以前の掲示板にて、『弾頭重量に合ったライフリング(ライフルピッチ)が使用されなければ、遠距離での精度が期待できませんし・・・』とありましたが、例として、350grの弾頭ならどのようなライフリングを使用するべきなのでしょうか?
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このテーマは複雑で詳細に説明すると長文になるので、基本のキだけ解説したいと思います。
弾頭重量に合ったライフリングと述べましたが、正確には弾頭の全長が重要になります。
同じ口径で弾頭重量が重ければ弾頭の全長も長くなるので同じことと言えますが、なかには全長が長くても鉛フリーの弾など軽量な弾も存在するため、正確には弾頭の全長によります。(この説明を始めると長くなるので、分かりやすさを重視して普段は弾頭重量で解説しています)
回転するコマをイメージすると分かりやすいと思いますが、背の低いコマは低回転でも安定して回り続けますが、背の高いコマは高回転で回さなければバランスを失って倒れてしまいます。これは空中の弾も同じです。
長い弾頭はより高回転で飛ばす必要があるため、強いライフルピッチが必要となります。
しかし、これは必ずしも弾頭の全長だけで決定されるのではなく、弾頭重量、弾速、口径なども密接に関係しています。
また、コマとは違い回転が速すぎると空中でバランスを崩しやすくなったり、遠心力でコアとジャケットが分離することもあります。
基本的に、弾は緩いライフルピッチで全長が短い方が安定しやすいのですが、全長が短いと長距離で不安定となり(弾道係数が低くなる)、同時に重さが必要となります。ゴルフボールとピンポン玉のどちらが遠くまで飛ぶかという理屈と同じです。
ご質問の350グレイン弾頭については、これも弾速や口径によっても最適なライフリングが異なります。
ですが大雑把に言えば、.338ラプアマグナムで350グレインだと1:10や1:9、S&W M500で350グレインでは1:10~1:20程度が安定しやすく一般的ですが、弾速や弾頭の設計によっても異なるため、一概にどれが最適とは言えません。