給できるピストルの確保が求められており、イタリアのベレッタ社は南米市場への進出を見据えてブラジル国内での生産を計画しました。

1977年、ベレッタ社はサンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポに工場を設立し、ベレッタ92(初期モデル)のライセンス生産を開始しました。しかし数年後、経営戦略の変更によりブラジル市場から撤退する方針を決定し、この工場と生産設備はトーラス社(Forjas Taurus S.A.)に売却されました。

トーラス社は譲渡された製造設備を活用し、ベレッタ92の基本設計を引き継いだ自社モデルPT92の製造を開始しました。PT92では、セーフティレバーをスライドではなくフレームに配置しデコッキング機能を追加したほか、マガジンキャッチ位置やグリップデザインの変更など独自の改良が施されています。これらの改良により、PT92は単なるコピーではなく、トーラス独自の製品として評価されるようになりました。

FAMAE FN-750

FAMAE FN-750画像
FAMAE FN-750 画像出典:wikiwarriors.org
項目内容
モデル名FAMAE FN-750
メーカーFAMAE
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数15発
全長210mm
重量1,000g
特徴FN Hi-Powerのチリライセンス生産型。

FAMAE FN-750は、チリのFAMAE(陸軍兵器工廠)によってライセンス生産され、チリ陸軍や法執行機関、特殊作戦部隊、戦術部隊で運用されています。主にチリ国内向けの製品ですが、FAMAEはラテンアメリカ諸国を中心に軍や警察向けの輸出実績も持っています。

採用理由として、FN-750はモジュラーシステムとして設計されており、特殊作戦部隊が任務に応じて構成を変更できる柔軟性が挙げられます。設計基盤には高い信頼性と精度で知られるCZ75プラットフォームが採用され、過酷な作戦環境での運用にも適しています。また、サンティアゴで製造されるため、供給や整備の面で国内自立性を確保できる点も重要な採用理由となっています。

特徴としては、CZ75をベースとしたプラットフォームを採用し、標準は9×19mmパラベラム弾仕様ですが、マルチキャリバー化にも対応可能です。最新のCNC加工によって製造され、高い品質を維持しています。モジュラーシステムにより光学照準器や各種タクティカルアクセサリーに対応し、用途に応じた運用が可能です。

FN-750は、チリ軍向けの高品質な国産サイドアーム・モジュラーシステムとしてFAMAEにより開発されました。2020年にはラテンアメリカ防衛革新賞(Latin American Defense Innovation Prize)を受賞し、地域防衛産業における先進的な存在として評価されています。

運用面では、特殊作戦部隊向けに設計されていることから、ミッションアダプタブルな構成が求められる作戦に投入されています。FAMAEはチリ軍への主要供給業者であり、FN-750は戦術部隊や特殊部隊の装備体系の中核を成しています。

ミッションアダプタブル(Mission Adaptable)の要点

「ミッションアダプタブル(Mission Adaptable)」とは、装備を任務に応じて柔軟に適応させられる設計思想を指します。汎用性が高く、一つの装備で複数の任務に対応できる点が特徴です。現場では素早く構成を変更できるため、状況の変化に即応できます。また、複数種類の装備を持つ必要がなくなることで、補給や整備にかかるコストや負担を軽減できるという利点もあります。

MP-443 Grach

MP-443 Grach画像
MP-443 Grach Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名MP-443 Grach(ヤリギンピストル)
メーカーIzhmekh(ロシア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数17発
全長約198mm
重量約830g
特徴ロシア軍標準ピストル。

MP-443 Grach(グラッチ)は、ロシアのイジェフスク機械製作工場が開発した9×19mmセミオートピストルで、2003年にロシア軍の制式ピストルとして採用されました。マカロフPMの後継として設計されており、高い耐久性と17発の大容量マガジンが特徴です。

ロシア軍および法執行機関全般で使用され、空挺軍(VDV)、スペツナズ(SOBRやFSBを含む)、憲兵(軍警察)などの特殊部隊にも配備されています。ウクライナ紛争ではロシア軍通常部隊やチェチェンSOBR部隊による運用が確認されており、ウクライナ軍でも鹵獲品として使用例があります。また、カザフスタンでは輸出民間仕様のMR-446 Vikingが民間警備会社や一部治安部門で採用されています。

