Kフレームは.38スペシャルを使用することを前提として設計されたフレームのため.357マグナムの使用を想定しておらず、M19の生みの親であるビル・ジョーダンもM19には.38スペシャルをトレーニング用として使用し、.357マグナムをデューティー用として使用することを想定していました。
M19は携帯しやすい.357マグナムリボルバーを目指したモデルであって、弾薬を大量消費することを目的としていません。
しかし実際にM19で.357マグナムを使用して問題が生じるかといえば、必ずしもそうではありません。
.357マグナムには様々なブランドや弾頭重量があり、低圧なものから高圧なものまで存在します。
仮に高圧な.357マグナムだけを使用し数千発単位で発射すれば問題が生じる場合もありますが、ブランドを問わず.357マグナムを使用しているユーザーのなかには全く問題が無いということもあり、どのような弾薬を使用するかによって問題の有無やその生じ方が異なります。
M19で.357マグナムを使用する際に特に気を付けたいのは軽量弾の場合ですが、これは高温高圧のガスをフレームに吹き付けて生じるフレームカットや、フォーシングコーンの割れなどの原因となるため、安全のためにも弾頭重量の重い弾薬が推奨されます。
しかしステンレスモデルのM66はガス圧に耐性があるため、カーボンスチールのM19よりは問題が生じにくい傾向があります。
トリガープルの重さ(ダブルアクション)については、M19で約10~11ポンド、M66で11~12ポンドほどになります。
M66は強めのリバウンドスプリングが使用されており若干重めですが、トリガーのリターンが早いため速射時に効果を発揮します。
トリガープルのスムーズさはM19の方がスムーズで、M66は荒さが目立ちますが、分解してポリッシュしたり使用しているうちに動きが慣らされてスムーズになります。
昔のM19はバレルの取り付けからトリガージョブまで熟練工により組立てやフィッティングが行われていましたが、M66は製造工程や素材を見直しコストカットによって新人でも組立てやすく仕上がっているため、コレクターにはM19の方が人気があり、実用品としてはM66の方が好まれる傾向があります。
市場の殆どのユーザーは何千何万発と弾薬を消費することはなく、Kフレームの.357マグナムで問題を経験するユーザーは稀です。
問題が生じても消耗したパーツは交換で対応できるため実用上の問題は殆どなく、多くの問題は容易に解決可能です。
それでも高圧な.357マグナムを長期にわたって撃ちまくりたい場合は、S&WよりルガーGP100といったサイドプレートを使用しないモデルの方がおすすめです。
キーロックの問題については、記事「S&Wリボルバーのキーロックシステムの問題点とは?」をご覧ください。