ショルダーの角度が何度であれば良いといったシンプルな答えはありません。
適正な角度は、ネックの長さ、ケースの長さ、使用するアクションの長さ、銃身長、燃焼速度、プライマーの種類・・・等々によって異なりますし、目的は弾速の加速なのか減速なのか、アキュラシー向上なのか、使用する銃のスペックに合わせて何を目指すかによっても異なります。
角度が一度違うだけで特定の角度が優れていると証明した人はいないはずですし、恐らくご指摘の筆者は一定の条件下で40度が良い結果だと述べているのだと想像します。
同一条件下でショルダー角だけが異なりパウダー量が同じ場合、弾速は殆ど変化しません。
ショルダー角を強めて容量を確保し、パウダー量が増加すれば弾速とエナジーが増加します。
燃焼効率を向上したい場合はケースの長さが短い方がプライマーのガスが届きやすいといえ、反対に長いケースではショルダー角を強めると燃焼効率が良くなる傾向があります。
しかしケースを短くすると容量が減少するため、容量確保のためにショルダー角を強めてテーパーの少ないケースを使用したり(例:アクリーインプルーブド)、使用するパウダーの燃焼速度も変える必要が出てきます。
また長いケースをカットしてケースを短縮するとケースウォールが厚くなり、安全性や精度にも影響しやすくなることがあります。
ショルダー角を強めた場合、燃焼効率向上、不発率低下、適性なヘッドスペースを取りやすいといった利点がある反面、ガスの乱気流(タービュランス)によって精度に悪影響があり、ネックに向かって流れるガスが弾を押し出す際、圧力の偏りが出やすくなることがあります。
この偏りが大きいと命中精度に影響するため、ガス圧が安定的にネックの中心に向かうように適正な角度を設定する必要があります。
どの角度が良いかは条件次第ですが、概ね30~40度の角度で効率が良いと言われています。
この範囲であれば薬室への装填もスムーズですし、ヘッドスペースの精度が取りやすく、ケースの負担が減りケース寿命も長くなることが知られています。