動画( ttps://youtu.be/AyG8onr1JWE )の最後に紹介されている、14mm アメリカン S4P? (・・弾と聞こえますが)が射程距離5kmと紹介されています。
情報があれば、もう少し詳しく知りたいのですが・・宜しくお願い致します。
14.9mm SOP (14.9 SOP/14.5 OPS)は、有効射程距離5,000m越えを目標として開発された長距離射撃用ライフル弾です。
14.9mm SOPとは?
14.9mmSOPは、M61バルカン砲に使用される弾薬(20x102mm)のケース(薬莢)を14.9mmにネックダウンしたライフル弾です。
年月を経た現在も開発中のため、時期によってスペックが異なりますが、口径14.9mm(0.587インチ)、弾頭重量1,460~1,690グレイン、初速は約3,250fpsとなっています。
数字だけではピンとこないかもしれませんが、他のライフル弾と比較するとその差が分かります。
弾薬 | 弾頭重量 | 初速 | マズルエナジー | 装薬重量 |
14.9mmSOP (BC:1.85-1.88 G7) |
1,690 gr | 3,250 fps | 39,643 ft-lbf | 350 gr |
.50BMG (12.7x99mm) | 750 gr | 2,800 fps | 13,058 ft-lbf | 233 gr |
.338ラプアマグナム | 250 gr | 2,829 fps | 4,443 ft-lbf | 83 gr |
5.56x45mm NATO | 62 gr | 2,800 fps | 1,080 ft-lbf | 22.5 gr |
14.9mmSOPは重い弾を高速で発射するため、銃身には20,000ポンドを超える非常に大きな圧力が加わります。
弾頭重量1,690グレインという巨大な弾を発射するには、燃焼速度が遅いスローバーニングパウダー(装薬)が必要となり、通常のライフル用パウダーを使用すると銃身が圧力に耐えきれずに破裂してしまいます。
一般的に市販されている小火器用パウダーで特に燃焼速度が遅い.50BMG用パウダーであっても、早すぎて使用できません。
そのため、14.9mmSOPには砲弾に使用されるキャノンパウダーが使用されています。
長距離射撃で高い命中率を得る場合、弾頭重量が重いほど有利となりますが、弾速が遅ければ弾道曲線が大きくなり高い精度が出せません。
しかし、大口径の重量弾であっても、弾頭の性能(弾道係数の良い設計)が良く、弾速が高速であれば長距離であっても高い命中率が期待できます。
14.9mmSOPは、有効射程距離5,000メートル以上という超長距離を狙う特殊なライフルカートリッジとして開発され、テストでは0.5MOAという結果を出しています。
これは距離200ヤード(約180m)で500円玉に穴を開けることができる精度です。
開発の歴史
14.9mmSOPの開発は2010年からスタートしています。
アメリカのライフルコミュニティーフォーラム「スナイパーズハイド」にて、フォーラムメンバーのジョン・オニール(Jon O’Neill)とジョシュ・クンツ(Josh Kunz)により、複数企業と共同で開発が進められました。
当初の参加企業は、14.9mmSOP開発にJGウェポンズ社、GSカスタムブレッツ社、モノリシック・ムニションズ社の三社が担当し、XLRインダストリーズ社によってライフルが製造されました。
14.9mmSOPの製造にはATF(アルコールタバコ火器及び爆発物取締局)によるDDEに即した許可が必要という壁がありましたが、これをクリアしています。
DDEとは連邦法上の武器カテゴリーコードであり、デストラクティブ・デバイス・エクスプロシブ(破壊的爆発物)を表しています。
これを製造するには、FFL(フェデラル・ファイアーアームズ・ライセンス)及びFEL(フェデラル・エクスプロシブ・ライセンス)が必要となり、輸入にはフォーム6許可(AT4)、輸出にはAECA(武器輸出管理法)の許可申請が必要となります。
通常、小火器の弾薬はDDEに分類されませんが、アメリカでは連邦法(NFA1934/GCA1968)により50口径(12.7mm)を超える火器は法律上の「デストラクティブ・デバイス(破壊的武器)」と呼ばれるカテゴリーに入り規制されています。(マズルローダーは除く)
そのため14.9mmSOPはライフル弾ではなく、「アーティラリー(大砲)の砲弾」と分類されました。
しかし、後に開発者らはATFから「スポーツ銃用弾薬」としての免除を受け、一般に流通が可能となっています。
この過程を見ると、ある意味「小火器」ではなく「準兵器」と呼べるかもしれません。
初期の14.9mmSOPは「14.5 OPS」と呼ばれましたが、その後の改良により14.9mm SOPへと改められます。
そして研究開発に数年を費やし、初射撃は2012年に行われました。
この動画は試作ライフルの初射撃の様子です。
理論的に発射可能であることはあらかじめ計算されていましたが、この実験により14.9mmSOPは実射に耐えることが確認されました。
アンツィオ・アイアンワークス 14.9mmライフル
こちらは.50口径ライフルを専門的に手掛けるアンツィオ・アイアンワークス社(Anzio Ironworks)にって製造された14.9mmSOPを使用するライフルです。
ERA-TACマウントにナイトフォースBEAST 5-25×56スコープが搭載されています。
開発には困難が多く、必要とする結果が思うように得られませんでしたが、弾頭メーカーである「ワーナー・ツール・カンパニー社(WTC)」が製造する弾頭ブランド「フラットライン」に出会うことで手ごたえを得られました。
銃の重さがスコープ込みで100ポンド(約45kg)を超えるため、肩に受ける反動の強さは12ゲージ・ショットガンと同レベルとのことです。
この動画は開発者によって2,300ヤードでの実射テストが行われた様子です。
弾道データを得るために遠方に弾速計を設置し、4,700ヤードでのテストも行われました。
14.9mmSOPは昨年のSHOT SHOWでも登場しましたが、現在も改良を続けられています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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