複数のご質問を頂きましたので、それぞれ回答します。
M19とM686
コンシールドキャリー性や携帯性、フレームやシリンダーの大きさ・強度はコルトパイソン(4インチ)はS&W M19とM686(同じく4インチ)と比較するとどうなのでしょうか? youtubeなどの動画や写真など見ると、携帯性に関してはM19>パイソン≧M686でフレーム、シリンダーの大きさや強度に関してはM686>パイソン≧M19と認識していますが、やはりパイソン4インチはフレームの大きさやシリンダー径はM686と同じくらいで嵩張るのでしょうか?
携帯性に関して大きさを比較するとどれも同等のフレームサイズなので、大きな差はないと思います。
M19とパイソンでは、M19の方がシリンダー径が約0.1インチ小さく、重さは約60g弱軽いですが、フルラグバレルのパイソンは重心がフロント側にあるせいか、他の同サイズの.357マグナムよりリコイルがマイルドに感じられるといった感想はよく耳にします。
実際両方共撃ったことがありますが、撃ちやすさは甲乙付けがたく、どちらも優秀です。
個人的にはコンシールドキャリーの選択肢に入るモデルではないのですが、グリップの大きさや形、サイトの種類、ハンマーの変更などで携帯性は向上すると思います。
コルト・パイソン
コルト・パイソンはどのくらいの数の警察署などに採用されたのでしょうか? コストの高さゆえにあまり採用されなかったようですが、自分が調べた限りではコロラド州警察、ジョージア州警察、フロリダ州のハイウェイパトロールに採用されていたみたいですが他にも採用した所はあるのでしょうか?
警察の採用については実数は不明です。
パイソンは他社の同レベルのリボルバーより価格が割高なので、大量採用というのは珍しいのではないかと思います。
また、アメリカでは昔から携帯する銃を警察官個人が自腹購入して職務に使用できることが多いので、個人レベルだと色々なところで携帯されていたかもしれませんね。
人によっては不快な質問になってしまうかも知れませんが、内部機構やトリガーアクション、作動の信頼性やバレルなどの各パーツの精度などを総合的に考ると「人を確実に殺すための道具」としてパイソンは優秀と言えるのでしょうか? それともそういった面ではS&Wに大きく水を空けられているのでしょうか?
実用性、コレクター性、美術性、共に優秀だと思います。
後期に精度が落ちたのは残念ですが、それでもトップレベルのリボルバーです。
グリップにサムレストがついた63年頃は総合的にベストではないでしょうか。
作動についてトラブルの話は色々ありますが、よく見ると無茶な扱い方をしているケースが多々あるので、本来は優秀なレベルなのに過小評価されることがあって残念に思うことがあります。
スマイソン
1980年代、M586.686の登場直前に、パイソンの高精度のバレルとM19のメカを組み合わせた「スマイソン」なるカスタムが登場し、究極のリボルバーみたいに言われたことがあります。あれって結論はキワモノに過ぎなかったのでしょうか。M586はオールS&W製のスマイソンを目指していたというような話もあったと思いますが・・・。
スマイソン(スモルト)はカリフォルニアのガンスミスのビル・デイビスがカスタムしたモデルなので、量産品のパイソンと比較するのは酷な気もします。
70年代当時はS&Wにフルラグのバレルが無かったので魅力的な組み合わせだったでしょう。
やはりマグナムリボルバーはフルラグバレルの方が撃ちやすいです。
コルトのライフリングのツイストレートはS&Wより強く、当時の射撃競技において命中精度の高いコルトの銃身は射撃競技において高い評価を受けていました。
また、パイソンではテーパードボアを採用しており、銃口に向かって口径が小さくなる仕様だったことも命中精度が高い理由でもあります。
しかし、パイソンのトリガープルは引き始めが軽く、途中で重くなる二段階のため、S&Wのトリガーのように最初から最後までスムーズなトリガープルを持つフルラグバレルのダブルアクションリボルバーが必要とされていました。
その結果、コルトの銃身とS&Wのトリガーメカを組み合わせたスマイソンは、当時の市場の要求から誕生した理想的な競技用リボルバーだったといえます。
S&W M581
あと、記憶違いかも知れませんが、Lフレーム登場時にM581というモデルがあったような気がします。アジャスタブルサイトをやめてフィクストサイトにした、M10とかM13のLフレームバージョンみたいなコンセプトだったと思いますが、実銃の写真等を見たことがありません。モデルガンも登場しませんでした。(M586のモデルガンは3社くらい競合していました。)このころのS&Wの常として、ステンレスモデルのM681というのもあったかも知れません。この銃について詳細ご存じありませんでしょうか。コンシールドキャリーの面や携帯性の点ではこの方が優れていますよね。
M581はLフレームの最初のモデルです。
.357マグナムが市場でメジャーな存在となっていくなかで、Kフレームより扱いやすく、Nフレームよりコンパクトなサイズを模索した結果誕生したのがM581(1980-1988年)です。
4インチのフルラグバレルオンリーで、サイドプレートは3本ネジ止め、スクエアバット、ウォールナットグリップ、フレームはカーボンスチール、フィニッシュはブルー/ニッケルの2種という仕様です。
口径バリエーションは.357マグナムのみですが、特別に.38SPモデルがニューヨーク運輸公社向けに製造されています。
途中若干の仕様変更が何度かあり、
- 581-1(1986年)スタッド改善とフローティングハンドに変更
- 581-2(1987年)ハンマーノーズ変更
- 581-M(1987年)581と581-1に新型ハンマーノーズを使用したモデルに”M”のスタンプ
- 581-3(1988年)ヨーク・リテンション・システム変更
・・・等があります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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