.300AACBLKはアメリカではハンティングに使われていますか?
.30カービンや7.62×39より扱いやすいのでしょうか?
7.62×39は公安からいい顔をされないですし、.30カービンは使える銃が製造終了してしまいました。
フルサイズの口径ではイノシシなどを追うときに苦労するので期待しているんです。
はい、使われています。
.300AAC BLKはイノシシ猟に対して十分な性能を有しています。
実射テスト
YoutubeチャンネルのMilitary Arms Channelは、.300AAC BLKがハンティングで使用できる能力があるか実射テストを行いました。
コントロールド・フラクチャリング
使用弾薬はリーハイディフェンス(Lehigh Defense)の「コントロールド・フラクチャリング」で弾頭重量168グレインです。
ボルトアクション・ライフル用として使用される弾薬で、中心の芯を残して弾頭の周囲が分裂展開する構造です。
FBI規格準拠の長さ16インチ(約40cm)のバリスティックゼラチンを射撃したところ、6インチ(約15cm)進入したところで展開されました。
展開後はかなり大きな瞬間空洞を形成しています。
弾頭の底と弾芯が残され、貫通力の高い弾芯が16インチのバリスティックゼラチンを突き抜けました。
マキシマム・エクスパンション
次に行ったテストは豚肉でイノシシを再現したバリスティックゼラチンを使用しました。
使用弾薬は同じくリーハイディフェンスの「マキシマム・エクスパンション」で、弾頭重量194グレインです。
FBI規格準拠の長さ16インチ(約40cm)バリスティックゼラチンを二枚の豚肉で挟んで射撃したところ、二枚目の豚肉で停弾しました。
イノシシ猟には十分な性能です。
綺麗に展開されており、弾頭が分裂しないため高い貫通力を持っています。
骨に命中したにもかかわらず、16インチ(約40cm)進入できました。
超音速(スーパーソニック)と亜音速(サブソニック)
.300AAC BLKは弾薬メーカーやブランドによって音速を超えるスーパーソニック弾と、亜音速のサブソニック弾があります。
弾速や弾頭重量はそれぞれ異なり、弾速の速いものだと210グレインで2,200fpsを超えますが、亜音速のものだと208グレインで915fpsほどになります。
.300AAC BLK(サブソニック)
以下はバリスティックデータです。
.300AAC BLK フェデラル OTM 220グレイン弾頭 風速 10 mph 100ヤードゼロイン |
||||
距離 | ドロップ | ドリフト | 弾速 | エナジー (ft-lbf) |
0ヤード | -1.5インチ | 0.0インチ | 1001フィート/秒 | 489 |
50ヤード | 3.7インチ | 0.1インチ | 986フィート/秒 | 475 |
100ヤード | 0.0インチ | 0.7インチ | 971フィート/秒 | 461 |
150ヤード | -13.0インチ | 1.8インチ | 958フィート/秒 | 448 |
200ヤード | -35.6インチ | 3.3インチ | 945フィート/秒 | 436 |
250ヤード | -67.9インチ | 5.1インチ | 932フィート/秒 | 424 |
300ヤード | -110.2インチ | 7.2インチ | 920フィート/秒 | 414 |
350ヤード | -162.5インチ | 9.7インチ | 909フィート/秒 | 403 |
400ヤード | -225.7インチ | 12.6インチ | 898フィート/秒 | 394 |
450ヤード | -298.8インチ | 15.6インチ | 887フィート/秒 | 384 |
500ヤード | -383.3インチ | 19.1インチ | 877フィート/秒 | 376 |
以下は同じ弾のメートル法でのバリスティックデータです。
.300AAC BLK フェデラル OTM 220グレイン弾頭 風速 10 m 100mゼロイン |
||||
距離 | ドロップ | ドリフト | 弾速 | エナジー (ジュール) |
0m | -3.8cm | 0cm | 305m/秒 | 663 |
50m | 11.7cm | 1cm | 300m/秒 | 641 |
100m | 0cm | 4.8cm | 295m/秒 | 621 |
150m | -40.4cm | 11.9cm | 291m/秒 | 602 |
200m | -110.2cm | 21.8cm | 287m/秒 | 584 |
250m | -208.3cm | 33.8cm | 283m/秒 | 568 |
300m | -338.6cm | 47.8cm | 279m/秒 | 553 |
350m | -499.9cm | 63.8cm | 275m/秒 | 538 |
400m | -691.1cm | 82.6cm | 271m/秒 | 525 |
450m | -918.5cm | 103.4cm | 268m/秒 | 511 |
500m | -1181.1cm | 127.3cm | 264m/秒 | 498 |
ドリフトは比較的小さいので横風に強いですが、亜音速弾ではドロップがかなり大きいといえます。
