MOA・ミル・実距離 換算ツール
このツールは、MOAやミルの数値が実際の距離でどれだけの偏位量になるかを確認するためのものです。
距離:
MOA:
ミル:
実距離での偏差: 0 cm(0 in)
100m基準: 0 cm(0 in)
使用手順は以下のとおりです。
- 射距離を入力し、単位をメートルまたはヤードから選択します
- MOAまたはミルのどちらかを入力します
- MOAは「+」「-」ボタンで0.25刻みの調整が可能です
- 入力に応じて、実距離でのズレと100m基準値が自動表示されます
- 厳密には、1 MOAは100ヤードでちょうど1インチではありません。MOAは角度の単位であり、定義どおりに計算すると100ヤードでの偏位量は約1.047インチになります。「1 MOA=100ヤードで1インチ」という表現は、理解しやすくするための近似です。
MOA(Minute of Angle)とは?

MOAは、円の360度をさらに細かく分けた角度の単位です。
1度を60等分したものが「1 MOA(1分)」になります。
MOAの特徴
- ヤード・インチ法と相性が良い
- 100ヤード先で「1 MOA」が作る幅は約1.047インチ。
- 実用上は「100ヤードで約1インチ」と覚えれば十分です。
- 距離と落差の目安
- 100ヤード → 約1インチ
- 200ヤード → 約2インチ
- 500ヤード → 約5インチ
MIL / MRAD(Milliradian)とは?

MIL(ミル)は、数学で使われる角度単位「ラジアン」を1,000等分したものです。
1 MILは、距離の1/1000の幅を示します。
MILの特徴
- メートル法と抜群に相性が良い
- 1,000m先で「1 MIL」はちょうど1mの幅になります。
- 距離と落差の目安
- 100m → 約10cm
- 500m → 約50cm
- 1,000m → 1m
MILは「距離 ÷ 1000」で直感的に扱えるため、計算が非常に速いのが利点です。
「ミル(mil)」は角度を細かく分ける単位ですが、国や軍事同盟によって1周を何分割するかが違います。
| 規格 | 1周あたりのミル数 | 1ミルの角度 | 概要 |
|---|---|---|---|
| MRAD | 6283.185 | 約0.0573度 | 数学的に正確で、民間で一般的 |
| NATO | 6400 | 0.05625度 | 米軍およびNATO標準 |
| スウェーデン | 6300 | 約0.05714度 | ストレックと呼ばれる独自規格 |
| ロシア | 6000 | 0.06度 | 旧ワルシャワ条約機構系で使用 |
どれも「約0.001ラジアン」を使いやすくするための近似値で、計算のしやすさを優先して数字が調整されているのが特徴です。
そのため、スコープや照準器に「MIL」と書かれていても、規格によって角度がわずかに異なることがあります。精密射撃では混乱を避けるため、真のミリラジアン(MRAD)がよく使われます。
MOA vs MIL:どちらを選ぶべきか?
MOA と MIL は優劣で選ぶものではなく、普段使う単位系に合わせるのがもっとも合理的です。
日本の射場はメートル法が基本のため、距離計算が直感的に行える MIL のほうが扱いやすく、PRS※やスチールプレート射撃のような技術的・長距離寄りのスタイルにも適しています。
MOA はインチやヤードで着弾を考える射手に向いており、0.25 MOA クリックによる細かな調整が可能です。米国ではハンティング用スコープの多くが MOA で統一されていることもあり、既存装備が MOA の人や、短〜中距離中心でインチ感覚がしっくりくる人には引き続き合理的な選択となります。
一方、MIL はメートル法と完全に一致するため計算が簡単で、軍用・タクティカル系スコープや PRS 競技では標準となっています。弾道アプリやKestrel(携帯型気象観測デバイス)などのデジタルツールも MIL を前提にしているものが多く、現代の射撃環境との相性は良好です。
最終的にはどちらを選ぶ場合でも、レティクルとタレット(調整ダイヤル)を同じ単位で統一し、弾道データもその単位に合わせることが最重要です。
| 項目 | MOA | MIL |
|---|---|---|
| 主な使用地域 | アメリカ(ヤード・ポンド法) | 欧州・日本・軍用(メートル法) |
| 1クリックの調整幅 | 1/4 MOA(100mで約7mm) | 0.1 MIL(100mで10mm) |
| 精密さ | 1/4 MOAの方がわずかに細かい | 0.1 MILは計算が速く直感的 |
| レティクル | 目盛りが細かく数えにくい場合も | ミルドットなど距離測定に適した形状が多い |
PRS(Precision Rifle Series)は、時間制限下で長距離のスチールターゲットを撃つ実戦型の射撃競技です。射程は 300〜1,200 ヤードで、6mm・6.5mm 系のボルトアクションが主に使われます。各ステージでは伏射やバリケードなど不安定な姿勢を移動しながら、風読みと弾道計算を即座に行い、90〜120 秒で複数発を撃ちます。
採点はステージ内の最多命中者を基準にポイントが配分され、年間成績として累積されます。部門は Open、Tactical、Production、Gas Gun などに分かれます。
装備は高倍率スコープ(MIL が主流)を載せたボルトアクションに、バイポッドやリアバッグを組み合わせるのが一般的です。2012 年以降急速に普及し、精密射撃とスピードを両立した競技として世界的に広がっています。
なぜ「角度」で考えるのか?
弾は重力で必ず落下します。
この落下量を補正する際、距離ごとに「何センチ上げる」と覚えるのは非効率です。
角度(MOAやMIL)で覚えておけば、
- 距離が変わっても
- 弾速が変わっても
- スコープの種類が変わっても
必要なクリック数を一貫したルールで計算できるようになります。
MOAとMILの歴史
- 19世紀
- 砲術や測量で角度を細かく扱う必要が高まり、MOAが利用され始める。
- ラジアンの数学的概念も確立される。
- 19世紀末〜20世紀前半
- ラジアンを1000分割したMILが砲兵用の角度単位として軍事分野で採用され、距離測定と射撃指揮に用いられる。
- 20世紀前半〜中盤
- アメリカで狩猟や射撃競技が発展し、100ヤード約1インチという対応関係からMOAが射撃界で広く普及する。
- 1950年代
- 各国軍がMILを正式な射撃補正単位として採用し、軍用スコープの標準となる。
- 1980年代
- 1988年、米軍がスナイパーライフルの精度基準にMOAを採用し、精密射撃の指標として定着する。
- 1990年代〜2000年代
- ライフルスコープが標準化され、MOAとMILが用途別に併存するようになる。
- 現代
- MOAはハンティングや一般射撃、MILは軍用や長距離射撃を中心に、用途と好みに応じて選択されている。
まとめ:どちらを選ぶかの最適解
- MOA
→ 100ヤード=約1インチで考えたい人向け - MIL
→ 100m=10cmで計算したい人向け
本記事では、MOA と MIL という二つの角度単位について、その意味や違い、そして実距離との関係を解説しました。
MOA も MIL も、弾道補正を距離ではなく角度で考えるための共通言語であり、どちらが優れているというものではありません。
重要なのは、自分が使う距離単位や射撃環境に合ったほうを選び、レティクル・タレット・弾道データを同一単位で統一することです。