採用理由としては、老朽化したマカロフPMの後継として、多弾数装弾(17〜18発)、近代的なダブルアクション作動、改良されたエルゴノミクスが求められた点が挙げられます。さらに、7N21 +P+徹甲弾に対応し、防弾装備を貫通できる能力は特殊部隊での運用に不可欠でした。コルト・ブローニング式ショートリコイル機構を簡素化した設計により、信頼性とメンテナンス性も向上しています。

主な特徴として、口径は9×19mmパラベラムで、標準弾と徹甲弾(7N21)に対応します。オールスチールフレームにより堅牢性は高いものの、重量は約950gとやや重めです。全長は198mm、銃身長は112mmで、作動方式はショートリコイルのダブルアクションです。装弾数は17または18発で、有効射程は50m程度とされています。ピカティニーレール装着可能モデルも存在し、現代的なタクティカルアクセサリーに対応します。

歴史としては、1993年にイジェフスク工場(現カラシニコフ・コンツェルン)でウラジーミル・ヤリギンによって設計が始まり、2003年にロシア軍で正式採用されました。実部隊への本格配備は2011〜2012年以降で、マカロフPMを徐々に置き換えていますが、一部部隊ではAPSスチェッキンやPMも引き続き使用されています。

運用面では、ウクライナ戦争においてロシア軍通常部隊、VDVスペツナズ、チェチェンSOBR部隊などが使用している様子が確認されています。ダブルアクショントリガーと徹甲弾対応能力は高く評価される一方で、グロック17など西側製ポリマーピストルと比較すると重量や信頼性の面で批判されることもあります。

GSh-18

GSh-18 画像
GSh-18 Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名GSh-18
メーカーKBP Instrument Design Bureau(ロシア)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ローテイティングバレルロック
ストライカー方式、セミオート
装弾数18発
全長約184mm
重量約580g
特徴高貫通AP弾対応。軽量。

GSh-18は、ロシア製の軽量でコンパクトな9×19mmセミオートピストルで、2001年に制式採用されました。18発の多弾数装弾と優れた操作性を備えている点が特徴です。

2003年からロシア軍および法執行機関で配備され、特に特殊部隊や治安部隊で重用されています。空挺軍、スペツナズ、治安局(FSB)、警察特殊部隊などが運用し、第二次チェチェン紛争、グルジア紛争、シリア内戦、ウクライナ戦争など主要紛争での実戦投入も確認されています。輸出や国外採用例は限定的で、民間向けバリエーションが存在する程度です。

採用理由としては、高初速の7N21および7N31徹甲弾に対応し、防弾ベスト(ロシアクラス3相当)を貫通できる能力が挙げられます。これは旧式のマカロフPMでは達成できず、GSh-18が選ばれた大きな要因となりました。重量は580〜590gと非常に軽量で携行性に優れ、18発の装弾数と合わせて特殊作戦に適しています。ポリマーフレーム、ストライカー作動、ローテイティングロッキングバレルなど、近代的な設計も採用されています。

主な特徴として、使用弾薬は9×19mmパラベラムで、7N21および7N31 +P+弾薬にも対応します。装弾数は18発、重量は未装填で580〜590g、作動方式はショートリコイル・ローテイティングバレル・ストライカー方式です。ポリマーフレームにスチールスライドと内部機構を組み合わせ、銃身長は103mmです。グロック風のトリガーセーフティを備え、エキストラクターはローデッドインディケーターとしても機能します。耐久性は3万発以上とされる一方、グリップがやや大きく握りにくいという指摘もあります。

GSh-18は1990年代後半にツーラのKBP設計局でグリャゼフとシプノフ両技師によって開発され、2000年にロシア司法省で先行配備されました。2003年の政令により軍・法執行機関に広く採用されていますが、ロシア軍全体の標準ピストルはMP-443 Grachであり、GSh-18は特殊部隊や前線部隊向けに限定的に運用されています。

運用面では、第二次チェチェン紛争、グルジア紛争、シリア内戦、ウクライナ戦争などで使用が確認されており、防弾装備貫通能力、多弾数装弾、軽量性が高く評価されています。一方で、トリガープルが重く長い点や、グリップ形状が西側製ピストルに比べて劣るといった批判もあります。

PM(Makarov)

