一般的にホローポイント弾は「貫通力」と「弾頭の拡張」が重要とされており、着弾後に深部まで進み続ける能力と、弾頭の拡張によって大きな永久空洞を形成することが望ましいのですが、この貫通力と拡張は反比例する傾向があり、大きく拡張すればそれだけ抵抗となり貫通力を失いやすくなります。
今回のテストではHSTの方が大きく拡張されたものの、Defendの方が高い貫通力を示し、この場合は貫通力が強い方が優れると判断されたためDefendが選ばれたということです。(また同時にDefendの方が価格が安い)
これは貫通力が強い方が急所に到達する可能性が高く、車のフロントガラスや厚手の衣服等の障害物が存在しても、貫通力があれば有効弾になりやすいというのが理由です。(逆に障害物によって貫通力が増すこともありますが、それはケースバイケースです)
弾頭の拡張サイズよりも貫通力を優先する判断は私も同意しますが、残念ながら今回のテストでは124グレイン(HST)と147グレイン(Defend)という異なる弾頭重量で比較しているため、どちらのブランドが優れているという判断はできないと思われます。
今回のテストに至るまでの過去のテスト結果から選抜された弾薬のため弾頭重量が異なるという経緯は理解しますが、これまでのテストは異なるバリスティックジェルが使用されており、テストされた日時も異なります。
バリスティックジェルは種類によって弾性や硬度が異なり、テスト時の気温によっても影響を受けるため、正確なテスト結果を得るには時間や素材などを同じ条件にする必要がありますが、これまでのテストではそれが出来ていません。
ですが、いくら条件を揃えたところでバリスティックジェルと人体は異なる弾性や構造のため、実際に人体に対して同じ結果がでるとは限らず、これはストッピングパワーを研究することが難しい理由の一つですが、正確性を欠いてもある一定の目安にはなります。