「実戦的な性能とは何か」という定義の問題もありますが、命中精度、耐久性、作動の信頼性、工作制度の高さ、品質の一貫性、仕上げの美しさ・・・等々は高級モデルの方が優れる傾向があります。
キンバーやコルトの1911ではMIM(金属射出成形)のパーツが多用されますが、ナイトホークカスタムやウィルソンコンバットなどでは削り出しパーツのみを使用しているため、比較的に製品のクオリティが安定しています。
また一般的な銃の製造工程では複数人が手分けして1丁を組み立てる作業を行っていますが、例えばナイトホークカスタムでは「1丁につき1人のガンスミス(ONE GUN, ONE GUNSMITH)」というポリシーの元、熟練のガンスミス1人が1丁のピストルを丸一日かけてフィッティングや試射などを行って製造しています。(バリ取りや切削痕を消す作業は別に担当者が存在します)
レスベアやウィルソンコンバットでは複数のガンスミスにより1丁を完成させており、1人が担当するからといって命中精度が高くなるわけではありませんが、一丁一丁にガンスミスの個性が表れており、担当者のイニシャルがフレームに刻印されることも価値になっています。
通常、銃の製造時には完成したパーツを組み立て、作動を確認しながら問題があれば削るなどしてフィッティング作業を行いますが、ナイトホークやウィルソンコンバットといった高級カスタムガンでは通常より大きめのパーツを製造し、このまま組み立てると正常に作動しないピストルを、この状態からガンスミスがそれぞれのパーツを手作業で削りながらパーツ同士を適合させるフィッティングを行うことでタイトフィットな精度の高い銃を仕上げます。
この様な工程を経ることで25ヤードで1インチ以内という集弾性能を得ることができるのですが、果たしてこの精度が必要であるかはユーザーの考え方次第です。
「25ヤードで3インチ以内が可能ならOK」というのであれば、通常のスタンダードグレードの1911でも十分と言えます。