マカロフ画像
マカロフ Konstantin, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名PM(Makarov)
メーカー旧ソ連各社
口径9×18mmマカロフ
作動方式ブローバック方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数8発
全長約161mm
重量約730g
特徴簡素で頑丈。東欧で長期使用。

Makarov PM(マカロフPM)は、1951年にソビエト連邦軍、警察、特殊部隊、戦車乗員、航空機搭乗員の標準ピストルとして採用されました。シンプルな設計と高い信頼性を特徴とし、旧ソ連およびロシアの特殊部隊や警察で長く運用されてきましたが、近年は新型ピストルへの更新が進んでいます。

ソ連崩壊後もロシア軍、警察、スペツナズなどで広く使用され続けており、2003年にMP-443 Grach(PYa)が正式後継として採用された後も、多くの部隊で現役運用が続いています。東ドイツやブルガリアなどの東欧諸国をはじめ、北朝鮮、ベトナム、アジア、アフリカ、中東各国でも採用されました。

採用理由として、マカロフPMはワルサーPPを基にしたシンプルなブローバック設計を採用し、高い信頼性とメンテナンス性を備えている点が挙げられます。作動不良が極めて少なく、トカレフTT-33より小型軽量で、安全装置やデコッカーを備えたDA/SAトリガーにより取り扱いの安全性が向上しました。大量生産に適したコスト効率の良さも重要な要素でした。使用される9×18mmマカロフ弾は、近接戦闘において十分なストッピングパワーと制御しやすい反動を提供します。

主な特徴として、使用弾薬は9×18mmマカロフ弾で、装弾数は8発のシングルスタックマガジンです。作動方式は直撃式ブローバックのDA/SAで、重量は約730g、全長161.5mm、銃身長93.5mmです。スライド上のデコッカー兼セーフティ、ヒール式マガジンキャッチ、固定式サイトを備え、オールスチール構造により堅牢性が高く、有効射程は50mとされています。

歴史としては、第二次世界大戦後にトカレフTT-33とナガンM1895を更新する目的で設計され、試験を経て1951年12月に正式採用されました。ソ連崩壊まで標準ピストルとして使用され、その後もPYaやウダフなどの後継モデルが完全に代替できず、現役運用が続いています。ロシア、東ドイツ、ブルガリア、中国など多数の国でライセンス生産されました。

運用面では、ベトナム戦争(北ベトナム・ベトコン)、ソ連アフガン侵攻、チェチェン紛争、リビア危機、シリア内戦、ウクライナ戦争など多くの紛争で使用され、スペツナズや警察特殊部隊に長年支給されています。高い信頼性と簡便さ、隠匿性が評価され、今日も多くの部隊で使用され続けています。

MACV-SOG工作員がマカロフを使用していた?

ベトナム戦争中、MACV-SOG(米軍ベトナム軍事援助司令部・研究観察グループ)の工作員は、ラオスやカンボジアでの秘密作戦において、敵軍が使用する武器をあえて携行し、身元を隠す運用を行っていました。これは米軍の関与を否定するための措置であり、トカレフやマカロフといった敵軍のハンドガンを使用していた可能性があります。

MACV-SOGのチームは、国境を越える任務において米軍兵士であることを示す物品を一切携行しないよう指示されていました。階級章や部隊章を取り外し、無標識の制服を着用し、シリアルナンバーが刻印されていない武器を使用することで、捕虜となった場合でも米軍の関与を否定できるようにしていました。

敵軍のライフルであるAK-47や56式を使用した例は多く記録されており、ピストルについても同様の運用が行われた可能性は高いと考えられます。米軍支給のピストルを携行していると、発見された際に身元が露見する危険性があったためです。

公開資料には、MACV-SOGがトカレフやマカロフを携行したと明記するものはありませんが、鹵獲した敵軍の小火器を使用したという運用自体は文書化されています。そのため、これらのハンドガンを使用していた可能性は十分にあり、MACV-SOGの運用方針とも一致しています。

CZ 75 SP-01 Phantom

CZ 75 SP-01 Phantom画像
CZ 75 SP-01 Phantom JanHermanek, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名SP-01 Phantom
メーカーČeská zbrojovka(チェコ)
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、セミオート
装弾数18発
全長約208mm
重量約800g
特徴ポリマーフレーム、タクティカル仕様。

