5Rは1980年代にブーツオーバーマイヤーによって開発された溝の斜面の角度が浅い5条のライフリングです。
ライフリングのグルーヴ(谷)の数が偶数の場合はランド(山)が対面するため弾頭が通過する際に弾頭の収縮が大きくなりますが、奇数の場合はランドが対面しないため収縮が軽減されます。
マッチグレードの弾頭ではジャケットが薄く柔らかいものがあり、こうした弾頭にツイストレートの高い負荷を掛けると弾頭の変形や収縮が大きくなり、命中精度に悪影響が生じる場合があります。
特に長距離射撃において重い弾頭(全長が長い弾頭)を使用する際に強い回転が必要となり、弾頭の変形が大きい場合に遠心力によってライフリングによってついた傷が裂け、ジャケットとコアが分離しやすくなるため角度の浅い奇数のグルーヴを使用することによってこの問題が軽減されます。
このような弾頭を5Rで使用すると高い命中精度を維持できるメリットがあります。
しかし、かと言って6条のライフリングの方が命中精度が低いとはいえません。
実際の差はごく僅かで、殆ど体感できないと言われています。
1943年にレミントンが行った2条と4条のライフリングの差を比較したテストでは僅かに2条の方が集弾が良かったり、アクリーカートリッジで有名なパーカーアクリーが「3条が良い」と証言するなど様々な意見や理論が存在しますが、現代のバレルメーカーの意見によればライフリングの条数と命中精度は相関しないと言われています。(製造者側にとっては製造しやすさなどの面で条数が問題になり得ます)
もし仮にライフリングの条数が命中精度に明確に影響するのであれば射撃競技界の誰もが追随するはずですが、実際はそうではありません。
ただし、グルーヴの斜面の角度については経験的にメリットとデメリットが知られています。
長距離射撃においては全長の長い弾頭が使用されるためライフリングの接触面が大きく5Rで問題ありませんが、近距離射撃で全長が短い弾頭をツイストレートの低いライフリングに使用した場合に接触面の小ささから回転が不十分になりやすいと言われています。
またもう一つのメリットとして、クリーニングの容易さがあります。
通常のライフリングは溝の角度が90度に近いためジャケットやカーボンなど汚れが蓄積しクリーニングが困難ですが、角度が浅い5Rでは汚れが取りやすくなっています。
ライフリングについては掲示板では解説しきれないので、またの機会に記事で解説したいと思います。