2013年からアメリカでは民間団体や民間人による3D銃の開発が続いていますが特に3D回転式拳銃においては近年ジグザグと呼ばれる独特の構造をしたシリンダーを使用する物がとても多く見受けられます。
これは3Dに向いている構造だからなのでしょうか?
今後技術が発達した場合は3D印刷リボルバーの主流はジグザグ式になるのでしょうか?
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2014年に日本でジグザグ式の3Dプリンター銃を製造して日本人が逮捕された事件が切っ掛けとなり、詳細が欧米でも報道されてジグザグ式が注目されるようになりました。そのためアメリカでは開発者をリスペクトする意味で「イムラ式」と呼ばれたりもします。
現在ではジグザグに限らず様々なタイプが誕生していますが、ジグザグ式は強度の弱い3Dプリンター銃では構造上のメリットがあります。
従来型のリボルバーをそのままプラスチック化したとき、回転式トリガーやハンドのような細いパーツは強度を得にくいため、スライド式トリガーを採用したものが多くみられます。スライド式の前後運動はそのままジグザグ式シリンダーの回転運動に変換でき、少ないパーツ点数とパーツの大型化による強度アップが望めます。また同時に、チャンバーの肉厚を得るためにシリンダーを大型化した場合でもジグザグ式は構造的に信頼性が得られやすいでしょう。
(逮捕された日本人が製造したジグザグ式は手動によるコッキングでシリンダーを回転させる方法だったのに対し、アメリカで流行しているのはトリガーの動きが直接シリンダーを回転させるモデルが多いようです)
今後の主流がジグザグ式になるかという予想については、私は寧ろ逆の流れを予想していて、いずれ従来型の形状に戻るのではないかと考えています。
その理由は、材質に強度が得られるようになればジグザグ式を採用するメリットが小さくなるからです。
他方、アメリカには金属探知機に反応しない銃は違法とした「Undetectable Firearms Act 1988」という法律があります。これは1988年に制定された時限立法で、その後延長を何度も繰り返しながら2023年まで継続される予定です。法律違反を回避するには素材に造形剤を混ぜたり、金属パーツを含む必要があり、単純に銃を自作したいだけなら金属で製造した方が簡単です。ただ、3Dプリンター銃が流行する主要因は「強度の弱い3Dプリンター銃でどこまで(金属パーツに頼らずに)高性能な銃が製造できるか?」という技術力を追及する好奇心が殆どなので、ジグザグ式は主流とならなくても、ある程度残り続けるのではないかと思います。