CZ 75 SP-01 Phantom(ファントム)は、チェコ製の9mmセミオートピストルで、CZ 75シリーズを近代化したモデルです。耐久性と精度に優れ、特殊部隊や警察で使用されています。

このモデルは2012年1月からチェコ陸軍空挺部隊(第4即応旅団)に標準支給され、全隊員に配備されています。また、スロバキアの特殊部隊・軍・警察、タイ王立陸軍特殊部隊でも採用されています。さらに、CZ 75ファミリー(SP-01を含む)は、ジョージア、カザフスタン、リトアニア、ポーランド、ロシア、トルコ、アメリカのデルタフォース、セルビア警察特殊部隊など、世界各国の特殊部隊や警察で広く運用されています。

採用理由として、CZ 75シリーズは長年にわたり信頼性と精度の高さで評価されてきました。SP-01 Phantomは従来モデルより33%軽量化されたポリマーフレームを採用し、アクセサリーレールや交換式バックストラップを備えるなど、現代の特殊部隊運用に適した仕様となっています。グリップインサートにより手のサイズに合わせた調整が可能で、長時間の携行や射撃でも快適さと安定性を確保できます。CZ 75シリーズの実績と耐久性も採用を後押ししています。

主な特徴として、口径は9×19mmパラベラム弾で、装弾数は18発(拡張容量)です。フレームはポリマー製、スライドは鍛造スチールで軽量化のためのスカラップ加工が施されています。作動方式はDA/SAでデコッキングレバーを備え、アクセサリーレールと2種類の交換式リアストラップを標準装備します。重量は約770g、全長184mm、銃身長98mmです。

CZ 75は1975年に設計され、翌年チェコスロバキアで正式採用されました。SP-01シリーズは軍・法執行機関・対テロ部隊向けに開発され、Phantomは2000年代に軽量ポリマーフレームとモジュラーグリップシステムを採用して誕生しました。2012年からチェコ軍空挺部隊で正式採用され、数千挺が調達されています。

運用面では、チェコ陸軍空挺部隊で2012年から全隊員に支給され、実戦配備実績があります。世界各国の特殊部隊やエリート警察部隊でも信頼性、操作性、軽量性が高く評価され、さまざまな気候や任務環境下で安定した運用が確認されています。

CZ P-10 C / F

CZ P-10画像
CZ P-10 Land68, CC0, via Wikimedia Commons
項目内容
モデル名CZ P-10 C / F
メーカーČeská zbrojovka
口径9×19mm
作動方式ショートリコイル方式
ストライカー方式、セミオート
装弾数C:15発 / F:19発
全長C:185mm / F:203mm
重量C:740g / F:800g
特徴CZ初のストライカーピストル。

CZ P-10 C / Fは、チェコ製の9mmストライカー式セミオートピストルで、軽量かつコンパクトな設計が特徴です。チェコ軍の標準ピストルとして採用されており、特殊部隊や警察機関でも広く使用されています。調達数は21,000丁を超え、軍全体への配備が進んでいます。

フランス国家憲兵隊特殊部隊(GIGN)でも使用されているほか、アメリカ、ポルトガル、スペイン、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、ウクライナ、スロバキア、リトアニア、スロベニア、メキシコ連邦警察憲兵隊、南アフリカ、フィリピン、ベトナム、タイなど、多くの国の軍・警察・特殊部隊に配備されています。さらに、ポーランド国境警備隊(試験中)、マレーシア王立警察、ポーランド中央汚職防止局、税関、国境警備隊、ルーマニア陸軍、スリランカ空軍連隊、台湾法務部調査局でも運用が報告されています。

採用理由として、P-10シリーズは過酷な環境にも耐える高い信頼性と耐久性を備え、エルゴノミクスにも優れています。グリップのチェッカリングと3種類の交換式バックストラップにより多様なユーザーに対応し、短いリセットと切れのあるトリガーによって精密射撃や速射性にも優れています。光学機器対応、アクセサリーレール、アンビ操作系、サプレッサーやドットサイト対応など、現代の戦術運用に必要な機能も充実しています。コストパフォーマンスにも優れ、モジュラー設計により多様な任務に適応できる点も評価されています。

