歴史を遡ればマッチロックやフリントロックの時代から長いストックを利用しており、その目的は銃身を固定するため、銃身を防護するため、ラムロッド(マズルローダーで弾を装填するための棒)を収納するため、山岳地帯で杖として使用するため、バヨネットラグを固定するため・・・等々、様々な理由から利用されていました。
第一次~第二次大戦では、塹壕戦などにおいて着剣し、銃を槍の様にグリップして使用されたため、銃身を木で覆うことでグリップしやすい太さを維持すると同時に、熱した銃身に触れて火傷することを防ぐ目的がありました。また、銃身を外部の衝撃から守ることもできます。
銃身の先まで木で覆われていれば、敵を銃剣で刺した際に手が先端方向へ滑っても火傷しませんし、普段の携帯時にもライフルの広い範囲を掴めるため扱いやすいといった利点があります。
やがてオートマチックライフルが登場すると、軽量化され全長も短くなり、戦場で使用されるコンバットライフルの運用方法に変化が生じ、かつてのような長いストックは不要となりました。
また、精密射撃にはストックと銃身が接しない構造が必要となるため、現代のボルトアクション・ライフルにおいても昔のようなメタルバンドで銃身とストックを固定することは行われなくなり、その結果ストックは最低限の長さで必要十分となっています。
しかし長いストック(マンリッヒャーストック)が完全に廃れたわけではなく、銃身を守る利点や美術品としての価値もあるため、数は少ないですが狩猟用やスポーツ用として現在でも利用されています。
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