この場合、ターゲットまで数百メートル以上離れると、距離を把握していなければ命中が難しくなるかもしれません。
しかし、弾道に慣れたり、BDCスコープを使用していれば扱いやすそうです。
7.62x39mm
以下は7.62x39mmのバリスティックデータです。
7.62x39mm フェデラルJSP 123グレイン弾頭 風速 10 mph 100ヤードゼロイン |
||||
距離 | ドロップ | ドリフト | 弾速 | エナジー (ft-lbf) |
0ヤード | -1.5インチ | 0インチ | 2350 フィート/秒 | 1508 |
50ヤード | 0.2インチ | 0.4インチ | 2200フィート/秒 | 1322 |
100ヤード | 0インチ | 1.6インチ | 2055フィート/秒 | 1153 |
150ヤード | -2.2インチ | 3.6インチ | 1915フィート/秒 | 1002 |
200ヤード | -6.7インチ | 6.7インチ | 1783フィート/秒 | 868 |
250ヤード | -14.2インチ | 10.9インチ | 1657 フィート/秒 | 750 |
300ヤード | -24.6インチ | 16.2インチ | 1539フィート/秒 | 646 |
350ヤード | -38.7インチ | 22.7インチ | 1428フィート/秒 | 557 |
400ヤード | -57.4インチ | 30.7インチ | 1329フィート/秒 | 482 |
450ヤード | -80.8インチ | 40.0インチ | 1240フィート/秒 | 420 |
500ヤード | -110.2インチ | 50.8インチ | 1164フィート/秒 | 370 |
以下は同じ弾のメートル法でのバリスティックデータです。
7.62x39mm フェデラルJSP 123グレイン弾頭 風速 10 m 100mゼロイン |
||||
距離 | ドロップ | ドリフト | 弾速 | エナジー (ジュール) |
0m | -3.8cm | 0cm | 716m/秒 | 2043 |
50m | 0.8cm | 2.8cm | 666m/秒 | 1767 |
100m | 0cm | 10.7cm | 618m/秒 | 1524 |
150m | -7.1cm | 24.1 cm | 572 m/秒 | 1304 |
200m | -22.4cm | 45.7cm | 528m/秒 | 1113 |
250m | -45.7cm | 73.9cm | 488m/秒 | 949 |
300m | -79.8cm | 110cm | 450m/秒 | 805 |
350m | -126.2cm | 155.4cm | 415 m/秒 | 686 |
400m | -186.2cm | 209.3cm | 384 m/秒 | 588 |
450m | -264.4cm | 273.8cm | 358m/秒 | 511 |
500m | -362.2cm | 347.2cm | 336m/秒 | 451 |
このデータの.300AAC BLKと比較すると、ドロップは7.62x39mmが優位、横風耐性は.300AAC BLKが優位、エナジーは距離400mまでは7.62x39mmが優位です。
しかし、前述した通り.300AAC BLKには音速を超える弾も存在するため、2,000fpsを超える弾を使用すれば7.62x39mmの弾速やエナジーとの差が小さくなります。
まとめ
「.300AAC BLKは扱いやすいか?」と問われれば、扱いやすいと思います。
無風時に亜音速の.300AAC BLKと比較すると、7.62x39mmの方が中距離でも弾道がフラットなので命中させやすいでしょう。
超音速の.300AAC BLKを使用すれば、弾速、ドロップ、ドリフト、エナジーのすべてにおいて7.62x39mm以上の性能ですが、一方でリコイルが大きくなるため連続射撃時のコントロールは難しくなります。
.300AAC BLKがアメリカで人気がある理由は、亜音速弾が用意されていることでサプレッサーと相性が良いことと、重い弾頭重量によりドリフトが小さく、ターゲットに対する貫通力が高いことによるものといえます。
しかし、日本ではサプレッサーを使用できないため、恩恵が少ないかもしれません。
また、.300AAC BLKは価格が比較的高価で、アメリカでは1発あたり0.6~3ドルほどになります。これは、7.62x39mmの約3倍です。
私が愛用していたライフルの口径は、7.62x39mmと.308ウィンチェスターでしたが、イノシシ用と仮定した場合、近距離なら7.62x39mm、.223レミントン、.30-30 ウィンチェスター、.300 サベージ、中距離以上なら.308ウィンチェスター、.243ウィンチェスター、.30-06、.270ウィンチェスター、.240ウェザビーマグナム・・・などがお勧めです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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