主な特徴として、使用弾薬は9×19mmパラベラム弾で、装弾数はP-10 Cが15+1発、P-10 Fが19+1発です。ストライカー方式(部分プリコック)を採用し、トリガーセーフティ、ファイアリングピンブロック、ドロップセーフティを備えています。フレームはガラス繊維強化ポリマー製で、スライドストップはアンビ仕様、マガジンリリースは左右入れ替え可能です。3ドットナイトサイト(光学機器対応モデルあり)とピカティニーレールを標準装備し、スチールフレームピストルに比べて軽量です。

開発は2014年に始まり、2017年にCZ初のポリマーフレーム・ストライカー式ピストルとしてP-10 Cが登場しました。翌2018年にはフルサイズのP-10 Fが追加され、その後サブコンパクトやマイクロモデルも展開され、軍用・法執行機関・民間市場で普及が進みました。チェコ軍および警察では急速に採用が進み、現在は世界90か国以上で採用例があります。

運用面では、チェコ軍および特殊部隊で標準装備として実戦配備され、GIGNでも採用されるなど、信頼性と性能が世界的に評価されています。各国の軍・警察・特殊部隊による選定試験でもグロックなど他社製と比較して採用される例が多く、過酷な環境下での信頼性、トリガー品質、精度、操作性で高い評価を得ています。

よくある質問

世界最強の警察特殊部隊は?

世界で最強の警察部隊についてはさまざまな議論がありますが、訓練の厳しさ、装備の先進性、そして危険度の高い任務を担う点から、世界的に高い評価を受けるエリート警察戦術部隊がいくつか存在します。代表的な部隊としては、まずイスラエルのヤマムが挙げられます。対テロ作戦と人質救出を専門とし、先制攻撃能力と精密な作戦遂行で世界でも最も危険な任務をこなす部隊の一つとされています。

フランスのGIGNも高い評価を受けており、隠密作戦や大規模な人質救出で知られています。高度な戦術と技術を駆使し、国際的にもトップクラスの能力を持つ部隊です。アメリカのFBI HRT(人質救出チーム)は、国内における「デルタフォース的存在」とされ、軍事レベルの作戦に対応できるよう高度な訓練を受けています。

ブラジルのBOPE(特殊警察作戦大隊)は、極めて危険な環境で活動することで知られ、作戦中の交戦率が最も高い部隊の一つとされています。都市部の複雑な環境での戦闘能力が特に評価されています。

日本におけるSWATチームの相当組織は

日本におけるSWATチームに相当する組織は特殊急襲部隊(SAT)です。SATは警察庁の管轄下にある高度に訓練された警察戦術部隊で、1996年に発足しました。通常の警察部隊では対応が難しいテロ事件や重武装事案に対処するために編成されており、日本の対テロ警備の中核を担っています。

SAT隊員は突入、人質救出、対テロ作戦に熟達しており、フランスのGIGNなど海外の専門部隊とも共同訓練を行っています。部隊は突入班、狙撃班、技術支援班で構成され、全国の主要都市を中心に約300名の隊員が配備されています。

日本に特殊部隊はあるのでしょうか?

日本には軍の特殊部隊が存在します。最も代表的なのは、陸上自衛隊の特殊作戦群(SOGまたはSFGp)です。特殊作戦群は高度な専門性を持つ部隊で、海外の特殊部隊との共同訓練も行っていることから「日本版デルタフォース」と呼ばれることもあります。

この部隊は対テロ作戦、ゲリラ戦、高度な潜入作戦などを主な任務としており、日本における最もエリート性の高い軍事部隊とされています。

世界で1番強い特殊部隊は?

「最強」の特殊部隊がどこかについては、作戦成功率、訓練内容、機密性、作戦範囲など評価基準によって異なるため、明確な答えはありません。ただし、世界的に最もエリートとされることが多い部隊はいくつか存在します。

  • アメリカのNavy SEAL Team 6(DEVGRU)は対テロ作戦や極秘任務で知られ、世界でも最高レベルの能力を持つ部隊と評価されています。
  • イギリスのSASは特殊部隊の原型ともいえる存在で、対テロ、人質救出、潜入作戦など幅広い任務に対応します。
  • ロシアのスペツナズ(特にFSBアルファ部隊)は対テロ・対破壊工作任務で高い能力を発揮します。
  • イスラエルのサイェレット・マトカルやシャイェテット13は、情報収集、対テロ、人質救出において世界的に評価されています。
  • フランスのGIGNは高度な射撃技術と人質救出能力で知られ、カナダのJTF2も国際的な対テロ作戦で高い評価を受けています。

