>初速向上の効果
一般的にスクイーズボアは初速が向上する傾向があります。
ですが実際の弾速は設計の内容、銃身の状態、弾頭、弾薬などの条件によって異なります。
また、初速向上を目的としていない場合は一般的な弾速と同等になる場合もあります。
例を挙げると1960~1970年代に米陸軍とコルトはスクイーズボア(SALVOスクイーズボアシステム)の研究を行っていましたが、これは複数の弾頭を同時に発射し命中率向上を狙った内容のため通常より速い弾速は求められておらず、9mm、5.56mm、7.62mm、12.7mmのいずれも既存の弾速と同等でした。
余談ですが米軍ではM9ピストルのトライアルの際に提出されたコルトSSP M1971ピストルにスクイーズボアバレルがオプションとなっていましたが、結果的にベレッタ92が採用されることとなりました。
>銃身寿命
スクイーズボアは摩擦抵抗が大きいため腔圧が高くなり、高圧によるエロージョン(焼損による浸食)の影響から銃身命数が短くなります。
これは歴史的に軍用小火器用として採用されてこなかった理由の1つです。
>停弾のリスク
停弾のリスクは一般的な既存の銃身と変わりません。
>また大幅な初速向上を図ったような製品あるのでしょうか。
スクイーズボアは高圧になるため既存の銃では大幅な初速向上は不可能です。
しかし米陸軍では現在研究中で、高圧に耐える強固なブリーチアッセンブリーを新規開発することでライフル弾の初速を持つピストル、高速ライフル弾(5000fps超)、無人機(ドローンやロボット)への転用などの開発が進められており、実験で24インチバレルから5750fpsで発射することは達成されています。
参考パテント:US9759501B2