手の中で爆発した事例を見聞きしたことがないのですが、不発のピストル弾をズボンのポケットに入れたところ、ポケットの中で爆発した動画を見たことがあります。
弾薬の種類や、どれだけ強く握った状態かなど、条件によって怪我の程度が異なると思われますが、薬室内のような密閉された状態ではない場合は不完全燃焼になりやすく、高圧になる前にガスが逃げてしまうため大きなエナジーは発生しません。
しかし大口径ライフル弾の様に装薬量が多ければ指を失うこともあるかもしれませんし、拳銃弾でも何針か縫う程度の怪我の可能性はあります。
>事故防止に役立つ知識
こうした事故は正しく扱っていれば防ぐことができます。
不発が起きたら銃口をターゲットに向けた状態のまま20~30秒待ち、マガジンを抜いて不発弾を排出します。
(何秒待てば良いかはプロの間でも様々な意見があり、10秒という人もいれば60秒という人もいますが、時間が長い方がより安全です)
稀にプライマーが撃発してもメインの装薬に引火しないまま弾頭だけ押し出して銃身内に詰まることがあるため、スライドをホールドオープンさせてエジェクションポートから薬室内を目視確認します。もし目視確認が難しい場合はクリーニングロッド等を銃口から入れて弾頭や未燃焼の装薬が残っていないことを確認します。
全て確認が終わったら再度装填して射撃を再開できます。
またパーカッションリボルバーなど、黒色火薬を使用する銃の場合は射撃再開までもう少し手間がかかります。
【パーカッションリボルバーの場合】
1 不発が起きたらマズルをターゲットに向けた状態で最低一分間待つ(黒色火薬の場合、待ち時間はより長くとる)
2 待っても発射されなければ、ハンマーをハーフコックにし、装着されたキャップを全て取り外す
3 不発が起きたチャンバーのニップルにニップルピック(針金)を通す
4 新しいキャップを装着し撃発する
5 また不発の場合は、そのまま一分間待つ
6 待っても発射されなければ、ハンマーをハーフコックにし、装着されたキャップを全て取り外す
7 シリンダーを取り外し、ニップルレンチでニップルを外す
8 外した穴からニップルピック(針金)を入れて火薬を取り出し、新しい火薬を入れる
9 ニップルを締めなおしてシリンダーをフレームに戻し、通常の操作方法で再度撃発させる
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マズルローダーの場合も基本的に同じですが、発射を待ったあとで詰まった弾丸を抜き取るために再度撃発を試みるのも良いです。
もしそれでも不発になる場合はブリーチプラグを抜いて装薬を抜き、ラムロッド(装填用の棒)の先にネジ山が備わったブレットプラーを取り付けて銃口から挿入し、弾丸にネジ山をねじ込んで弾丸ごとラムロッドを引き抜きます。
またはラムロッドで装薬と弾丸を銃口側から突いてブリーチプラグ側からまとめて突き出す方法もありますが、銃の構造によって多少方法が異なります。