各特殊部隊と採用銃一覧

国名正式部隊名
(日本語 / 英語)
採用ピストル
アメリカ陸軍特殊部隊
U.S. Army Special Forces
(Green Berets)
Glock 19, Glock 17, SIG M17 / M18 (P320系)
デルタフォース
1st SFOD-D
(Delta Force)
Glock 19, Colt M1911
第75レンジャー連隊
75th Ranger Regiment
Glock 19, Glock 17
CIA特殊活動センター
CIA Special Activities Center
(SAC/SOG)
Glock 19
海軍特殊部隊SEALs
United States Navy SEALs
SIG P226, P228, P239, HK45CT, Glock 19 (Mk27), SIG M17 / M18 (P320系)
海兵隊フォースリーコン
United States Marine Corps Force Reconnaissance
MEU(SOC)ピストル (1911系), M007 (Glock 19)
イギリスSAS
Special Air Service
Glock 17, Glock 19, SIG P226, P228 (旧来)
フランス国家憲兵治安介入部隊
Groupe d’Intervention de la Gendarmerie Nationale
(GIGN)
Manurhin MR73, Glock 17/19/26, SIG SP2022
ドイツ陸軍特殊部隊コマンド
Kommando Spezialkräfte
(KSK)
Walther PDP P14/P14K, Glock 17 (旧来), HK P30 (旧来)
海軍特殊部隊コマンド
Kommando Spezialkräfte Marine
(KSM)
Walther PDP P14/P14K
イタリア第9落下傘強襲連隊「コル・モスキン」
9º Reggimento d’Assalto Paracadutisti “Col Moschin”
Beretta APX, Glock 17/19, FN Five-seveN
COMSUBIN
Comando Raggruppamento Subacquei e Incursori Teseo Tesei
Beretta APX, Glock 17/19
ノルウェー国防特殊部隊FSK
Forsvarets Spesialkommando
(FSK)
Glock 17/19 (推定)
スウェーデン特殊作戦群
Särskilda Operationsgruppen
(SOG)
Pistol 88 (Glock 17/19系)
イスラエルサイェレット・マトカル
Sayeret Matkal
IWI Jericho 941, Emtan Ramon
日本特殊作戦群
JGSDF Special Operations Group
SIG P220 (9mm), HK USP, MP7
韓国第707特殊任務団
707th Special Mission Group
K5, Glock, Beretta 92系, Jericho 941FL, SIG P226
オーストラリアSAS連隊
Special Air Service Regiment
(SASR)
SIG P320 X-Carry Pro
シンガポールコマンドー部隊
Singapore Armed Forces Commando Formation
輸入・国産ピストル (詳細非公開)
UAE大統領警護特殊作戦司令部
UAE Presidential Guard Special Operations Command
Caracal F/C/SC
エジプト第777対テロ部隊
Unit 777
(Sa’ka Forces)
HK USP, SIG P226, トカレフ, Helwan (旧来)
ブラジル軍警察特殊作戦大隊
Batalhão de Operações Policiais Especiais
(BOPE)
Taurus PT92, IMBEL 9mm
メキシコ海軍特殊部隊FES
Fuerza Especial de la Marina
(FES)
Glock, HK USP, FN Five-seveN
チリ警察特殊作戦群GOPE
Grupo de Operaciones Policiales Especiales
(GOPE)
FAMAE FN-750 (CZ 75クローン), Glock 17, Beretta Px4
ロシアFSBアルファ部隊
FSB Alpha Group
MP-443, GSh-18, マカロフ (旧来)
ポーランドGROM部隊
Jednostka Wojskowa GROM
詳細非公開
チェコ第601特殊部隊群
601. skupina speciálních sil
(601st Special Forces Group)
Glock 17, CZ 75 SP-01, CZ P-10 C/F
特殊兵器:水中ピストル

特殊作戦では、環境に応じた専用の武器が求められることがあります。

H&K P11ピストル画像
H&K P11

HK P11は、NATOの水中工作員向けに開発された多銃身構造の水中射撃用ピストルで、水中での発射を前提とした特殊兵器です。NATOだけでなくロシアも同様の水中戦闘用武器を開発してきましたが、こうした装備が実戦で使用された例はほとんど確認されていません。

