AK-12には以下のような問題があります。
・セレクターレバー形状変更によりトリガーフィンガーを阻害しやすい
・抵抗が大きいセレクターレバーを勢いよく下げるとレバーがトリガーの位置まで過度に回ってしまう(トリガーガード内に指を入れられなくなる)
・ハンドガードの剛性が低いためハンドガード上に搭載したレーザー等の光学機器のゼロを維持できない
・ハンドガードが短いため銃身の露出が多くレスト時に銃身に負荷が掛かりやすい(フリーフローティングバレルの効果が低下する他、火傷のリスクが高い)
・一度ダストカバーを取り外すとゼロを失う(高い命中精度を維持できない)
・他のAKよりチャージングハンドルが重く引きにくい(ハンマーによる抵抗が大きい)
・他のAKよりトリガープルが悪い
・メンテナンス時にガスチューブを銃から分離できないためガスブロックの細かいクリーニングが困難(他のAKでは分解可能)
・クリーニングロッドが分割式のため従来よりクリーニングに手間がかかる
・AR15に類似するデザインのバッファーチューブにも関わらずAR15と互換性が無い(サードパーティーの豊富なストックを装着できない)
・ストック折り畳み時にレシーバーとの隙間が大きいためスリングが絡みやすい
・スリングポイントの位置が低いためグリップ時にスリングが手を阻害しやすい
AK-74を近代化改修するためAK-12のプロトタイプが設計されたものの、結果的にプロトタイプよりダウングレードされた内容になってしまい、当初の目的が中途半端に達成された感があるのは事実です。
この主な原因は恐らくプロトタイプ製造時に製造コストの高さが問題となり、安価な解決方法に落ち着いたことが影響していると推測できます。
また、問題を解決しようとして別の問題が生じることは銃器の設計においてよくある話です。
例えばAK-12の場合、「グリップから手を離さずにセレクターを操作可能にしようと設計変更したらセレクターが重くなりトリガーフィンガーを阻害する結果になった」、「バーストモードを追加するためにトリガーメカを新規設計したらハンマーの抵抗が大きくなりチャージングハンドルが重くなった」、「製造コスト低減のためにポリマーハンドガードを採用したら剛性が無くゼロが維持できなくなった」、「スリングの汎用性を高めるために着脱式スリングポイントに変更したらグリップ時に手を阻害しやすくなった」・・・等々、どの問題を排除して何を採用するかという選択の問題になったことがAK-12の問題とも言えます。