1893年に実用的なピストル(C93)が登場して以降、20世紀までは5~7.65mmといった小口径が多く、ヨーロッパでは携帯しやすいコンパクトな小口径ピストルが流行し、アメリカでは.38~45口径のリボルバーが流行していました。
そして1902年に9x19mm、1908年に9x17mm(.380ACP)が登場すると軍や警察で9mm口径が流行しましたが、民間市場では構造がシンプルで安価なストレートブローバック小口径ピストルが未だ流行していました。
アメリカは米比戦争の経験から.38口径(.38ロングコルト)はストッピングパワーが不十分と考えていたため.45ACPの採用に至りましたが、ヨーロッパでは次第に民間市場でもパワーが求められるようになり、9x17mmなどの9mm口径がメジャーな存在となっています。
弾道学的視点でみると、短い銃身長と短いケース長で速い弾速と大きなマズルエナジーを得るには大口径化によって弾頭の底面積を増加させる必要があります。
また弾頭重量を重くすることで拳銃弾のような低速な弾でも大きなマズルエナジーを得られるため、歴史的に大口径化される背景がありました。
しかし、口径が大きくなると装弾数が減少したりフレームサイズが大きくなるなどのデメリットもあり、特にヨーロッパでは大きすぎず小さすぎない9mmが標準的なサイズとなっています。
アメリカでは9x19mmがNATO標準となったことと、1970~1980年代に9mmのハイキャパシティーピストルが多数登場したことで急速に9x19mmが普及し、その後ホローポイント弾が普及したことも9x19mmが流行する切っ掛けになっています。
1980年代のホローポイント弾は確実な拡張には一定の弾速が必要とされていたため、高速な9x19mmは都合の良い性能を持ち合わせていました。
こうした背景から9mm口径が軍、警察、民間で流行すると需要増加によって大量生産され、9mm弾の製造コストが安くなり、購入しやすくなったことで更に流通量が増えるという循環が生まれています。