歴史年表(採用と退役)

モデル国・部隊退役・更新
1911年Colt M1911米軍
特殊部隊
1985年以降退役
1951年PM(マカロフ)ロシア特殊部隊更新進行中
1973年Manurhin MR73仏GIGN現用
1975年SIG Sauer P220スイス軍
特殊部隊
ほぼ退役
1980年代Taurus PT92ブラジル特殊部隊更新進行中
1980年代FAMAE FN-750チリ陸軍特殊部隊現用
1985年M45 MEUSOC米海兵隊フォースリーコン
MARSOC
SRT
2022年退役
1989年SIG Sauer P226英国SAS
米Navy SEALs
2016年退役
(米SOCOM)
一部現用
1989年K5(DP51)韓国特殊部隊現用
1990年代IWI Jericho 941イスラエル特殊部隊現用
1990年代SIG Sauer P228米軍特殊部隊
(M11)
現用
(限定)
1990年代SIG Sauer P239米Navy SEALs
(限定)
退役
(時期不明)
1990年代初頭Glock 17英国SASなど現用
1993年H&K USP9独GSG9
欧州特殊部隊
現用
1996年H&K Mk23米SOCOM現用
(限定)
2000年代FN Five-seveNベルギーSF
米SOF
現用
2000年代Glock 26米SOCOM現用
2000年代半ばGlock 19米陸軍特殊部隊
SOCOM
現用
2001年GSh-18ロシア特殊部隊現用
2002年SIG Sauer SP2022仏GIGN現用
2003年MP-443 Grachロシア特殊部隊現用
2006年HK45CT米SOCOM現用
2006年Beretta PX4 Storm伊GIS
特殊部隊
現用
2006年H&K P30独GSG9
SEK
現用
2008年CZ 75 SP-01 Phantomチェコ601特殊部隊群現用
2009年Caracal F / C / SCUAE特殊部隊
他中東SF
現用
2012年M45A1 CQBP米海兵隊フォースリーコン
MARSOC
SRT
2022年退役
2013年Glock 17 Gen4英国軍全体現用
2017年CZ P-10 C / Fチェコ601特殊部隊群現用
2019年SIG Sauer M17 / M18米陸軍
一部特殊部隊
現用
2019年Beretta APX伊GIS現用
2020年代Emtan Ramonイスラエル特殊部隊
(一部)
現用
2023年F9(SIG P320 X-Carry Pro)デンマーク軍特殊部隊現用
本年表は特殊部隊での採用年と退役年を示しますが、一部推定を含みます。

Smith & Wesson M39はベトナム戦争中にNavy SEALsで採用されたピストルです。SEALsの隊員の多くは、マガジンを抜くと発射できなくなるマガジンセーフティを好まず、非公式にアーマラーへ依頼してこの安全装置を取り外していました。こうした改修は公式記録には残らないものの、実戦環境での即応性を重視したSEALsらしい運用として知られています。

まとめ

特殊部隊が選定するピストルには、過酷な環境下で確実に作動する高い信頼性、優れた命中精度、そして圧倒的な性能も求められます。

ピストルの採用は、各国の作戦要求や装備調達方針、さらに国際的なパートナーシップといった複雑な要因が絡み合って決定されますが、いくつかの共通した傾向が見られます。

例えば、グロックシリーズやシグ・ザウエル(SIG Sauer)製ピストルは、その高い信頼性と汎用性から、アメリカをはじめ世界各国の特殊部隊で広く採用されています。

近年では、サプレッサーやドットサイトなど各種アクセサリーの搭載を前提としたモジュラーピストルシステムが重視されており、オーストラリアが採用するF9システムや、ドイツのワルサー PDP P14/P14Kなど最新モデルの運用例も見られます。

また、NATO標準弾である9x19mm口径のピストルが主流となっており、これにより同盟国間の相互運用性が確保されています。

一方で、フランスのGIGNがマニューリン MR73リボルバーを運用しているように、部隊の伝統や独自の要件に基づき特殊なモデルを選定する例も存在します。ロシア特殊部隊によるMP-443グラチの採用もその一例です。

特殊部隊におけるハンドガン選定では、信頼性、操作性、耐久性、そして現代戦術への適応性が最重要視されます。

これらの要素が、日々変化する脅威に対処し、多様な任務を遂行するために必要とされています。

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