一般的に銃の精度には個体差があります。
その原因は大量生産品に生じる一定の不良率の問題や銃のコンディションの問題などです。
精度が低下する原因の例を挙げると、銃口に傷がある、銃身の熱処理に問題がある、スロート(ライフリングが始まる手前)にエロージョンなどのダメージがある、ライフリングの精度が低い、ストックの一部が銃のアクションや銃身の接触してはいけない場所に接触している(ベッディングが悪い)、トリガープルが悪い・・・等々です。
ライフリングについては1939年にドイツでコールドハンマー法が発明されるまで、ライフリングはカット、ブローチ、ボタンなどの方法でライフリングをカットされており、これらの製法による精度は職人の技術力に依存する部分が大きいものでした。
1940年頃から製法が確立し精度が向上しましたが、第一次~第二次世界大戦までの古い銃は現代と比較すると個体差の違いが顕著です。
とはいえ近代でも質の悪いAK47の銃身が製造されているように、精度の違いは今も昔もケースバイケースではあります。
第二次世界大戦時のドイツ軍でのKar98Kスナイパーライフルに要求する精度は、100mで5発発射し10.5cm以内の集弾、そのうち3発は7cm以内に集弾することとしていました。
当時支給されていたs.S弾による98Kの平均集弾は約12cmでしたが、精度の高い98Kでは5cmに集弾するポテンシャルがあり、良い個体を選べば問題ない条件でした。(当時ドイツ軍は集弾測定にCEP(平均誤差半径)を利用していたため資料によっては3~4cmの集弾となっていますが、ここではあえてそれを無視します)