
この記事の要約
- トイガンではカートリッジが自重で落ちるためエジェクターロッド操作がほぼ不要
- 実銃で必要な理由は、発射時の高圧・高温により薬莢が膨張してシリンダー内壁に密着し、火薬残渣も固着の原因となるため
- エジェクターロッドの役割は、膨張・固着した薬莢を機械的に押し出すことで、確実な排莢と素早いリロードを可能にする
「リボルバーのエジェクターロッド(排莢棒)は、本当に必要なのだろうか?」
トイガンでカートリッジ式のリボルバーを使ったことがある方なら、こんな疑問を持ったことがあるかもしれません。
トイガンでは、シリンダーをスイングアウトして銃口を上に向けるだけで、カートリッジが自重でスルスルと落ちてきます。それなのに、なぜ実銃にはわざわざエジェクターロッドという機構が必要なのでしょうか?
その答えは、実銃ならではの物理現象にあります。
発射に伴う薬莢の変形、熱による膨張、火薬残渣の付着など、実銃では使用済みの薬莢がシリンダーから「すんなりと外れなくなる」複数の要因が存在します。
実銃における薬莢の挙動

実際のリボルバーでは、発射時に薬莢内部で高圧・高温のガスが発生し、真鍮製の薬莢が膨張してシリンダーの内壁に密着します。この膨張により、シリンダーを開いて重力に任せるだけでは薬莢を取り出すことができません。

さらに、火薬の燃焼残渣やシリンダー内部の汚れが薬莢を固着させる原因となります。エジェクターロッドは薬莢の底部(リム)を機械的に押し出すことで、リロード時の遅延や手作業での取り出しが必要になる事態を防ぎます。
正しい操作方法としては、リボルバーの銃口を上に向け、エジェクターロッドをしっかりと押すことで、重力も利用しながら薬莢をスムーズに排出させます。
トイガンとの違い

一方、トイガンのリボルバーは、薬莢が緩く設計されており、膨張や残留物の蓄積がない構造になっているため、自然に落下します。そのため、機械的な排莢機構は必要ありません。
膨張、熱、残留物という要素が組み合わさることで、使用済み薬莢を確実に取り出すためにエジェクターロッドが必須となります。


